中銀、外資35%以下の企業を強制両替の対象と通知

(ミャンマー)

アジア大洋州課

2022年07月20日

ミャンマー中央銀行は715日、外国為替取引の公認ディーラーの銀行に対し、外国資本比率が35%以下の企業が有する外貨を718日午後6時までに現地通貨チャットに両替するよう通知した。2018年に施行された新会社法上、外国資本35%以下の企業はミャンマー企業(内資企業)として扱われる。今回の措置は、同法上のミャンマー企業を強制両替の対象にしたかたちだ。

中銀は67日、外国資本比率10%以上の企業を強制両替義務の免除対象とすると発言していたが(2022年6月24日記事参照)、713日にこれを撤回すると通知したばかりだ。この撤回により、多くの日系企業が再び強制両替の対象になると懸念された。しかし、今回(715日)の通知で強制両替の対象となった「外国資本35%以下の企業」に該当する日系企業はそれほど多くないとみられる。ただ、ミャンマーの外貨不足が劇的に改善することは当面ないと考えられるため、今後、強制両替の対象が拡がる可能性は残されている。

また、中銀は713日、国外からの借り入れに対する元金の返済と利息の支払いに関する送金は一時停止中のため、国外の貸し手と返済スケジュールについて交渉するよう通知している。

ミャンマーでは、新型コロナウイルスの影響による観光客の減少や出稼ぎ労働者からの送金減少に加え、20212月に国軍が全権を掌握して以降、諸外国や国際機関の援助停止、外国企業による新規投資の低迷により、国内の外貨が不足している。それに対応するため、外貨からチャットへの両替義務付け(2022年4月6日記事参照)や輸出代金の早期入金義務付け(2022年5月11日記事参照)、国内取引でのチャットの使用義務付け(2022年5月30日記事参照)などの各種金融規制措置を取っている。また、輸入時の輸入ライセンス取得を義務付ける規制(2022年4月4日記事参照)や輸入ライセンスの有効期間短縮(2022年6月30日記事参照)なども行っており、実質的に輸入をコントロールして外貨の流出を抑制する措置を取っている。

(アジア大洋州課)

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