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ギニア - 投資環境整備でビジネスの海へ

2017年8月15日

西アフリカ沿岸に位置するギニアは、ボーキサイト、鉄鉱石、金、ダイヤモンドなどの鉱物資源のほか、漁業資源にも恵まれる。政府は今、ビジネス環境を整えて経済成長を軌道に乗せようとしている。日本からの投資の呼び込みにも積極的だ。


「日・ギニア・ビジネスフォーラム」で講演するコンデ大統領

困難を乗り越えた先に経済成長

ギニアの国土面積は約25万平方キロで日本の3分の2。アフリカの中では小国だが、アルミの原材料であるボーキサイトでは、世界の埋蔵量の半分を擁する。その他にも鉄鉱石、金、ダイヤモンド、ニッケルなどの鉱物資源を産出。西アフリカ最大の大陸棚があるギニア湾に面していることから、豊富な漁業資源にも恵まれている。ギニアといえば、最近ではエボラ出血熱が流行した際にニュースで取り上げられ、この国にマイナスイメージを持つ読者がいるかもしれない。日本人にとっては同国出身のタレント、オスマン・サンコン氏が最も身近なイメージキャラクターだろうか。

2016年の人口は約 1,200万人で日本の人口の10分の1。30年にはそれが約2倍になる見込みだ。30歳以下の若年労働層の割合が高い。主要産業は鉱業で、輸出の85%、GDPの15%が鉱物資源によって生み出されている。次いで、農業、漁業、サービス業などの産業部門の比重が高い。エネルギー、インフラ、ICT(情報通信技術)は政府によって同国の優先セクターに位置付けられている。

ギニアは1958年にフランスから独立。ここ数十年、1人当たりGDPは300~500ドルの間を推移してきた。電力へのアクセスが可能な国民は10人に3人にとどまり、インフラも十分ではない。まだまだ貧しい国である。世界銀行とIMFによる拡大重債務貧困国(HIPC)イニシアチブにより、同国は両機関から債務削減の適用を受けている。パリクラブ(主要債権国会議)などでもこの流れを受け、二国間債務を削減する動きがあった。HIPCイニシアチブでは、債務が一気に削減されるのではなく、財政の健全化などの進み具合に応じて段階的に実施されてきた。こうしたプロセスを経て、エボラ出血熱の影響で低成長の年があったものの近年は経済成長の数字も好調に推移している。IMFの試算でも、16年には 6.6%の成長を記録、17年は6.7%、20年には2桁成長を見込む。

トップ外交で投資呼び込み

経済成長の立役者がアルファ・コンデ大統領だ。10年に就任して以降、ギニアは民主政権下にある。政情は安定しており、ビジネスが発展する土台は整いつつある。

コンデ大統領は17年6月、閣僚、政府関係者、民間企業からなる代表団を率いて来日。日本企業との面談や視察を精力的にこなした。同月20日にはジェトロ主催の「日・ギニア・ビジネスフォーラム」にも出席した。これには日本企業関係者200人近くが参加、高い関心を集めた。ギニア側は、主要産業のポテンシャルや投資環境について講演。コンデ大統領は基調講演の中で、「日本は素晴らしい技術を持つ企業が集まる国。両国間で新しい協力関係を築き、日本企業にはギニアへの投資を望みたい」と呼び掛けた。

ギニアで厚い信頼が寄せられているのは、日本の製薬会社だ。14年、ギニア、隣国リベリア、シエラレオネなどでエボラ出血熱が流行した際に注目を集めたのが、富士フィルムグループの富山化学工業が開発した抗インフルエンザ薬「アビガン」だ。これがエボラ出血熱の治療にも有効であることが判明し、日本政府による緊急無償資金協力調達物資としてギニア政府に提供された。豊田通商は現地代理店を通じて「アビガン」の配送に協力。また、東レは感染対策衣を、メッシュ加工製品メーカー「くればぁ」は高性能フィルターの防疫マスクを、東芝メディカルシステムズはエボラ出血熱迅速検査キットを、NECグループの日本アビオニクスは赤外線サーモグラフィーカメラをそれぞれ提供した。15年12月に世界保健機構(WHO)がギニアのエボラ出血熱終息を宣言した。今後とも日本には、保健衛生分野における継続的な協力が期待されると考えられる。だが、そうした協力は人道的観点から援助ベースで行われているもので、商業ベースで発展しているわけではない。

