ジョリー・カナダ外相、インド太平洋経済枠組み(IPEF)への参加意向を表明

(カナダ、米国)

トロント発

2022年10月31日

カナダ連邦政府のメラニー・ジョリー外相は10月27日、カナダがインド太平洋経済枠組み(IPEF)への参加を模索することを表明した。カナダ訪問中のアントニー・ブリンケン米国務長官と会談後の共同記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで明らかにした。IPEFには、日本、米国、オーストラリア、ブルネイ、フィジー、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの14カ国が参加を表明しており、参加国間でのサプライチェーン強靭(きょうじん)化や脱炭素化に向けた連携強化、デジタル貿易促進や租税回避に向けた国際ルール形成などが想定されている。

ジョリー外相は「カナダと米国は、インド太平洋地域に対する両国の足並みをさらにそろえるべく、『インド太平洋地域に関する加米戦略対話』を初開催することに合意した。また、この地域における経済協力をさらに進めるため、カナダがIPEFへの参加を目指すことを発表できることをうれしく思う」と述べた。

これを受け、ブリンケン国務長官は「米国は、同じ太平洋の国であるカナダのこの枠組みへの参加を支持する。今後数カ月の間に、他のIPEF参加国と緊密に協議し、新規参加を検討するプロセスを構築する。米国が一方的に決定できることではないが、カナダの参加を歓迎する」と述べた。

カナダでは昨今、中国と距離を置き、友好国とのサプライチェーン構築に重きを置く各閣僚の発言が相次いでいる。クリスティア・フリーランド副首相兼財務相は10月11日のワシントンでのイベントで、同盟国や友好国に限定した限定的なサプライチェーンを構築する「フレンドショアリング」(注)の重要性に言及したほか、21日にはカナダの重要鉱物資源アピールなどで訪米したフランソワフィリップ・シャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相が「カナダが望んでいるのは中国からのデカップリングだ」「人は真に同じ価値観を共有できる者と取引をしたがるものだ」と述べている(2022年10月28日記事参照)。

ジョリー外相の発言を受け、日本の経団連に相当するカナダビジネス協議会(BCC)のゴールディ・ハイダー理事長兼最高責任者(CEO)は27日、同協議会は5月にジョー・バイデン米国大統領がIPEFへの参加を発表して以来、カナダの参加を強く支持してきたとして、「カナダのビジネスリーダーは、ジョリー外相が発表したカナダのIPEFへの参加申請を称賛する」とコメントし、「インド太平洋地域に関する加米戦略的対話」の詳細について期待を寄せていることを明らかにした。

(注)同盟国や地域に限定してサプライチェーンを構築すること。米国が対中摩擦の中、敵対国から同盟国へと物資の供給元を切り替えることにより、サプライチェーンの安定化・強化を図ろうとする中で現れた概念。

(飯田洋子)

(カナダ、米国)

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