ジェトロとGTAI、最新の日独イノベーションのベストプラクティス5件紹介
(ドイツ、日本)
ベルリン発
2022年12月14日
ジェトロとドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)は12月5日、日独交流160周年を記念して2021年12月に発足した地球規模の社会課題解決を目指す「日独イノベーション・イニシアチブ160」のフォローアップ事業として、新たな成功事例の創出促進を目指すべく、5つのベストプラクティスを紹介した。会場開催とライブ配信のハイブリッド形式で実施し、スタートアップを含む両国の企業、ドイツ各州の経済振興公社や商工会議所、イノベーション推進クラスター機関などがリアルで参加し、ネットワーキングの場を設けたほか、世界向けにオンライン中継した(録画はジェトロYouTubeチャンネル動画Presentation of Successful Cases of the “Japanese-German/German-JapaneseInnovation Initiative 160” - YouTube参照)。
信谷和重ジェトロ副理事長の開会あいさつ(ジェトロ撮影)
ジェトロの信谷和重・副理事長が開会のあいさつをし、インフラやライフスタイルなどさまざまな面で世界のパラダイムシフトが起こる中、日独イノベーションで課題解決を目指すと述べた。
GTAIのロバート・ヘルマン総裁は、ドイツ経済・気候保護省発のデジタルハブ・イニシアチブとジェトロのジャパン・イノベーション・ブリッジ(J-Bridge)を組み合わせた「テック・イノベーション・チャレンジ(Tech Innovation Challenge)」などの事業で、両国企業のオープンイノベーションのマッチングに取り組んでいることを紹介した(2022年9月12日記事参照)。
柳秀直・駐ドイツ日本大使は、ドイツのオラフ・ショルツ首相就任後のアジア初の訪問地が日本だったことや人権、気候変動などを背景に、日独双方向の投資やイノベーションに期待すると述べた。
基調講演では、欧州経営技術大学院(ESMT)学長のヨルグ・ロホル教授が、日独での世界に向けたハイテク分野のイノベーションの重要性や、ウクライナ危機によるエネルギー問題などに対する日独による解決策の必要性を説いた。
ヨルグ・ロホル学長の基調講演(ジェトロ撮影)
ベストプラクティスの5件は次のとおり。
- JX金属と金属ワイヤー技術・製造装置を手掛けるドイツのスタートアップNanoWiredの協業
- 山形県とザクセン州の戦略的連携によるフレキシブルエレクトロニクス・イノベーションと地域間交流の継続的発展
- 日本発の人工知能(AI)スタートアップ・ハカルスによるBMW、ドイツ鉄道、WKW(アルミ、鉄、プラスチック原料分野)などドイツ企業との連携
- kudanとカメラを活用したポジショニングシステムを手掛けるドイツのスタートアップArtisenseの協業と子会社化
- 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の共同実証プロジェクト「大規模ハイブリッド蓄電池システム」を基とするbe.storaged(エネルギー貯蔵システムのドイツのスタートアップ)と日独企業〔Hitachi Chemical Ltd.、日立パワーソリューションズ、日本ガイシ、エー・ヴェー・エー(EWE)〕の連携
ジェトロの和爾俊樹ベルリン事務所長は2022年のジェトロとGTAI,各州経済振興公社や商工会議所などとのこのイニシアチブのフォローアップ事業活動を振り返り、2023年以降もドイツの機関と連携していくと締めくくった(2022年7月22日記事、2022年9月30日記事、2022年10月3日記事、2022年10月13日記事、2022年10月18日記事、2022年11月22日記事参照)。
(小菅宏幸、矢島佳子)
(ドイツ、日本)
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