日本からの輸出に関する制度

調味料の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する調味料のHSコード

本ページで定義する調味料のHSコード

0904 : とうがらし属またはピメンタ属の果実(乾燥し、破砕しまたは粉砕したものに限る。)およびこしよう属のペッパー
0905 : バニラ豆
0906 : けい皮およびシンナモンツリーの花
0907 : 丁子(果実、花および花梗に限る。)
0908 : 肉ずく、肉ずく花およびカルダモン類
0909 : アニス、大ういきよう、ういきよう、コリアンダー、クミンまたはカラウエイの種およびジュニパーベリー
0910 : しようが、サフラン、うこん、タイム、月けい樹の葉、カレーその他の香辛料
2103.10:しょうゆ
2209 : 食酢および酢酸から得た食酢代用物

調査時点での最新情報を記載するよう努めていますが、英国では、多くのEU規制が引き継がれているものの、EU離脱に伴い、記載事項は常に変更される可能性がある点に留意してください。なお、北アイルランドは、英国の関税領域であるため、(EUに移送される可能性がない場合)日英包括的経済連携協定(以下、日英・EPA)を享受できますが、食品規制に関しては、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)にかかる規制について記載しています。

なお、英国(およびEU)では、動物性加工済原料と植物性原材料の両方を含む食品を「混合食品」と定義し(維持決定2007/275/EC Article2)、混合食品向けの規制を設けています。動物由来食品を含む調味料(例えば、動物由来製品のエキスやだし入りのしょうゆなど)は、混合食品の規制の対象となります。混合食品に該当するか判断に迷う場合には、事前に、国境管理所(BCP: Border Control Post)に製品の詳細を提出することで、確認することができます。詳細は、本ポータルサイトの「英国」における「混合食品」を確認してください。

(注)「加工」とは加熱、燻製、保蔵、熟成、乾燥、マリネ、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせのことで、粉末化、製粉、スライス、急速冷凍のみは未加工品となります。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EEC)2658/87(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
財務省貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」
ジェトロ「英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)」

英国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年6月

EU離脱に関する規則
英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。
例えば、一部の調味料が該当する混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則と異なるため、混合食品の分類や輸入時に添付すべき書類などについて、注意が必要です。
なお、北アイルランドに関しては、英国の関税領域ですが、食品規制に関してはEU規制が適用されます。本サイトでは特段の注意がない限り、英国(グレートブリテン)にかかる規制について記載しています。
放射性物質規制
東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、英国への輸入に際して政府作成の放射性物質検査証明書が必要な食品がありましたが、2022年6月29日に英国で適用されていた日本産食品に対する放射性物質輸入規制が、北アイルランドを除き、撤廃されました。なお、EU規制が適用される北アイルランドについても、2023年8月3日に放射性物質規制が撤廃されました。
動物由来食品および動物性加工食品
動物由来食品および動物性加工食品を輸出するには原則として、残留物質モニタリング計画(動物性加工済原料となる種/商品)を有し、当該動物性加工済原料が英国への輸出を許可された「第三国リスト掲載国」由来であり、かつ「英国/EU(HACCP)認定施設(漁船・市場・と畜場含む)」を経由、または加工が行われる必要があります。
【混合食品】
本サイトで言及する一部の調味料に関連しますが、英国では、動物性加工済原料(Processed products of animal origin)(注1)と植物性原材料(Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品」と定義し(維持決定2007/275/EC 第2条)、混合食品向けの規制を設けています。 混合食品に関する英国の規則は、EUで2021年4月21日から適用されている新規則と異なるため、混合食品の分類と輸入時に添付すべき書類などについて注意が必要です。 (注1)「加工」とは加熱、燻製、保蔵、熟成、乾燥、マリネ、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせのことで、加工前の材料を実質的に変化させていない粉末化、製粉、スライス、急速冷凍のみは未加工品となります。
原材料に、植物性原材料のほかに、肉加工品(肉エキス・肉パウダーなどを含む)、乳製品(乳糖を含む)、卵、魚介類(えび粉、かつおだしなど)、ハチミツなどの動物性加工済原料を含む調味料は、混合食品に該当します。混合食品に該当する場合、原材料として含まれる動物性原材料の種類、割合、温度安定性によって、課せられる規制・必要な証明書、日本からの輸出の可否が異なります。
具体的には、混合食品に使用される動物性加工済原料により、英国(およびEU)への輸出認定国判定要件、動物検疫の有無、政府発行の衛生証明書の有無、「英国/EU(HACCP)認定施設)での加工証明(施設番号)が必要となります。詳細は、本ポータルサイト「英国」の「混合食品」で確認してください。
また、混合食品に分類されない動物由来食品および動物性加工食品を輸出する場合の入域条件は、混合食品と違う点に注意してください。
混合食品に使用される動物性加工済原料は、対象品目が維持指令2011/163/EU維持指令の国別のリストに掲載されている(残留モニタリング計画の承認)必要があります。日本で残留物質モニタリング計画が承認されている品目は牛・豚・家きん・水産養殖物・乳・鶏卵となっています。(表1)
【入域条件】
図1.動物性加工食品/混合食品/HACCP認定要件に関する概念図
(参考)動物性加工食品/混合食品/HACCP認定要件に関する概念図
表1 日本の残留モニタリング計画承認状況
動物種 残留物質モニタリング計画の承認状況
ウシおよびウシ科動物(Bovine
羊・山羊(Ovine/caprine ×
豚(Porcine
ウマ科動物(Equine ×
鶏・家きん類(Poultry
水産養殖物(Aquaculture
乳(Milk
卵(Eggs
ウサギ(Rabbit ×
野生の狩猟獣(Wild game ×
飼育の狩猟獣(Farmed game ×
ハチミツ(Honey ×
表2 英国に輸出可能な第三国リスト掲載品(日本)
動物種 第三国リスト掲載品目(生きた動物を除く)
生鮮 加工品
生鮮の牛肉(Bovine animals
(A判定)
〇 *2
豚(Porcine × 〇 *3
鶏・家きん類(Poultry) × 〇 *3
水産養殖物(Aquaculture 〇 *1
水産養殖物の加工品
乳(Milk 〇(生乳・初乳) 〇(乳製品)
卵(Eggs
さらに、英国への輸出が認められた第三国(表2 以下「第三国リスト」)のリストに日本が掲載されている品目は生鮮牛肉、肉加工品(牛・豚・鶏肉)、一部の水産養殖物と水産加工品、乳・乳製品、卵・卵製品、ゼラチンおよびコラーゲン(牛肉および魚介由来に限る)となります。なお、前表のとおり、ハチミツについては、日本は「第三国リスト掲載国」ではないため、日本産ハチミツを含む混合食品を英国に輸出することはできません。
なお、動物性加工済原料の要件や公的証明書、施設認定などに関しては、次項「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」や本ポータルサイト「英国」の「混合食品」を必ず確認してください。
【英国における混合食品の分類】
混合食品は、次の4つに分類されます。詳細は本ポータルサイト「英国」の「混合食品」を確認してください。
  1. 「肉製品を含む」混合食品については、英国または肉製品に関する「第三国リスト掲載国」(混合食品の製造と同じ国、あるいは他国であるが「第三国リスト」で‘A treatment’と掲載される国)から当該原料を調達し、製造する必要があります(例:ビーフエキスを含む混合食品の場合、日本には「肉製品」の認定施設が存在しないため、英国産ビーフエキスを調達し、日本で混合食品を製造する)。
  2. または「(卵、魚介類いずれかの)動物性加工済原料の割合が50%を超える」混合食品については、当該動物性原材料に関する「第三国リスト掲載国」で、混合食品を製造する必要があります。
  3. あるいは、乳製品を含む混合食品については、乳の割合にかかわらず、使用される乳製品の原料乳は、英国、または生乳ならびに乳製品に関する「第三国リスト掲載国」(混合食品の製造と同じ国、あるいは他国であるが「第三国リスト」「A欄」「B欄」)で処理・加工したものを調達し、製造する必要があります。(例:ミルクチョコレートの場合、原料の乳を第三国リスト掲載国(「A欄」「B欄」)で処理・加工したものを日本に調達し、日本で加工済み乳製品から混合食品を製造することは可能)
  4. 前述に該当しない混合食品(肉類および乳製品を含まず、加工済み動物由来原料の割合が50%以下の混合食品)については、「第三国リスト掲載国」で製造される必要はありません。
混合食品そのものの製造は、「EU/英国(HACCP)認定施設」で行われる必要はありません。ただし、未加工動物性食品と植物性原材料を同時に加工して最終製品(混合食品)を製造する場合は、「EU/英国(HACCP)認定施設」で加工されることが必須となります。
また、一部の混合食品の輸入に関しては、「動物性加工済原料がEU/英国(HACCP)認定施設由来である」証明の添付は義務ではありませんが、EU/英国(HACCP)認定施設要件自体が免除されているわけではありません。輸入側当局の求めにより EU/英国(HACCP)認定施設から調達している情報の提示が必要があることに留意が必要です。
2023年6月時点では、日本に肉製品についてこれらの条件を満たす認定工場がないため、肉エキスをはじめとする日本産の肉加工品を原材料に含む調味料などを英国に輸出することはできません。認定施設の最新リストは英国政府のウェブサイトまたは農林水産省のウェブサイトで確認することができます。
【混合食品の入域条件】
前述の分類1、2、ならびに3の一部(安定していない 注2)、および維持決定2007/275/ECのANNEX Iに掲載されているCNコードの混合食品は英国側の国境管理所(BCP:Border Control Post)での動物検疫の対象となっており、輸出の都度、公的証明書(政府発行の衛生証明書)が必要となります。
なお、維持決定2007/275/EC第6条に規定されるとおり、肉加工品を原材料に使用しておらず、
  1. 原材料に占めるこれらの動物性加工済原料(乳製品、卵、魚介類)の割合が50%未満(注1)、
  2. あるいは乳製品を含有するが安定していて(注2)、
  3. 原材料の乳・卵・魚介類が認定第三国で加工されている
場合、または維持決定2007/275/ECのANNEX IIに掲載されているCNコードの混合食品は、英国側の国境管理所(BCP:Border Control Post)での動物検疫(公的管理)は免除されています。
ただし、維持実施規則(EU) 2019/2007のANNEX I に記載されている品目は混合食品ではなく、動物由来食品として分類されている可能性もある点注意してください。
(注1)「加工」とは加熱、燻製、保蔵、熟成、乾燥、マリネ、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせのことで、加工前の原材料を実質的に変化させていない粉末化、製粉、スライス、急速冷凍のみは未加工品となります。ヒトの消費を目的とした動物由来製品には、維持規則 (EU)2019/626 第3条~第22条および維持規則 (EC)853/2004に記載されているとおり、ゼラチンや昆虫なども含まれます。
(注2)「安定している」とは、次の条件をすべて満たすことを指します(維持決定 2007/275/EC Article6 (1)(a))。
(1)常温保存が可能または製造過程で原材料の中心部が熱処理や調理などの完全なプロセスにより原材料が変性している、
(2)ヒトの食用であることが明記されている、
(3)清潔な容器に密封されている、
(4)加盟国の公用語(英語)で記載された送り状などの商用文書および食品ラベル表示により、混合食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている。
維持決定 2007/275/ECのANNEX IIに掲載されているCNコード
CNコード 混合食品
1704, 1806 20, 1806 31, 1806 32, 1806 90 11, 1806 90 19, 1806 90 31, 1806 90 39, 1806 90 50 菓子(砂糖菓子含む)やチョコレートで
  • 乳製品・卵製品の含有割合が50%未満
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • 安定している(注1)混合食品
1902 19, 1902 30, 1902 40 肉製品を含まないパスタまたは麺類で
  • 乳製品・卵製品の含有割合が50%未満
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • 安定している(注1)混合食品
1905 10, 1905 20, 1905 31, 1905 32, 1905 40, 1905 40 10, 1905 90 10, 1905 90 20, 1905 90 30, 1905 90 45, 1905 90 55, 1905 90 60, ex 1905 90 90; パン、ケーク、ビスケット、ワッフル、ウエハース、ラスクなどカリカリに焼いたパン類で
  • 乳製品・卵製品の含有割合が20%未満
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • 安定している(注1)混合食品
    1905 90は乾いていて、さくさくしたものに限る

