2022/2023年度のGDP成長率は4.5%の予測、再エネ・水素事業に注目

(エジプト)

カイロ発

2022年12月28日

世界銀行は12月のレポートで、エジプトの実質GDP成長率が2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)は4.5%となり、2021/2022年度の6.6%から減速すると予測している。世界的な資源価格上昇の影響を受けたガス採掘、都市開発やインフラ整備が進む中で成長する情報通信や建設部門の好調を見込む中、原材料の高騰やサプライチェーンの乱れから製造業は伸び悩む見通しだ。

主要通貨に対してエジプト・ポンド安になっている状況下で、2023年は観光業の復活も期待されている。国外からの観光客は順調に戻ってきており、エジプト中央統計局によると、2022年上半期の国外からの観光客数は前年同期比85%増の490万人となった。

日本を含む外国企業から引き続き注目を集めるのが再エネ・グリーン産業だ。エジプトでは、2022年11月6日から20日まで、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が開催された(2022年11月7日記事11月22日記事参照)。政府はCOP27に先立って、5月には国家気候変動戦略「National Climate Change Strategy 2050」(NCCS)を導入し、10月にはより具体的な「水・食料・エネルギー連携プログラム」(NWFE)を立ち上げた(2022年10月12日付地域・分析レポート参照)。また、COP27の前後には、豊田通商や住友商事の風力発電事業を含む再生可能エネルギー発電プロジェクトが多数発表された(2022年10月31日付地域・分析レポート参照)。さらに、アラブ首長国連邦(UAE)企業とエジプト企業による世界有数の規模の陸上風力発電所計画も発表されている(2022年11月18日記事参照)。グリーン水素製造も大きな注目を集める。ノルウェーやUAE、エジプトの企業が協力し、アフリカ初のグリーン水素プラント「エジプトグリーン」を建設中だ(2022年11月16日記事参照)。エジプトは欧州市場向け水素・アンモニアの供給拠点になることを目指している。

(福山豊和)

(エジプト)

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