COP27閉幕、損失と損害に係る途上国支援基金を設立へ

(エジプト、世界)

カイロ発

2022年11月22日

エジプトのシャルム・エル・シェイクで116日から開催されていた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)は1120日、「シャルム・エル・シェイク実行計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」に合意して閉幕した。

COP27の論点の1つとなったのが、気候変動による「損失と損害(Loss and Damage)」に対する補償だ(2022年11月15日記事参照)。「シャルム・エル・シェイク実行計画」には、気候変動の悪影響に対して脆弱(ぜいじゃく)な途上国を支援するための基金の設立が盛り込まれた。基金の運用については、2023年のCOP28などにおいて検討、採択されるとしている。議長国のエジプト政府は基金設立について、初めてCOPの議題の中心となった損失と損害に関する資金調達に進展があったことはCOP27の成功の中でも極めて重要な歴史的な決定だとして成果を強調している。COP27議長を務めるエジプトのサーメハ・シュクリ外相は、閉会式において「アフリカで実施されたこのCOPは、この基金を設立する場としてふさしい」と述べた。

また、同計画には、2021年のCOP26で採択された「グラスゴー気候合意PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の内容(2021年11月16日記事参照)があらためて明記されている。世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑えるためには、さらなる努力の追求と、2030年までに世界の温室効果ガス排出量を2019年比で43%削減することが必要とした。さらに、クリーンエネルギーによる発電やエネルギー効率化を促進し、石炭火力発電の段階的削減、化石燃料補助金の段階的廃止に向けた取組みを加速することが盛り込まれた。

シュクリ外相は閉会式で、「会議でなされた決定は、ネットゼロと(気候変動への)強靭性に向けて前進するための入り口に等しい」とし、将来のために各国がCOP27でのすべての勧告と決定を考慮することの重要性を強調した。

写真 COP27ブルーゾーン内の様子(ジェトロ撮影)

COP27ブルーゾーン内の様子(ジェトロ撮影)

(塩川裕子)

(エジプト、世界)

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