ex 2001 90 65, ex 2005 70 00

ex 1604

魚介類の含有割合が20 % 未満のオリーブ製品の混合食品

魚介類の含有割合が20 % 以上のオリーブ製品の混合食品

ex 2104 10 and ex 2104 20 最終消費者向け包装済みスープストックおよび香料で
  • 魚油、魚粉、または魚抽出物の含有割合が50%未満で
  • 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性している
  • 安定している(注1)混合食品
ex 2106 10, ex 2106 90 肉製品を含まない最終消費者向け包装済みサプリメントで、
  • 少量の動物性加工済原料(グルコサミン、コンドロイチン、キトサンを含む)を含有する(含有割合が20 % 未満)混合食品

なお、政府発行の衛生証明書などの必要書類については、本ポータルサイトの「輸入規制」における「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を、動物検疫に関しては、「3. 動植物検疫の有無」の項を参照してください。

図2.混合食品の分類フローチャート
混合食品の分類フローチャート

関連リンク

関係省庁
英国政府 英国動植物衛生庁(APHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年 公的管理(動物、飼料、食品、植物衛生など)(修正)(EU離脱)規則(2020 No. 1481)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持実施規則(EU)2019/2007(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令2011/163/EU(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則決定2007/275/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU)2019/626 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持決定2007/777 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU) 605/2010 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 798/2008(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)206/2010 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国食品基準庁外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う諸外国・地域の輸入規制への対応外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「非EU諸国 英国向け認定施設」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 英国動植物衛生庁(APHA)「輸入通知 :ヒト向け混合食品の輸入」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(421KB)
英国動植物衛生庁(APHA)「英国の国境管理所(BCP): 動物ならびに動物製品の輸入ガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「各国の食品安全関連規制」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年6月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。
例えば、混合食品の規則などに関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則と異なるため、混合食品の分類や輸入時に添付すべき書類などについて、注意が必要です。

英国に輸入する前に必要な手続き(EORI番号の取得など)に関しては、「輸入手続き」の「1. 輸入許可、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)」の項を確認してください。

