米カリフォルニア州での計画停電が終了、74万世帯・企業に影響

(米国)

サンフランシスコ発

2019年10月21日

米国カリフォルニア州北部・中部の大部分の電力供給を行うパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)が10月9日から実施していた計画停電は、10月12日に終了し、計画停電地域の全域で電力が復旧した。

計画停電は、乾燥した強風が吹くと予報されていた地域で山火事を防ぐために、実施されていた。ベイエリアの主要郡を含む35郡の約74万世帯・企業に影響が出た。停電開始が予定より遅れた地域では、事業主が停電開始前に不必要に店を閉めたりするなど混乱が生じた。停電の間、各自治体ではコミュニティ・リソース・センターが市民に開かれ、トイレの利用や電子機器の充電などが提供されたが、継続的な電子機器の使用が必要な疾患などを持つ人や高齢者は、多大なストレスにさらされた(「サンフランシスコ・クロニクル」紙電子版10月10日)。環境やサステナビリティー研究を行うスタンフォード大学ウッズ環境研究所の上席研究員マイケル・ウォラ氏によると、今回の計画停電による経済的損失は最大25億ドルとされる。

ギャビン・ニューサム知事は10月10日に記者会見を行い、計画停電は気候変動が直接の原因ではなく、PG&Eが送電網の整備に努めなかった結果で起きたと、同社を非難した。

PG&Eから、今後の計画停電についての発表は出ていないが、極度の乾燥や強風など今後の気象状況によって、再度行われる可能性を指摘する森林火災気象学者の声もある。

なお、PG&Eは2017、2018年にカリフォルニア州北部で発生し計108人の死者を出した大規模森林火災への損害賠償額が300億ドルに上る可能性を見越して、2019年1月に連邦破産法第11条を申請している。

(田中三保子)

(米国)

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