約1万1,800MWの電力公共調達計画を発表、半分強が再生可能エネルギー

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年10月02日

南アフリカ共和国の鉱物資源エネルギー省は9月25日付の官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、新規の電力公共調達計画を発表した。この計画は、2月にシリル・ラマポーザ大統領が施政方針演説(SONA、2020年2月21日記事参照)で、電力供給の安定化を図るために新規の電力プロジェクトを募ると発表したことに基づいて具体化したものだ。南ア政府は2019年10月に、2030年までのエネルギー政策を定めた電力統合資源計画(IRP、2019年10月29日記事参照)を発表し、現在最大の電源である石炭火力の割合を下げ、再生可能エネルギーの比率を拡大させていくとの指針を示しており、今回の発表もこの指針に即したものとなった。合計約1万1,800メガワット(MW)の新規の電力公共調達の主な内訳は以下のとおり。

  • 2022~2024年:6,800MWの再生可能エネルギー(太陽光、風力)
  • 2022年内:513MWの蓄電電力
  • 2024~2027年:3,000MWのガス火力発電電力
  • 2023~2027年:1,500MWの石炭火力発電電力

今回の官報では、本計画にかかる電力プロジェクトは全て公正かつ透明な公共調達プロセスを通じて選ばれた独立発電事業者(IPP)によって実施され、発電した電力は国家送電網に接続することを前提とし、電力の販売先は電力公社エスコムとなることを明記した。

ラマポーザ大統領は28日、官報の発表を受けて、電源の多様化と再生可能エネルギーの拡大の重要性を強調するとともに、経営危機により国家財政の大きな負担となっているエスコムの改革・事業分離を行っている最中だと述べた。主に既存の石炭火力発電所の改修や新設の遅れなどにより、南アでは不安定な電力供給が続いており、1日に数時間の計画停電もたびたび行われている。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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