ジェトロ世界貿易投資報告 2025年版

第Ⅲ章 世界の通商ルール形成の動向
第3節 世界の新たなルール形成の動き
第2項 見直されるサステナビリティ政策

2025年に入ってから、EUのサステナビリティ関連の企業負担を軽減する政策や、米国の第2次トランプ政権の「アメリカ・ファースト」政策など、サステナビリティ政策の見直しの動きが見られた。EUでは、理想的なゴールを見据えた中長期的な目標設定とその達成のための厳格な手続きを様々な分野で導入していたが、特にサステナビリティ関連の報告義務について、実装可能性のある現実路線への転換を図る。米国では気候変動関連政策を重視したバイデン前政権からの根本的な政策転換が行われ、気候変動対策に積極的な州の方向性との不一致が目立つ。バイデン前政権下でインド太平洋における経済連携を強化することを目的として締結が進められていたインド太平洋経済枠組み(IPEF)でのグリーン分野での経済協力も不透明な状況にある。

投資情報会社モーニングスターによると、世界のサステナブルファンドは2025年の第1四半期に前四半期の181億ドルの資金流入から一転し、86億ドルという記録的な資金流出に直面した。2025年の第1四半期は、米国では10四半期連続の資金の引き上げとなり、欧州では、同統計開始の2018年以来の純流出となった注1 。背景には、前述の政策転換による不透明感の増大とともに、グリーンウォッシュ(見せかけの環境アピール)への監視強化や特に米国におけるESGという用語の使用回避の風潮注2 などの要因が複雑に絡む。このように、世界のサステナビリティを取り巻く制度設計は再構築の時期を迎える。

米国

米国はパリ協定を再び離脱

パリ協定は、2015年に開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で合意された気候変動に関する国際的な枠組みである。米国のトランプ大統領は、2025年1月20日に署名した「国際環境協定でも米国を第1に位置づける」と題した大統領令に、パリ協定からの離脱を盛り込んだ。同大統領は1期目でもパリ協定を脱退し、その後米国は、バイデン政権でパリ協定に復帰していた(図表Ⅲ-42)。

図表Ⅲ-42 米国のパリ協定加入/離脱の状況
年月 動向 大統領
2016年11月 パリ協定発効 オバマ大統領(2期)
2017年6月 大統領が離脱を発表 トランプ大統領(1期)
2019年11月 離脱を正式通告 トランプ大統領(1期)
2020年11月 協定離脱(1回目) トランプ大統領(1期)
2021年2月 パリ協定に復帰 バイデン大統領
2025年1月 2回目離脱を正式通告 トランプ大統領(2期)
2026年1月 2回目離脱予定 トランプ大統領(2期)
出所:
ジェトロビジネス短信から作成

同大統領令には、「気候変動枠組み条約に基づくパリ協定から離脱する通告を直ちに国連に提出すること。米国はこの通告をもって同協定からの離退が即時発効するものと見なす」という記載が含まれている。ただし、パリ協定では、離脱の効力は寄託者が離脱通知を受領した日から1年が経過した日以降に発効すると定められている。

そのため、国連は、「米国は2025年1月27日、パリ協定からの離脱を事務総長に通告した」と述べ、2度目の離脱は(パリ協定の規定どおり)2026年1月27日に発効すると発表した注3 。国連はまた、米国の正式なパリ協定離脱通告や対外援助の停止などの発表に対し、世界的な影響の可能性を理由に懸念を示した。

米国のパリ協定からの離脱に伴う世界的な気候変動対策への影響は避けられない。特に途上国への気候変動対策資金に関しては、米国は2024年度に約110億ドルと全体の約10%を拠出してきた注4 が、米国の離脱により、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で合意された同資金の増額目標の達成は一層厳しくなるとみられる。

石油・天然ガスの増産を計画、EV推進を廃止

トランプ大統領は、就任直後からエネルギー政策の転換にも意欲的だ。2025年1月20日の大統領就任式でエネルギー緊急事態を宣言すると述べるとともに、これに対処するための措置を講じていく旨を表明した。具体的には、(1)「掘りまくれ」を意味する「ドリル・ベイビー・ドリル」を推し進める旨や、(2)原油の戦略備蓄を満たすこと、(3)米国のエネルギーを世界中に輸出すること、(4)グリーン・ニューディールを終わらせ、EVに関する「義務」を撤廃すること、などに言及した。ホワイトハウスから出された声明注5 によると、エネルギー生産・利用に関する許認可の合理化や規制の撤廃、(エネルギー関連規制を緩和することなどを通じ)自動車や洗濯機などに関する消費者の選択肢を増加させること、大規模な風力発電所への海域のリースを終わらせることなどが盛り込まれている。これにより、石油・天然ガスの増産、EV推進の取りやめ、新規の洋上風力発電プロジェクトへの支援の停止が見込まれる。同日、トランプ大統領は、エネルギー政策で5本の大統領令に署名した。このうち「米国のエネルギーを解き放つ」と題された大統領令は、各種規制などを見直し、緩和していくための措置を多数盛り込んでいる。うち、EVについては、購入補助を廃止し、ガソリン車の販売を制限する州に連邦政府よりも厳しい排ガス制限の導入を認めることを終了。これらの政策によりEV推進を廃止する方針を発表した。

