日本からの輸出に関する制度

コメ・米粉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するコメのHSコード

1006:コメ
1102.90:米粉等

具体的な製品の内容によって異なる場合があるため、詳細は必ず確認してください。

米国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2025年7月

これまで米国は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県単位での輸入停止措置を講じていましたが、2021年9月22日に撤廃され輸出が可能となりました。

米国は、輸入される食品に対し、米国の食品安全基準やラベル規制などに準拠していることを求めており、また、米国側で通関の際には、無作為にサンプル検査などを課しています。輸入警告(インポートアラート)は米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)のウェブサイトで公開されています。その内容は頻繁にアップデートされているため、注意が必要です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2025年7月

米国へのコメの輸出に際し、食用の精米や玄米に関しては、日本での輸出検査は不要で、米国農務省(USDA)の輸入許可証も不要です。しかし、稲わらやもみ殻など病原体を含んでいる可能性があるものは日本での輸出検査と米国農務省(USDA)の輸入許可証を必要とします。また、精米や玄米の輸入要件として、1クオーツ(約1.137リットル)のサンプルに汚染された外皮(全粒子を含む)が28粒未満であることを満たす必要があり、これを満たさないと輸入を拒否されます。輸入が可能なコメの種類およびそれに関する規則(輸入許可証の要否など)は、動植物検疫局(APHIS)のウェブサイト上のデータベース(ACIR:農産物輸入要件)で確認することができます。

米粉の輸出に際しては、日本での輸出検査、米国農務省(USDA)の輸入許可証も不要です。

農林水産省では、販売などの目的でコメを輸出する場合には、食糧法の規定に基づき、事前に地方農政局などへ輸出数量の届け出を義務付けています。コメ加工品(米粉など)は届け出の必要はありません。
届け出を行わない、虚偽の届け出によりコメを輸出した場合には、20万円以下の過料に処せられるため注意が必要です。届出の方法など詳細は関連リンクの「米麦等を輸出される方へ」(農林水産省)を確認してください。

コメ・米粉の輸入にあたっては、バイオテロ法により米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)への食品施設登録と事前通知も必要になります。

【FDA食品施設登録】

米国内でヒトや動物の消費に供するための食品を製造・加工・梱包・保管する米国内外の施設の所有者、経営者または代理人は、FDAに食品施設を登録することを義務付けられています。また、食品安全強化法第102条により、登録は偶数年の10月1日から12月31日の間に更新することが義務付けられています。食品施設登録はFDA業界用システム(FDA Industry Systems)からオンラインで行うことができます。

コメの収穫、梱包、保管を行う「農場」は、FDAへの食品施設登録の対象ではありませんが、精米などを行う製造/加工、梱包、保管施設は、FDAへの食品施設登録が必要となります。FDAにおける、「農場」「農場混合型施設」および「食品の製造/加工、梱包、保管施設」の定義の詳細は、「農場および施設のための収穫、梱包、保管または製造/加工 の作業分類:産業界向けガイダンス案」を確認してください。

登録の方法などについては関連リンクの「バイオテロ法に関する情報(FDA食品施設登録・事前通知)」(ジェトロ)を参照してください。

【FDA向け事前通知】

食品の到着までに事前通知を提出する必要があります(連邦規則集第21条第1.279(c)条:21 CFR 1.279(c))。事前通知は、必要な情報を持っている者であれば、誰でも行うことができます。また、輸入申告にて提出する情報はFDAに事前通知として提供されます。米国国土安全保障省税関・国境取締局(CBP)のシステム(ABI/ACS)を通じて提出する場合は到着予定日の30日前から、FDAの輸入食品事前通知システム(PNSI)を通じて提出する場合は到着予定日の15日前から行うことができます。航空輸送の場合は食品の到着の4時間前、海上輸送の場合は食品到着の8時間前までに、事前通知を提出する必要があります。(連邦規則集第21巻第1.279(c)条:21 CFR Part1.279(c))

関連リンク

関係省庁
米国農務省・動植物検査課(APHIS) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国国土安全保障省・税関国境取締局(CBP)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省(USDA)日本事務所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省・植物防疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
第7巻パート319(7CFR Part319)「外国検疫通知」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
バイオテロ法(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(401KB)
21CFR§1.279「いつ FDA に事前通知を提出する必要があるか?」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(186KB)
その他参考情報
輸入許可の申請(Apply for a Permit:フォームPPQ Form 587)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(127 KB)
米国に輸入できるコメ等の農産物輸入要件データベース(ACIR)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
植物防疫・検疫プログラム許可サービス顧客サポート(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品施設登録(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
FDA業界用システム(FDA Industry Systems)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品施設登録ユーザーガイド: 登録の段階的な手順(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます仮訳PDFファイル(1.0MB)
事前通知(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ACS/ABIが運用されていない際の、輸入食品に関するFDAへの事前通知の提出(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
業界向けガイダンス: 輸入食品出荷の事前通知について知っておくべきこと(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
バイオテロ法に関する情報(FDA食品施設登録・事前通知)
2024年度 米国の食品安全・輸入関連制度の解説(2025年2月)PDFファイル(2.5MB)
農場および施設のための収穫、梱包、保管または製造/加工 の作業分類:産業界向けガイダンス案(仮訳)PDFファイル(917KB)
農林水産省 米麦等を輸出される方へ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国 検疫条件一覧表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
諸外国に植物等を輸出する場合の検疫条件一覧PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(469KB)
令和5年度版日本産コメ・コメ加工品輸出ハンドブック(一般社団法人 全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2025年7月

日本からのコメの輸出に際し、食用の精米や玄米に関しては、日本での植物検疫は不要です。また米粉の輸出に際しても、日本での植物検疫は不要です。

一方で、米国に輸入されるコメおよび米粉については、すべて(バスマティ米、玄米、ワイルドライス、精米など)が米国農務省(US Department of Agriculture:USDA)・動植物検査局(Animal and Plant Health Inspection Service:APHIS)の検査の対象となります。コメの輸入に関する情報は、関連リンクのAPHISウェブサイト上のデータベース(ACIR:農産物輸入要件)を参照してください。ACIRデータベースでの精米・玄米は「Milled, Uncooked Rice Products」のカテゴリーです。

米国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2025年7月

コメの食品規格は、製品ごとに連邦規則集に規定されています。精米は7 CFR Part 868.301、加工用玄米は7 CFR Part 868.251に規定されています。

