9月のインフレ率は前月比マイナス0.29%、3カ月連続で下落

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年10月21日

ブラジル地理統計院(IBGE)は1011日、代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)について、9月の上昇率を前月比マイナス0.29%と発表した(添付資料表参照、注1)。3カ月連続でマイナスを記録した。9月単月では、IBGEが月ごとのインフレ率を1980年に取り始めて以降、最大の下落幅となった。

前月比の上昇率を費目別にみると、9項目中4項目がマイナスだった。最も減少幅が大きかったのは通信で2.08%減少した。続いて、交通・運輸は1.98%減少、飲食料品は0.51%減少、家庭用品は0.13%減少した。寄与度でみると、交通・運輸はマイナス0.41ポイント、通信はマイナス0.11ポイント、飲食料品はマイナス0.11ポイント、家庭用品はマイナス0.01ポイントで、同4項目が押し下げ要因となった。

IBGEのペドロ・キスラノフ拡大消費者物価指数(IPCA)部長は減少の要因として、「燃料、特にガソリンの影響が大きい。ガソリン価格は8.33%減少した。その背景には、92日に国営石油会社ペトロブラスから(ガソリンの)ディストリビューターへの販売価格が1リットル当たり0.25レアル(約7円、1レアル=約28円)引き下げられたことがある」と述べた。交通・運輸は寄与度で0.41ポイント減少と9月で最も大きな押し下げ要因となっており、ここにガソリン価格の下落が含まれ、9月のインフレ率を最も押し下げることに寄与した。

食品・飲料は、202111月以来初めてのマイナスとなった。ロングライフ牛乳(注2)の価格が13.71%下落したことが主因だ。「適度な雨量により牛乳の供給が増加し、価格も引き下げられた」とキスラノフ部長は説明している(注3)。大豆油もマイナス(6.27%減)となった。キスラノフ部長によれば、「大豆の国際価格は6月以降低下している」ことが要因。

上昇率がプラスとなった5項目のうち、衣類が最も上昇率が高く(1.77%)、次いで個人的支出(0.95%)、住居関連(0.60%)だった。住居関連に関しては、ビトリア市(エスピリトサント州)、ベレン市(パラー州)、サンルイス市(マラニョン州)などで、家庭用電気料金を引き上げた自治体があり、それが押し上げ要因となった、とキスラノフ部長は説明している。

(注1202219月累計では4.09%、直近12カ月で7.17%の上昇率。

(注2Leite Longa Vidaと呼ばれる。超高温殺菌製法で製造され、未開封の状態で長期間、常温保存が可能な牛乳。

(注3)サンパウロ大学応用経済研究所(CEPEA-USP)の公式サイト(2022830日付)によれば、9月以降に、適した雨量が牧草地を増加させ、牧草地を餌とする牛乳の生産も上昇すると予想した。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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