バイデン前政権下では、2030年までに全新車販売台数の50%をクリーンビークル注6 〔バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称、以下CV〕とする政府目標を掲げていたほか、一定数のCV販売を想定したGHG排出や企業別平均燃費(CAFE)に関する規制を設定していた。また、カリフォルニア州では、「アドバンスド・クリーンカーII(ACCII)」という規制により2035年までに新車販売の100%をCVとする義務が定められていた。米上院は2025年5月22日、同規制を、無効化する法案を可決し注7 、6月12日にトランプ大統領が署名して発効した注8 。カリフォルニア州に対する連邦政府規制の適用除外が不承認となった結果、同州に追随する11州+ワシントンD.C.でも、連邦基準よりも厳しいACCII規制の導入が認められなくなる。

また、トランプ政権はグリーン・ニューディールの終了を表明し、バイデン前政権でEVや再生可能エネルギーの支援策としても実施されてきたインフレ削減法(IRA)とインフラ投資・雇用法(IIJA)で割り当てられた資金の見直しを打ち出した注9

IRAのEV購入税控除を廃止する法案を発表

2025年5月16日、米国連邦議会下院歳入委員会は、「大きく美しい1つの法案(The One, Big, Beautiful Bill)」を発表した。同法案は、第2次トランプ政権における減税や歳出削減、債務上限引き上げ策をまとめたものである。上院修正案が下院で再可決された後、トランプ大統領が7月4日に署名して成立した。ここでは、IRAのエネルギー関連税額控除の見直しについて抜粋し、表にまとめた(図表Ⅲ-43)。

図表Ⅲ-43 「大きく美しい1つの法」のIRA税額控除の見直し(抜粋)
変更点 IRAの条項 IRAの内容 特記事項
2025年12月31日
廃止
クリーンビークルに対する税額控除
〔内国歳入法(IRC)30D、25E、45W〕
消費者のEV購入意欲の喚起を目的に、車両の組み立てが北米で行われていることなどを条件に最大7,500ドル(30D)などの購入者の税額控除。
変更点 IRAの条項 IRAの内容 内容
建設/稼働時期
条件の変更
クリーン水素製造クレジット(IRC45V) 温室効果ガス(GHG)のライフサイクル排出量に応じ、製造された水素1キログラム当たり0.6ドル~3ドルの範囲で事業者に付与。 2027年12月31日までに着工。
クリーン電力生産クレジット
(IRC45Y)
クリーン電力投資クレジット(IRC48E)
※太陽光・風力に関連するものに限る。
発電施設所有者がクレジットを請求可。
(45Y)控除額は、一般的に1kWh当たり0.3セント、適格施設の建設、修理、改造に当たり、実勢賃金や徒弟制度の要件や例外を満たした場合は1.5セントとなる。この控除は、適格設備が使用開始されてから10年間適用される。
(48E)控除額は通常、適格投資額の6%であり、納税者が実勢賃金や徒弟制度の要件や例外を満たす場合は30%に増加する。
原則として2027年12月31日までに稼働することを求める。ただし、法案成立1年以内に総事業費の5%を費やして建設を開始した場合には、4年間の猶予が与えられる例外規定も盛り込まれている。
その他の変更 クリーン燃料製造クレジット
(IRC45Z)
航空燃料を含む輸送用燃料が一定の温室効果ガス排出基準を満たす限りにおいて、事業者は、その製造に対する控除を申請することができる。控除額は、1ガロン当たりの適用額に排出係数を掛けたものである。適用額は、サステナブル航空燃料(SAF)でない輸送用燃料の場合は1ガロン当たり0.20ドル、SAFの場合は1ガロン当たり0.35ドルであり、納税者が実勢賃金および見習い要件または例外を満たす場合は5倍になる。この控除は、2028年1月1日以前に販売された燃料に適用される。 ほかの税控除とは逆に、控除期間が2029年末までに延長。2026年以降、本条項は、米国、メキシコ、カナダでの原料から製造された燃料にのみ適用される。
出所:
米国連邦議会下院の歳入委員会資料および上院資料から作成

注目が高かったCVの購入者に対する税控除は2025年9月末に廃止予定である。クリーン水素製造クレジットは、2027年12月31日までに着工した施設のみ対象。発電事業者向けのクリーン電力生産クレジットとクリーン電力投資クレジットは太陽光・風力発電について、2027年12月末までに稼働する条件が新設された。唯一緩和措置が提案されたのが、クリーン燃料製造クレジットで、控除期間が2年間延長され、2029年12月31日までに製造されたものが対象となる案が示されている。ただし、2026年以降、米国、メキシコ、カナダからの原料を使用した場合のみ適用される条件が追加された。