施設認定要件
次の混合食品の動物性加工済原料は、EU/英国のHACCP衛生要件に基づいた認定施設から調達する必要があります。
  1. 肉類を含む混合食品
  2. 肉製品を含有しないが、動物性加工済原料の割合が50%を超える混合食品
  3. 乳製品を含む場合で、温度管理が必要あるいは長期保存ができない(安定しない(注1))混合食品
動物性加工済原料を調達して混合食品を製造する場合は、EU/英国(HACCP)認定施設で行われる必要はありませんが、動物性原材料は認定施設由来のものを使用する必要があります。 また、未加工動物性食品と植物性原材料を同時に加工して最終製品(混合食品)を製造する加工施設の場合は認定が必須となり、最終製品に認定施設番号が記載された「識別マーク(identification mark )」の添付が必要となります。
2023年6月現在、日本国内に、認定を受けた肉製品および乳製品あるいは混合食品を製造する加工施設が存在しないため、調達する原材料の由来により、実質、混合食品を英国へ輸出できない点に留意が必要です。
認定施設の最新リストは英国政府のウェブサイトで確認することができます。
一部の混合食品の輸入に関しては、動物性加工済原料が認定施設由来である証明書類の添付が要件化されていませんが、食品衛生規則のひとつである維持規則(EC)853/2004を法根拠として、「認定施設に由来すること自体が免除されているわけではなく、検疫当局の求めにより英国/EU認定施設に関する情報を提示する」必要があることに留意が必要です。
なお、EUにおいては、認定施設由来である証明書類などの添付は義務となっています。
施設認定手続き
前述のとおり、未加工動物性食品と植物性原材料を同時に加工して最終製品(混合食品)を製造する場合を除き、動物性加工済原料を調達して、混合食品を製造する施設に認定は必要ありません。ただし、加工済動物性原料は認定施設由来のものを使用する必要があります。
この場合、混合食品の製造施設は、次の1または2の要件を満たす必要があります。
  1. 食品衛生法(昭和 22 年法律第 233 号)に基づく営業許可を有し、または営業届け出を行っていること。
  2. 条例などによる食品製造などの営業許可を有する、または営業にかかる届け出などを行っていること。
原料となる肉製品、乳製品、卵製品、水産製品の施設認定を受けるための手続きに関しては、本ポータルサイト「英国」の「牛肉」「牛乳・乳製品」「鶏卵」「水産物」で確認してください。また、農林水産省ウェブサイト「欧州:証明書や施設認定の申請」内の各「取扱要綱」で詳細を確認することができます。基本的には「対EU 輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」に記載される衛生条件や個別基準を確認のうえ、関連書類を添付し、要綱別紙様式3の「対EU 輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱施設認定申請書」を認定施設の管轄の都道府県知事経由で厚生労働省に申請します。
また「水産品」や「ゼラチン及びコラーゲン」に関しては「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」あるいは「英国及び欧州連合向け輸出ゼラチン及びコラーゲンの取扱要綱」で確認してください。
認定を受けて、認定番号を取得したと畜場や食肉処理場、卵選別包装施設、加工施設または登録農場、養殖場・漁船・市場などのリストは、農林水産省のウェブサイトおよび英国政府ウェブサイトのデータベースにおいて確認することができます。
公的証明書(政府発行の衛生証明書)
「輸入規制」の「1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項に記載のとおり、次に該当する混合食品の場合、輸出の都度、維持規則(EU)28/2012で要求される公的証明書(輸出検疫証明書兼衛生証明書または衛生証明書、以下「衛生証明書」)の添付が必要となります。
  1. 肉製品を含有している混合食品
  2. または乳製品・卵・魚介類のいずれか一種類の動物性加工済原料の割合が50%を超える混合食品
  3. あるいは、乳製品を使用しており含有率は50%未満であるが、「安定していない」(注1)
また、これら3要件のいずれにも当てはまらない動物性加工済原料を含有する混合食品は、含まれる動物性原材料に対応した証明書類等の添付が必要となります。
他方で、衛生証明書の添付が求められていない次のすべてを満たす混合食品などについては必要情報を含めた商業文書(Commercial document)を添付する必要があります。
  1. 肉製品(肉エキス、肉粉末を含む)を原材料に使用しておらず、
  2. 原材料に占める乳製品・卵・魚介類の動物性加工済原料が50% 未満、
  3. 乳製品を原材料に使用している場合、第三国リスト掲載国由来であり、当該国で適切な熱処理が施されている
  4. かつ、「安定している」(注1)
(注1)「安定している」とは、次の維持委員会決定 2007/275/EC 第6条 (1)(a)で定める条件をすべて満たすことを指します。
  1. 常温保存が可能または製造過程で原材料の全体が熱処理や調理などの完全なプロセスにより変性している、
  2. ヒトの食用であることが明記されている、
  3. 清潔な容器に密封されている、
  4. 加盟国の公用語で記載された送り状などの商用文書および食品ラベル表示により、混合食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている。
ただし、2023年6月現在、日本に、肉加工品(食肉製品)または乳製品あるいは混合食品を製造する加工施設の英国(およびEU)向け(HACCP)認定施設がないため、「衛生証明書」の発行に必要な施設番号を付与できません。このため、日本国内で調達した加工済み「肉製品」「乳製品」を原料とする混合食品を英国向けに輸出する体制が整備されていないことに注意が必要です。
なお、公的証明書(衛生証明書)はEUで要求される混合食品の様式と違うため、留意が必要です。2023年4月28日から、英国向け混合食品の公的証明書は新様式「GBHC440」に切り替わっています。
まれに、英国においては、当該混合食品や一部の輸入食品が英国/EU規制でカバーされていない(いわゆる隙間事例に該当する)と判断された場合などには、一般ライセンスまたは認可の取得を求められる場合があります。一般ライセンスの詳細に関しては、動植物衛生庁(APHA)ならびに環境・食料・農村地域省(DEFRA)のガイダンス「Products for human consumption(ヒトの消費向け動物由来食品)」で確認することができます。また、判断に迷う場合は、動植物衛生庁輸入チーム(APHA imports team)に確認することができます。(コンタクト先 電話番号 03000 200 301、メールアドレス imports@apha.gov.uk)
公的証明書の発行手続き
公的証明書(衛生証明書)の添付が必要な混合食品の場合、その発行には動物性原材料の調達元の認定施設番号、事業名、住所が必要となります。また、未加工動物性食品から混合食品を同時に製造する加工施設から最終製品(混合食品)を輸出する場合は、製品に混合食品を製造する加工施設の認定施設番号が記載された識別マーク(identification mark:施設番号と当該施設の所在国名または「JP」などISO基準の2文字略号を記す)をラベルに表示します。
「肉製品を含有している」、「いずれか一つの動物性加工済原料の割合が50%を超える」あるいは、「乳製品を使用」しており「安定していない」混合食品に関しては、現時点では農林水産省から取扱要綱が公表されていません。英国政府が求める公的証明書(輸出検疫証明書兼衛生証明書または衛生証明書)の取得については、農林水産省に問い合わせてください。
また、前記の3要件のいずれにも当てはまらないものの、動物性加工済原料を50%以上含有する混合食品は、含まれる動物性原材料に対応した衛生証明書等の添付が必要となりますので、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」または「英国、欧州連合、スイス及びノルウェー向け輸出水産食品の取扱要綱」を確認してください。
基本的には、輸出側で、各「取扱要綱」に指定する別紙様式「衛生証明書発行申請書」等を管轄当局に提出し、「輸出検疫証明書」の発行を受けたうえで、英国政府が求める公的証明書が発行されます。
原産地証明書
日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)の適用を受けるには、原産地証明(日本原産の証明)が必要となります。「日英・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。詳細は税関のウェブサイト「原産地規則ポータル」で確認することができます。
輸出側としては、「日英・EPA」に定める義務を履行できる者である限り「輸出者自己申告」ができ、財務省関税局・税関「日英・EPA自己申告及び確認の手引き(2020年12月)」に記載されているとおり、同EPA第3章 付属書3-Eに規定された原産地に関する申告文を日本語または英語で、インボイスその他の商業上の文書に記載することとなっています。
申請の際に記載する「輸出者参照番号」とは、日本で登記された企業およびその他の組織に国税庁が割り当てた13桁の法人番号にあたります。(輸出者が登録番号を有しない場合には、記入欄空欄で可。)
その他、詳細はジェトロ「日英・EPA解説書:日英・EPAの特恵関税の活用について(2021年3月)」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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英国政府 英国動植物衛生庁(APHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
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2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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その他参考情報
英国政府 英国動植物衛生庁(APHA)「輸入通知 :ヒト向け混合食品の輸入」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(421KB)
英国政府「非EU諸国 英国向け認定施設」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「英国向け混合食品の輸出にかかる動物衛生証明書の様式」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「欧州:証明書や施設認定の申請」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税関 「EPA原産地規則マニュアル」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.5MB)
財務省関税局・税関「日英 EPA 自己申告及び確認の手引き(2020年12 月)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(704KB)
税関「原産地規則ポータル」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)」
ジェトロ「日英EPA関連情報」
ジェトロ「日英EPA解説書:日英EPAの特恵関税の活用について」PDFファイル(9.3MB)
ジェトロ「原産地証明ナビ」

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年6月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、移行期間終了後も、移行期間終了時点のEU法は、原則的に英国国内法体系に直接組み込まれます(EU規則は、国内法となり、EU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、英国独自の国内法が別途設けられ、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。例えば、混合食品に関して、EUで2021年4月21日から適用されている新規則とは異なるため、輸入時に添付すべき書類や混合食品の分類などについて、注意が必要です。

動物検疫所への輸出検疫検査の申請
英国に日本から香辛料などの調味料を輸出する場合は、特別な検疫上の措置は求められません。植物検疫証明書の取得も不要です。
ただし、「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」に記載のとおり、次に該当する混合食品の場合、維持規則(EU)28/2012で要求される公的証明書(輸出検疫証明書兼衛生証明書または衛生証明書(以下「衛生証明書」)の添付が必要となります。本証明書の発行には日本側での輸出検疫(「輸出検疫証明書」の入手)が必要となります。
  1. 肉製品を含有する
  2. または加工済み動物由来原料の割合が50%を超える
  3. あるいは、乳製品を使用しており、最終製品(混合食品)が「安定していない」(注1)
また、使用されている動物性加工済原料が日本国内の(英国/EU・HACCP)認定施設から由来しているか、海外の認定施設から由来している必要がありますが、2023年6月現在では、(英国/EU・HACCP)認定を受けた肉製品または乳製品あるいは混合食品を製造する加工施設が日本国内に存在しないことから、衛生証明書の発行に必要な施設番号を付与できません。このため、日本国内で調達した加工済み「肉製品」「乳製品」を原料とする混合食品を英国向けに輸出する体制が整備されていないことに注意が必要です。最新の英国/EU向け認定施設は農林水産省のウェブサイトで確認することができます。
(注1)「安定している」とは、次の維持委員会決定 2007/275/EC 第6条(1)(a)で定める条件をすべて満たすことを指します。
  1. 常温保存が可能または製造過程で原材料の全体が熱処理や調理などの完全なプロセスにより変性している、
  2. ヒトの食用であることが明記されている、
  3. 清潔な容器に密封されている、
  4. 加盟国の公用語で記載された送り状などの商用文書および食品ラベル表示により、混合食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている。
なお、英国においては、「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項に記載のとおり、個別のライセンスの取得を求められた場合は、所定の様式によりライセンスを申請し、取得する必要があります。
輸出国側での現物検査
前述の申請事項に基づいて、動物検疫所は現物の検査を行う場合があるとしています。現物検査は、動物検疫所、家畜防疫官の指定検査場所および農林水産大臣の指定検査場所のいずれかで実施され、必要に応じて精密検査、生産工場などの調査が実施される場合があります。これらの書類検査・現物検査のうえ、認められた場合に、輸出検疫証明書または英国政府が求める書式の獣医検疫証明書が交付されます。輸出入検疫を受ける空港や港を管轄する動物検疫所の問い合わせ先リストは、動物検疫所のウェブサイトで確認ができます。
公衆衛生に関しては、「食品関連の規制」の「1. 食品規格」の項を確認してください。
その他、英国側での動植物検疫の対象項目に関しては、「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・検疫」の項を確認してください。