精米の定義は、連邦規則集7 CFR Part 868.301によると、殻および少なくとも外側のぬか層が除去されており、種子、もみ、または異物の含有率が単独、または組み合わせで、10.0%以下である、米の全粒または割れ粒であることが指定されています。

加工用玄米の定義は、連邦規則集7 CFR Part 868.251によると、玄米の穀粒が50.0%より多い米(Oryza sativa L.)で、精米に加工することを意図しているものであることが指定されています。
米粉の食品規格は定められていないものとみられます。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2025年7月

コメおよび米粉に関する米国における農薬の規制は環境保護庁(EPA)と食品医薬品局(FDA)が管轄しています。EPAは農薬の種類と最大残留農薬限度(MRL)の承認と登録、FDAは食品においてEPAが設定した規制を執行する役割を担っています。

EPAは、農薬成分および未加工の農産物ごとに残留農薬の許容量を設定(ポジティブリスト制)しており、米国に輸入されるコメは、その基準を満たしていなければなりません。なお、一部の農薬成分については、人体に安全だとして許容量の設定を免除しているものもあります。残留農薬の許容量に関する詳細は、関連リンクの「その他参考情報」にある農林水産省の「諸外国における残留農薬基準値に関する情報」や連邦規則集第40巻第180条(40CFR Part180)で確認してください。連邦規則集での確認方法はEPAのウェブサイト「残留農薬許容量情報(Part 180)の索引」を参照してください。

また、許容量を超えて農薬成分が残留しているコメ、およびEPAが残留農薬の許容量設定も免除も行っていない農薬成分が残留しているコメは、米国に輸入することができないため、日本から米国向けのコメ輸出にあたっては、農薬の使用可否、そして残留する農薬の許容値について事前に確認しておく必要があります。

米粉については、原料のコメに許容量が設定されている農薬成分が残留している場合には、次の3つの条件をすべて満たさなければなりません。(1)加工前のコメにおける残留農薬が許容量を超えていない。(2)現行適正製造規範(CGMPs)に基づく製造が行われ、残留農薬が可能なかぎり取り除かれている。(3)加工後の米粉の残留農薬が、原料のコメにおける許容量を超えていない。

なお、2021年8月にEPAは、クロルピリホスの残留農薬基準値を取り消す最終規則を公表し、2022年2月28日にすべての食品におけるクロルピリホスの残留基準値を取り消しましたが、2024年2月5日、クロルピリホスの基準値を取り消す最終規則を無効とする改正を行いました。その後、2024年12月、EPAは11種類の食品および飼料作物(アルファルファ、リンゴ、アスパラガス、チェリー、柑橘類、綿花、桃、大豆、イチゴ、テンサイ、小麦(春小麦と冬小麦))を除くクロルピリホスのすべての許容値を撤回する規則案を発表するなど、現在も本件について検討中です。従って、輸出前には最新情報を確認してください。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2025年7月

食品に含まれる有毒および有害な物質の許容量は、食品医薬品化粧品(FD&C)法第406条に基づく規則で定められています。現在、FDAが規則で食品に関して暫定残留許容濃度を定めている物質はポリ塩化ビフェニル類(PCB類)のみで(連邦規則集第21巻第109.30条:21CFR Part109.30)、紙製の食品包装材のPCBの残留物に対する暫定的な許容量は10ppmとなっています。一方で、ヒ素および有害重金属などの汚染に関する規制については、総括的な法的水準は決められていないのが現状です。それぞれの有毒・有害物質が長期的に健康に与える影響は不明確とし、有害な物質の含有は避けることが望ましいとされています。

なお、コメを栽培する田圃の汚染により、コメに蓄積されるヒ素の含有量についての問題が頻繁に取り上げられていますが、現状、連邦レベルでFDAがヒ素の含有許容量について規制を設けているのは乳児用ライスシリアルについてのみとなっています。

一方で、ヒ素はカリフォルニア州のプロポジション 65(安全飲料水および有害物質施行法)の有害化学物質リストに載っており、規制の対象となります。ヒ素は発がん性があるとされ、NSRL(No Significant Risk Level:有意なリスクがないレベル)は1日あたり10µgまでとなっています。

1. 有毒・有害物質の欠陥対策レベル

FDAは、有毒・有害物質に関する欠陥対策レベルをガイダンス「ヒト向け食品および動物飼料に含まれる有毒・有害物質に関する対策レベル」として2000年に発行しています。同ガイダンスでは、19種類の有毒・有害物質について、食品と飼料の品目別に対策レベルの値(ppmなど)が設定されています。各物質の欠陥対策レベルの値は食品によって異なりますが、同ガイダンスでは、ヘプタクロルおよびヘプタクロルエポキシド(殺虫剤の一種)について、コメにおいては0.3ppmと設定しています。また、リンデン(農業用殺虫剤の一種)について、コメにおいては0.1ppmと設定しています。これらの対策レベルについては、FDAの化学物質汚染物質透明性ツールでも確認することができます。

なお、このガイダンスには規則のような法的拘束力はありませんが、FDAが法的措置を発動するかどうかを決定する際の基準と位置付けられています。従って、有毒・有害物質の含有量が欠陥対策レベルを下回っている必要があります。

2. トータルダイエットスタディに基づく参考指標

米国では、1991年からさまざまな食品に含まれる物質(ヒ素および有害重金属などを含む)のトータルダイエットスタディ(Total Diet Study:TDS)が実施されており、FDAのウェブサイト上で結果が公開されています。これは法的に設定された許容量や基準値ではありませんが、米国で消費されているさまざまな食品中におけるヒ素や有害重金属などの含有量について、最小値、最大値、平均値などを知ることができるため、参考指標として有効利用することができます。

公表されている直近データは、2018年から2020年に実施されたサンプリングによるもので、次のような結果となっています。ここでは、白米(栄養分添加、調理済み)と玄米(調理済み)の例を取り上げます。

白米(栄養分添加、調理済み)に含まれるヒ素および有害重金属等の参考指標(単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 20 75 45
カドミウム 3 23 7
500 1,100 702
検出なし 検出なし
マンガン 2,200 5,100 3,370
亜鉛 2,900 5,500 4,563
玄米(調理済み)に含まれるヒ素および有害重金属等の参考指標(単位:ppb)
名称 最小値 最大値 平均値
ヒ素 49 88 64
カドミウム 2 17 8
670 1,400 969
検出なし 検出なし
マンガン 6,200 12,000 9,048
亜鉛 4,200 8,800 6,481

