第3四半期の実質GDP成長率は3.9%、新型コロナの国内感染拡大が消費や雇用に影響

(中国)

北京発

2022年10月25日

中国の国家統計局は1024日、202219月および9月の主要経済指標を発表した(添付表参照、注1)。19月のGDPの前年同期比の実質成長率は3.0%、第3四半期(79月)の同成長率は3.9%となり、四半期ベースでは上海市などにおける新型コロナウイルス感染拡大と封鎖の影響を大きく受けた前期(46月)の0.4%から回復した(注2)。19月および9月の主要経済指標の発表は本来1018日に予定されていたが、直前に急きょ延期されていた。

国家統計局は、新型コロナウイルス防止抑制と経済社会の発展を効果的に両立させ、経済安定化のための一連の政策およびそれに続く措置(注3)の実施を加速したことにより、経済は下押し圧力に耐えて持続的な回復を遂げ、第3四半期の実績は第2四半期より顕著に改善したと評価した。

各指標をみると、19月の投資(固定資産投資)は前年同期比5.9%増(18月:5.8%増)と、伸びが若干加速した。うちインフラ投資は8.6%増(8.3%増)と5カ月連続で加速し、製造業投資も10.1%増と前月より伸びが0.1ポイント加速した。一方、民間投資は2.0%増(2.3%増)と減速傾向が続いた。

19月の不動産開発投資は、前年同期比8.0%減(7.4%減)と引き続き減少幅が拡大した。中国当局は9月末に、住宅販売の回復を図る政策を相次いで打ち出した(注4)が、19月の住宅販売額は28.6%減と、18月(30.3%減)からは若干減少幅が縮小したものの、依然として前年同期比で大幅なマイナスとなっている。

19月の消費(社会消費品小売総額)は前年同期比0.7%増となり、18月から伸びが加速した。他方で、9月の前年同月比伸び率は2.5%と、大幅に上昇した8月(5.4%)から再び減速に転じた(注5)。飲食の消費が前年同月比マイナスに転じたほか、家電、家具、建築材料など不動産に関連する財の消費が軒並みマイナスとなった。

19月の工業生産増加額(付加価値ベース)は、前年同期比3.9%増と前月(3.6%増)から加速した。9月単月では前年同月比6.3%増(8月は4.2%増)となり、伸びが2.1ポイント加速した。同月の自動車製造業が23.7%増と好調だった。

19月の消費者物価上昇率は2.0%となった。9月単月では2.8%で、8月(2.5%)から0.3ポイント上昇した。

9月末の都市部調査失業率は、前月比0.2ポイント上昇し5.5%となった(注6)。7月に過去最高を記録した1624歳の調査失業率は、前月比0.8ポイント低下して17.9%だった。

(注120229月の貿易動向については2022年10月25日記事参照

(注2)国家統計局の解説によると、202219月の実質GDP成長率に対する需要項目別寄与度は消費が1.2ポイント、外需(純輸出)が1.0ポイント、投資が0.8ポイントとなっている。

(注3)国務院は824日に開催した常務会議において、5月に発表した経済安定化のための政策(2022年6月2日記事参照)に続く措置を打ち出している(2022年9月9日記事参照)。

(注4)中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会は929日、「差別化された住宅貸付政策の段階的調整に関する通知」を発表し、1件目の個人向け住宅ローン金利の下限引き下げを可能とした(2022年10月12日記事参照)。このほか、人民銀行は1件目の住宅購入時の住宅積立金貸出金利の引き下げ(2022年10月12記事参照)を、財政部と国家税務総局は住宅買い替え支援に関する個人所得税還付(2022年10月12日記事参照)を打ち出している。

(注5)国家統計局は、2022年に入って以降、各月の消費の伸びの変動が大きくなっている点について、新型コロナウイルスの各地での局所的感染拡大との関連を指摘している。

(注6)国家統計局は、出稼ぎ労働者などの外来農業戸籍失業率が前月比で上昇したことを指摘しつつ、9月の都市部調査失業率の上昇は、同月に国内各地で発生した新型コロナ感染拡大が影響したと解説している。

(小宮昇平)

(中国)

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