英国の食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2023年6月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、国内で上市されるすべての製品に対して同水準の品質を保証するという観点から、消費者に新鮮な状態で供給される農産物や水産物を中心に取引規格(marketing standard)が定められています。農産物については、維持規則(EU)1308/2013により、いくつかの製品・セクターの取引規格が定められていますが、しょうゆなどの加工調味料に関する規格は定められていません。

なお、生鮮(消費者向け)および工業生産用途のトウガラシ(Capsicum annuum L.)に関しては、食品規格が定められていますが、本稿で対象としている香辛料には関連しません。

食品公衆衛生
英国の食品衛生関連の法体制「衛生パッケージ」は維持規則(EC)178/2002(食品一般法)、維持規則(EC)852/2004(一般食品の衛生規則)、維持規則(EC)853/2004(動物性食品の衛生規則)、維持規則(EC)183/2005(動物の飼料に要求される衛生規則) そして新公的管理維持規則(EU)2017/625およびこれらの規則を補完する関連規則により構成されています。
英国外から輸入される食品については、維持規則(EC)178/2002に基づき英国が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則第11条)。
そのため、英国の食品輸入事業者は、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、英国の所管当局に通知する義務があります(同規則 第19条)。また、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国政府が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則第53条)。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 英国動植物衛生庁(APHA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則 (EU) 1308/2013(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国食品基準庁(FSA)一般食品法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年6月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、使用可能な農薬について、ポジティブリスト制を採用し、食品の種類ごとに許容される残留農薬の上限値(Maximum Residue Limit:MRL)が規定されています(維持規則(EC)396/2005)。MRLは、当該食品1キログラムあたりに許容される農薬量(mg/kg)として示され、MRLが設定されていない農薬と食品の組み合わせに対しては、一律0.01mg/kgの上限値が適用されます。特に、一部農薬のMRLがEUと英国で違う基準が適用されている点に注意が必要です。

なお、しょうゆのような加工食品や混合食品についても本規制の対象となりますが、(加工食品は1300000として掲載)事実上特定の加工食品や複合食品に適用されるMRLは調査時点で設定されていません。ただし、原材料として使用する未加工原料(例.大豆など)については同規則ANNEX II, IIIに設定されたMRLを順守する必要があります。同規則のANNEX II、III に掲載のない農薬・作物の組み合わせに対しては原則、一律基準(上限値0.01mg/kgまたは不検出)が適用されます。 同規則第19条により設定された基準値を上回る原料を使用して加工・混合、または希釈することは禁止されています。

すべての食品に対するMRLは、関連リンクの「GB MRL register(英国 農薬データベース)」で検索可能です。データベースは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。

なお、EUにおける動物由来食品向け(動物用医薬品中の)残留薬理的活性物質(pharmacologically active substances)に関しては、規則(EC) 470/2009および規則(EU)37/2010 ANNEXに記載されていますが、英国において、2019年EU離脱規則(動物・動物製品と動物医薬品 No. 676)などにより修正または一部無効化されています。その他、詳細は、農林水産省のウェブサイト「欧州 | 証明書や施設認定の申請」に掲載されている「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」などで確認することができます。

関連リンク

3. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)

調査時点:2023年6月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国では、維持規則(EC)1881/2006により、食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値が規定されています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(維持規則(EEC)315/93 第1条(1))。これらの最大規定値を超えるものは原材料としても使用できないとされています(維持規則(EC)1881/2006第3条)。

なお、2021年8月30日から、EUでは規則(EC)1881/2006を改正する規則(EU)2021/1323および規則(EU)2021/1317によりカドミウム、鉛の上限値のリストに「塩」や「香辛料」なども追加されており、加工食品などに原材料として使用する場合は注意が必要ですが、調査時点において、英国ではこの規則は適用されていません。

しょうゆが該当すると想定される汚染物質の上限値を抜粋すると、次のとおりになります。 なお、アフラトキシンについては、最も毒性の強いアフラトキシンB1単独での上限値と、B1・B2・G1・G2の総量の上限値がそれぞれ定められています。

汚染物質の上限値(しょうゆに想定される品目)
※ただし網羅した情報ではないため原文を確認のこと
物質名 上限値 対象品目
カドミウム 0.2 mg/kg 大豆
スズ(無機) 200 mg/kg 缶入りの食品(飲料は除く)
3-クロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD) 20 μg/kg しょうゆ
メラミン 2.5 mg/kg 乳児用調製食品および乳児用栄養補給調製食品を除くすべての食品
過塩素酸イオン 0.02mg/kg 乳児用食品など
汚染物質の上限値(一部の香辛料)
※ただし網羅した情報ではないため原文を確認のこと
物質名 上限値 対象品目
アフラトキシン B1:5.0μg/kg トウガラシ属 (鷹の爪、一味、七味などの唐辛子を含む粉末、チリパウダー、カイエンペッパー、パプリカパウダーなど)、コショウ属(白コショウや黒コショウ)、ナツメグ、生姜、ウコン(ターメリック)など
これらの香辛料を1種類または複数混合したスパイス
B1,B2,G1,G2の総量:10.0 μg/kg
オクラトキシンA 15μg/kg 香辛料(乾燥した香辛料を含む)
コショウ属(白コショウや黒コショウ)、ナツメグ、生姜、ウコン(ターメリック、インディアンサフラン)など
20μg/kg トウガラシ属 (鷹の爪、一味、七味などの唐辛子を含む粉末、チリパウダー、カイエンペッパー、パプリカパウダーなど)
15μg/kg 前述の香辛料を1種類または複数混合したスパイス
多環芳香族炭化水素(PAH) ベンゾ[a]ピレン
10μg/kg
カルダモンおよびトウガラシ属(燻製)を除く乾燥スパイス
ベンゾ[a]ピレン、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、クリセンの総量
50μg/kg

その他、英国では、環境残留性と生物蓄積性が高く環境と健康にリスクをもたらすダイオキシン類・ポリ塩化ビフェニル(PCB)・DDTなどの残留性有機汚染物質(POPs)に関して、英国での生産、販売および使用が禁止または厳しく制限されています。2019年6月から、維持規則(EU) 2019/1021により維持規則(EC) 850/2004は改正されており、同規則ANNEX1に記載されている物質は英国における上市、使用が禁止されています。

REACH規則含め、詳細はジェトロEU 輸入品目規制「特定危険化学品に関する規制」で確認することができます。

調味料に直接関連しませんが、EU規則「食品の微生物学的基準に関する委員会規則(EC)2073/2005」も英国国内法化されているため、英国における食品中の微生物学的判断の基準が規定されており、同維持規則により事前調理済み製品のサルモネラ属菌の上限値が定められており、食品事業者が順守する必要があります。(ただし、製造工程においてサルモネラ菌を不活化させる製造方法または組成を採用している製品は除きます)。

さらに、認定施設などでは、英国/EU HACCPの効果を検証する目的で、一般生菌数、腸内細菌科菌群、サルモネラ属菌の検査を定期的に実施することが求められています。詳細は農林水産省のウェブサイト「欧州 | 証明書や施設認定の申請」に掲載されている「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC)1881/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EEC)315/93(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)2073/2005 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU) 2019/1021 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU) 2017/2158(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国食品基準庁 汚染物質(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「欧州 | 証明書や施設認定の申請」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ EU 輸入品目規制「特定危険化学品に関する規制」PDFファイル(392KB)

4. 食品添加物

調査時点:2023年6月

英国では、着色剤や保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの食品添加物と、食品香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」)と総称しています。食品改良剤については、ポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品改良剤のみが使用を認められています。

食品添加物に関しては欧州議会・理事会維持規則(EC)1333/2008に基づきポジティブリスト形式での規制が課されており、ポジティブリストについては、英国政府のウェブサイトでも検索が可能です。欧州委員会のデータベースでは、上限値などを整理していますが、英国政府のデータベースは、名称のみのリストであるため、上限値などは、維持規則(EC)1333/2008のANNEX IIIを確認する必要があります。