3. その他

米国では連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

一般的に、カリフォルニア州は、全米で最も食品に対する規制が厳しいとされています。具体的には、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法:Prop.65)の警告表示にかかわる改正で、2018年8月30日以降は、警告文に有害物質名を少なくとも一種類表示し、その物質を’含む(contains)’ではなく、有害物質にさらされる(can expose you to)’という表現にする、インターネットでの販売にも該当する製品には警告文の表示をすることが義務付けられました。

2024年12月6日には、短縮形警告要件を最終決定し、次の例のように、警告文に少なくとも1つの化学物質名を含めることを義務付けました。なお、短縮形警告ではない、通常の警告表示については、変更点は特にありません。

例:
”[the warning symbol] WARNING: Cancer risk from exposure to [name of chemical]. See www.P65Warnings.ca.gov”
”[警告記号] 警告: [化学物質名]への暴露による発がんリスク。 www.P65Warnings.ca.gov”を参照してください。

さらに、オンラインやカタログを通じて製品を販売する事業者に対する警告要件についても明確化され、インターネットでの販売については、要件を満たす警告を記載し、次のいずれかの方法を用いて提示することになりました。

  • 製品表示ページに警告文を記載
  • 製品表示ページ上に「WARNING」または「CA WARNING」もしくは「CALIFORNIA WARNING」という単語を用いて警告文に繋がるハイパーリンクを明示
  • 購入者が購入を完了する前に、警告文をその他の方法で目立つように表示

なお、製品に関する消費者への情報が英語以外の言語で含まれている場合、Prop.65の警告は、英語に加えて、その言語でも記載することが必要です。

Prop.65の有害物質リストは1,000種類以上に及び、年に2~3回はリストの内容が更新されます。例えば、ビスフェノールS(BPS)は、2023年に女性の生殖毒性に関するProp.65のリストに追加され、2025年1月には男性の生殖毒性に関するProp.65のリストに追加されました。また、酢酸ビニルは、2025年1月に発がん性物質としてProp.65のリストに追加され、2026年1月から警告義務が発効します。確認の際には必ず直近のリストを参照してください。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国カリフォルニア州環境保護庁有害物質管理局(OEHHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
産業界向けガイダンス: ヒト用食品および動物用飼料中の毒物または劇物に関する対策レベルについて(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
コメおよびコメ製品に含まれるヒ素 リスク評価レポート(2016年3月)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(8.2MB)
ヒ素への暴露を制限するためにできること(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
産業界向けガイダンス: ヒト用食品および動物用飼料中の毒物または劇物に関する対策レベルについて(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
化学物質汚染物質透明性ツール(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法):ヒ素(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
トータルダイエットスタディ(Total Diet Study) 分析結果 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
化学物質、金属、天然毒素、農薬に関するガイダンス文書と規制(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品中の環境汚染物質(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法):Prop. 65 Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国におけるヒ素および有害重金属等の規制に関する情報(2016年2月)
2024年度 米国の食品安全・輸入関連制度の解説(2025年2月)PDFファイル(2.5MB)
よくある質問​:米国カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法)PDFファイル(193KB)

4. 食品添加物

調査時点:2025年7月

米国に輸入される食品に含まれる食品添加物に関する規制は、合衆国法典第21巻第348条(21U.S.C.348)Food Additives(食品添加物)に基づいて行われています。食品添加物の定義は、合衆国法典第21巻第321条(21U.S.C.321)により規定されており、意図的に使用することにより、直接的または間接的に食品の成分となる、またはなりうる物質、あるいは、食品の性質に影響を及ぼす、または及ぼし得る物質を、食品添加物としています。食品に対して直接または間接に使用が認められている食品添加物やそれにかかわる規則は、米国連邦規則集第21巻第170条から第189条(21CFR Part170-189)に列挙されています。

使用可能な食品添加物のリストについては、関連リンクの「使用が許可されている着色料一覧」および「食品に添加される物質」から確認することが可能です。米国において新規の食品添加物を使用する場合には、食品添加物申請(Food Additive Petition:FAP) をFDAに申請し事前許可を得る、またはGRAS(Generally Recognized As Safe:一般に安全と認められる物質)とFDAが合意する必要があります。

なお、製造/加工、梱包、包装、保管または輸送に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質とよび、食品添加物として定義しています。食品接触物質に関する情報は、後述の「5.食品包装規制」の項目を参照してください。

着色料に関する規制は、合衆国法典第21巻第379条e(21USC379e)に基づいて行われています。使用することができる着色料は、日本で許可されているものとは異なるため、FDAウェブサイト上の「使用が許可されている着色料一覧(Color Additive Status List)」と「米国連邦規則集第21巻第70条から82条(21CFR Part70-82)」を確認してください。

特に、赤色102号については日本をはじめEUやアジアの主要国では着色料として使用が認められていますが、米国では認められていません。また、ベニバナ、ベニコウジも日本では古くから着色料として使用されていますが、米国では使用することはできません。

カリフォルニア州では、発がん性など健康を損なうリスクが大きいとされる4種類の食品添加物を用いた食品製造や使用、販売を禁止するカリフォルニア州食品安全法案418号が2023年10月に成立しました。規制対象となっているのは、臭素化植物油(BVO)、臭素酸カリウム、プロピルパラベン、および赤色3号で、2027年1月1日以降、これらの添加物を含む加工食品をカリフォルニア州で製造、販売(カリフォルニア州への輸入を含む。)することが禁止されます。違反した個人や団体は、初回5,000ドル以下、2回目以降は1万ドル以下の罰金が科されます。

2024年7月3日に、FDAは食品へのBVOの使用を許可する規制を撤回する最終規則を定め、2024年8月2日に発効されました。この規則の適用日は発効日から1年後となっています。

2025年1月、FDAは食品への赤色3号の使用許可を取り消しました。食品に赤色3号を使用する製造業者は2027年1月15日までに、製品を調製し直す必要があります。