ウイグル強制労働防止法などは継続の見込み

米国における「ビジネスと人権」政策はどう変わるだろうか。第2次トランプ政権下では、バイデン前政権時よりも、人権関連の通商措置の優先順位が相対的に低下すると見られる注10 。ただし、同政権でも、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)やUSMCAの労働問題の紛争解決制度「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」など、既存の制度の執行は継続される見込み。

米国は、強制労働などを用いて生産された外国製品の輸入を取り締まることにより、基本的人権を保障する米国の労働者・産業との競争条件を平準化し、米国の経済的利益を確保することを目指してきた。この目的のため、第1次トランプ政権は人権関連の輸入規制措置をツールとして積極的に検討してきた実績もある。具体的には、1930年関税法307条に基づき、強制労働の関与が疑われる外国製品に対して「違反商品保留命令(Withhold Release Order:WRO)」または「認定(Finding)」を発動する措置、USMCAに基づくRRMの活用など挙げられる。関税法307条は、強制労働、児童労働、囚人労働などを用いて生産された物品の米国への輸入を原則禁止する法律である。国土安全保障省傘下の税関・国境警備局が、強制労働などの関与が推定される物品についてWRO・認定を発令し、米国への輸入を差し止める注11

他方、USMCAのRRMは、労働者の結社の自由と団体交渉権に関する権利侵害の嫌疑がある場合、特定の事業所に対して申請される。特定事業所の権利侵害が確認されれば、両国の合意の下で救済策の導入や、当該事業所の輸出産品に対する特恵関税の否認や制裁金の賦課などが行われる。

バイデン政権では、2022年6月にUFLPAを施行した。UFLPAでは、(1)新疆ウイグル自治区で物品を採掘・生産・製造した場合、または(2)UFLPAのエンティティー・リストで指定されている企業・団体が物品の生産などに関与した場合、強制労働の利用があるとみなし、関税法307条を根拠に米国への輸入を禁止する。また、バイデン政権は、RRMを積極的に活用し、USMCAのRRMでは、米国政府からメキシコ政府に労働問題の事実確認を要請したものは32件に上った。

第2次トランプ政権における人権関連の通商措置に限定して政権発足後の3カ月弱の実績を見ると、RRM、WRO、UFLPAの3ツールの執行は継続している。RRMを通じた労働権侵害の事実確認要請は、第1次トランプ政権下のUSMCA締結時に創設した制度ながら、発動実績はなかった。第2次トランプ政権では、2025年4月末時点で計2件のRRMが申請された。

また、今後もUFLPAの執行は継続する可能性が高い。トランプ大統領は、バイデン前政権下の行政命令を撤回し、前政権下での政策を排除する動きを見せるが、UFLPAはバイデン前政権下で成立した法律にもかかわらず、第2次トランプ政権および連邦議会上下両院で多数派を占める共和党がUFLPAの存在を問題視する様子はこれまでに見られない。これは、(1)UFLPAが第1次トランプ政権下で発令された新疆ウイグル自治区関連の製品に対するWROを通じて道筋が作られた法律であること、(2)UFLPAが上下両院での全会一致により成立した経緯があること、(3)米国の対中強硬路線には、ワシントンで超党派の意見一致があること、などが背景にあるためと考えられる。

EU

企業負担を軽減、EUのサステナビリティ政策の見直し

欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、2024年12月に2期目となる新体制を発足させた。同委員長は、競争力強化方針を発表(本章第1節第2項EU参照)。サステナビリティ政策も、欧州グリーン・ディールの目標を堅持しつつ、企業負担の軽減に焦点が当てられることとなった。欧州委員会は2025年2月にサステナブルファイナンスに関する開示義務や人権・環境デューディリジェンスの実施義務を大幅に簡素化するオムニバス法案を発表した。

オムニバス法案提出の背景には、イタリア前首相で欧州中央銀行(ECB)総裁を務めたマリオ・ドラギ氏の報告書「欧州の競争力の未来」(以下、ドラギレポート)と同レポートの提言を工程表にした「競争力コンパス」がある(本章1節第2項参照)。ドラギレポートの中で、規制簡素化については、「規制簡素化を担当する欧州委員会副委員長を任命し、増え続ける規制の合理化や重複の解消を進めつつ、各種の報告義務に関しては25%削減を実施し、中小企業に対しては最大50%削減を目指すべき」としている注12 。実際、現体制では、前体制で上級副委員長兼貿易担当欧州委員を務めたラトビア選出のバルディス・ドムブロフスキス委員が経済・生産性と規制実施・簡素化を担当している。このような流れを受けて、新体制では規制を簡素化し、企業負担を軽減するオムニバス法案が発表されることとなった。2025年2月に欧州委員会により発表されたオムニバス法案では、企業持続可能性報告指令(CSRD)、企業持続可能性デューディリジェンス指令(CSDDD)、タクソノミー規則、炭素国境調整メカニズム(CBAM)が簡素化の対象となった(図表Ⅲ-44)。法案は、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議される予定だ注13 。なお、CSRDとCSDDDの適用時期を延期する「ストップ・ザ・クロック指令」は2025年4月に既に施行済みだ。また、オムニバス法案のうちCBAMについては、2025年6月18日にEU理事会と欧州議会で政治合意され、施行される見込み注14 。本稿では、2025年2月発表のオムニバス法案で提案されている簡素化の内容をそれぞれ紹介する。

