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ロシア中小企業インタビュー(10)商業施設を中心に空調設備の最適化を提案

2018年12月27日

ノボシビルスクで商業施設の空調設備の設計、導入、メンテナンス業務を行っているエンジニアリング・スフェラ。同社はIT技術を活用した業務効率化やコスト削減に取り組み、他社との差別化を図っている。同社のマキシム・コイナシュCEO(最高経営責任者)、ニキータ・コロボフ主任技術者に、企業概要や日本とのビジネスに向けた課題・要望について聞いた(2018年2月14日)。ロシア中小企業インタビュー連載の10回目(最終回)。

空調設備・システムの総合サービスを提供

質問:
企業概要について。
答え:
創業は2015年。商業施設の換気、冷房、排水設備・システムの設計、導入、メンテナンスを行っている。暖房システムは手掛けていない。従業員数は5人。2017年の年間売上高は3,000万ルーブル(約4,800万円。1ルーブル1.6円)。設立から2年で4倍に拡大した。
私(コイナシュCEO)は、2005年にノボシビルスク建設大学を卒業。専門は水供給設備で、オフィスや商業施設の仕事に携わってきた。
顧客はレストランやカフェが中心。ノボシビルスクのレストラン業界で有名なデニス・イワノフ氏が所有・プロデュースするレストランの空調システムも手掛けた。それ以外にも、ノボシビルスク市中心部にあるショッピングモール「ガレリア」の空調は当社が受注した。400平方メートル米から5,000平方メートルまでの案件に携わった経験がある。
拠点はノボシビルスクのみだが、シベリア周辺の地方都市やモスクワ、ウラジオストクにある施設の案件も請け負ったことがある。
マキシム・コイナシュCEO(中央)、ニキータ・
コロボフ主任技術者(左側)(ジェトロ撮影)
空調設備を導入したノボシビルスクのショッピング
モール「ガレリア」(ジェトロ撮影)
質問:
企業戦略について。
答え:
企業戦略としてはまず、実績のある外食分野でのシェアを拡大すること。また、商業施設の案件については、空調設備・システムの最適化に取り組んでいる。BIM(Building Information Modeling)という3D設計ソフトウエアを活用し、特定のパラメーターや電気系統を変更することにより、コスト削減ができるか算定することができる。これによって、空調費用の節約をPRしていく。
質問:
販路開拓のポイントは。
答え:
主要顧客は建設会社で、契約単価は200万ルーブル程度。販路拡大方法としては、公開情報を基に、建設関係の情報や市場ニーズに関する情報を収集する。当社ではレストラン、カフェ分野で既に名前が知られており、関係者の紹介・推薦によって引き合いを受けることが多い。商業施設に限らず、健康・スポーツ施設、食品工場などの案件も手掛けたいと思っている。
ノボシビルスクの外資系ホテル建設の際には、外国で作成された仕様を、ロシアの現場に適用する支援を行った。国際プロジェクトであったため、ドイツ企業が監理していたが、ロシアの事情には通じていなかった。このため、当社がロシアの建築基準に合わせるためのアドバイスを行った。
質問:
自社で輸入手続きや経理処理をしているか。
答え:
資材の多くは輸入している。自社で通関申告を行っているが、通関手続きはブローカーに依頼している。経理作業と物流機能も外部に委託している。

大型案件は資金調達が課題、日本企業には営業協力や支払い猶予求める

質問:
経営上でのリスク・問題点とその対処法について。
答え:
施工が長期にわたる長期大型案件の場合、受注企業がおカネを立て替える必要が生じる。しかし、ロシアでは、中小企業向けの銀行融資の金利が非常に高いことが問題だ。ロシア鉄道からの委託事業では受注金額が900万ルーブルだったが、銀行から700万ルーブル借りることになった。利率が24%で、返済額は868万ルーブルとなり、ほとんど利益が残らないという事例があった。
情報を知らないことによるリスクもある。建設分野では、火災などの事故を避けるために最新法令・ルールに関する研修受講が義務付けられている。受講はオンライン形式で、費用は一人8,000ルーブルする。法令変更については、普段から相談している専門家に確認することが大切だ。
質問:
日本とのビジネスに関心はあるか。
答え:
私(コイナシュCEO)はもともと日本に関心があり、日本語を1年間勉強したこともある。日本には2013年と2018年に2度訪問した。前者は観光であり、後者はジェトロの招聘(しょうへい)事業によるもの。日本の革新的な製品・技術は採用したいと考えている。
日本製品の質は高いが、価格も高く、プロモーションが必要であり、日本企業にも協力してほしいと考えている。また、日本製品の購入を促すため、消費者に分割払いを提案できればよい。そのために、日本側には支払い猶予を設定してもらえると助かる。
インタビュー先企業情報
企業名 エンジニアリング・スフェラ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
所在地 ノボシビルスク州
主な事業、取扱製品・サービス 空調設備・システムの設計、施工、メンテナンス
日本企業への提案や関心事項 日本製の建設関連機材の調達
執筆者紹介
ジェトロ・モスクワ事務所
齋藤 寛(さいとう ひろし)
2007年、ジェトロ入構。海外調査部欧州ロシアCIS課、ジェトロ神戸を経て、2014年6月より現職。ジェトロ・モスクワ事務所では調査業務、進出日系企業支援業務(知的財産保護、通関問題)などを担当。編著にて「ロシア経済の基礎知識」(ジェトロ、2012年7月発行)を上梓。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課
戎 佑一郎(えびす ゆういちろう)
2012年、ジェトロ入構。関東事務所、京都事務所を経て、2017年より現職。

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