米加州と連邦政府、西沿岸沖で初の洋上風力発電開発に合意

(米国)

サンフランシスコ発

2021年06月03日

米国カリフォルニア州は5月25日、連邦政府と同州沿岸沖で洋上風力発電を開発することで合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米西海岸での洋上風力発電開発はこれが初めて。この合意は、バイデン政権が3月29日に発表した2030年までに30ギガワット(GW)の洋上風力による電力生成を目指す方針に沿ったものだ(2021年3月31日記事)。

ギャビン・ニューサム知事は発表の中で、「クリーン再生エネルギーを生成する洋上風力発電の開発は、経済を強化し新規雇用を創出しつつ、カリフォルニア州のクリーンエネルギー目標の達成と気候変動対策のためのゲームチェンジャーとなり得る」と述べた。

初期開発予定地では、今後10年にわたり最大4.6GWを発電し、160万世帯への電力供給が可能とされている。開発予定地として選ばれているのは、セントラル・コースト(モロベイ市北西部、注1)の沖399平方マイル(約1,033平方キロ)のエリア(通称「モロベイ399エリアPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」)と、ノース・コーストの別エリア(ハンボルト郡沖、注2)の2カ所。連邦内務省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、モロベイ399エリアでは、洋上風力により3GWの発電を行う予定だ。

カリフォルニア風力エネルギー協会のナンシー・レイダー・エグゼクティブディレクターは「モロベイ、ハンボルトにおける洋上風力発電開発には、浮体式プラットフォームを建設し、タービンを組み立てるための主要湾岸施設が両地域で必要だ。これらを行うには、州と連邦政府の継続的で先を見越した計画が必要となるため、洋上風力発電は上質な雇用を創出し、地域経済を支え得る」と述べている(「サンフランシスコ・クロニクル」紙電子版5月25日)。

今後の予定としては、内務省海洋エネルギー管理局がカリフォルニア州の協力の下、6月24日に政府間再生エネルギータスクフォースの会議を開催し、選定地域について議論する。その後、開発地が確定され環境解析が行われる予定だ。

ニューサム知事は、新型コロナウイルス感染拡大からの復興などに向けた総額1,000億ドルの経済対策のうち、洋上風力開発支援に2,000万ドルを充てることを提案している。これには、ハンボルト港への支援1,100万ドルのほか、カリフォルニア沿岸委員会とカリフォルニア魚類・野生生物局による環境評価・解析の迅速化を支援するための650万ドルなどが含まれる。

(注1)サンフランシスコから約190マイル(約300キロ)南下した地域。

(注2)サンフランシスコから約220マイル(約360キロ)北上した地域。

(田中三保子)

(米国)

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