米国の上半期の対中輸入、追加関税第1~3弾対象品目は3割以上減少

(米国、中国)

米州課

2019年08月06日

米国商務省が8月2日に発表した貿易統計(通関ベース、原数値)によると、米国の2019年上半期の対中輸入額は2,190億ドルとなり、前年同期比では12.4%減少した(表1参照)。対中追加関税措置の弾別に対象品目の対中輸入額を試算すると、第3弾の対象品目の輸入額は685億ドルで、前年同期比31.6%減少し、輸入額の減少に最も寄与した(寄与度マイナス12.63ポイント)。続いて、第1弾の輸入額が72億ドルで35.0%減少し、第2弾は32億ドルで43.3%減少した。企業の申請により適用除外となった品目(注)についても、除外申請が認められるまでの間は輸入額が減少しており、上半期は62億ドルで、前年同期比26.6%減少した。一方、トランプ大統領が9月1日からの発動を表明した(2019年8月2日記事参照)第4弾候補(リスト4)の対象品目の対中輸入額は1,246億ドルとなり、7.4%増加した。また、追加関税の対象外の品目についても、対中輸入額は94億ドルで6.7%増加した。

表1 米国の制裁弾別の上半期の対中輸入額(試算)

対中輸入の減少に寄与した項目を制裁弾別のHTS上位4桁でみると、第3弾対象品目のスイッチング機器、ルーティング機器(HTS8517項)が86.4%減の15億1,600万ドル、計算機など部品(HTS8473項)が69.0%減と大幅に減少した(表2参照)。

表2 対中輸入の増減に寄与した品目の対中輸入額の推移(制裁弾別、HTS上位4桁別)

一方、対中輸入の増加に寄与した品目をみると、第4弾の対象品目の携帯電話機器(HTS8517項)が14.0%増の231億ドル、携帯用自動データ処理機械(HTS8471項)が9.7%増、モニター、プロジェクター(HTS8528項)が20.6%増となり、追加関税発動を見越した駆け込み輸入が目立った。

(注)第1弾に関する1度目の適用除外対象品目の発表は2018年12月28日(2019年1月4日記事参照)、2度目は3月25日(2019年3月28日記事参照)、3度目は4月18日(2019年4月18日記事参照)、4度目は5月9日(2019年5月13日記事参照)、5度目は6月4日(2019年6月5日記事参照)、6度目は7月9日(2019年7月16日記事参照)。第2弾に関する1度目の適用除外対象品目の発表は2019年7月31日(2019年8月1日記事参照)。

(中溝丘)

(米国、中国)

ビジネス短信 9e6517f9ca2e0c48