商品流通サービス税(ICMS)の税率に上限を設定、ボルソナーロ大統領が法案を裁可

(ブラジル、ロシア、ウクライナ)

サンパウロ発

2022年06月30日

ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領は6月23日、ガソリンやエタノール、ディーゼルなどの燃料、天然ガス、電力、通信、公共交通機関に課せられている商品流通サービス税(ICMS)の税率上限を17%もしくは18%とする、ブラジル憲法の補完法案18号/2022を裁可した。憲法補完法194号/2022として即日施行した(注)。州税である商品流通サービス税の税率に上限を設けることから、各州政府の税収減が懸念される。

6月23日付の現地紙「グローボ」によれば、例えばガソリンの場合、各州で約23%から34%の商品流通サービス税が課されている。そのため、大統領に裁可が付託された法案の段階では、商品流通サービス税を17%もしくは18%と規定することで各州が失う税収について、「連邦政府がこれを補う」旨の条項を含めていた。ただ、ボルソナーロ大統領は「財政不均衡につながりかねない」ことや、「過去2年間で財政状況が改善した自治体もある」ことなどを踏まえ、一律に全州の税収不足を補うことについては拒否権を行使し、「債務を抱えている州に限定する」などの内容にした上で、裁可した。

現在ブラジルでは、ロシアのウクライナ侵攻などの影響で燃料価格が高騰し(2022年5月20日記事参照2022年6月27日記事参照)、国民生活を直撃していることから、この度の法案裁可は、燃料価格を抑えるための1つの対応策になり得る。

一方、6月14日付の現地紙「グローボ」は、マッケンジー大学の経済研究機関である自由経済センターのウラジミール・フェルナンデス・マシエル氏のコメントとして、商品流通サービス税は州ごとに税率が異なるため、インパクトの大小に差異がある点を指摘している。

写真 サンパウロ市内、ペトロブラスのガソリンスタンドの価格表(6月24日、ジェトロ撮影)

サンパウロ市内、ペトロブラスのガソリンスタンドの価格表(6月24日、ジェトロ撮影)

写真 サンパウロ市内、シェルのガソリンスタンドの価格表(6月24日、ジェトロ撮影)

サンパウロ市内、シェルのガソリンスタンドの価格表(6月24日、ジェトロ撮影)

(注)6月28日現在、サンパウロ州やゴイアス州は憲法補完法194号/2022を受け入れる方向性だが、一部の州知事は連邦最高裁判所(STF)に対し、「自治体の権限をないがしろにする」として憲法補完法194号/2022を見直すことを求めている。また、ブラジルでは、大統領による部分的な(条項ごとの)拒否権の行使が認められており、拒否された条項が削除されたかたちで法律を施行させることが可能。ただし、30日以内に連邦議会が再審議し、上下両院の過半数で合意すれば、大統領による拒否権を覆すことができる。

(古木勇生)

(ブラジル、ロシア、ウクライナ)

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