アジア大洋州で新型コロナ感染再拡大、規制厳格化の動きは限定的

(ASEAN、オセアニア)

アジア大洋州課

2022年07月20日

ジェトロがアジア大洋州地域の新型コロナウイルスに関する直近の主な動向をまとめたところ、複数の国で6月半ばごろから感染の再拡大がみられるが(添付資料参照)、感染対策を強化する動きは、確認したところインドネシアなどに限定されている。

一方、水際措置の緩和は引き続き進んでいる。タイ政府は、71日から入国申請システム「タイランド・パス」を廃止し、入国制限を緩和した。オーストラリア連邦政府は、76日から全ての出入国者に対して、ワクチン接種要件を廃止した。シンガポール政府は、国内における感染再拡大の状況に対して、今のところ新たな対策を取る考えがないことを示しつつ、状況の推移を注視すると述べた。出張の準備に当たっては、今後の各国の発表や運用を注視することが必要だ。

主要国の動向は以下のとおり。

〇インドネシア

インドネシアの新型コロナウイルス対応タスクフォースは78日、同月17日から国内移動時の要件を厳格化すると発表した。州・県・市など地域をまたぐ移動をする場合、これまで規定回数(通常は2回)のワクチン接種が完了している旅行者は、新型コロナウイルス検査の陰性証明書の提出が不要だったが、今回の要件変更により、免除対象がワクチンの追加接種(ブースター接種)が完了している旅行者に限定される。飛行機や鉄道を含む公共交通機関または自家用車での移動が対象となる(2022年7月14日記事参照)。

〇シンガポール

シンガポール保健省は627日、国内で新型コロナウイルスの感染者が再び増加しているものの、当面感染防止対策を再強化しない方針を示した。同省は、今後の感染状況を注視し、必要であれば感染防止対策を引き締める可能性を否定しないとも述べた(2022年6月29日記事参照)。

〇タイ

タイ政府の新型コロナウイルス状況管理センター(CCSA)は623日、マスク着用義務や移民労働者の国内の移動制限の緩和などに関する官報を公示した(同日付で発効)(2022年6月28日記事参照)。また同日、71日以降、入国申請システム「タイランド・パス」を廃止することや医療保険への加入義務を不要とすることなどが盛り込まれた入国規制に関する官報も公示した(2022年6月29日記事参照)。

〇オーストラリア

オーストラリア連邦政府は、76日以降、オーストラリアに入出国する全ての渡航者を対象として、新型コロナウイルスのワクチン接種要件を廃止した。入国後の行動制限については、各州・準州政府の規制に従う必要がある。また、オーストラリア行きの飛行機内では引き続きマスクの着用が必要だ(2022年7月8日記事参照)。

〇ミャンマー

ミャンマー保健省は、615日付の通達で入国に必要な条件を改定した。到着14日前までに保健省が指定する新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した者は、これまで入国時に必要だった到着前48時間以内に取得したPCR検査による陰性証明書が不要となった。入国時には、ワクチン接種証明書、国営保険会社Myanmar Insuranceの医療保険加入書類、入国ビザが必要となる。到着時に迅速抗原検査を受ける(2022年6月29日記事参照)。

なお、各国の感染状況、現地の行動制限、空港の再開状況、経済活動の制限などについては、アジア・オセアニアにおける新型コロナウイルス対応状況でもまとめている。

(糸川更恵)

(ASEAN、オセアニア)

ビジネス短信 a3ab0af546dc50f7