なお、EU離脱に伴い、欧州委員会のウェブサイト(食品添加物検索データベース)と一部英国国内法で相違がでてきている点に注意が必要です。また、食品酵素については、調査時点ではポジティブリストが公表されていないため、ポジティブリスト形式での使用規制は適用されていません。

「添加物」をラベルに表示する際には項目での一括表示ではなく、E番号または添加物の名称で表示する必要があります。例えば、日本では、「pH調整剤」と一括表示が許可されていますが、英国においては、「E500」または「Sodium carbonates(炭酸ナトリウム)」、「E336」「Potassium tartrates(酒石酸カリウム)」などと表示する必要があります。

英国における食品改良剤の定義
食品改良剤 根拠法 定義
食品添加物 維持規則(EC)
1333/2008
それ自体は通常は食品として消費されず、栄養価の有無を問わずに食品の典型的な原材料としては通常は使用されない物質で、食品の製造、加工、調理、処理、包装、輸送、保存の段階において技術的な効果(防腐、酸化防止、色の定着など)を意図的に追加することにより、その物質やその副産物が直接的・間接的に食品の構成要素となるか、なることが十分に予想される物質。E番号で表示される。 ただし、次の物質は食品添加物として使用されない場合、本規則の適用外である。
  • 加工助剤(processing aids
  • 植物の健康に関する共同体ルール(EU加盟当時の植物衛生関連規則のこと)に従って植物や植物製品の保護のために使用される物質
  • 栄養素(nutrients)として食品に添加される物質
  • 理事会維持指令98/83/ECの範囲に該当するヒトの消費を意図した水の処理などで使用される物質
  • 維持規則(EC)1334/2008の範囲に該当する香味料
その他、添加物とみなされないものについては同規則第3条を確認のこと
食品香料 維持規則(EC)
1334/2008
それ自体は食品として消費されず、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される製品。香料物質、香料調整品、熱処理香料、スモーク香料、香味料前駆体、その他香料およびこれらの複合物からなる。
flavouring”というそのままの表示、あるいは具体的な香料の名称または香料の説明(description)で表示。天然(Natural)の記載については同規則第16条の条件を満たす必要がある。
食品酵素 維持規則(EC)
1332/2008
植物、動物、微生物、またはそれらに由来する製品から得られる製品、微生物の発酵によって得られる製品も含む。
同規則で定められている食品酵素の名称または販売時の説明(description)を考慮して表示。

また、食品添加物には「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、英国に調味料を輸入しようとする場合、当該食品添加物の使用可否とその許容含有量についても確認する必要があります。カテゴリーごとに検索する場合、欧州委員会データベースにおいて「12.2.2調味料(Seasonings and condiments)」や「12.6ソース(Sauces)」のカテゴリーに、香辛料などは「12.2.1ハーブ・香辛料(Herbs and spices)」のカテゴリーに該当し確認することが可能ですが、前述のとおり、最終的な根拠法令としては、英国における維持規則(EC)1333/2008に基づきます。
例えば、日本で赤色着色料として使用されているクチナシ、ベニバナ、紅麹などは英国での使用は許可されていません。
その他、甘味料として使用される「ステビオールグリコシド/ステビオール配糖体(E960、Steviol Glycosides)」は、しょうゆには175 mg/kgを上限に、しょうゆ以外のソースには120 mg/kgを上限に使用可能です。なお、EUにおいては、2021年7月にE960として認可されている食品添加物「ステビオール配糖体(E960)」は「ステビアから生産されるステビオール配糖体(E960a)」に名称変更されているため注意が必要です。

他方、ANNEX II に記載されていない場合でも、ANNEX IIIに掲載されている添加物や担体(キャリア)は使用条件に従って食品添加物、食品酵素、食品香料、栄養物(ビタミン・ミネラル)として使用することが可能です。その他、ANNEX II PART B(食品への使用が認められるすべての食品添加物で着色料、甘味料以外のリスト)やPART Cのグループ分類(「quantum satis(適量)」の使用を認める)の確認も必要です。また、同規則ANNEX II Part Aに「食品添加物を含むことが禁止されている食品」が規定されています 。

また、維持規則(EU)2019/649により、ビタミン・ミネラルなどの食品への添加に関する維持規則(EC)1925/2006が改正され、2021年4月1日より、最終消費者向け食品(小売り、レストランなど)のトランス脂肪酸は天然由来の動物性の脂肪酸を除き、脂質100gあたり2gを超えてはならないとされています。また、業務向けでこの数値を超える場合は、トランス脂肪酸の量に関する情報を提供する必要があります。
食品に添加できるビタミンおよびミネラル成分に関しては、維持規則(EC)1925/2006のANNEX IIに記載されています。

本項目に関して、英国において、EU規制に上乗せで課されている規制は確認されていません。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2023年6月

英国では、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されている、または、通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品を「食品接触素材(FCM:Food Contact Material)」と呼んでいます。維持規則(EC) 1935/2004により、すべての食品接触素材は、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています。

また、維持規則(EC) 2023/2006において、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)がそれぞれ定められています。

なお、すべての素材の食品接触材について、英国政府当局に求められた場合には、製品のトレーサビリティー情報(維持規則(EU)1935/2004第17条)、品質保証・品質管理関連資料(維持規則(EU)2023/2006第7条)を提示する必要があります。

前述の一般原則を規定する規則に加え、特定の食品接触素材について、個別の規則が定められており、定められた条件に準拠していることを示す適合宣言書の添付が求められています。

適合宣言書の添付要件のある食品接触素材とその規制
食品接触素材 規則・指令 主な内容
プラスチック 維持規則(EU)10/2011 ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
アクティブ・インテリジェント素材
〔鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)〕
維持規則(EC)450/2009 食品と誤認されるおそれがある場合には、3mm以上のフォントサイズで‘DO NOT EAT’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
再生プラスチック 維持規則(EC)282/2008 同規則に従って認可を受けたリサイクルプロセスから得られた物質を原料として製造された再生プラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
セラミック 維持指令 84/500/EEC カドミウムと鉛の検出上限値が規定されています。
再生セルロースフィルム 維持指令 2007/42/EC ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
BPA(ビスフェノールA) 維持規則(EU)2018/213 乳幼児向け食品に接触することが意図された包装材の原料への禁止
エポキシ樹脂 維持規則 1895/2005/EC エポキシ誘導体の定義と使用制限
ゴム 維持指令 93/11/EEC エラストマーまたはゴムに由来するN-ニトロソアミンおよびN-ニトロソアミンに転化可能な物質の放出、基準、分析方法に関する規則

なお、イングランド向け、ウェールズ向け、スコットランド向け、北アイルランド向けの食品接触素材の地域ごとの規則が制定されています。詳細は、関連リンクの「根拠法等」を参考にしてください。

また、EUでは、食品接触を意図する「再生プラスチック」に関して、旧規則の規則(EC)282/2008が廃止され、2022年10月10日より、新規則(EU)2022/1616が施行されていますが、英国は旧規則のままのため、注意が必要です。

【容器・包装関連制度】
英国では、2022年4月1日以降「Plastic Packaging Tax(プラスチック包装税)」が導入されており、12カ月の間に10トン以上のプラスチック包装を製造または輸入するなど、基準に該当する事業者に対し税制への登録義務が発生します。税制の登録事業者は、再生プラスチックの重量比30%未満のプラスチック包装1トンあたり200ポンド(2023年4月1日より210.82ポンドに変更)課税されます。流通業者、輸入業者などのサプライチェーンだけでなく、消費者向け使い捨て(容器)も課税対象となっています。
また、一年あたり25トン以上の包装を製造あるいは輸入する、年間売上高が100万ポンドを超える事業者に対し、包装破棄物処理費用の負担を求める「Extended Producer Responsibility for packaging(包装の拡大生産者責任)」が2023年2月以降、英国内で整備されつつあります(英国内自治政府ごとに施行時期が異なる)。制度の詳細は調査時点でも検討中とされていますが、対象事業者は自らが英国市場に投入した包装の種別と量を定期的に報告し、各種費用を負担することになります。
その他、英国では安全の予防的観点から、竹やその他の植物由来の材料(もみ殻、麦わら、麻など)を含むプラスチック製の容器や調理器具の流通を差し止める政府勧告が出されているため、注意が必要です(植物由来の材料のみの容器は流通可能です)。
その他、木箱やパレットなど木製の梱包に関する規制は本ポータルサイト「英国」の「花き」を確認してください。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
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2012年食品接触材規則(ウェールズ向け)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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2012年食品接触材規則(北アイルランド向け)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
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その他参考情報
英国政府 「食品ラベルと包装」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会「EU加盟国の食品接触素材に対する独自規制に関するレポート」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国歳入関税庁「プラスチック包装税にかかるガイダンス集」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国歳入関税庁「プラスチック包装税の課税対象の包装にかかるガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 環境・食糧・農村地域省・英国環境庁「包装の拡大生産者責任の概要に関するガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国基準庁「小売向け喚起 : 竹を含むプラスティック容器および器具について」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省 「輸出先国における容器・包装に関する規制x」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ 「海外向け食品の包装制度調査」

