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プノンペン~シアヌークビルを実走、渋滞理由を探る(カンボジア)

2020年3月5日

カンボジア屈指のリゾート地で南西部に位置するシアヌークビルは、同国で唯一の深海港を保有し、アジアへの物流の玄関口の1つとなっている。一方、首都プノンペンとシアヌークビルを結ぶ道路は国道4号線のみのため、渋滞による物流面の課題がしばしば聞かれる。以下では、2019年10月にこのルートを実走した結果を報告する。

越境輸送の6割はシアヌークビル港を経由

カンボジアの越境輸送では、シアヌークビル自治港と河川港のプノンペン自治港を利用した船舶輸送、またはタイやベトナムからの陸上輸送が主に利用される。これらのうち取扱貨物量が最も多いのは、大型コンテナ船が入港できるシアヌークビル港だ。香港やシンガポールを結ぶ定期便があり、輸送の6割はシアヌークビル港を利用しているとも言われ、物流拠点としての役割は大きい。

国道4号線を実走、道路は片道1~3車線

首都プノンペンからシアヌークビル港へは、国道4号線が走っており、距離は約240キロ、車で平均4時間だ。しかし、渋滞により5~6時間かかることもあり、物流インフラとしての課題も聞こえ始めている。そこで、ジェトロは2019年10月21日、22日にプノンペンからシアヌークビル経済特区までの216キロを走行し、道路状況を調査した(図1、表参照)。

図1:プノンペンからシアヌークビルへの走行ルートと時間概要
ジェトロは2019年10月21日~22日にプノンペンからシアヌークビル経済特区までの216キロを走行し、道路状況を調査した。

出所:Open Street Mapからジェトロ作成

10月21日午前7時18分、プノンペン中心部にあるオルセイマーケット近くのホテルを出発した。プノンペン中心部からシアヌークビルへ向かう途中にあるプノンペン国際空港までは約11キロ、片道2~3車線となっている。月曜朝の通勤時間帯だったため、郊外から中心部へ向かう車線は渋滞していた。逆に市外へ向かう道路は車両の量も少なく、30分程度で国際空港付近まで来た。空港を通り過ぎるとすぐに、環状3号線との分岐点があった。分岐点を過ぎてしばらくは片道2車線の道路が続くが、途中から1車線となる。その先の4号線と46号線国道の分岐点近くでは3車線に増幅された場所もあったが、それからは1車線の道路が続いた。

大きな渋滞なく5時間台、週の後半は渋滞の可能性大

プノンペンからシアヌークビル郊外にある経済特区まで、休憩時間を除くと5時間15分かかった計算になる。往路では、3号線との分岐点で少し渋滞していた。また、農作業用の車両や低速で走る車両があり、後続の車両が対向車線の様子をうかがいながら追い越すが、そのような場面では速度を落として走行せざるを得なかった。ただ、交通事故などはなく、大きな渋滞に巻き込まれることなく走行できた。復路では、片道1車線の道路で事故があり、片側が通行止めの交通規制がかけられていたため、同じルートで5時間50分を要した。

今回は月曜の午前中にプノンペンからシアヌークビルへ移動し、火曜の午後に逆コースをたどったが、曜日によってはさらに時間がかかることが予想される。シアヌークビル港には毎週14便が寄港し、その多くが土曜から月曜に集中している(図2参照)。現地の物流関係者からも、金曜と土曜にプノンペンからシアヌークビルへ向かう輸送ルートが大変混雑するとの声が聞かれた。

図2:コンテナ船の停泊数
シアヌークビル自治港には毎週、14便が寄港するが、その多くが土曜から月曜に集中している。

注:曜日・時間帯ごとにシアヌークビル自治港に停泊しているコンテナ船の数を示している。
出所:シアヌークビル自治港ウェブページからジェトロ作成

雨季にはシアヌークビルの渋滞に注意

今回実走したプノンペンからシアヌークビル経済特区までのルートはスムーズだったが、経済特区を午後3時半に出発したところ、シアヌークビル市内に入ったところで4号線が渋滞し始めた。4号線はシアヌークビルと他の都市を結ぶ唯一の幹線道路で、終点はシアヌークビル港だ。また、市内にバイパス道路がないことから、朝や夕方の通勤時間帯は特に渋滞が発生しやすい。今回、月曜の夕方に経済特区から市内に向かったところ、8.5キロを移動するのに1時間20分かかった(図1参照)。スコールがやんだ直後だったこと、2019年6~8月の洪水によりシアヌークビル市内の道路が損傷して補修中だったことも影響しているとみられる。乾季(11月~5月)にはスコールがないため、渋滞は緩和するとの声もあるが、雨季(6月~10月)にはこのような渋滞が発生することが懸念される。


渋滞で動かない国道4号線(ジェトロ撮影)

4号線沿いには中国系の建設資材市場が幾つか並んでおり、現地の物流関係者は、建設資材を運搬するトラックが市場に出入りするため渋滞の一因になっているのではないかと指摘している。これらの市場周辺の渋滞は投資の状況によって左右されるため、中国からの建設投資の動向を注視する必要がある。


シアヌークビル市内の国道4号線沿いの建設資材市場(ジェトロ撮影)

シアヌークビルの道路拡張と高速道路の開通による渋滞緩和に期待

シアヌークビル市内の4号線では、渋滞緩和の兆しがみられる。公共事業運輸省は2月14日、市内の道路の改修工事を開始したと発表した。改修は合計16.7キロに及び、4号線の一部区間を片道2車線化する工事や中央分離帯の設置も含まれる。

また、プノンペンとシアヌークビルを結ぶ幹線道路は現在、国道4号線のみだが、2023年には高速道路が完成する予定だ(2020年1月8日付ビジネス短信参照)。現地報道によると、高速道路はプノンペンの3号線との分岐点から国道4号線に並行し、90~100キロ地点にある高原地帯を過ぎたところから4号線と異なるルートを通り、シアヌークビル港の近くに接続するという(図1参照)。この高速道路の開通により、4号線の渋滞緩和が期待される。

表:プノンペンからシアヌークビルまでの実走記録
時刻 場所
7:18 プノンペン中心部・オルセイマーケット近くのホテルを出発
7:50 プノンペン国際空港の前を通過
8:09 環状3号線の分岐点から4号線へ
8:19 プノンペン経済特別区(PPSEZ)の前を通過
8:58-9:03 143号線との分岐点近くのガソリンスタンドで休憩
9:52 キリロム高原へ向かう国道46号線との分岐点を通過
10:10-10:18 トイレ休憩
10:49 Stoeng Chralを通過
11:00-11:53 コンポン・セリアのピクニックリゾートで昼休憩
12:00 Srei Ambil Roundaboutを通過
12:42 Prey Nobを通過
13:30 シアヌークビル経済特別区に到着

出所:ジェトロ作成

執筆者紹介
ジェトロ海外調査部アジア大洋州課
山口 あづ希(やまぐち あづき)
2015年、ジェトロ入構。農林水産・食品部農林水産・食品課(2015~2018年)、ジェトロ・ビエンチャン事務所(2018~2019年)を経て現職

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