中東・アフリカ地域の新規陸上風力発電容量が大幅増、世界風力会議が報告書

(アフリカ、中東、南アフリカ共和国、エジプト、世界)

中東アフリカ課

2022年04月21日

風力発電に関する国際業界団体の世界風力会議(GWEC)は4月4日、「グローバル風力レポート2022PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。同報告書によると、2021年の世界の風力発電の累計総容量は前年比12.3%増の837ギガワット(GW)で、新規風力発電容量は前年比1.8%減の93.6GWだった。そのうち、陸上の新規風力発電容量については全体では18%減だったが、中東・アフリカ地域では2.2倍と過去最高の伸びを記録した。同報告書は、2022年から2026年までの5年間で世界の風力発電の新規容量は557GWになると予測するが、中東・アフリカ地域が14GWを占め、うち南アフリカ共和国が5.4GW、エジプトが2.2GW、モロッコが1.8GW、サウジアラビアが1.3GWの成長見込みだ。

国別にみると、南アでは、約3GWの風力発電容量が送電網に接続されており、設置容量でアフリカ最大の風力発電市場だとしている。同報告書は、南ア政府が2011年に発表した「再生可能エネルギー独立電力事業者入札プログラム(REIPPPP)」による成果を挙げ、これまでに46の風力発電プロジェクトが落札されている点を評価している(注)。同報告書は、南アでは脱炭素化に向け、2030年までに電力における再生エネルギーの割合が35~40%になると予測されるが、これには約20GWのさらなる再エネ設備が必要なことに触れた上で、同年までに石炭と再エネによる電源比率をそれぞれ約4割にすることなどを定めた「電力統合資源計画(IRP)」(2019年10月29日記事参照)などの実践のほか、再エネへの移行を妨げ得る各種規制の変更や、安定した風力パイプラインの供給が求められるとしている。

2022年の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)の開催国エジプト(2021年11月22日記事参照)については、東西ナイル地域で31GW 以上、排他的経済水域(EEZ)で166GWの発電容量を確保できる点を挙げるなど、風力発電の潜在性の高さを評価する。エジプトでは2019年現在、発電量の約9割が天然ガスと石油に由来しているが、人口増加や経済自由化、国外直接投資(FDI)などが電力需要を増大させるほか、再エネへの国民の関心も高い点を挙げる。そうした中、2035年までに電源構成の再エネ割合を42%(うち風力は14%)にするという同国政府の目標に言及した上で、豊田通商も参画するIPP(独立系発電事業者)事業(2020年2月14日付地域・分析レポート参照)やシーメンス・エナジーとエジプト電力公社(EEHC)間の覚書などを紹介しつつ、今後は民間企業の力が重要との見解を示した。

(注)南アの鉱物資源エネルギー省は4月6日から6回目の入札公募を行っている(2022年4月19日記事参照)。同省は2022年からの3年間で6.8GWの再エネによる新規電力公共調達を指針として掲げている(2020年10月2日記事参照)。

(梶原大夢)

(アフリカ、中東、南アフリカ共和国、エジプト、世界)

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