図表Ⅲ-44 オムニバス法案で提案された主な内容

企業持続可能性報告指令(CSRD)
現行 簡素化案の内容(2025年2月欧州委員会提案)
  1. 適用対象
    (1)EUの大企業および大企業グループ
    • 総資産残高 2,500万ユーロ超
    • 純売上高 5,000万ユーロ超
    • 従業員数 250人超
    上記3条件のうち、2つ以上の条件を満たす企業(企業グループ)
    (2)EU 域内で上場している中小企業:零細企業(注)に該当しない EU 域内に上場する中小企業
    (3)EU域外企業:EU 域内での純売上高が1億5,000万ユーロを超え、EU域内に特定の閾値(EU 子会社が大企業、もしくはEU域内上場企業(零細企業を除く)に該当するか、EU支店が EU域内において純売上高 4,000 万ユーロ超であること)を超える少なくとも 1つの子会社もしくは支店がある企業
  2. 適用開始時期
    1. 2025年(2024年会計年度分) 既に非財務情報開示指令(NFRD)の対象となっている従業員500人超の上場企業や銀行など
    2. 2026年(2025年会計年度分)NFRD の対象でない(1)
    3. 2027年(2026年会計年度分)(2)
    4. 2029年(2028年会計年度分)(3)
  1. 適用対象の見直し(大幅な削減)
    (1)(2)EU企業:CSDDDに合わせて、従業員数を1,000人超に引き上げる。総資産残高2,500万ユーロ超、あるいは純売上高5,000万ユーロ超の基準は維持。
    (3)EU域外企業:適用基準をCSDDDに合わせ、EU域内での純売上高を4億5,000万ユーロ超に、EU支店の域内純売上高を5,000万ユーロ超にそれぞれ引き上げる。
    ※CSRDの適用範囲外の企業(従業員1,000人以下の企業)は、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)が策定した中小企業向け自主基準(VSME)に基づき、欧州委員会が採択する簡易自主基準に基づいて自主的に報告することができる。
  2. 適用開始時期の変更(施行済み)
    1. 2028年(2027年会計年度分)
    2. 2029年(2028年会計年度分)
    3. 現行規則のとおり、2029年(2028年会計年度分)
企業持続可能性デューディリジェンス指令(CSDDD)
現行 簡素化案の内容(2025年2月欧州委員会提案)
  1. 適用対象:EU域内で設立された企業については、(1)全世界での年間純売上高が4億5,000万ユーロ超、かつ(2)平均従業員数が1,000人超の企業。EU域外で設立された企業については、EU域内での年間純売上高が4億5,000万ユーロ超の企業。
  2. DD実施対象範囲:自社や子会社のほか、直接取引先と間接取引先を含む活動の連鎖上にあるビジネスパートナー
  3. DD実施頻度:1年ごと
  4. 適用開始時期
    1. 2027年7月26日
      • EU域内企業:前事業年度の全世界売上高15億ユーロ超かつ平均従業員数5,000人超の企業
      • EU域外企業:前事業年度のEU域内売上高15億ユーロ超の企業
    2. 2028年7月26日
      • EU域内企業:前事業年度の全世界売上高9億ユーロ超かつ平均従業員数3,000人超の企業
      • EU域外企業:前事業年度のEU域内売上高9億ユーロ超の企業
    3. 2029年7月26日
      上記以外の対象企業
  1. 適用対象:変更なし
  2. DD実施対象:活動の連鎖上にあるビジネスパートナーを直接取引先に限定し、間接取引先については、負の影響に関する信ぴょう性の高い情報がある場合のみ
    ※適用対象企業がビジネスパートナーに要求できる情報は、欧州委が今後策定するCSRDに基づく中小企業向けの自主的な報告基準に沿ったものに限定する。
  3. DD実施頻度:5年ごと
  4. 適用開始時期:Iの適用開始時期を1年間延期し、Ⅱと同時期とする(以下の通り施行済み)。
    1. 2028年7月26日
    2. 2028年7月26日
    3. 2029年7月26日(変更なし)
タクソノミー規則
現行 簡素化案の内容(2025年2月欧州委員会提案)
対象企業
2024年まで:NFRDの対象企業
2026年(2025年会計年度分):CSRDの2の報告で、EUタクソノミーに従った対応が必要となる。
  1. 適用対象
    報告義務の対象者をCSDDDの対象範囲に限定。将来のCSRDの範囲内で、その他の大企業が自主的に報告する可能性を維持する。
  2. 実施内容の簡素化
    タクソノミーの報告に財務的重要性の基準値を導入し、報告テンプレートを約70%削減する。
    化学物質の使用と存在に関連する汚染防止と管理のための「重大な損害を与えない」(DNSH)基準の簡素化。
炭素国境調整メカニズム(CBAM)(EU理事会と欧州議会の政治合意済み)
現行 簡素化案の内容(2025年2月欧州委員会提案)
適用外基準:EU関税法典(UCC)の少額貨物の定義である150ユーロ以下 報告対象事業者を約90%削減。
適用外基準:輸入者当たり年間累積輸入50トン未満
注:
零細企業とは、(1)総資産残高45万ユーロ、(2)純売上高90万ユーロ、従業員数10人のうち、2条件を超えない企業をいう。
出所:
欧州委員会プレス発表およびQ&Aから作成

