外資に関する規制

最終更新日:2017年03月21日

規制業種・禁止業種

米政府は一般的に、外国による対内直接投資(FDI)を歓迎し、公平に扱うという姿勢である。ただし、国家安全保障の観点から、財務省が所管する外国投資委員会(CFIUS)が国内資本の買収案件を審査する。

外国投資委員会(CFIUS)による対内資本買収の審査

米国は、外国からの対内直接投資(FDI)を歓迎するとともに、外国投資家を公正かつ同等に扱う。ただし、いわゆるエクソン・フロリオ修正条項に基づいて、国家安全保障上懸念のある国内資本の買収案件を審査する外国投資委員会(CFIUS)を政権内に持ち、大統領の判断で、案件を拒否することも可能である。CFIUSは省庁横断で構成される。

〔エクソン・フロリオ修正条項〕

大統領に対して、米国の安全保障を害する恐れのある取引を停止または禁止するために適切な措置を適切な時期に取る権限を与える条項(U.S.C. App. 2170(d)(1))。また、大統領による事実認定および決定内容については、司法審査の対象とならないことも規定している(U.S.C. App. 2170(e))。

案件の提出は、基本的には当事者間の任意となっている。第1段階レビュー(30日間)と、必要に応じ第2段階精査(45日間)の手続きを経る。最終的に、大統領の判断で投資案件を差し止める場合もある。

エクソン・フロリオ修正条項の詳細
§ 2170. Authority to review certain mergers, acquisitions, and takeoversPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(178KB)
出所:印刷局(GPO)

参考資料:
The Committee on Foreign Investment in the United States (CFIUS)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(390KB)
出所:Congressional Research Service

分野別の投資規制

航空、通信、海運、発電、銀行、保険、不動産、地下資源、国防の9つの産業分野に対しては、外国からの対米投資に関する連邦規制が適用されることがある。

Foreign Investment in the United States:Major Federal Statutory RestrictionsPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(255KB)
出所:Congressional Research Service

財務省による外国資産管理規制

財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control:OFAC)は、外国企業の所有する米国内資産に関する規制を統括している。同規制は業種別に分類されている。対象業種は、銀行、輸出入、証券、保険、観光、信用歴調査報告業(Credit Reporting Industry)、非政府団体、金融サービス、企業登記サービス。

業種別規制内容について:財務省 "OFAC Information for Industry Groups外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

また、OFACは、米政府による外国に対する経済制裁の実施権限を有し、近年の制裁対象国と制裁内容の骨子を公表している。対象国は、ミャンマー、キューバ、イラン、イラク、リベリア、北朝鮮、スーダン、シリア、ジンバブエ、ベラルーシ、イエメン、ソマリア、リビア、コンゴ民主主義共和国、コートジボワール、ロシア、ベネズエラなど。
さらに国レベルではなく、個人や組織にも制裁を課す制裁対象分野およびその内容も公表されている。違法ダイヤモンド取引、麻薬、核拡散、テロリズム行為が対象。

財務省:
"Terrorism and Financial Intelligence外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
"Sanctions Programs and Country Information外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

出資比率

業種規制あるいは国家安全保障にかかわる規制(エクソン・フロリオ条項)によって、外資の出資比率が制限されるケースがある。

上記の「規制業種・禁止業種」の項を参照。
これらの規制業種以外の場合は、現地法人の資本金の100%を外国の法人または個人が所有しても問題はない。

外国企業の土地所有の可否

外国企業(外国人)が、不動産投資を行う、あるいは事業投資に伴って不動産の取得・賃貸を行うことに関する規制はない。

外国企業(外国人)の不動産取得

外国企業(外国人)の不動産取得は、米国内での営業あるいは「恒久的施設」の取得とみなされ、税制面で不利になる可能性が高い。通常は、米国内に事業目的に沿った現地法人を設立し、そこを通して不動産投資、不動産の取得・賃貸を行う。

