中国、住宅買い替えにかかる個人所得税を還付

(中国)

北京発

2022年10月12日

中国の財政部と国家税務総局は930日、「住宅買い替え支援にかかる個人所得税政策に関する公告」(財政部、税務総局公告2022年第30号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

現在居住している自己所有の住宅を売却し、1年以内に新たに住宅を購入する場合、売却価格について納付した個人所得税を還付する。新たに購入した住宅価格が売却価格以上となる場合、全額還付する。売却価格を下回る場合、購入価格が売却価格に占める割合に応じて還付する。

売却価格は市場での取引金額、購入価格は納税者が住宅・都市農村建設部門に登録した住宅購入契約に記載された価格を基準とする。実施期間は2022101日から20231231日まで。

還付を受ける条件として、(1)売却、購入する住宅が同一都市内(注)であること、(2)納税者と新たに購入する住宅の間に直接関係があり、住宅の権利者もしくはその1人であることをともに満たす必要がある。

中国の住宅販売額は2022年に入り一貫して前年同期比で減少しており、18月は30.3%減となっている。中国政府は住宅市場のテコ入れのため、ローンプライムレート引き下げをはじめ(2022年8月22日記事参照)各種の政策を講じている。

広東省規画院住宅政策研究センターの李宇嘉・首席研究員は「今回の措置は全ての都市に適用され、強い効果を持つ。市場の見通しを好転させる効果がある」とした。一方で、今回の措置のみでは需要の回復には不十分であり、「これまで発表された他の措置と組み合わせることで、目に見える効果を発揮するだろう」としている(「証券時報」930日)。

(注)同一の直轄市、副省級市、地級市(省・自治区レベルの下位レベルの行政単位)が管轄する行政範囲。副省級市は広東省広州市、湖北省武漢市、遼寧省瀋陽市などで、通常の地級市とは扱いが異なる。

(河野円洋)

(中国)

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