2025年4月には、保健福祉省とFDAが、米国内の食品供給における石油由来の合成着色料の段階的廃止を発表しました。主な具体的措置は次のとおりです。

  • 数カ月以内に、シトラスレッドNo.2とオレンジBの2種類について、認可を取り消す手続きを開始
  • FD&CグリーンNo.3(日本名 緑色3号)、FD&CレッドNo.40(日本名 赤色40号)、FD&CイエローNo.5(日本名 黄色4号)、FD&CイエローNo.6(日本名 黄色5号)、FD&CブルーNo.1(日本名 青色1号)、FD&CブルーNo.2(日本名 青色2号)を2026年末までに食品供給から排除

合成着色料の廃止に関連して、2025年5月に、FDAは3種類の天然由来の食品着色料(ガルディエリア、バタフライピー、リン酸カルシウム)を承認しました。

なお、米国では連邦レベルより州レベルでさらに厳しい規制を設けている場合があるため、詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
第21巻321条(21.U.S.C.321)「定義」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻348条(21.U.S.C.348)「食品添加物」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻379e条(21.U.S.C.379e)「着色料に関する規定」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻パート70~82(21CFR Part70-82)「着色料に関する規定」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻パート170~189(21CFR Part170-189)「食品添加物に関する規定」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
カリフォルニア州下院法案418 食品安全(AB-418 Food product safety) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
食品添加物に関する情報(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
FAP(動物用食品添加物申請)に関する情報(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品添加物申請(FAP)提出フォーム(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(" Petition Guidance"内、"Food Additive Petition Submission"参照。)
GRAS通知に関するページ (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
使用が許可されている着色料一覧(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に添加される物質(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
臭素化植物油(BVO)について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
FD&C 赤色3号(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
保健福祉省とFDA、米国内の食品供給における石油由来合成着色料の段階的廃止を発表(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
FDA、天然由来の食品着色料3種類を承認(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品添加物規制調査 米国(2016年3月)
2024年度 米国の食品安全・輸入関連制度の解説(2025年2月)PDFファイル(2.5MB)
令和5年度版日本産コメ・コメ加工品輸出ハンドブック(一般社団法人 全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.5MB)

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2025年7月

食品の製造、梱包、包装、輸送または保管に用いられる資材を構成している物質であって、食品の性質に技術的な影響を与えないものを食品接触物質(Food Contact Substances:FCS)といいます〔食品医薬品化粧品法第 409 条(h)(6)、合衆国法典 21U.S.C.348(h)(6)〕。FDAは、食品接触物質を間接添加物(Indirect additive)として、食品添加物として定義しています。なお、包装などの資材を構成している成分が溶出し食品に移行するかどうかを確認する責任は、資材の製造業者が負うことになります。

食品接触物質は、FDA 規則に合致している物質(次の1を参照)でない場合は、FDA への食品接触物質通知(次の2を参照)が必要です。

1. 食品接触物質の規制の適合確認

次の規則にあてはまらない食品接触物質は、FDA への食品接触物質通知をしなければなりません。

  • 間接添加物(連邦規則集 21CFR Part174~179)
  • GRAS(連邦規則集 21CFR Part182,184,186)
  • 1958年以前に容認されている物質(Prior Sanctioned Material, 連邦規則集 21CFR Part181)
  • 規制の適用除外になる物質(Threshold of Regulation Exemption, 連邦規則集 21 CFR Part 170.39)

2. FDAへの食品接触物質通知(Food Contact Substance Notification)

食品接触物質の製造業者あるいは供給業者は、市販の 120 日以上前にその物質の情報をFDA に通知しなければなりません(連邦規則集第21巻第170.100条: 21CFR Part170.100)。通知から120日の間に FDA から異議申し出がない場合はその通知が有効となり、食品接触物質の使用が合法となります(連邦規則集第21巻第170.104条: 21CFR Part170.104)。ただし、食品接触物質通知は、申請した製造業者に対して有効となるものであるため、同じ物質であっても申請した製造業者以外の製造業者には、通知の効果は及びません。提出方法および提出先については関連リンクを参照してください。

2024年3月、FDAは、食品接触物質通知が無効であるとFDAが判断する方法と時期に関する規則(21CFR170.105および21CFR170.102)を改正する最終規則を発表しました。この最終規則が発表される前は、FDA は安全性の懸念に基づいてのみ、食品接触物質通知がもはや有効ではないと判断することができましたが、今回の改正により、FDAが安全性以外の理由で、食品接触物質通知が無効であると判断できるようになりました。安全性以外の理由とは、例えば製造業者が、その食品接触物質通知の物質を製造、供給、または使用しなくなった場合、食品接触物質通知の認可がほかの認可と重複した場合 (例えば、食品接触物質の使用が食品添加物規制によって既に認可されている場合、または発行された規制免除の閾値の対象である場合など) にFDAは食品接触物質通知が無効であると判断し、宣言することができます。最終規則では、安全性の懸念に基づいて認可を取り消すFDAの権限も、引き続き維持されており、一方、FDAが無効であると判断する前に、企業からFDAに関連情報を提出することも可能です。FDAは、規則改訂を通じて食品接触物質の管理プロセスをより効率的にすることが、食品化学物質の安全性を強化するアプローチの一部であるとしています。食品接触物質通知が有効であるかどうかは、FDAの有効な食品接触物質通知一覧から確認することができます。

3. PFAS

PFASとは、ペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質と呼ばれる化学物質の総称で、非粘着性および潤滑性、耐油性、耐水性に優れた特性により調理器具、食品包装、および食品加工において使用されています。FDAは食品接触物質として長鎖PFASを2011年に禁止しましたが、短鎖PFASは許可してきました。しかし、FDAは、6:2フルオロテロマーアルコール(6:2 FTOH)を含む短鎖PFASの安全性に関しても懸念し、規制の変更措置を取りはじめています。

2024年2月、FDAは、PFASを含むすべての防油剤の米国での販売を中止すると発表しました。また、2025年1月には、紙および板紙製の食品包装に防油剤として使用されているPFAS含有食品接触物質に関連する35件の食品接触通知(FCN)が無効になることを発表し、2025年1月6日以前に製造、供給、または使用された特定の紙製食品包装については、適用日が2025年6月30日と設定されました。これにより、以前は認可されていた、油や水の漏れを防ぐために紙や板紙の包装に塗布される耐油コーティングに使用される食品接触物質が使用できなくなりました。