6. ラベル表示

調査時点:2023年6月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。 ラベル表示については、英国独自の国内法も別途設けられることが、保険医療法案により示唆されており、今後、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国独自のラベル表示規則
英国(北アイルランドを除く)内で販売する商品は、ラベル表示を英国の規則に基づき変更する必要があります。ラベルの変更実施の責任機関は英国(北アイルランドを除く)の自治政府にあり、別市場のラベル付け要件に準拠する必要がある場合は、ラベルにほかの情報を含めることは可能です。北アイルランドについては、アイルランド/北アイルランド議定書に基づき北アイルランドで販売する商品のラベル表示はEU規則の順守を継続するとされているものの、英国政府は事業者の負担を考慮しつつ、北アイルランドの農業・環境・農村地域省や地域議会と連携して、ラベル表示要件の実施手法について検討中です。
EU維持規則で規定されるラベル表示規則
英国では、食品のラベル表示は、維持規則(EU)1169/2011で規定されています。ただし、英国の保険医療法案により同規則を修正することが示唆されているため、今後、EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。
調査時点では、英国で流通する食品全般(最終消費者向けおよび調理施設(レストラン、食堂など)向けの輸入食品を含む)には維持規則(EU)1169/2011が適用されており、輸入食品にも適用されます。英国で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。
調味料を輸出する場合、同規則第9条およびEU維持指令2011/91/EUに基づき次の項目を表示する義務があります。なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。
英国におけるラベル表示に関する規則
項目 補足説明
食品の名称 食品の名称は、次の優先順位で記載する必要があります。
  1. 法的名称:英国の法律、規則などで定められた名称。
  2. 慣習的名称:英国で消費者に食品名称として受け入れられている名称。その名称以外に説明が不要なもの。
  3. 説明的名称:製品の本質が消費者に分かり、混同しやすいほかの製品と区別できる食品を形容した説明、および必要に応じてその用途を示す名称。
なお、商標やブランド名を食品の名称として使用することはできません。
原材料リスト 原則として、すべての原材料(食品添加物や酵素を含む。)を重量順に表示する必要があります。ただし、食品に占める割合が2%未満の原材料については、重量順と異なるかたちで列挙することも可能です。なお、複合原材料についても、名称・総重量を記載したうえで、その後に原材料リストを記載する必要があります。食品添加物および食品香料は、そのカテゴリー(酸化防止剤、防腐剤、着色料など)ごとに物質名またはE番号を表示する必要があります。ただし、加工助剤や最終製品において技術的な機能を持たない担体(キャリア)などについては維持規則(EU)1169/2011規則第20条を参照してください。
原材料の量の表示は同規則ANNEX VIIIを参考してください。
アレルギー物質 食品の名称が、当該物質で明確に記載されている場合は不要ですが、表示が義務付けられているアレルギー物質は、次のとおりです。
  • グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
  • 甲殻類および同製品
  • 卵および同製品
  • 魚および同製品(一部例外あり)
  • ピーナツおよび同製品
  • 大豆および同製品(一部例外あり)
  • 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
  • ナッツ類および同製品
  • セロリおよび同製品
  • 辛子および同製品
  • ゴマおよび同製品
  • 濃度が1kg/1Lあたり10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
  • ルピナス(マメ科植物)および同製品
  • 軟体動物および同製品
原材料リスト内でアレルゲンを表示する場合、太字、異なるフォントや色を使用して強調する必要があります。
原材料リスト表示がない場合は、特定のアレルゲンを「含む‘contains」の表記が必要となります。
正味量

重量単位で「kg(キログラム)」または「g(グラム)」で表示します。
文字の大きさは重量に応じ、次のとおり表示する必要があります。

公称重量 文字の高さ
50g以下 2mm以上
50g超200gまで 3mm以上
200g超1,000gまで 4mm以上
1,000g超 6mm以上
また、重量誤差の許容範囲(容器に記載された公称重量と実質重量の誤差)については、維持指令76/211/EEC により、次のとおり規定されています。
公称重量
(g)
許容範囲
(公称容量より少ない場合)
公称重量
に対する%
g
5 ~ 50 9
50 ~ 100 4.5
100 ~ 200 4.5
200 ~ 300 9
300 ~ 500 3
500 ~ 1,000 15
1,000 ~ 10,000 1.5
義務ではありませんが、表示されている正味量が関連するEU維持規制に準拠していることを示すため、eマークを正味量の横に表示することが可能です。
〇g eマーク
図:eマーク
賞味期限または消費期限 事前包装されている食品に関して、微生物学の視点からみて傷みやすく、短期間で危険となりうる食品の場合、日本と同様に、品質保持期限/賞味期限(the date of minimum durability)に代えて「消費」期限(the ’use by’ date)を表示する必要があります。
特殊な保存条件や使用条件 当該食品が特別な保存条件や使用条件を必要とする場合には、表示する必要があります。また、開封後の食品の適切な保存または使用を可能にするために、必要に応じて保存条件や消費期限を表示することができます。
例:「Keep in the fridge below 5℃(冷蔵庫で5℃未満で保管)」
(食品情報について責任を負う)食品事業者の名称または商号、および所在地 包装済み食品を当該名称または商号で販売している食品事業者(FBO)(英国内事業者でない場合は、英国の輸入者)の名称または商号および所在地を表示する必要があります。
原産地 最終製品の原産地と、最終製品に含まれる主原料の原産地が異なる場合には、当該主原料の原産地を記載するか、「(〇○:主原料)は(××:最終製品の原産地)に由来しない」(○○ does not originate from ××)と記載する必要があります。例えば、最終製品の「ミートパイ」と主原料の「ミート」の原産地が異なる場合、主原料とは、最終製品の50%以上を占める原材料、または、製品の名称から消費者が通常想起する原材料(「ミートパイ」における「ミート」)を指します。また、最終製品の原産地が表記されていなくても、原産地を想起させる国旗などがパッケージに表示されている場合は、本規制の対象となります(維持実施規則(EU)2018/775)。
使用方法の指示 記載がなければ適切な使用が困難な場合に記載する必要があります。
栄養表示 次の項目について、100gまたは100mlあたりの栄養素を表示する必要があります。これに加えて、一食あたりの栄養素を表示することも可能です。栄養表示はスペース上で可能であれば表形式で記載し、難しい場合は列記しなければなりません。
  • エネルギー量(kJ/kcalの両方を記載する必要があります)
  • 脂肪(g)
  • 飽和脂肪酸(g)
  • 炭水化物(g)
  • 糖類(g)(単糖類および二糖類の合計値のことを指します)
  • タンパク質(g)
  • 塩分(g)〔(塩分)=(ナトリウム含有量)×2.5で算出することとなっています〕
栄養表示は原則として、当該食品が販売されている状態の栄養素を記載することが必要ですが、調理後の栄養素を表示することが適切な場合で、調理方法について詳細な記載がある場合には、調理後の状態の栄養素を記載することも可能です。
製造ロット番号
(EU維持指令 2011/91/EU)
包装済み食品は製造ロット番号を表示する必要があります。明確な表示(LOTなど)の場合を除き、「L」の文字に続けてロット番号を表示する必要があります。
ただし、生鮮牛肉に関しては、【牛肉と牛肉製品の登録と識別ロット】で記載のとおり、すべての段階でのトレーサビリティーにかかる「識別ロット」の表示が必要となります(維持規則(EC)1760/2000)。
補完のラベル表示義務(特定の原材料に関する注意喚起) 維持規則(EU)1169/2011のANNEX IIIに基づき、追加表示義務があります。(例:密閉した包装容器内の空気を除去し、窒素などその他のガスを充てんしたガス充てん包装がなされた食品については、「packaged in a protective atmosphere」と表示する義務が追加されます)
食品のラベルに使用される言語は、英語となり、文字の大きさについては、次のとおり指定されています(維持規則(EU)1169/2011 Article 15)。
Appendix
  • 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
  • 包装面の最大面積が80cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上
補完のラベル表示義務(特定の原材料に関する注意喚起)
その他、維持規則(EU)1169/2011のANNEX IIIに基づき、追加表示義務項目があります。
例えば、密閉した包装容器内の空気を除去し、窒素などその他のガスを充てんしたガス充てん包装がなされた食品については、「packaged in a protective atmosphere」と表示する義務が追加されます(同規則ANNEX III)。
【グルテンフリー食品】
維持規則(EU)828/2014により、グルテン含有量が20mg/kg以下である場合には「gluten-free」の表示が可能です。その際には、「gluten-free」の表示とともに「suitable for people intolerant to gluten(グルテン不耐症のヒト向け)」または「suitable for coeliacs(セリアック病患者向け)」の文言を付すことも可能です。
【遺伝子組換え食品】
維持規則(EC)1829/2003により、認可を受けた遺伝子組換え作物のみが英国内での流通・販売を認められており、遺伝子組換え作物を含む食品を流通させる場合には遺伝子組換え作物を使用している旨の表示が義務付けられています。遺伝子組換え食品を含む場合、原材料リストの当該原材料の直後に「genetically modified(遺伝子組換え)」または「produced from genetically modified(name of ingredient)(遺伝子組換え(原材料名)から作られた)」という文言を括弧書きで表示しなければなりません。原材料がカテゴリー名で表示されている場合は、原材料リストに「contains genetically modified(name of organism)(遺伝子組換え(生物名)を含む)」または「contains(name of ingredient)produced from genetically modified (name of organism)(遺伝子組換え(生物名)から製造された(原材料名)を含む)」という文言を表示しなければなりません。これらの表示は、少なくとも原材料リストと同じ大きさのフォントで印刷されていることを条件に、原材料リストの脚注に記載することができます。
ゲノム編集などの「新しい育種技術(NBT:New Breeding Techniques)」に関しては、「7. その他」の項を参照してください。
【新規食品】
維持規則(EU)2015/2283により、英国で新規食品を市場に出すための規則が定められています。原材料として新規食品を使用する場合には、新規食品の認可リストを確立する維持規則(EU)2017/2470に規定される新規食品の特定の表示要件に従い、所定の手続きを経て認可リストに掲載される必要があります。
【栄養・健康に関する強調表示】
維持規則(EC)1924/2006により、栄養・健康に関する強調表示(例:「DHA は正常な血圧の維持に寄与します」「脂肪分 0%」)に関する規制が定められています。食品ラベル上に記載可能な強調表示はポジティブリスト形式で定められています。強調表示が可能な栄養素など、記載可能な表現、強調表示を行うために含まれるべき栄養素などの基準が詳細に定められているため、注意が必要です。
例えば、カルシウムの強調表示において、「Calcium is needed for the maintenance of normal bones(カルシウムは正常な骨の維持に必要です)」「Calcium contributes to normal blood clotting(カルシウムは正常な血液凝固に寄与します)」という表現は英国で許可されますが、「Calcium helps to keep a healthy blood pressure.(カルシウムは健康的な血圧の維持に寄与します)」という表現は許可されていません。ポジティブリストに関しては一部、EUと英国で認められている表現が異なることもあるため、英国政府のウェブサイト「リスト登録」で必ず確認してください。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国保健省(DHSC)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 安全・基準局 (OPSS Office for Product Safety and Standards)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2018年EU(離脱)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2020年EU(離脱協定)法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU) 1169/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令 2011/91/EU(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令 76/211/EEC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 1924/2006 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU) 2018/775(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2015/2283(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/2470(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)828/2014(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)1829/2003(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国保健省(DHSC)「消費者向け食品情報に関するヘルスケア議案」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「食品ラベル : 消費者向け食品情報に関するガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「包装済み食品: 重量と測定の規則に関するガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「栄養・健康に関する強調表示のガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国保健省(DHSC)「栄養・健康に関する強調表示登録リスト」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁「2021年1月1日以降適用される衛生の識別マークに関するガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会「Food Labelling Information System (FLIS)(食品ラベル規則の検索ツール)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「地理的保護の食品と飲料の名称(Protected geographical food and drink names)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国で保護されている日本側GI」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「EUにおける食品ラベル表示に関する規制」(2014年3月)
ジェトロ「EU向け食品ラベルの翻訳例」(2020年12月)
ジェトロ「健康食品関連規制調査(EU)(2017年3月)」

