スウェーデンとフィンランド、NATO加盟に向け進展、トルコとの覚書に合意

(スウェーデン、フィンランド、トルコ)

ロンドン発

2022年06月29日

スウェーデンのマグダレーナ・アンデション首相、フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は6月28日、同日から30日までNATO首脳会合が行われているマドリードで、イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長とともに会談した(NATOの同日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。3者はスウェーデン、フィンランドのNATO加盟に関連して、覚書に合意した。両国の加盟申請に当たり、エルドアン大統領はトルコ政府と対立する国内のクルド分離主義組織「クルディスタン労働者党(PKK)」を両国が支援しているとして難色を示していた(2022年5月17日記事参照)。

ストルテンベルグ事務総長は会談後の同日の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、今回の覚書はトルコの懸念に対応するもので、武器輸出やテロリズムへの対処に関する内容が盛り込まれたと説明した。スウェーデンとフィンランドがトルコの国家安全保障の脅威への対処を支援することを約束したほか、PKKの活動に対して厳しい処置をとり、トルコとの間で引き渡し協定を締結するとした。これらを踏まえ、トルコも両国のNATO加盟を支援することに合意したと説明した。ストルテンベルグ事務総長は、29日に両国がNATOに加盟するための決議を行い、その後、各国での批准手続きに移るとしている。

これに先だつ6月27日には、スウェーデンのアンデション首相がストルテンベルグNATO事務総長と会談。会談後の記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでアンデション首相はPKKに関し、テロ組織とみなしているとはっきりと述べた。また、トルコ側が求める引き渡しに関しては、欧州犯罪人引き渡し条約に従い、スウェーデンの法制度の下で迅速かつ慎重に扱うとしていた。

(山田恭之、篠崎美佐)

(スウェーデン、フィンランド、トルコ)

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