また、FDAは、輸入警告#99-48有害な化学物質(PFASなど)を含む製品の物理的検査なし拘留により、PFASを高い濃度で含む製品の入国を拒否しています。

また、連邦レベルにおける動きだけでなく、ワシントン州、ニューヨーク州、カリフォルニア州などいくつかの州では、既に食品包装用途だけでなく、その他のPFASの使用も禁止していますので注意が必要です。

4. フタル酸エステル類

FDAは、可塑剤、接着剤、消泡剤、表面潤滑剤、樹脂、および殺ダニ剤として使用される23種類のフタル酸エステルと、ほかの2つの物質の食品接触使用許可を取り消しました。この措置により、これらのフタル酸エステルは、第21巻第175条から第178条:21CFR Part175-178によって認可された物質のリストから削除され、食品接触用途ではフタル酸エステルの使用は残り9つに制限されます。このうち8つは可塑剤としての使用が許可され、1つはモノマーとしての使用が許可されています。

連邦レベルのFDAのみならず、複数の州において、立法会議でフタル酸エステル類の使用を制限する法案を検討しています。メイン州やバーモント州では、意図的に添加されたフタル酸エステル類を含む食品包装の販売が禁止されているなど注意が必要です。

5. 食品包装用リサイクルプラスチック

米国では、プラスチックを含む使用済みリサイクル(PCR: post-consumer recycled)材料の使用を増やすことに重点が置かれています。一方で、食品接触用品におけるPCRプラスチック材料の使用に関するFDAの主な安全上の懸念は、次の3点です。

  1. PCR材料中の汚染物質がリサイクル材料から作られた最終的な食品接触用品に出現することで食品に移行する可能性があること
  2. PCR材料は食品接触用途として規制されていない可能性があること
  3. PCRプラスチック中のアジュバント(添加剤・補助物質)は食品接触用途としての規制を順守していない可能性があること

リサイクルプラスチックから作られた食品接触用品の製造業者は、未使用の材料と同様に、リサイクルされた材料が意図された用途に適した純度であり、未使用の材料のすべての既存の仕様を満たすことを保証する責任があります。従って、リサイクルポリマーに新規添加物を使用する場合、あるいは未使用ポリマーに現在許可されている添加物の量を超えて認可された添加物を使用する場合は、食品接触物質通知(FCN)または食品添加物申請(FAP)が必要です。FDAは、食品包装材メーカーがPCRプラスチックを食品包装材に使用するための工程を評価する際の参考として「産業界向けガイダンス - 食品包装における再生プラスチックの使用:化学上の検討事項(Guidance for Industry - Use of Recycled Plastics in Food Packaging: Chemistry Considerations)」を作成しています。また、FDA は食品接触用品の製造に使用されるPCRプラスチックを製造するための特定のプロセスの適合性に関して肯定的な意見を出した申請リストを公開しています。

ギャビン・ニューサム知事が2020年9月24日に議会法案793(AB793)に署名したことにより、カリフォルニア州は、プラスチック飲料容器に使用される再生プラスチックの最低限割合(%)を義務付ける米国初の州となりました。
この州法により、カリフォルニア州では2022年から、州の容器回収プログラムの対象となるすべてのプラスチック飲料容器に、少なくとも15%の再生プラスチックの使用を義務付けています。必要な再生プラスチックの割合は、2025年には25%、2030年には50%に増加します。
また、最低要件を満たさない飲料製造業者は、目標量に満たない再生プラスチック1ポンド(454g)につき 20セントの罰金を科されます。

報告義務と報告義務適用業者

  • プラスチック材料の回収業者は、収集および販売した空のプラスチック飲料容器を報告する必要があります。
  • 使用済みリサイクル プラスチックを再生する業者は、食品用およびボトル用のプラスチック材料の販売量を報告する必要があります。
  • 飲料製造業者は、前暦年に州内で販売されたCRV(the California Refund Value:カリフォルニア州償還価値)の対象となるプラスチック飲料容器に使用したバージンプラスチックおよび再生プラスチックの量をポンド単位で、樹脂の種類別に報告する必要があります。

* 2023年1月1日より、要件を満たさない飲料製造業者は行政罰則の対象となり、違反に対する罰則は2024年3月1日より適用されています。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
第21巻第170条(21CFR Part170)「食品添加物」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻第174条(21CFR Part174)「間接食品添加物:一般」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻第175条(21CFR175)「間接食品添加物: 接着およびコーティングの成分」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻第176条(21CFR Part176)「間接食品添加物:紙およびボール紙の成分」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻第177条(21CFR Part177)「間接食品添加物:ポリマー」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻第178条(21CFR Part178)「間接食品添加物: 補助剤、生産補助具、殺菌剤」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻第179条(21CFR Part179)「食品の製造、処理、取扱いにおける放射線照射」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻第181条(21CFR Part181)「事前に容認された食品成分」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻第182条(21CFR Part182)「一般的に安全と認識される物質」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻第184条(21CFR Part184)「一般に安全と確定された直接食品物質」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻第186条(21CFR Part186)「一般に安全と確定された間接食品物質」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻パート348(h)(21USC Part348(h))「食品接触物質に関する通知」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
カリフォルニア州下院法案793 リサイクル: プラスチック飲料容器(AB-793 Recycling: plastic beverage containers: minimum recycled content) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
包装および食品接触物質(FCS)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品接触物質(FCS)通知の提出方法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
FDA3480の記載要領(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(318KB)
21 CFRに記載されている食品接触物質の(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
FDA、食品接触物質通知が無効であるとする手続きと理由の改正する最終規則を発表(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
有効な食品接触物質 (FCS)通知一覧(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
PFASについて(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品包装に使用される特定のPFASの産業界による自主的な段階的削減に関する情報(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品からのPFASへの曝露を理解し削減するためのFDAの継続的な取り組みに関する最新情報(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
FDA、業界団体が米国の食品包装に使用されるPFASの販売を終了(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
FDA、PFASに関連する35件の食品接触通知の認可がもはや有効ではないと決定(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品包装材および食品接触用途のフタル酸エステル類(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品包装におけるリサイクルプラスチック(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品接触物品用の使用済みリサイクル (PCR) プラスチックに関する申請のリスト(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
飲料メーカー向けの、プラスチック最小含有量基準および報告(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
再生材料における情報伝達の取扱いについてPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(472KB)
食品添加物規制調査 米国(2016年3月)PDFファイル(472KB)
2024年度 米国の食品安全・輸入関連制度の解説(2025年2月)PDFファイル(2.5MB)
令和5年度版日本産コメ・コメ加工品輸出ハンドブック(一般社団法人 全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.5MB)
食品輸出にかかる食品接触材規則と留意点:米国(貿易・投資相談Q&A)
海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)(2020年3月)

