関税制度

最終更新日:2023年10月24日

管轄官庁

歳入庁、国境サービス庁

歳入庁(Canada Revenue Agency外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

連邦付加価値税や物品税など、各税金制度の執行、徴収を担う機関。

国境サービス庁(Canada Border Services Agency外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

国境通過にかかわるセキュリティ強化、輸入品の関税制度の施行、徴収を担う機関。

関税率問い合わせ先

国境サービス庁国境情報サービス

国境サービス庁(Canada Border Services Agency:CBSA)

国境情報サービス "Contact border information services外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

24時間の自動音声電話サービスによる問い合わせ対応。営業時間内は直接の問い合わせも可能(月曜~金曜:東部標準時午前7時から午後8時、土日祝日:午前10時から午後6時)。
Tel:カナダ国内から:1-800-461-9999
Tel:カナダ国外から:1-204-983-3500, 1-506-636-5064

事前教示制度(Advance Rulings for Tariff Classification

最新情報技術を含む新製品など、関税分類上、どのHS(Harmonized System)コードに属するのか不明な場合、事前教示制度を利用することができる。CBSAは、通常120暦日以内に、該当するHSコードを回答する。

国境サービス庁:関税分類、評価、原産地、表示に関する裁定:申請時の注意点 “Rulings for tariff classification, valuation, origin, and marking: What to expect when applying外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関税体系

複税制。最恵国待遇関税率の他、カナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA)など、FTA締結国向けの特恵税率がある。

関税定率法により、次の分類に基づき税率が定められている。

  1. 最恵国待遇(MFN)関税率
    GATTの調印国に適用される(関税定率法の第30条)。適用国には日本も含まれる。
  2. 一般特恵関税率
    一部の開発途上国向けの特恵関税制度(General Preferential Tariff)は、事前に更新されない限り、2024年12月31日に廃止予定。
  3. 後発開発途上国関税率
    後発開発途上国に適用される関税率で、特定の農産物を除き、無税。事前に更新されない限り、2024年12月31日に廃止予定。

各国・地域に適用される関税率は、次の国境サービス庁ウェブページを参照。
Customs Tariff 2023:List of Countries and Applicable Tariff Treatments外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(参考)関税表、章別一覧 ”Customs Tariff chapter-by-chapter (T2023-6)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

法務省:

品目分類

HS分類

カナダのHSコードの分類は、カナダビジネス開発銀行、カナダ輸出開発公社、カナダグローバル連携省の協力によって開発された以下のデータベースで調べることができる。

カナダ連邦政府:カナダ関税検索 “Canada Tariff Finder外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関税の種類

従価税、従量税、および両者の併用(主として従価税)。

課税基準

従価税は、取引価格をベースとする関税評価。

WTOにおける関税評価協定(WTO’s Customs Valuation Agreement)に基づき、取引価格をベースとする関税評価制度を採用している。関税評価額の決定方法は、関税法第47条から第55条にわたって規定されている(関税法第46条)。

法務省:関税法 "Customs Act外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

対日輸入適用税率

最恵国関税率、TPP11(CPTPP)税率

特恵等特別措置

カナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA)関税、TPP11(CPTPP)税率、カリブ海英連邦諸国に対する無関税譲許など。

詳細は「関税体系」を参照。

関連法

関税法(Customs Act)、関税率法(Customs Tariff)

法務省:

関税以外の諸税

国境サービス庁が、関係官庁に代わって徴収する諸税として、連邦物品サービス税、物品税、特別物品税、州売上税、統一売上税、アンチ・ダンピング税がある。

関税以外に、国境サービス庁が他の官庁に代わって徴収する諸税は次のとおり。

  1. 連邦物品サービス税(Goods and Services Tax:GST)

    GSTは基本的な食品や輸出を除くほとんど全ての物品およびサービスの提供に対して課税される。税率は1991年1月1日以降一律7%であったが、2006年7月に6%、2008年1月以降、現在に至るまで5%。一部の州では、統一売上税(HST)に含めて徴収されている。

    本税は流通構造の各段階で課され、輸入品も例外ではない。輸入品に関しては、関税支払い後の価格に対して課税され、輸入業者に支払い義務がある。輸入品の場合もカナダ産品の場合も、当該製品またはサービスが事業目的のために使用された場合、または、流通構造の次の段階に物品が販売された場合、購入者からGSTを徴収した段階で販売者自らが購入時に支払ったGSTと相殺され、超過納税分は還付される。従って、最終的にこのGSTを負担するのは消費者である。