7. その他

調査時点:2023年6月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国外から輸入される食品については、維持規則(EC)178/2002に基づきEU維持規制が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。

英国の食品輸入事業者には、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、所管当局に通知する義務があります(維持規則(EC)178/2002 Article 19)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国政府が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

英国の食品衛生要件に関しては、維持規則(EC)852/2004(一般食品衛生規則)と維持規則(EC)853/2004 (動物由来食品衛生規則)で規定されています。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC) 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国食品基準庁(FSA)「一般食品法(英語)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
有機食品に関する規制
英国に有機食品を輸入する場合、英国に登録された有機認証団体から認可を受け、英国向けの検査証明書(COI)の発行を受けることで、英国で「Organic(有機)」と商品のラベルに記載することが可能となります。また、2021年1月1日以降、英国のみに認定された有機食品に対して、EUの有機ロゴを利用することはできません。EUの有機規則で要求される要件を満たした場合のみ、EU有機ロゴの継続使用が可能です。
ただし、英国は、EU、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、スイス(以下、EU等)の有機認証との同等性を2023年12月31日まで認めています。このため、この期間はEUで要求される要件を満たし、有機認証されている食品も、英国で有機食品として登録することが可能です。
【有機JAS製品の同等性を利用して、英国で有機食品として販売する場合】
最終的に日本国内で生産・加工され、日本の有機JAS制度に基づき、既に有機JASとして格付された有機農産物および有機農産物加工食品に関しては、維持規則(EC)1235/2008 ANNEX IIIにより、英国との間で同等性が認められています。しかし、「有機JAS」認証を取得した食品が、無条件に英国域内で有機食品として販売できるわけではなく、有機JAS製品の同等性を利用して、英国で有機食品として販売する場合には一定の手続きが必要な点に注意してください。
同等性を利用して輸出、販売する場合、英国に認可された有機認証団体に認証を受けた上で、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)に有機食品として輸出できますが、輸出の都度の有機食品の輸入検査認証(COI:Certificate of Inspection for Import of products from organic production into great britain)が必要となります。以前は、紙ベースのCOIのみでしたが、2023年9月現在は電子媒体(PDF)のCOIが認められるようになっています。
また、すべての有機JAS食品に対して同等性が認められているわけではありません。詳細は、有機認証団体あるいは環境・食糧・農村地域省(DEFRA)に問い合わせてください。
なお、有機農産物加工食品の原材料は、日本産および日本が同等であると認めた国産のものに限られます。 また、日本の有機JAS 制度を利用して、英国向けに輸入検査認証(COI)を発行できる認証団体は、維持規則(EC) 1235/2008第7条に基づいたリストに記載される英国認可有機認証団体のみであり、すべての有機JAS登録認定機関が発行可能でない点にも留意が必要です。英国に認可された有機認証団体のリストは英国政府のウェブサイト(Lists of non-UK countries, territories)および農林水産省のウェブサイト「有機農産物等の輸出に係る証明書を発行できる登録認証機関一覧(英国)」で確認ができます。
たとえ、日本で有機JASを取得していても、英国での有機認証を取得していない商品の包装に「Organic」と印刷することは違反行為となり、輸入国でラベルを張り替える、「Organic」を塗りつぶすなどの措置が求められることにも注意が必要です。
【有機JAS製品の同等性を利用せずに、英国で有機食品として販売する場合】
有機JAS製品の同等性を利用せずに、英国で有機食品として販売する場合、有機JAS対象外品目や「同等性」の対象外品目については、維持規則(EC)1235/2008第10条にのっとり、英国に認可された有機認定団体(同規則ANNEX IVならびに英国政府のウェブサイトにリスト)から直接認定を受けることで、英国で有機食品としての販売が可能です(維持規則(EC)834/2007第33条 第3項)。英国の有機生産規則に準拠した原料、添加物、加工助剤を使用する必要があります。
ただし、リストに掲載されていても、実質的には認定が不可能なケースもあるため、有機生産規則の指導とあわせて、詳細は有機認定団体に直接問い合わせてください。 英国に登録された(英国外の)外国有機認定団体のリストは維持規則(EC)1235/2008 ANNEX IVに載っていますが、EUの認定団体と相違する点に注意してください。英国政府のウェブサイトの「Recognised non-UK control bodies and control authorities」でも確認することができます。 なお、英国における「英国政府認可の有機食品の認定団体」については、英国政府のウェブサイトまたは農林水産省のウェブサイトのリスト「EU加盟国、スイス、英国の証明書を発行する機関の名称及び住所」で確認することができます。
英国に有機食品を輸入する際、EUのTRACESシステムは利用できません。調査時点では、暫定的に、手動で英国の有機輸入システムで手続き(認証機関がCOIを英国の輸入者へ電子メールで送る)を行うこととなっています。COIの署名および押印は電子的なものでも良いとされています。詳細は、農林水産省「第三国から有機製品をグレートブリテン(GB)へ輸入手引き(仮訳)」で確認することができます。ただし、北アイルランド向けの場合はEUのTRACESシステムを経由する必要があります。詳細は本ポータルサイト「EU」の各品目にある「有機食品に関する規制」の項で確認することができます。
【有機食品のラベル表示】
英国では、有機食品を第三国から輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、欧州理事会維持規則(EC)834/2007および維持規則(EC)1235/2008で規定されています。EUでは新公的管理の規則(EU)2017/625に照らし合わせ、新規則(EU)2018/848が、2022年1月1日から適用されていますが、英国では適用されません。
包装済み食品の原料(農産品)の95%が有機製品である場合のみ、「Organic」の表示をすることができます。有機製品が英国産の場合のコードは「GB-ORG-XX」となります。なお、有機生産規則の基準を満たさない、かつ有機認証団体に認定を受けていない非有機製品や商品名(ブランド)や社名に例えば「〇〇's Organic」という名前を使用することはできません。このため条件を満たさない場合、成分表示リストや説明などに無条件に「Organic」(例 有機砂糖‘organic sugar’)を含めることはできません。
ただし、製品としては、非有機であっても、原料が有機の場合に、英国の有機認証団体に認証を得ることで、当該原料に関して、有機と記載することは可能となります。 例えば、有機農業原料が95 %未満の場合であっても、認証を受けることで、商品ラベルや付属文書の成分表示リストのみに「Organic」(例:有機砂糖‘organic sugar’)を使用することは可能となります。他方で、商品名や説明書きに「Organic」を表示することはできません。 前述のとおり、有機JAS製品の同等性を利用せずに、英国の有機生産規則に準拠して、規則で認められた原材料や添加物、加工助剤などのみを使用して、有機認証団体に直接認定を受けた場合に限り、「Organic」の表示をすることができます。
詳細は、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)または、前述の英国認定の有機認証団体に問い合わせてください。
英国はEUを離脱したため、ラベルを次のように変更する必要があります(2023年12月31日までは、経過措置として既存のラベルを使用できます)。
  • UK Agriculture」:農産物原料が英国内で栽培されている場合
  • UK or non-UK Agriculture」:農産物原料が英国内外で栽培された農産物が混合されている場合