6. ラベル表示

調査時点:2025年7月

コメ・米粉のラベル表示は、公正な包装および表示法(Fair Packaging and Labeling Act)により規制されています。コメ・米粉を商業目的で米国に輸入するには、米国税関・国境取締局(CBP)およびFDAが定める表示を行わなければなりません。
条件によっては表示義務が免除されますが、一般的に表示しなければならない項目は次のとおりです。表示は英語で行わなければなりません。詳しくは、関連リンクの「食品表示ガイド」(FDA)で確認してください。

主要表示パネル:PDP(Principal Display Panel)
  1. 食品名称 / 識別事項
  2. 内容量・正味重量
情報パネル:IP(Information Panel)
  1. 原材料名〔未加工のコメの場合は必要なし。ただし、2種類以上の原材料(添加物を含む)が使用されている場合は、それぞれの名称を表示しなければなりません。また、アレルゲン(アレルギー原因物質)を含む場合は、その名称を表示しなければなりません。表示が義務付けられているアレルゲンは乳、卵、魚類(例えば、ヒラメ、タラ)、甲殻類(例えば、カニ、ロブスター、エビ)、木の実類(例えば、アーモンド、クルミ、ピーカン)、ピーナツ、小麦、大豆およびゴマの9種類です。魚類、甲殻類、木の実類については、その種類も明記する必要があります。〕
  2. 栄養成分(輸入後に加工、再包装されるコメには表示の義務はありません。21CFR101.(j)(9))
  3. 製造業者、梱包業者、販売業者のいずれかの名称と住所
  4. 警告および取り扱い上の注意
  5. 原産国

なお、4.栄養成分表示について、2016年7月26日に改正法が施行されました。改正のポイントは次のとおりです。

  • 消費者に見てほしいサービングサイズやエネルギー量(カロリー)の文字をより大きく太字にして強調。
  • 栄養素表示に”added sugars(添加糖類)”を新たに追加。
  • ビタミンA、ビタミンCの代わりにビタミンDとカリウムの表示を追加。

(注1)2025年1月、FDA は、「業界向けガイダンス:食品アレルゲン表示に関する質問と回答(第 5 版)」を発行しており、食品アレルゲン表示が必要な木の実のリストを従来の23種類から、12種類に減少させることとしました。なお、今後も継続して食品アレルゲン表示が必要となっている12種類の木の実のリストは次のとおりです。
アーモンド、黒クルミ、クルミ(日本語名は西洋グルミまたはペルシャグルミ)、ブラジルナッツ、カリフォルニアクルミ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ハートナッツ(日本クルミ)、マカダミアナッツ、ピーカンナッツ、松の実(パインナッツ)、ピスタチオ
(注2)ピーナツは引き続き主要アレルゲンの一つでアレルゲン表示が必要ですが、ピーナツの分類は「木の実類」ではなく、「豆類」であるため、12種類の木の実のリストには含まれません。

また、全米バイオ工学食品情報開示基準(National Bioengineered Food Disclosure Standard : NBFDS)により、いわゆる遺伝子組換え食品の情報開示が義務付けられています。米国農務省(USDA)の農産物マーケティング局(AMS)は、バイオ工学(BE:bioengineered)の技法を用いて生産されうる穀物・食品、つまりNBFDSの対象となるBE食品リストを作成しています。このリストは、BE食品の研究開発の進展により今後さらに追加・更新される可能性がありますが、2025年7月時点のリストには表示規制対象のBE食品としてりんご(アークティック種)、キャノーラ、トウモロコシ、パパイヤ(リングスポット抗ウイルス性)、パイナップル、大豆、テンサイなどが含まれており、バイオ工学技術を用いて作られた品種を原材料に使用している場合には開示義務があります。AMSのBE食品リストにコメは含まれておらず、NBFDSによる情報開示義務の対象にもなっていません。

2024年12月にFDAは、消費者が健康的な食品を特定できるように、「ヘルシー」と表記できる食品の定義を更新しました。食品が次の2つの基準を満たす場合、製造業者は食品パッケージに「ヘルシー」と表示することができます。適用日は2028年2月25日となっていますが、公表後、この新しい定義による表示をすぐに適用することができます。

  • 食事ガイドラインで推奨されている食品グループやサブグループ(果物、野菜、無脂肪乳製品、低脂肪乳製品、赤肉や魚などのたんぱく質製品など)の少なくとも1つの食品カテゴリーを一定量含むこと
  • 飽和脂肪、ナトリウム、添加糖類などの栄養素について、指定された使用制限を守っていること

また、2025年1月にFDAは、食品のパッケージ前面(FOP)に栄養表示を義務付けることを提案しました。提案されているFOP栄養表示は「栄養情報ボックス」と呼ばれ、食品1食分に含まれる3つの栄養素(飽和脂肪、ナトリウム、添加糖)の相対量を説明し、消費者が食品を購入、使用する際にすぐに目に入るように、パッケージの前面に表示されます。提案された規則が決定し、発効された場合、食品の年間売上高が1,000万ドル以上の企業は、最終規則の発効日から3年以内、食品の年間売上高が1,000万ドル未満の企業は、最終規則の発効日から4年以内の対応が求められる、とされています。FDAは、本提案についてのパブリックコメントを収集中で、制定の可否や、タイミングなどについては現状、未定です。