  2. 物品税(Excise Tax)、特別物品税(Excise Duty

    連邦物品税法(Excise Tax Act)に基づき、関税およびGST課税後に、特定の商品に対して課税される。現在、燃料効率の悪い乗用車(ピックアップトラックなど除く)、自動車用エアコン、特定の石油製品に対し物品税(Excise Tax)が、アルコール飲料、タバコ、大麻製品に特別物品税(Excise Duty)が、それぞれ課せられている。

  3. 州売上税(Provincial Sales Taxes:PST)

    アルバータ州と3準州(ユーコン、ノースウエスト、ヌナブト)を除く州で、各州内の小売販売、州内での使用のために持ち込まれた有形動産に対して、売上税が課される。食料品は、一般に非課税である。州売上税は消費者により負担され、小売業者に徴収、納税義務がある。税率、非課税対象は州によって異なり、ケベック州の売上税(Québec Sales Tax:QST)は9.975%、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州7%、マニトバ州7%、サスカチュワン州6%などとなっている。

  4. 統一売上税(Harmonized Sales Tax:HST)

    GSTとPSTを一本化して徴収する統一売上税(HST)を導入している州は、オンタリオ州(13%)、ニュー・ブランズウィック州、ノバ・スコシア州、ニューファンドランド・ラブラドール州、プリンス・エドワード・アイランド州(以上15%)。

  5. アンチ・ダンピング税(Anti-Dumping Duty)、相殺関税(Countervailing Duty

    特別輸入措置法(Special Import Measures Act:SIMA)によって定められており、関税に加えて、追加で賦課される。輸出国でのダンピングまたは補助金の有無については、国境サービス庁が調査・決定し、カナダ国内での実質的損害の有無に関する調査・決定については、カナダ国際貿易裁定委員会に委ねられる。国境サービス庁の調査によって、輸出国でのダンピングまたは補助金の存在が認められた場合、その時点で、当該輸入品には暫定関税が課せられる。そのうち、カナダの商品や生産者に重大な損害をもたらしていると最終認定された商品については、国際貿易裁定委員会が取りまとめる公聴会によって、少なくとも5年間、関税が賦課される。

歳入庁:

国境サービス庁:アンチ・ダンピング税、相殺関税 ”Anti-dumping and countervailing外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関連法規:

その他

一定の条件を満たす場合、関税の払戻しが認められる「戻し税制度」、資格を満たす企業に対して、一定の条件下において、関税を支払わずに輸入を認める「関税免除措置」などがある。

関税優遇制度

輸出を前提として輸入された物品に対する関税優遇制度として、次の3つの制度がある。

  1. 関税免除制度(The Duties Relief Program
    次の条件において、関税を支払わずに輸入することが認められる制度。
    1. 輸入時と同じ状態で輸出される場合
    2. カナダからの輸出品の製造・生産過程で使用される場合
  2. 戻し税制度(The Drawback Program
    次の条件において、納付した関税の全額、または、一部の払戻しを申請できる制度。
    1. カナダからの輸出品の製造・生産過程で使用され、完成品が輸出された場合
    2. a.以外の用途では使用されず、輸入時と同じ状態で輸出された場合
    3. 輸入品が旧式もしくは余剰品になるか、輸入品を加工したものが旧式もしくは余剰品となり、それらが破棄された場合
  3. 税関保税倉庫制度(The Customs Bonded Warehouse Program
    次のいずれかの目的で輸入した物品を、国境サービス庁が管轄する保税倉庫に一定期間(4年未満)保管する場合、関税および連邦税、州税などの免除を申請できる制度(年間費用あり)。
    1. 国内で保管または修正を加えるために輸入された場合
    2. 輸入品とカナダ産品の統合を、輸出もしくは国内での消費目的で行う場合
    3. 展示会などのイベントのために輸入され、その後輸出される場合

注記:

  • 多くの対象品目は、輸入してから4年以内の申請が義務付けられている。ガソリンや工場設備などの品目は、当該制度の対象外である。
  • カナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA)にも同様の制度がArticle2.5(Drawback and Duty Deferral Programs)に盛り込まれている。ただし、米国およびメキシコに輸出する場合は、項目を要確認。

参照:
国境サービス庁:関税優遇制度 Duty Deferralの情報 “Duty Deferral Program外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関連法規(法務省ウェブサイト):

(データ確認日:2023年10月24日)