9月の貿易、先進国向けの不振で輸出の伸びが鈍化

(中国)

北京発

2022年10月25日

中国海関総署の20221024日の発表によると、20229月の貿易総額は前年同月比3.4%増の5,608億ドル、うち輸出額は5.7%増の3,228億ドル、輸入額は0.3%増の2,380億ドルとなった(注1)。8月と比べると、輸出の伸びが鈍化した一方、輸入の伸びは横ばいだった。また、9月の貿易貨物輸送量は前年同月比0.1%増、うち輸出は2.6%増、輸入は1.3%減だった。なお、9月の貿易統計(速報値)の発表は当初1014日に予定されていたものの、同日には発表されなかった。このため、今回は速報値と国・地域別などの詳細な数値が同時に発表されるかたちとなった。

9月の貿易額を中国の主要な貿易パートナーについてみると、輸出では、最大の相手先であるASEAN向けが前年同月比で3割増となった一方、2位の米国向けは2桁減となり、3位のEU5位の日本向けも前月から伸びが減速した。輸入では、ASEANを除く主要国・地域が軒並み減少した(添付資料表参照)。

9月の貿易額を主要品目別にみると、輸出では、引き続き自動車が好調だった(注2)一方、家電やパソコンの輸出額の伸びは前年同月比マイナスだった。輸入では、原油・天然ガスの輸入額が、数量は減少したものの、単価の上昇によって2桁増となった。一方、化粧品類や工作機械の輸入額が2桁減となっている。

光大銀行金融市場部の周茂華マクロ研究員は、一部の国際的な商品価格の高止まりや国内の不動産業界などが回復の途上にあることが輸入需要の弱さにつながっていると分析している(「21世紀経済報道」1025日)。

(注19月の貿易を人民元建てでみると、貿易総額が前年同月比8.3%増、輸出額が10.7%増、輸入額が5.2%増となった。

(注2)中国汽車工業協会の発表によると、202219月の自動車輸出台数は前年同期比55.5%増の2117,000台、9月の輸出台数は301,000台で前月比で2.6%減となったものの、前年同月比では73.9%の大幅増となっている。

(小宮昇平)

(中国)

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