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国税関・国境警備局(CBP)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
第21巻343条(21U.S.C.343)「食品不当表示」 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第19巻134条(19CFR134)「原産地表示」 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻101条(21CFR101)「食品表示」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
食品ラベルに関する情報(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品表示ガイドPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.2MB)
食品アレルゲンについて知っておくべきこと(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
遺伝子組換え食品リスト(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
栄養成分表示の変更について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
栄養成分表示ラベルの変更に関する業界リソース(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
公正な包装および表示法(Fair Packaging and Labeling Act)法 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
バイオ工学食品情報開示基準(BE Disclosure) (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品ラベルにおける「ヘルシー」表示の使用(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
パッケージ前面の栄養成分表示(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品ラベル表示:栄養成分および補助食品表示の改正(仮訳)PDFファイル(810 KB)
米国 順守期限、添加糖類、ビタミンとミネラルの分量表示に関する栄養成分および補助食品のラベル表示についてのQ&A:産業界向けガイダンス(案)(仮訳)PDFファイル(1.4 MB)
2024年度 米国の食品安全・輸入関連制度の解説(2025年2月)PDFファイル(2.5 MB)
加工食品の現地輸入規則および留意点:米国向け輸出
農林水産物・食品輸出支援プラットフォーム(米国)
令和5年度版日本産コメ・コメ加工品輸出ハンドブック(一般社団法人 全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.5MB)

7. その他

調査時点:2025年7月

食品の衛生および安全性

米国に輸入されるコメ・米粉の安全は、FDAが管轄しています。米国にコメ・米粉を輸出する製造/加工、梱包、保管施設は、食品の衛生および安全性を確保することを目的とした現行適正製造規範(Current Good Manufacturing Practice In Manufacturing, Packing or Holding Human Food:CGMP)に従った衛生管理などを行う必要があります。

また、2011年1月に成立した食品安全強化法(Food Safety Modernization Act:FSMA)第103条により、米国で消費される食品を製造/加工、梱包、保管する施設は、危害分析およびリスクに基づく予防管理(Hazard Analysis and Risk Based Preventive Controls)によって、食品安全計画の策定と実施が義務付けられています。

輸入業者は、FSMA第301条により、外国供給業者検証プログラム(Foreign Supplier Verification Program:FSVP)として、輸入食品に対する安全検証活動を実施する必要があります。

さらに、2019年7月以降は、第106条に基づき「意図的な食品不良事故の防止(食品防御)」にも対応する必要があります。

米国食品安全強化法の適用対象や要件などの詳細は、関連リンクの「食品安全強化法(FSMA)に関する情報」(ジェトロ)で確認してください。

なお、未加工の農産物の生産などについては、食品安全強化法第105条(Standards for Produce Safety:農産物の安全性基準)の施行に伴い、農産物安全基準規則(Produce Safety Standard)が制定されています。コメは食用穀類(food grains)として定義され、生で消費されることがないため、同規則の対象である「農産物」の定義には含まれていません。

米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)による食品施設の査察

米国では2011年1月4日、食品安全強化法(FSMA)が成立し、FDAの権限が多岐にわたって強化されました。FSMAの制定により日本企業への影響は、さまざまな点で生じています。特に、同法の第201条に基づき、FDAによる外国の食品関連施設への査察権限が強化され、日本の食品関連施設でもFDAによる査察が実施されるようになりました。さらに、2025年5月6日にFDAは、外国の食品製造施設に対する予告なし査察を拡大する意向を発表しました。そのため、米国で消費される食品の関連施設はFDAからいつ査察が入っても対応ができるように、米国の規則に沿った対応をすることが必要です。

米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)による農場の査察

FDAは2019年春、他国の大規模農場を含む、農産物安全規則の対象となるスプラウト(発芽野菜または新芽野菜)事業以外の大規模農場に対する定期査察を開始しました。また、農産物安全基準規則の対象となるスプラウト事業以外の小規模農場の定期査察を2020年に開始しました。

スプラウトの農場はリスクが高い(サルモネラ菌やリステリア菌など食中毒の原因になる有害細菌が含まれているケースが頻繁にある)ため、それ以前も査察が実施されていましたが、その他の青果物を生育する農場でも、例えば過去に有害細菌が含まれた農産物が出荷された農場やその近くにある農場など、リスクが高いとみなされる米国の農場をはじめとして、州担当部と連携したFDAによる査察が実施されています。

査察では農業用水供給システムの安全性に関する事項や土壌の安全性検査などをはじめ、安全な農産物が生育され出荷できるシステムが導入され安全基準規則が守られていること、または問題点や改善方法についての指導などが実施されています。

2024年5月にFDAは収穫前の農業用水の安全性を高めるための最終規則を発表しました。最終規則では、対象となる農産物の収穫前に農業用水を使用する農場は、少なくとも年に1回、農産物の安全性に影響を及ぼす可能性のある要因を評価し、農業用水査定(アセスメント)の実施を義務付けています。農業用水査定の結果、農業用水が安全でないと判断された場合には、適切な是正措置をとらなければなりません。この規則は、対象農産物(スプラウト類を除く)の収穫前農業用水要件の施行期日について、次のように定めており、2024年7月5日に発効されました。

  • 非常に小規模な農場の場合: 最終規則の発効日から2年9カ月後(2027年4月5日)。
  • 小規模な農場の場合: 最終規則の発効日から1年9カ月後(2026年4月6日)。
  • その他のすべての農場(ただし「非常に小規模な農場」にも該当しない、適用除外される農場を除く)の場合: 最終規則の発効日から9カ月後(2025年4月7日)。

なお、非常に小規模な農場、小規模な農場の定義は次のとおりです。

  • 非常に小規模な農場とは、過去3年間に農場が販売した農産物の平均年間売上高が25,000ドルを超え250,000ドル以下の農場
  • 小規模な農場とは、過去3年間に農場が販売した農産物の平均年間売上高が250,000ドルを超え500,000ドル以下の農場
  • (参考)過去3年間に農場が販売した農産物の平均年間売上高が25,000ドル未満の農場(「非常に小規模な農場」の定義よりさらに小さい農場)については、今回の最終規則の適用から除外

(参考)スプラウト類の収穫前農業用水要件の施行期日

  • 非常に小規模な農場の場合(過去3年間に農場が販売した農産物の平均年間売上高が25,000ドルを超え250,000ドル以下の農場)は2019年1月28日
  • 小規模な農場の場合(過去3年間に農場が販売した農産物の平均年間売上高が250,000ドルを超え500,000ドル以下の農場)は2018年1月26日