CSRD開始は一部延期、対象の削減が審議中

欧州グリーン・ディールの達成という観点から2023年1月に施行されたEUのCSRDや、2024年7月に施行されたCSDDDは、オムニバス法案によって実施義務や開示義務が大幅に簡素化される可能性がある。

CSRDとは、対象企業(図表Ⅲ-44参照)に対して、企業の持続可能性に関する情報の開示を求める法令である。従来から非財務情報開示指令(NFRD)の下でサステナビリティ情報開示を求められてきた対象企業の範囲を拡大し、開示項目をより明確にするものだ。具体的には、必須である横断的な開示条件である「全般的開示要件」や環境注15 ・社会注16 ・ガバナンス注17 に関する詳細な情報の開示がある注18

オムニバス法案のうち、2025年4月に発効した前述の「ストップ・ザ・クロック指令」では、CSRDの4段階での適用開始時期について、第2段階と第3段階の開始をそれぞれ2年間延期している。NFRDの対象でないEUの上場企業(中小企業除く)と大企業(第2段階)は2027年1月以降に開始する会計年度から、EU域内で上場している中小企業(第3段階)は2028年1月以降開始する会計年度から適用となる。それぞれ翌年からその報告を行う。なお、既に適用が開始されているNFRDの対象企業(第1段階)には、引き続き適用される。また、対象のEU域外企業(第4段階)については、適用開始時期は変更されず、2028年1月以降に開始する会計年度から適用される予定となっており、2029年からその報告を行う注19

また、現在審議中の欧州委員会が提案したオムニバス法案では、CSRDの適用対象を大幅に削減することを提案している。対象となるEU企業の基準に関し、CSDDDに合わせて、従業員数を1,000人超に引き上げる。これにより、適用対象の企業数は8割削減される見込みだ。また、EU域外企業についても、適用基準をCSDDDに合わせ、EU域内での純売上高を4億5,000万ユーロ超に、EU支店の域内純売上高を5,000万ユーロ超にそれぞれ引き上げる。

CSDDDも適用開始を延期、DD実施対象の縮小も検討

一方、CSDDDは一定規模以上の企業(図表Ⅲ-44参照)に対して、人権・環境デューディリジェンス(DD)を義務付けるものだ。CSDDDが企業に求めるDDの範囲には、既存の国際的枠組やCSRDなどのEUで用いられてきたサプライチェーンやバリューチェーンではなく、「活動の連鎖」が含まれる。これは、自社や子会社に加え、企業の上流および一部の下流における直接的・間接的な取引先を含めたものだ。適用対象企業には、人権や環境に対する負の影響に関するDDの実施のほか、パリ協定1.5度目標に整合する気候変動緩和のための移行計画の策定と実施などが義務付けられる。

前述のストップ・ザ・クロック指令により、適用開始時期が1年間延期される。CSDDDは3段階での適用開始を予定していたが、第1段階の適用開始時期を1年間延期し、第2段階と同時期とする。これにより、第1段階と第2段階の対象企業である全世界での年間純売上高が9億ユーロ超、かつ平均従業員数が3,000人超のEU企業と、EU域内での年間純売上高が9億ユーロ超の域外企業に、2028年7月26日から適用する。第3段階の対象企業である上記以外の対象企業(全世界での年間純売上高が4億5,000万ユーロ超、かつ平均従業員数が1,000人超のEU企業と、EU域内での年間純売上高が4億5,000万ユーロ超の域外企業)には、従来どおり2029年7月26日から適用する。

CSDDDの対象企業ではなくとも、取引先や従業員、権利保持者、地域社会を含む利害関係者(ステークホルダー)からの要請により、対応を求められるなどの影響が予想される。審議中のオムニバス法案には、CSDDDの適用対象の変更の提案は盛り込まれていないが、適用対象企業の取引先に適用されるDD実施の義務については、対象範囲の縮小が提案されている。同案では対象を自社、子会社、および直接的な取引先に限定し、間接的な取引先については、負の影響に関する信ぴょう性の高い情報がある場合に限定するという内容だ。またDD実施頻度の1年ごとから5年ごとへの変更も合わせて審議中で、今後のEU理事会および欧州議会における審議動向を注視する必要がある。

よく混同されやすいCSRDとCSDDDの違いは、CSDDDがDD実施に焦点を当てている一方、CSRDは開示を主眼としている点だ。CSDDDに基づく開示要請と重複がある場合、CSRDに依拠して開示をすることが求められる見込みだ注20 。オムニバス法案が提出された背景には、こうした複数法令により企業に重複した義務が課されているという問題があった。

