IMF、ブラジルの2022年のインフレ率予測を6.0%に引き下げ

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年11月04日

IMFは11月2日、「地域経済見通し:西半球地域」を公開し、2022年のブラジルのインフレ率を6.0%と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。10月11日に公開した「世界経済見通し:生活費危機への対処」の見通しでは9.4%となっており、3.4ポイントの引き下げとなる。ブラジル中央銀行が設定する2022年のインフレ目標は3.5%で、許容範囲は上下1.5ポイントであることから、上限値(5.0%)をやや超過する見通しだ(注1)。

前回調査から下方修正した背景として、IMFは、インフレ圧力が高まる中、ブラジル中銀が政策金利(Selic)を13.75%まで引き上げた措置(2022年8月8日2022年10月5日記事参照)を考慮したと、同レポートの中で明らかにしている。Selicは2022年1月時点で9.25%だった。また、国内のエネルギー価格を下げるための政府の措置もその要因として取り上げている。ガソリンやエタノール、ディーゼルなどの燃料、天然ガス、電力、通信、公共交通機関に課している商品流通サービス税(ICMS)の税率上限を17%もしくは18%とするブラジル憲法の補完法案18号/2022が裁可されたこと(2022年6月30日記事参照)などにより、ブラジルの代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)の上昇率が7月、8月、9月の3カ月連続でマイナスとなっていることを指しているとみられる(2022年8月18日記事2022年9月26日記事2022年10月21日記事参照)。経済省傘下の応用経済研究所(IPEA)が10月13日付で発表した「所得層別のインフレ」によると、この3カ月はほぼ全ての所得階層で見た場合の拡大消費者物価指数(IPCA)の上昇率は前月比でマイナスになっている(注2)。

(注1)最新(10月28日付)の中銀フォーカスが発表したインフレ見通しは5.61%。フォーカスは、中銀が国内100機関以上の金融機関を対象に行った予測をアンケートでまとめたもの。毎週金曜日の集計を基に平均値を算出し、翌週の月曜日に公表される。

(注2)9月のインフレ率は高所得者層〔月額1万7,260.14レアル(約49万8,818円、1レアル=約28.9円)〕のみ、前月比0.08%のインフレとなっている。

(古木勇生)

(ブラジル)

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