カナダと米国の通商閣僚がオンライン会談、カナダのIPEF参加に向け協議継続で合意

(カナダ、米国、メキシコ)

米州課

2022年12月02日

カナダのメアリー・エング国際貿易・輸出振興・中小企業・経済開発相は11月30日、米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表とオンライン会談を行い、両国間の貿易拡大と両国内の包括的な雇用拡大を支援する継続的な取り組みについて協議した。

カナダ国際関係省が掲載した会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、エング大臣は、カナダが米国主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)に参加し、同地域に貢献することに強い関心を持っていることをあらためて表明し、タイ代表とIPEF参加に向けて協議を続けることで同意した。IPEFへの参加については、カナダのメラニー・ジョリー外相が10月31日に米国のアントニー・ブリンケン国務長官との会談後の共同記者会見で明らかにしていた(2022年10月31日記事参照)。

エング大臣はタイ代表とともに、メキシコ政府が自国企業を優遇するかたちでエネルギー政策を変更しているとの懸念をあらためて表明し、この問題に対処するためにメキシコと協力することが重要という点を強調した(2022年7月22日記事参照)。また、十分に機能する紛争解決システムを含めたWTOに基づく多国間貿易システムの重要性も強調した。

このほか、米国がカナダ産針葉樹材に賦課しているアンチダンピング関税(AD)と相殺関税(CVD、2022年8月30日記事参照)を含む2国間貿易に関連するさまざまな問題についても協議を行った。両閣僚は相互関係の強化に向けて、また世界全域、特にインド太平洋地域との関係を強化するために引き続き緊密に協力することで合意したとしている。

なお、米国通商代表部の発表した会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、カナダが提案しているデジタルサービス税(DST)と関連法規(注)について、タイ代表が懸念を表明したことを明らかにしている。

カナダ国際関係省によると、カナダと米国の2国間貿易額(商品・サービス)は、2021年に1兆カナダ・ドル(約100兆円、Cドル、1Cドル=約100円))を超過しており、カナダが米国から輸入する商品は、中国、フランス、日本を合わせた輸入分を上回る。米国の州単位で見ても、ほとんどの州でカナダが最大の貿易相手国となっている。カナダと米国の貿易は、長期にわたる2国間のサプライチェーンの上に成り立っており、2021年には、米国に輸出されたカナダ製品の約79%が米国のサプライチェーンに組み込まれている。

(注)カナダ政府が導入を計画するDSTは、カナダのユーザーのデータやコンテンツ提供などに依拠する特定のデジタルサービス、カナダのユーザーデータの販売などから大企業が得る一定の収入に対し、3%の税率を適用するというもの。米国は米国企業を差別することにもなり得るとして、これまでにも懸念を表明してきた(2021年12月23日記事2022年2月24日記事参照)。

(高山さわ)

(カナダ、米国、メキシコ)

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