バイデン米大統領、NATO結束を強調、中ロを名指しで批判

(米国、中国、ロシア、EU、英国、スペイン、フィンランド、スウェーデン)

ニューヨーク発

2022年07月01日

米国のジョー・バイデン大統領は6月30日、スペインで開催されたNATO首脳会議の終了後に記者会見を開き、今回の訪欧の成果を強調した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。会見では、ロシアを直接的な「脅威」、中国を「構造的な挑戦」と名指しで批判し、NATOとインド太平洋の同盟国との結束を強調した(注)。

バイデン大統領はドイツでのG7首脳会合(2022年6月30日記事参照)とスペインでのNATO首脳会合に参加することを主な目的に、6月25~30日に訪欧していた。期間中にはそのほか、日米韓首脳会談(2022年6月30日記事参照)や、米トルコ首脳会談(2022年6月30日記事参照)も行っている。訪欧の締めくくりとなったNATO首脳会議についてバイデン大統領は、新規加盟を申請していたフィンランドとスウェーデンの加盟が進展したことなどをもって「歴史的なNATO首脳会議になった」と評価した(2022年6月29日記事参照)。また、ロシアによるウクライナ侵攻を取り上げ、「開戦前に私はプーチン氏に、ウクライナを侵攻すれば、NATOは強化されるのみならず一層結束する。世界の民主主義国家が立ち上がり、彼の侵略に反対し、ルールに基づく秩序を守るのを見ることになるだろう」と伝えた。それは「われわれが今日まさに目にしていること」と強調した。

バイデン大統領はさらに、12年ぶりに改定されたNATOの戦略概念外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに触れ、前回はロシアはパートナーと表記され、中国については一切言及がなかったが、世界は変わったとして「今回の首脳会議でわれわれは、ロシアが欧州にもたらす直接的な脅威と、中国がルールに基づく世界秩序にもたらす構造的挑戦に対処するために同盟各国を結集させた」とした。具体的な取り組みとして、NATO加盟国による防衛費増額や、欧州での米国の軍備増強、ウクライナに対する支援強化などを進めているとした。中国の挑戦に対抗するという文脈では、G7首脳会談で発表した「グローバルインフラ投資パートナーシップ(PGII)」(2022年6月28日記事参照)に基づき、数年以内に発展途上国のインフラ整備に6,000億ドルを拠出していくとした。

(注)今回のNATO首脳会合には、NATO加盟国30カ国に加えて、主要パートナー国・機関として日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、スウェーデン、フィンランド、ジョージア、EUの首脳などが出席した。日本からは岸田文雄首相が出席。

(磯部真一)

(米国、中国、ロシア、EU、英国、スペイン、フィンランド、スウェーデン)

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