炭素国境調整メカニズムの報告対象者を9割削減

炭素国境調整メカニズム(CBAM)は、対象の輸入品に対して、温室効果ガス(GHG)の排出量に基づいた炭素価格の支払いが義務付けられる制度だ。CBAMは2026年1月に予定される本格適用に先立ち、2023年10月から報告を義務付ける移行期間が開始している。欧州委員会はCBAMの目的を、「EUと比べてより基準の穏やかな脱炭素政策を実施している国へ生産を移転すること(いわゆる「カーボンリーケージ」)によって、EUの気候変動目標が損なわれることによるリスクを低減する」ことだとしている注21

加えて、CBAMは、海外でEUより多くGHGを排出する環境で生産された産品が、安価な価格でEUに流入することを防ぐ役割も果たし、ドイツ商工会議所連合会(DIHK)も「欧州の厳格な気候保護規制が国際競争上で引き起こす不利益から自国企業を守る仕組みだ」と理解を示す注22 。ただし、EU域内企業からも、報告に必要な労力が大きいとの声があった。さらに、2024年8月以降は、あらかじめ欧州委員会が発表した排出量の既定値(デフォルト値)に基づく簡易な報告が認められなくなったため、輸入者から排出量の算出を求められ、具体的な対応方法がわからないという声が多く上がっていた。

2025年6月にCBAMの報告対象事業者を約90%削減し、多くの小規模事業者の報告負担を軽減する簡素化案は他のオムニバス法案に先立って政治合意され、施行される予定。2023年10月に開始されたCBAM移行期間の報告の約90%(約18万2,000件)は中小企業や臨時輸入者で、GHG排出量の約1%だったとした。簡素化案では、移行期間のデータにアルゴリズムを用いて算出し、輸入者当たり年間累積50トン未満の場合適用除外とする基準を提案した。欧州委員会は、引き続き報告対象となる10%の事業者がGHG排出量の99%を占めるため、CBAMの目標、効果は変わらないという点を強調した。第4回までの重量別の輸入上位10カ国は、トルコ、ウクライナ、ロシア、カナダ、中国、インド、エジプト、ブラジル、アルジェリア、米国の順だった(図表Ⅲ-45)。トルコはEUに地理的に隣接していることもあり、鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料、電気のいずれの対象産品においてもEUの輸入統計(重量ベース、2024年)の上位。CBAMの影響が大きいことと予想される。

図表Ⅲ-45 CBAM第4回報告までの重量別EU輸入上位10カ国と主なCBAM対象産品
順位 輸出国 主なCBAM対象産品
1 トルコ 鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料、電気
2 ウクライナ 鉄鋼、セメント、電気
3 ロシア 鉄鋼、アルミニウム、肥料
4 カナダ 鉄鋼
5 中国 鉄鋼、アルミニウム、肥料
6 インド 鉄鋼、アルミニウム
7 エジプト セメント、肥料
8 ブラジル 鉄鋼
9 アルジェリア セメント、肥料
10 米国 鉄鋼、肥料、水素
出所:
上位10カ国は、欧州委員会資料“Implementation challenges of the Carbon Border Adjustment Mechanism (CBAM)”(2024年11月27日付)から作成。主な対象製品の輸入品は、Global Trade Atlasから作成。(2024年のEUの輸入データ重量ベース。それぞれ世界上位10カ国以内である産品を記載)

今後、2025年第3四半期までに報告の簡素化、適用範囲、川下製品への適用拡大、生産時に使用される電気による間接排出量への適用有無、CBAM製品を輸出する企業への支援策の検討など包括的な見直しが行われ、2026年前半に法案が提出される予定だ。

アジア

アジアの脱炭素化を支援するAZECの取り組み

世界の炭素排出の約半分を占めるアジアにおいては、日本の持つ脱炭素技術に対する期待が高まっている。シンガポールのシンクタンク、ISEAS-ユソフ・イシャク研究所が2024年9月17日に発表した、ASEAN加盟国の有識者の気候変動に対する意識などを調査した「東南アジア気候見通し:2024年調査報告」注23 を見ると、「自国において、気候に関する専門知識、実践能力、技術的ノウハウを共有するために、どの国がより積極的な役割を果たせるか」との問いでは「日本」(24.4%)と回答した割合が最も高く、「米国」(19.6%)や「中国」(16.4%)を上回った。同調査の2021年版と比べると、「日本」と回答した割合が18.6%から24.4%へと増加しており、日本に対する期待感が高まっているといえる。

日本政府が推進するアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)は2023年に発足した。AZECは2022年1月、岸田首相(当時)が提唱した構想であり、水素、アンモニアなど日本が有するゼロエミッション技術や制度、ノウハウを活かし、アジアの国々と連携し、各国実情に即したかたちでエネルギー転換、脱炭素化・カーボンニュートラル実現を目指すという取り組みである。

2024年8月21日には第2回AZEC閣僚会合が開催され、AZECパートナー国である11カ国注24 の閣僚などが参加した。会合の成果として採択された共同声明では、GHG排出量を大幅に、迅速かつ持続的に削減することが緊急に必要とした上で、カーボンニュートラル、ネットゼロ排出に向けた多様かつ現実的な道筋の存在を認識するとした。具体的な取り組みとして(1)ゼロエミッション電力イニシアチブ、(2)持続可能燃料創出イニシアチブ、(3)次世代産業構築イニシアチブの3つのイニシアチブが示された(図表Ⅲ-46)。

