8月のインフレ率は前月比マイナス0.36%、2カ月連続で低下

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年09月26日

ブラジル地理統計院(IBGE)は9月9日、代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)の8月の上昇率を前月比マイナス0.36%と発表した(添付資料表参照、注1)。2カ月連続でインフレ率が低下している。

前月比の上昇率を費目別にみると、9項目中2項目がマイナスだった。交通・運輸はマイナス3.37%、通信もマイナス1.10%となった。寄与度でみても、交通・運輸は0.72ポイント減、通信も0.06ポイント減少し、同2項目が押し下げ要因となった。

IBGEは、7月に引き続き、交通・運輸では燃料価格の低下(10.82%下落)が押し下げの主因となっており、中でもガソリン価格の下落はIPCAを構成する377品目の中で最も押し下げに寄与した(0.67%ポイント減)と説明した。また、通信では、携帯電話料金(6.71%減)および固定電話料金(2.67%減)が押し下げ要因となった(注2)。

上昇率がプラスとなった7項目のうち、衣類が最も上昇率が高く(1.69%)、次いで保健・個人衛生品(1.31%)だった。保健・個人衛生品では、個人衛生品(2.71%)や医療保険料金(1.13%)が押し上げ要因だった。IBGEによると、医療保険料金については、2022年5月に国民健康保険庁(ANS)が許可した保険料金の引き上げが影響している(注3)。

ブラジル中央銀行が9月19日に公開した、週次経済レポート「フォーカス」によると、2022年のインフレ率の予測値は6.00%。1カ月前の同予測値(6.82%)から0.82ポイント低下した。また、2023年の上昇率予測は、前月と比較して5.01%へと0.32ポイント下方修正された(注4)。

(注1)2022年1~8月累計では4.39%、直近12カ月で8.73%の上昇率。

(注2)6月23日に施行された憲法補完法194号/2022を踏まえ、通信事業に関する商品サービス流通税(ICMS)を削減したことが影響している(2022年6月30日記事参照)。

(注3)ANSの公式サイトによれば、2022年5月、15.5%を上限とする医療保険料金の引き上げが許可された。引き上げは契約締結月に行わなければならないため、5月以降も引き上げの影響がみられる。

(注4)中銀の週次レポート「フォーカス」は、中銀がブラジル国内100機関以上の金融機関を対象に行ったアンケート結果をまとめたもの。毎週金曜日の集計を基に平均値を算出し、翌週の月曜日に公表される。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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