土地を含めた不動産への投資を事業の目的とする場合(例えば不動産シンジケートやパートナーシップへの投資や米国内の事務所ビル、ホテル・リゾート、ゴルフ場などを買収しその賃貸料や売却利益を得ることを目的とした事業の場合)は、その所有割合に応じて外国の投資家が得た損益を毎年米国の当局に税務申告する必要がある。

また、米国内で一定の事業を行うために外国人(法人または個人)が土地を取得した場合に、その土地の一部あるいは全部を売却または賃貸することによって所得が発生する場合は、税務申告の義務がある。

出所:内国歳入庁(Internal Revenue Service:IRS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

資本金に関する規制

資本金について法的な規制はない。

会社設立での資本金に関する規制は存在しない。
会社設立は州政府の管轄であり、州によって手続きと諸費用が多少異なるが、資本金額にかかわらず、登録手続料や州税として数ドル~数十ドルで登記できるケースが多い。ほとんどの州では、1日で登記が完了する。
ただし、雇用主証明(納税者番号)は、連邦政府の内国歳入庁(IRS)への登録が必要となる。

ビザ取得や融資、優遇措置等を受ける場合には、種々の条件を満たす必要がある。ビザ取得のためには、資本金は最低10万ドル、できれば20万ドル程度あることが望ましい。

その他規制

外国人が資産を売却した場合の税金関連規制、政府プロジェクトへの参入制限、州による規制、税制上の規制など。

外国人が資産を売却した場合の税金関連規制

外国人による資産の全体・一部の売却は、源泉徴収の対象となる。

外国人が米国内で資産(不動産を含む物的財産を指すが、主として土地と物件、または土地や物件の権利の一部も含まれる)を売却した場合、FIRPTA(Foreign Investment in Real Property Tax Act of 1980)に基づく源泉徴収の対象となる。資産の一部を売却した場合も、税金が源泉徴収される(26 USC§2104)。

資産全体または資産の一部を外国人から買う場合、購入者(法人または個人)の代理人または取引責任者は、取引額の10%(外国企業の場合、別の特別規制あり)を支払額の中から源泉徴収する義務がある。源泉徴収に関する責任は購入側にあり、売却側が外国人(または外国企業)かどうかを確認しなければならない。購入側が売却側から源泉徴収できないと、購入側が税金を負担しなければならない。

FIRPTAの適用の例外は、購入側が当該物件を自分の居住目的として30万ドル以下で購入した場合。売却側、購入側の双方あるいはいずれかが、企業組織の場合や、当該物件が信託財産である場合、あるいは不動産投信の取引の場合は26 USC§1445を参照。

IRS "FIRPTA Withholding, Withholding of Tax on Dispositions of United States Real Property Interests外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

FIRPTAに基づく源泉徴収について
26 USC§2104PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(156KB)
26 USC§1445PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(150KB)
出所:印刷局(GPO)

政府プロジェクトへの参入制限

助成プログラムにより、外国企業の参画の可否が異なる。外国企業が申請する場合、国内の申請者と同様の登録プロセスを踏む必要があるほか、IRSが発行する法人納税者番号が必要になる場合がある。

Grant Eligibility外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
出所:grants.gov

州による規制

会社法、税制などが州によって異なる上、州法による様々な外国投資の制限が存在する。一般的には、不動産取得(特に農地取得)、銀行業、保険業などに関する規制がある。

税制上の規制

  1. 外資系企業に対する内国歳入庁への報告義務および記録保管義務
    外国資本が25%以上の米国法人などは、税法上の理由から、外国の関連会社との取引について内国歳入庁に報告し、また、取引関係の記録を保管することが義務付けられている。報告や記録保管の方法に関しては極めて詳細な手続きが定められており、規則違反に対しては厳しい罰則が適用される。
  2. デミニミス条項
    米国の課税対象とならない外国の関連会社に対する金利の支払い、および外国の関連会社の債務保証を得ているローンの金利支払いに関する控除額を制限している。

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