ベルリンのスタートアップエコシステム、日本との交流に進展

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2022年09月30日

ドイツのベルリン州経済・エネルギー・公共企業局は9月12~16日、アジアとベルリンのスタートアップのエコシステムをつなげる「アジア・ベルリン・サミット(ABS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を開催した。持続可能な開発目標(SDGs)を中心に、女性や社会起業家、アグリテック、グリーンテックなどをテーマに、ベルリンとアジア各国のスタートアップや大企業、投資家、エコシステムビルダー、自治体関係者などが参加し、日本とも交流も積極的に行われた。

サミットのオープニングでは、スベニャ・シュルツェ連邦経済協力・開発相やシュテファン・シュバルツ・ベルリン州経済・エネルギー・公共企業相らが登壇した。シュバルツ氏は「グローバル危機が加速する中、協力という考え方が今まで以上に重要になっており、このサミットがよい例だ」と述べた。日本からは、小池百合子・東京都知事がビデオメッセージで参加し、2023年2月27~28日に開催される持続可能性がテーマのスタートアップとのオープンイノベーションイベント「City-Tech.Tokyo」を紹介した。

日本とドイツの産業界からは、シーメンス社長兼CEO(最高経営責任者)兼ドイツ財界アジア太平洋委員会(APA)会長のローランド・ブッシュ博士(2022年7月22日記事参照)をはじめ、三菱電機やドイツのシステム大手SAPなどが登壇し、アジアとのイノベーションの潜在性の高さやスタートアップに対する投資計画について言及した。

ベルリン発スタートアップでは、オンライン・フードデリバリー・サービス事業を展開するユニコーン企業(注1)のデリバリー・ヒーロー(Delivery Hero)がアジアの重要性を指摘したほか、電気自動車充電スタンドを手掛けたり、ウクライナ避難民支援をベルリンのスタートアップエコシステムに呼び掛けたりしたことでも知られるスウォッビー(Swobbee)が持続可能なモビリティーに対する貢献について述べた。

会期中、スタートアップ・ピッチやNFT(非代替性トークン、注2)エキシビション、メタバースルームなどのプログラムも実施された。交流スポットでは、ドイツのアクセラレーターや大手企業などと並んで、ジェトロも出展し、対日投資や日本企業とのオープンイノベーションに向けたジャパン・イノベーション・ブリッジ(J-Bridge)をPRした。

兵庫県や神戸市、東京都渋谷区などの自治体やスタートアップも参加し、各地のスタートアップエコシステムを紹介するセッションやブース設置も設けられ、交流が盛んに行われた。

「持続可能性と技術の将来への投資」と題したセッションには、ジェトロ・ベルリン事務所の和爾俊樹所長が登壇した。ジェトロとドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)が2021年12月に立ち上げた「日独イノベーション・イニシアチブ160」などを紹介し、ベルリンをはじめとするドイツと日本の自治体間の双方向のスタートアップ・イノベーションの交流への期待を述べた上で、ドイツのスタートアップに対して日本への進出を呼びかけた(2021年12月23日記事2022年9月12日記事参照)。

写真 双方向の日独イノベーションの重要性を呼びかける和爾ジェトロ・ベルリン事務所長(ジェトロ撮影)

双方向の日独イノベーションの重要性を呼びかける和爾ジェトロ・ベルリン事務所長(ジェトロ撮影)

同セッションでは、ABSの日本アンバサダーでアクセラレーターのクロスビー(CROSSBIE)CEOの山本知佳氏が司会を務め、日本のベンチャーキャピタルであるグローバル・ブレインのインベストメント・ダイレクターの小尾理奈氏(モデレーター)、スーパーマーケットなどの屋内で垂直農法による野菜栽培を手掛けるベルリン発ユニコーン企業インファーム(Infarm – Indoor Urban Farming外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の日本法人代表取締役社長の平石郁生氏が登壇。平石氏は、JR東日本・紀ノ國屋とのオープンイノベーションについて紹介したほか、「ソフトウエア、ハードウエア、生産施設の全てを備え、モノのインターネット(IoT)でつなぎ、効率的に管理することができるインファームは、例えて言うなら、テスラの野菜版のようなビジネスだ」と述べた。

(注1)企業評価額10億ドル以上で未上場のスタートアップ。

(注2)Non-Fungible Tokenの略称。唯一無二であることをブロックチェーン技術で証明することによって、貨幣の偽造やコンテンツの海賊版を防ぎ、NFT所有者を明確にすることができる。

(小菅宏幸)

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