図表Ⅲ-46 第2回AZEC閣僚会合で示された3つのイニシアチブ
イニシアチブ名 対象セクター 主要施策・協力分野
ゼロエミッション電力イニシアチブ 電力部門 脱炭素ロードマップの改定
再エネ調達環境の整備
ハイブリッドダムの導入
ゼロエミッション火力の推進
(バイオマス、水素、CCUS等)
送電網の強化と分散型電源の促進
持続可能燃料創出イニシアチブ 運輸部門
(陸・海・空)
持続可能な航空燃料(SAF)等に関する実現可能性調査の実施需要・供給のロードマップ策定サプライチェーンの整備高性能モビリティとの組み合わせ検討カーボンニュートラルポート(CNP)の形成
次世代産業構築
イニシアチブ
産業部門
(製造業・自動車産業)
エネルギーマネジメントと再エネ導入の実証
人材育成プログラムの提供
工業団地における脱炭素化政策の支援
CCUS/カーボンリサイクルの活用
出所:
経済産業省資料「カーボンニュートラル/ネットゼロ排出に向けたアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)セクター別イニシアチブ」から作成

また、2024年10月11日には第2回AZEC首脳会合が開催され、「今後10年のためのアクションプラン」が公表された。同プランは、(1)AZECソリューションを進めるための短・中期的行動計画(図表Ⅲ-47)、(2)上記のセクター別イニシアチブ、(3)具体的なプロジェクトの推進(図表Ⅲ-48)で構成される。

図表Ⅲ-47 第2回AZEC閣僚会合で示されたAZECソリューション(ルール形成等)を進めるための短・中期的行動計画
主要分野 主な取り組み内容
GHG排出の可視化と産業競争力の強化
  • サプライチェーン全体でのGHG排出量の可視化
  • GHG算定・報告の促進
  • 脱炭素技術による排出削減の評価指標・手法の開発
  • 認証・報告システムの相互承認に関する情報交換
  • カーボンプライシングに関する知見・取組の共有
トランジション・ファイナンスの推進
  • エネルギー・インフラ等の事業への融資可能性の向上
  • クリーン技術・製品・サービスへの資本供給
  • 官民連携によるブレンデッド・ファイナンス等の革新的資金調達手法の活用
  • ASFトランジション・ファイナンス・スタディグループ活動報告書及び技術リストの活用
農林分野の排出削減及び吸収・除去の推進
  • 技術やイノベーションの普及による農林分野の排出削減
  • モンスーン地域における取り組みモデルの確立・推進
  • 日ASEANみどり協力プラン等のイニシアティブに基づく協力
運輸部門の脱炭素化
  • 道路交通からの排出削減の加速
  • 持続可能な燃料・原材料の製造・供給システムの確立
  • 海事部門の脱炭素化に向けた多国間フォーラムでの協力
  • 持続可能な航空燃料(SAF)に関する先進技術の開発促進
  • 日ASEAN交通連携等の多国間枠組みを通じた事業の実施
カーボンニュートラルポート(CNP)の推進
  • アジア諸国向けCNPガイドラインの策定
  • 日ASEAN港湾技術者会合を通じたCNP形成の推進
十全性(質)の高い炭素市場の推進
  • 二国間クレジット制度(JCM)パートナー国の拡大
  • カーボンクレジット市場の拡大
出所:
経済産業省「アジア・ゼロエミッションセンター」に係る取決め事項2024年の第2回AZEC閣僚会合共同声明の添付文書(仮訳)から作成。
図表Ⅲ-48 MOU等協力案件実績から見る技術の傾向
技術分野 MOUでの協力内容
GHG排出可視化・MRV GHG排出量の計測・報告・検証(MRV)体制の整備
デジタルツイン技術を活用した環境影響度の可視化
再生可能エネルギー・水素・アンモニア グリーン水素・アンモニア製造事業の開発
グリーンアンモニア燃焼技術の検討
炭素回収・貯留(CCS) CCSハブ&クラスター構築に関する協力
国際的CCSバリューチェーンの構築
バイオ燃料・SAF 規格外ココナッツ由来のSAF原料用工場設立
SAF事業のロードマップ構築
スマートシティ スマートシティに関する知見の共有
スマートシティ協力に関する成果文書の発表
農業分野の気候変動緩和 二国間クレジット制度(JCM)パートナー国の拡大
カーボンクレジット市場の拡大
電力インフラ ガスコンバインドサイクル発電所事業開発に向けたFS実施
LNGバリューチェーン構築に関する協力
カーボンクレジット JCMの活用に向けた環境整備
GHG算定・カーボンオフセットにおける協業
出所:
経済産業省「第2回AZEC首脳会合に向けた協力案件リスト一覧(仮訳)」「AZEC首脳会合に向けたMOU案件概要」から作成

