米カリフォルニア州、猛暑により計画停電を実施

(米国)

ロサンゼルス発

2020年08月24日

米国カリフォルニア州では、8月16日にデスバレーにおいて世界で過去3番目の記録となる華氏130度(摂氏54.4度)を記録するなど、歴史的猛暑に見舞われている。こうした中、ギャビン・ニューサム州知事は17日、電力容量拡大の許可および停電回避のための調整実施などを主な内容とする緊急事態宣言に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。知事は同日、翌週にかけて熱波が激化し、大規模な停電が起きる可能性があるとして、州のエネルギー関係機関と協議を行った。

8月13日以降、カリフォルニア州独立系統運用機関(California Independent System Operator, CAISO)(注1)は、電力需給の逼迫に伴い、電力使用の削減を呼び掛けているほか、たびたび緊急事態宣言を行い(注2)、計画停電や需要削減計画(Demand Response Program)の実施に至っている(注3)。CAISOが実施する計画停電としては、2001年以来初となる。13日以降、CAISOによる電力使用削減要請などもあり下記の経緯を経て事態は一旦落ち着いているが、今後も熱波が予想され電力需給の状況は予断を許さない。

○8月13日(木)

午前9時24分:14日午後3~午後10時について、電力使用の削減を呼び掛け。具体的にはエアコンの温度を華氏78度(摂氏約26度)以上に設定するように要請。

○8月14日(金)

午前9時00分:午後3時~午後10時について、電力使用の削減を呼び掛け。

午後4時46分:第2段階緊急事態を宣言。

午後6時36分:第3段階緊急事態を宣言し、電力会社に対して計画停電を指示。PG&E(注4)によれば、同社の供給区域で22万世帯に影響。CBSロサンゼルス(8月15日)によれば、SCE(注5)の供給区域で7万世帯に影響。

午後7時51分:不足していた1,000メガワットの電力が回復し始める。

午後8時54分:第3段階緊急事態宣言を解除。

○8月15日(土)

午後6時28分:第3段階緊急事態を宣言。470メガワットの想定外の電源喪失、1,000メガワットの風力発電の喪失が発生。470メガワットの計画停電を実施。NBCニュース(8月16日)によれば、州全域で30万7,000以上の世帯に影響。

午後6時48分:風力発電が回復し、第3段階緊急事態宣言を解除。

○8月16日(日)

午後2時06分:19日までの4日間の午後3~午後10時について、電力使用の削減を呼び掛け。

○8月17日(月)

午前11時46分:午後3~午後10時について、電力使用の削減を呼び掛け。

午後3~午後4時において、900メガワットの需要削減計画を実施。

午後4時57分:第2段階緊急事態を宣言。

午後5~午後6時の間に1,400メガワットの電力不足を予測したが、需要削減により、不足は生じず。

午後7時30分:第2段階緊急事態宣言を解除。

○8月18日(火)

午前11時33分:午後3~午後10時について、電力使用の削減を呼び掛け。

午後2時18分:第2段階緊急事態を宣言。

午後7時37分:第2段階緊急事態宣言を解除。

○8月19日(水)

午前10時07分:午後2~午後9時について、電力使用の削減を呼び掛け。

午後6時55分:停電を行わないことを告知。

(注1)カリフォルニアにおける卸電力供給、送電線、電力市場の監視を目的に、1998年に設立。年間3億メガワット時、州内の80%の電力供給を管理する。

(注2)緊急事態の各段階の概要は次のとおり。

第1段階:緊急予備電力の不足が生じているか、生じることが見込まれる場合。エネルギー使用の削減を呼び掛ける。

第2段階:全ての措置を取り、それでも予想されるエネルギー需要を満たせない場合。CAISOは、発電所の稼動を指示するなど、取引市場に介入する。

第3段階:CAISOが緊急予備電力を満たせず、供給の一部停止が迫るか進行する場合。CAISOは潜在的な電力の供給停止を電力会社に通知する。

(注3)CAISOによる各プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注4)The Pacific Gas and Electric Company。 主に北カリフォルニアにおいて電力を供給。

(注5)Southern California Edison。主に南カリフォルニアにおいて電力を供給。

(佐伯徳彦)

(米国)

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