援助からビジネスへ

では、現時点において商業ベース展開し得る分野はどこか。

ギニアは農産品の生産にも力を入れている。沿岸地域ではパイナップル、マンゴー、アボカド、バナナといった輸出作物を、森林地帯ではコーヒーやパームオイルを、中部の山地ではトマト、ナス、ジャガイモなどを栽培している。年間雨量は約4,000ミリ。「西アフリカの給水塔」とも呼ばれるギニアには、肥沃(ひよく)な土地が広がり、農業のポテンシャルは高い。農業加工装置や貯蔵施設、パッケージング装置などにもビジネスチャンスがありそうだ。

また豊富な水資源は、同国のエネルギー開発にも貢献しようとしている。アフリカにおける五大河川のうち、ニジェール川、セネガル川、ガンビア川という3河川が同国内を流れ、これらの水資源を活用した場合6,000メガワットの発電が可能だとされる。水力発電所の開発や浄水場建設において、ギニアには大きなポテンシャルがあるといえよう。

主要産業である資源開発分野では、鉱業法が改正された。投資を促進させるためだ。改正によって投資家の収益性が従来よりも改善され、ひいては国の収益基盤拡大への寄与が期待される。鉱物資源開発分野では、資源を輸送する鉄道や港湾なども必要とされるとことから、そうしたインフラをはじめ、ソフトとハード両面の整備がこれまで以上に求められよう。

外国からの投資を呼び込むのに必要な直接的な動因は何か。それは言うまでもなく、投資環境の整備と魅力的なインセンティブだ。100%外国資本による投資が可能なギニアでは、法人税や関税についても、最大10年間の減税措置が取られる。加えて、ギニア民間投資促進庁(APIP)によるワンストップショップのサービス、72 時間以内で完了する簡易な会社登録制度といった投資環境整備も進んでいる。法制度についても、官民パートナーシップ(PPP)(注1)や BOT(Build-Operate-Transfer)(注2)に関する法律などが整備されている。

アフリカの資源を巡って各国の競争は激しさを増している。中でも中国のアフリカ進出は目覚ましい。 APIPのガブリエル・キュルティス長官によると、ギニアでは主に鉱業、インフラ、エネルギー、農業、ICTなどの各分野で中国企業の進出が見られ、鉱業分野で数十億ドル規模、ダムなどのエネルギー分野では5億ドル規模の投資を行っているという。鉱業分野では、アラブ首長国連邦(UAE)やロシアなどの進出も目立っているとのことだ。

日本もアフリカとの外交関係を強化しており、アフリカ連合(AU)議長国でもあるギニアのコンデ大統領を公式に招へいしたのも、その一環と位置付けられる。彼らが日本に呼び掛けるのは、援助よりも投資だ。言うならば、ギニアという小国の小舟は今、「援助」からの卒業を目指し「ビジネス」という市場経済の大海原へこぎ出そうとしている。投資環境は整いつつある。日本企業も同国でのビジネスの可能性に目を向ける価値はありそうだ。


注1:
公共事業(インフラなど)の建設や運営において、民間企業と連携して資金や知見を活用する事業方式。
注2:
民間事業者が公共施設の建設、維持、管理、運営に関わり、事業終了後に所有権を公的部門に譲渡する事業方式。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中東アフリカ課
清水 美香(しみず みか)
2010年、ジェトロ入構。産業技術部産業技術課/機械・環境産業部機械・環境産業企画課(当時)(2010~2013年)を経て現職。

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