その他のすべての農場(ただし「非常に小規模な農場」にも該当しない、適用除外される農場を除く)の場合は、2017年1月26日

関連リンク

関係省庁
米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
第21巻342条(21U.S.C.342)「不良状態の食品」 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻381条(21U.S.C.381)「輸入と輸出」 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
第21巻パート117(21CFR117)「ヒトが摂取する食品に関する現行適正製造規範ならびに危害分析およびリスクに応じた予防管理」 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます仮訳PDFファイル(1.2MB)
バイオテロ法 (英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(402 KB)
第105条「農産物安全基準」 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(SEC. 303. AUTHORITY TO REQUIRE IMPORT CERTIFICATIONS FOR FOOD.を参照)
第303条「食品の輸入証明書提出を義務付ける権限のFDAへの付与」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(SEC. 303. AUTHORITY TO REQUIRE IMPORT CERTIFICATIONS FOR FOOD.を参照)
その他参考情報
食品安全強化法による輸入食品への要求事項に関する情報(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品防御に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
FSMA農産物安全基準 最終規則(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農産物安全の査察(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
収穫前の農業用水に関するFSMA最終規則(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農産物の安全性に関するFSMA最終規則(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品安全強化法(FSMA)に関する情報
バイオテロ法に関する情報(FDA食品施設登録・事前通知)
2012年度 米国食品安全強化法の解説(2012年10月)
2024年度 米国の食品安全・輸入関連制度の解説(2025年2月)PDFファイル(2.5MB)
令和5年度版日本産コメ・コメ加工品輸出ハンドブック(一般社団法人 全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.5MB)

米国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2025年7月

コメの輸入に際し、精米・玄米に関しては、米国農務省(USDA)の輸入許可証は不要ですが、稲わらやもみ殻など病原体を含んでいる可能性があるものは日本での輸出検査とUSDAの輸入許可証を必要とします。ただし、精米・玄米の輸入要件として、1クオーツ(約1.137リットル)のサンプルに汚染された外皮(全粒子を含む)が28粒未満であることを満たす必要があります。輸入が可能なコメの種類およびそれに関する規則 (輸入許可証の要否など)は、動植物検疫局(APHIS)のウェブサイト上のデータベース(ACIR:農産物輸入要件)で確認することができます。

米粉は、日本での輸出検査、米国農務省(USDA)の輸入許可証も不要です。

輸入許可証は食品到着予定日の30日前までに申請することが必要です。輸入許可証は、有効期限まで同一食品の出荷に対して有効であり、許可申請は、食品の出荷のたびにする必要はありません。更新の申請は、有効期限の30日前までに行う必要があります。

さらに、製造/加工、梱包、保管施設は、米国保健福祉省・食品医薬品局(FDA)への食品施設登録と事前通知などが必要になります。

詳細は、「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2025年7月

日本からコメ・米粉を輸入するにあたって、通関に必要な書類は次のとおりです。

通関書類

  1. エントリーマニフェスト(CBP Form 7533)あるいは貨物引き取り申告(CBP Form 3461)、またはポートディレクターが要求する商品の引き取りに必要なその他の書類
  2. 通関権の証明(船荷証券など)
  3. 商業インボイスなど
  4. パッキング・リスト
  5. その他輸入が認められるか否かを判断するために必要な関連資料・情報(エントリーサマリー (CBP Form 7501)、船荷証券(Bill of Lading)、輸入許可証(Form PPQ 587: 植物または植物製品輸入許可申請)、原産地証明書など)
  6. インポート・セキュリティ・ファイリング(Import Security Filing: ISF)。(海上輸送で米国に輸入される貨物は、最後の外国港を出発する24時間前までにISFの申請が必要となります。)

品目によっては輸入許可証を求められることがあります。詳しくは、輸入手続き「1.輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)」を参照してください。

外国供給業者検証プログラム(FSVP)規則の適用対象となる輸入業者は、自身が FDA の要求事項を順守していることを示すための情報として、輸入申告にあたり米国の税関・国境取締局(CBP)の輸入検査システム(ACE)を通じて、固有の施設識別情報(UFI)を提出する必要があります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2025年7月

米国に輸入されるコメおよび米粉については、すべて(バスマティ米、玄米、ワイルドライス、精米など)が米国農務省(US Department of Agriculture:USDA)・動植物検査局(Animal and Plant Health Inspection Service:APHIS)の検査の対象となります。

また、FDAの所管の下にある食品については、バイオテロ法(the Public Health Security and Bioterrorism Preparedness and Response Act of 2002(The Bioterrorism Act))および食品安全強化法などの法律が適用されます。そのため輸入通関地において、FDAによるサンプル検査が行われる場合もあります。詳しくは、輸入規制の「3 .動植物検疫の有無」、食品関連の規制の「2.残留農薬および動物用医薬品」、「3.重金属および汚染物質」を参照してください。

4. 販売許可手続き

調査時点:2025年7月

米国でコメおよび米粉を販売するにあたって必要となる、連邦政府が定める免許や登録はありませんが、一般的に食品の販売には、州、地方自治体が定める免許の取得や事業の登録が必要です。これらは、州、地方自治体が独自に定めており、業態などによって必要となる手続きは異なります。詳しくは、州、地方自治体のウェブサイトで確認してください。

なお、食品を保管する倉庫業、ラベル貼付や再梱包を行う施設は、FDAへの食品施設登録 が必要です。

5. その他

調査時点:2025年7月

なし

その他

調査時点:2025年7月

日本の有機JAS制度との同等性

米国は、日本の有機JAS制度を米国の有機制度と同等と認め、輸出時の手続きについて双方で合意しています。これにより、2014年1月1日から、有機JAS制度による認証を受けた有機農産物などに「organic」などと表示して、米国へ輸出することができます。

2023年1月に、米国農務省の全米有機プログラム(NOP:National Organic Program)が、有機製品の監視を強化し、不正を防止するための規則(Strengthening Organic Enforcement)を最終決定し、2024年3月19日から適用されました。新規則は、米国へ輸入されるすべての有機製品に電子NOP輸入証明書(NOP Import Certificate)の使用を義務付け、有機認証の取得には輸入業者や取引仲介業者を含むより多くのサプライチェーン内の企業の参画を要するなど、有機製品への信頼性強化のために、当局の監視と執行の権限を大幅に強化するものです。

電子NOP輸入証明書は、有機JAS登録認証機関によりOrganic Integrity Database上で発行されます。電子NOP輸入証明書の発行には、有機JASの認証を受けた日本側の生産者などおよびNOPの認証を受けた米国側の輸入業者がOrganic Integrity Databaseに登録されている必要があります(日本側の輸出業者の認証およびOrganic Integrity Databaseへの登録は、現状は必要ありません)。