中銀、金利据え置き理由を説明、物価水準は依然高水準と評価
(ブラジル)
サンパウロ発
2022年10月05日
ブラジル中央銀行は9月27日、政策金利(Selic)を13.75%に維持した理由と、国内外を取り巻く環境の見通しについての議事録を公開した。中銀は同21日の第249回金融政策委員会(Copom)でSelicを13.75%に維持することを決定していた。
議事録によると、外部環境では、中国の経済成長予測が下方修正されていることや、同国が維持している「ゼロコロナ政策」、ロシアによるウクライナ侵攻の継続、ロシアから欧州への天然ガス供給状況などが次の四半期に世界経済成長を減速させる見通しがあると述べている。
内部環境では、国内の第2四半期(4~6月)GDP成長率が消費と投資に牽引され、予想を上回る結果になったと評価した(添付資料表参照)。国内の正規雇用者数は増加している(注1)。拡大消費者物価指数(IPCA)は、一部税金の削減と国際燃料価格の低下で下落傾向にあるものの、依然として高い水準にあるともしている(2022年9月26日記事参照)。
その上で、国内のインフレに影響を及ぼす要因として次のような点を挙げている。
- 世界的なインフレ圧力の継続
- 国家財政の先行きが不透明な中、(現金給付策などの)景気刺激策の実行
- 国内の労働市場の改善(注2)
- 国際コモディティー価格の下落(注3)
- 世界経済の減速が予想以上に顕著になること
- 政府による一時的な(関税や燃料価格などへの)税削減が2023年も維持されること
9月23日に更新された中銀フォーカス(注4)によると、2022年の政策金利は13.75%。2023年には11.25%、2024年には8%との見通し。次回Copomは10月25、26日に予定されている。
(注1)政府の正規雇用統計(CAGED)によると、2022年1~8月の正規雇用者数は毎月増加し続け、8月時点で4,253万1,653人となっている(前年同月比245万5,662人増)
(注2)中銀は需給ギャップの計算に正規雇用者数のほか、GDP成長率、設備稼働率、失業率を使用しており、インフレ予測などに活用している。
(注3)中銀は国際コモディティー価格をドルベースではなくレアルベースでみた場合に国際コモディティー価格が下落し、インフレを押し下げる要因になると分析しているとみられる。
(注4)中銀がブラジル国内100機関以上の金融機関を対象に行った予測をアンケートでまとめたもの。毎週金曜日の集計を基に平均値を算出し、翌週の月曜日に公表される。
(古木勇生)
(ブラジル)
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