シンガポールで感染者再増加も、感染防止対策は当面引き締めず

(シンガポール)

シンガポール発

2022年06月29日

シンガポール保健省は6月27日、国内で新型コロナウイルスの感染者が再び増加しているが、当面、感染防止対策を再強化しない方針を明らかにした。同国では4月26日以降、感染対策を大幅に緩和し、屋内のマスク着用義務を除き、ほぼ新型コロナウイルス流行前の状況にある(2022年4月26日記事参照)。

同国で6月27日に新規に確認された感染者は5,309人(うち、464人が海外からの渡航者)だった。前週比の感染者数の増加率を示す実効再生産数は6月14日以降、感染が拡大していることを示す「1」を上回る状況が続いている。保健省によると、国内で過去1週間にオミクロン株の派生型である「BA.4」と「BA.5」に感染している割合は、新型コロナウイルス感染者のうち約45%と、その前の週の30%と比較して拡大している。しかし、同省は、BA.4とBA.5の派生株の感染症状について、国内外のデータから、その前に流行していたオミクロン株の派生株と比べると軽症だと指摘した。同省によると、国内で過去28日間に確認された感染者の99.8%が無症状または軽症だ。同省は当面、感染防止対策を再強化しないものの、感染状況を注視しており、必要であれば感染防止対策を引き締める可能性を否定しないとも述べた。

7月に全世帯に抗原テスト・キット配付へ

また、保健省は7月16日から、国内全世帯を対象に1世帯当たり10個の抗原テスト・キットを郵便で配布する。市民が自主的に検査をする体制を支えていく構えだ。同省が全世帯を対象とした抗原テスト・キットを配布するのは、今回で3回目となる。

なお、同国では4月8日から80歳以上を対象に新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種を開始し、6月10日には対象年齢を50歳まで引き下げた。保健省は4回目接種について、全ての人には接種を求めない考えを示している。ただし、(1)80歳以上の高齢者、(2)介護施設の入所者、(3)18歳以上で感染した場合に重症化する恐れのある人、のいずれかで、3回目の接種から5カ月を経た人については、4回目の追加接種を強く推奨している。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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