同会合では、2023年12月の第1回首脳会合以降に結ばれた121件のMOU等協力案件が紹介された。内容を分類すると、GHGの排出可視化、測定、報告及び検証(MRV)や再生可能エネルギー(水素・アンモニア)、炭素回収・貯留(CCS)、バイオ燃料・持続可能な航空燃料(SAF)、スマートシティ、農業分野の気候変動緩和、電力インフラ、カーボンクレジット分野での協力に大別される。アジア地域全体では脱炭素化への資金ニーズが約4,000兆円と見込まれており、2025年5月3~5日のAZEC議員連盟の最高顧問である岸田文雄前首相のインドネシア訪問では、日本の技術と金融で貢献していく意向が表明された。

AZECの枠組みは加盟国からも歓迎されており、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領(当時)が「AZECが排出量削減の取り組みに具体的に参加できるプラットフォームになることを期待する」と述べた注25 。また、マレーシアでは「我々の地域におけるエネルギー移行について、互恵的な協力を促進する長期的プラットフォームとして機能する」注26 と取り上げられた。フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領は「フィリピンはAZECパートナーとともに、クリーンで、持続可能で、公正で、安価で、包括的なエネルギー転換を加速する必要性を認識している』と述べるなど注27 、AZECに対して各国から期待が寄せられている。

注記

注1
モーニングスター “Global Sustainable Fund Flows: Q1 2025 in Review”(2025年4月)
注2
全米産業審議会プレス発表(2025年4月28日)
注3
国連プレス発表 “UN/US PARIS AGREEMENT WITHDRAWAL AND AID PAUSE”(2025年1月28日付)
注4
ジェトロ「トランプ米大統領、パリ協定からの離脱など定めた大統領令に署名」『ビジネス短信』(2025年1月22日付)
注5
ホワイトハウスプレス発表 ”President Trump’s America First Priorities”(2025年1月20日付)
注6
ゼロエミッション車(ZEV)と同義。
注7
米国連邦議会 "California State Motor Vehicle and Engine Pollution Control Standards; Advanced Clean Cars II; Waiver of Preemption; Notice of Decision"(2025年5月21日付)
注8
ジェトロ「トランプ米大統領、カリフォルニア州のZEV販売義務を撤回」(2025年6月17日)
注9
ジェトロ「トランプ米大統領、エネルギー関係で5本の大統領令に署名、規制の見直し・緩和を推進」『ビジネス短信』(2025年1月22日付)
注10
ジェトロ「トランプ政権下で「ビジネスと人権」政策はどう変わるのか(米国)」『地域・分析レポート』(2025年5月9日付)
注11
WROが発令された物品が差し止められた場合、輸入者は当該物品を米国へ輸入せずにそのまま他国へ輸出するか、WROの発令に異議を申し立てることができる。当該物品に強制労働などの関与が正式に認定(Finding)された場合、当該製品は押収・没収される。
注12
ジェトロ「ドラギ前ECB総裁、EUの競争力強化に向けた報告書を発表、巨額のEU共同債発行を提言」『ビジネス短信』(2024年9月19日付)
注13
EU理事会は、欧州委員会提案に対し、CSRDの適用事業者の純売上高の基準を4億5,000万ユーロとすることやCSDDDの適用範囲を従業員数5,000人、純売上高15億ユーロに引き上げることを提案している。EU理事会プレス発表(2025年6月23日付)
注14
ジェトロ「EU、CBAM規則の簡素化案で政治合意、目標は維持しつつ負担軽減」『ビジネス短信』(2024年6月25日付)
注15
気候変動、汚染、水および海洋資源、生物多様性および生態系、資源利用および循環経済
注16
自社従業員、バリューチェーン内の労働者、影響を受けるコミュニティ、消費者およびエンドユーザー
注17
事業活動
注18
ジェトロ「CSRD適用対象日系企業のためのESRS適用実務ガイダンス」(2024年5月)
注19
欧州連合官報「Directive (EU) 2025/794」(2025年4月14日付)
注20
ジェトロ「EU人権・環境デューディリジェンス法制化の最新概要」(2025年5月)
注21
欧州委員会「EU域外の施設事業者のためのCBAM実施に関するガイダンス文書」(2024年4月5日)
注22
ジェトロ「CBAM移行期間が開始、ドイツ産業界は煩雑な手続きを批判」『ビジネス短信』(2023年10月16日付)
注23
ISEAS - Yusof Ishak Institute ”Southeast Asia Climate Outlook: 2024 Survey Report”(2024年9月17日)
注24
オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム(アルファベット順)。
注25
Kompas “Hadiri KTT AZEC, Jokowi Jelaskan Cara Indonesia Hadapi Perubahan Iklim”(2023年12月18日付)
注26
Borneo Post “Peralihan kepada tenaga bersih perlu sokongan kewangan , teknologi dan infrastruktur menyeluruh: PM”(2023年12月18日付)
注27
Manila Times “PH joins push for decarbonization”(2023年12月19日付)

特記しない限り、本報告の記述は2025年6月末時点のものである。