米連邦政府、加州に天然ガス発電量最大化を許可、熱波や山火事で電力需給逼迫

(米国)

サンフランシスコ発

2021年09月15日

米国エネルギー省は9月10日、カリフォルニア州独立系統運用機関(CAISO)からの要請を受け、CAISOに対し連邦電力法(Federal Power Act)に基づく緊急命令を発令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

カリフォルニア州では現在、熱波や複数の山火事(森林火災、2021年8月11日記事9月1日記事参照)、強風に加え、脆弱(ぜいじゃく)な送電網が要因となり、電力需給が逼迫しつつある。こうした状況に対処するため、CAISOは9月7日、州内の特定の発電所について、大気汚染規制などによる発電量の制限を超えて最大限稼働することを認める緊急命令を発するよう、ジェニファー・グランホルム・エネルギー長官に書面で要請PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)していた。

CAISOは、緊急命令の対象に含めた州内6カ所の天然ガス発電所で、追加で200メガワット(MW)以上を発電できると見込む。今回の緊急命令は、11月9日まで有効とされている。

カリフォルニア州は近年、脱化石燃料化を目指し全米でも先進的な政策を打ち出す(注)一方で、州内での安定した電力供給に苦戦している。熱波の影響で、CAISOは9月7、8日に連日、州民に自発的な節電を呼び掛けるフレックス・アラートを発した。過去にも2019年10月には、極度の乾燥と強風の中、送電網からの発火が原因となる森林火災発生を防ぐため、一定の地域で4日間の計画停電が行われた(2019年10月21日記事参照)。また、2020年8月には、歴史的な猛暑による電力需給の逼迫に伴い、計画停電を実施し約30万世帯に影響が及んだ(2020年8月24日記事参照)。

(注)カリフォルニア州政府による脱炭素化に向けた施策については、2020年10月2日記事2021年5月6日記事6月3日記事参照。

(田中三保子)

(米国)

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