中銀が政策金利を13.75%に引き上げ、2016年12月以来の高水準

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年08月08日

ブラジルの金融政策委員会(Copom)が83日に開催され、全会一致で政策金利(Selic)をこれまでの13.25%から0.5ポイント引き上げ、13.75%にすることを決定した。これは、201612月に記録した13.75%と同水準で、引き上げは12会合連続となる。

今回の引き上げについて、中央銀行は「今後のシナリオは、インフレを含めて見通しが難しく、2023年と2024年まで含めた時間軸でインフレを収束させていく戦略に沿ったものだ。物価安定という基本的な目的を損なうことなく、円滑な経済活動を導いて雇用を生み出すための決定」と説明した。

ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2022年のインフレ上昇率(累計)の予想は6月時点で5.49%(2022年7月22日記事参照)。729日付の中銀フォーカス(注)が発表した代表的な物価指数の拡大消費者物価指数(IPCA)の見通しは、2022年が7.15%となっている。中銀が設定する年間の目標値は3.5%(上限許容幅1.5%)。6月の時点で既に目標値を大きく上回っているだけでなく、中銀の見通しでも目標値を上回る。

全国工業連盟(CNI)のホブソン・アンドラーデ会長は83日付の公式サイトで「202112月以降の実質金利は今後数カ月でインフレを抑制するために十分な水準を超えており、経済活動にブレーキをかけネガティブな効果をもたらす」と批判した。

次回のCopom92021日に予定されている。さらなる利上げについては「国内外の情勢を踏まえて必要性の有無を検討する」と説明している。

(注)フォーカスは、中銀がブラジル国内100機関以上の金融機関を対象に行った予測をアンケートでまとめたもの。毎週金曜日の集計を基に平均値を算出し、翌週の月曜日に公表される。

(古木勇生)

(ブラジル)

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