2020年の乗用車新車登録台数、前年比25.5%減(フランス)

2021年8月11日

フランス自動車工業会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます によると、2020年の国内の乗用車新車登録台数は前年比25.5%減の165万118台だった。一方で、電気自動車(EV)の新車登録台数は前年比約2.6倍の11万912台となった。プラグインハイブリッド車(PHEV)は7万4,587台と、前年の約4倍に膨らんだ。

移動制限措置の導入で3~5月は大幅減を記録

2020年の乗用車新車登録台数は、1月からの環境課徴金制度の強化(2019年10月10日付ビジネス短信参照)を受け、1月は前年同月比13.4%減、2月は同2.7%減と年初から低迷した。新型コロナウイルス感染対策で移動制限措置が導入され、自動車販売店は生活必需品以外を取り扱う小売店として、3月中旬から閉鎖措置の対象となったため、3月は72.0%減、4月は88.8%減、段階的な緩和が始まった5月は50.3%減と大幅減を記録した。

6月は、自動車産業救済策の一環として政府が導入した低公害車購入支援措置の押し上げ効果もあり、前年同月比1.2%増とプラスの伸びに転じた(2020年6月18日付ビジネス短信参照)。7月も3.9%増と上向いた。しかし、政策効果は長続きせず、8月には19.8%減となった後、9月は3.0%減、10月は9.5%減と縮小が続いた。11月は2度目の移動制限措置の導入を受けて、27.0%減と再び落ち込んだ。12月には規制が部分的に解除されたが、11.8%減と不振に終わった。

乗用車新車登録台数をメーカー・ブランド別にみると、全てのメーカー・ブランドで大幅に縮小した(表参照)。ルノー・グループはルノーが前年比22.7%減の31万4,630台となった。グループ傘下のルーマニアのダチアは9万7,170台と前年から30.1%減少した。日産は22.1%減の3万2,963台と縮小が続いた。

グループPSAはプジョーが前年比20.5%減の30万1,935台、シトロエンが30.8%減の16万2,688台となった。グループ傘下のドイツのオペルも34.5%減の4万3,801台と大幅減だった。

表:2020年の主要メーカー・ブランド別新車乗用車登録台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー・ブランド 登録台数(台) 前年比(%)
ルノー 314,630 △ 22.7
プジョー 301,935 △ 20.5
シトロエン 162,688 △ 30.8
フォルクスワーゲン 97,784 △ 34.4
ダチア 97,170 △ 30.1
トヨタ 89,727 △ 11.8
フォード 55,219 △ 30.0
メルセデス 52,570 △ 25.1
BMW 45,478 △ 22.6
アウディ 45,360 △ 21.2
オペル 43,801 △ 34.5
フィアット 42,360 △ 40.9
起亜 39,052 △ 13.3
現代 34,585 △ 13.5
日産 32,963 △ 22.1
合計(その他を含む) 1,650,118 △ 25.5

出所:フランス自動車工業会

外国勢で最大シェアを持つドイツのフォルクスワーゲン(VW)は前年比34.4%減の9万7,784台となった。高級車ブランドのメルセデス・ベンツが25.1%減の5万2,570台、BMWが22.6%減の4万5,478台、アウディは21.2%減の4万5,360台と、いずれも落ち込んだ。

日本車では、トヨタが前年比11.8%減の8万9,727台となり、主要メーカー・ブランドの中では減少率が小幅にとどまった。韓国車は、起亜が13.3%減の3万9,052台、現代が13.5%減の3万4,585台だった。

ディーゼル車の新車登録台数は前年比33.3%減の50万4,178台。乗用車新車登録台数に占める割合は31.0%で、前年の34.1%からさらに低下した。

小型商用車(車載量5トン未満)の新車登録台数は前年比16.1%減の40万2,382台だった。大型トラック(車載量5トン以上)は4万1,730台で前年から24.5%減った。

他方、2020年の中古車販売市場は、乗用車が前年比3.8%減の556万9,298台となった。小型商用車は2.2%減の79万9,242台、大型トラックは6.9%減の4万9,870台だった。いずれも、新車登録台数の縮小率に比べると小幅にとどまっており、フランスにおける中古車需要の腰の強さを印象づけた。業界誌のラグルスは、中古車市場は年間をとおして順調で、特に6月以降に登録台数が大幅に増加したこと、その背景には、個人移動手段の購入に際し、新型コロナ禍での経済の先行き不透明感が消費者の(より安価な)中古車の選択を後押ししたと分析している。

EV、PHEVの販売急増、低公害車の購入支援措置が奏功

業界紙「オートモビル・プロープル」の集計によると、2020年の電気自動車(EV)の乗用車新車登録台数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます は前年比約2.6倍の11万912台だった。内訳をみると、ルノー「ゾエ」が3万7,409台と前年に続き最多で、EV新車登録台数の33.7%を占めた。これに、プジョー「E-208」の1万6,557台、テスラ「モデル3」の6,477台が続いた。欧州電気自動車協会フランス支部(AVERE France)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(844.40KB)によると、小型の商用EVの新車登録台数は前年比10.0%増の8,792台だった。

プラグインハイブリッド車(PHEV)の新車登録台数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます は7万4,587台と、前年の1万8,579台から約4倍に膨らんだ。2020年6月に導入した低公害車購入支援措置(2020年6月18日付ビジネス短信参照)で適用対象をPHEVにも広げたことが販売を押し上げた。フランスメーカーのPHEVが上位を占め、プジョー「3008」が6,399台と最多だった。これに、ルノーの「キャプチャー」5,472台、DSの「DS7」4,539台と続いた。

2020年の燃料電池自動車の新車登録台数は211台だった(FCHO調べ)。前年の63台から大幅増となったものの、依然として普及は進んでいない。

フランス税関の統計によると、乗用車(HSコード8703)の輸出台数は前年比32.6%減の104万5,708台となった。ベルギー向けが37.5%減、イタリア向け38.8%減、スペイン向け50.8%減、英国向け48.7%減と、それぞれ落ち込んだ。

輸入台数は前年比13.6%減の190万7,024台だった。最大輸入相手国のスペインは43万541台と前年を8.3%下回った。2位のドイツは前年比23.5%減の21万3台と大きく縮小した。欧州の主な自動車メーカーが生産拠点を構えるスロバキア(5.6%減)、トルコ(19.5%減)、モロッコ(8.5%減)、チェコ(15.7%減)からは軒並み縮小に転じた。日本からの輸入は6万3,966台と前年を3.9%下回った。

執筆者紹介
ジェトロ・パリ事務所
山﨑 あき(やまさき あき)
2000年よりジェトロ・パリ事務所勤務。
フランスの政治・経済・産業動向に関する調査を担当。

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