  • Non-UK Agriculture」:農産物原料が英国外で栽培されている場合
なお、EUにおいては2022年1月1日から、規則(EC)834/2007が廃止ならびに委任規則(EU)2021/2306により、(EU)2018/848が廃止となっており、英国で適用される有機生産規則と異なる点が多いことに留意してください。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC)834/2007(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)1235/2008 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国政府「有機食品の輸入」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 「有機食品のラベル規則」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「英国向け有機輸入認証を発行する有機認証団体の登録リスト」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「英国政府認可の有機食品の認定団体」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省 「有機農産物等の輸出に係る証明書を発行できる登録認証機関一覧 2023年11月(英国 )」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)170 KB
農林水産省 「EU加盟国、スイス、英国の証明書を発行する機関の名称及び住所」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)268 KB
農林水産省「日本と英国の有機同等性について(令和4年 10 月 17 日版)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)123 KB
農林水産省「よくある質問: 第三国からグレートブリテン(GB)への有機製品の 輸入(仮訳)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)302 KB
農林水産省「手引き : 第三国から有機製品をグレートブリテン(GB)へ輸入(仮訳)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)169 KB
農林水産省「英国(GB)検査証明書(COI)(英語)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)145 KB
農林水産省「英国(GB)検査証明書(COI)説明書き(仮訳)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)188 KB
ジェトロ「英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)」
遺伝子組換え作物に対する規制
英国では、欧州議会・理事会維持規則(EC)1829/2003に基づき、認可を受けた遺伝子組換え作物のみ(大豆、とうもろこし、綿実、菜種、テンサイ)が英国での販売・流通を認められており、流通させる場合には遺伝子組換え作物を使用している旨の表示が義務付けられています。認可を受けた遺伝子組換え体のリストは、英国政府のウェブサイトで検索が可能です。参考情報として、ジェトロレポート「遺伝子組換え食品規制調査-EU-」も参照してください。
一例として、次の英国と日本の規制の違いについて留意する必要があります。
  • 日本では、遺伝子組換え作物のDNAおよびタンパク質が加工工程で除去される食品(しょうゆや植物油など)については、たとえ遺伝子組換え作物を原料としていても遺伝子組換えの表示義務がありませんが、英国では、最終食品におけるタンパク質・DNAの存在の有無にかかわらず、原材料に遺伝子組換え作物を使用した場合には、その旨の表示義務(原材料名の後ろに‘genetically modified’と記載、または、‘produced from genetically modified ○○(原材料名)’と記載)があります。
  • 日本では、遺伝子組換え農産物が食品などの主な原材料(原材料の上位3位以内で、かつ全重量の5%以上を占める場合)ではない場合には、遺伝子組換えについての表示義務がありませんが、英国では、食品添加物を含む加工食品のすべての原材料について、遺伝子組換え作物を原材料に使用している場合は、表示義務があります(例えば遺伝子組換え由来の大豆レシチンやコーンスターチなど)。
  • 日本では、遺伝子組換えではない原材料について、許容される遺伝子組換え作物の「意図せざる混入」の割合は5%未満となっていますが、英国では、同割合は0.9%未満となっていますので、これを超える場合は遺伝子組換え作物使用の表示が必要です。
  • 日本では、包装面の表示可能面積が30平方センチメートル以下の加工食品については、遺伝子組換え表示義務の対象外となっていますが、英国では、最大包装面積が10 平方センチメートル以上の食品には、遺伝子組換え表示の義務があります。また、最大包装面積が10平方センチメートル未満の包装食品や非包装食品についても、遺伝子組換え作物を原材料に使用している場合には、食品陳列棚の近傍に常に見えるかたちで表示する義務があります。
  • 日本では『遺伝子組換え不分別』の概念がありますが、英国規制には当該概念がありません。遺伝子組換え作物を使用もしくは遺伝子組換え作物を飼料の原料としている場合は表示が必要です。
  • 食品成分として使用した遺伝子組換え微生物(酵母エキスなど)にも遺伝子組換え作物使用の記載義務があります。
英国で適用されるEU規制上は、遺伝子組換え作物の混入が偶発的な意図せざるものであり、混入割合が当該原材料の0.9%未満であれば、「GM(O)-Free」などの表示を任意で行うことが可能です。ただし、「遺伝子組換えでない(GM(O)-Free, Non-GM(O)s)」の表示について、EU加盟国および英国での共通規制はなく、各国法で定めることができるため、英国外でも製品を上市する場合には注意が必要です。一方、英国の国内法では「「GM(O)-Free」の表示について独自規制は規定されていませんが、プライベートスタンダードで定められている事例が多いため、取引先の仕様書にのっとる必要があります。
詳細はEU委員会が実施したGM(O)-Freeの表記に関する報告書でも確認することができます。
【ゲノム編集など】
英国は2022年4月11日に「2002年遺伝子組換え生物(意図的な放出)規則 2443」を改正する「2022年遺伝子組換え生物(意図的な放出)(改正)規則(イングランド)347」を発効しました。本規則の改正により、「"qualifying higher plant(QHPs)”(適格高等植物)」の定義が付け加えられ、「"qualifying higher plant”とは、「(a) 自然発生」あるいは「(b) 本規則5(2)に規定される1つまたは複数の技術(従来の育種法)の使用」のみにより有機体が遺伝的に改変された植物」と明文化されたことにより、自然発生または既存の育種法によって作り出された「新しい育種技術(NBT:New Breeding Techniques)」は遺伝子組換え生物/農作物(GMO)と同列でないとしています。本規則は商業用の植物や食品原料などには適用されませんが、EUとの解釈に相違があるため、注意が必要です。

関連リンク

関係省庁
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2022年遺伝子組み換生物(意図的な放出)(改正)規則(イングランド)No 347外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2002年遺伝子組み換生物(意図的な放出)規則No 2443外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
環境・食料・農村地域省(DEFRA)「適格高等植物(QHPs)の公開にかかる要件に関する通知」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

英国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2023年6月

英国の輸入業者として必要な情報
英国への物品の輸入の際に使用するEORI番号の取得などにあたりVAT番号、納税者固有番号(UTR:Unique Taxpayer Reference)、事業開始日および産業分類(SIC:Standard Industrial Classification)コード、「Government Gateway(英国政府ウェブサイト)」のアカウントなどの情報が必要となります。
その他、詳細はジェトロレポート「移行期間終了後の英国ビジネス関連制度」の「1. 英国の輸入にかかる通関手続き」の項を確認してください。
【EORI番号について】
英国のEU離脱移行期間終了に伴い、英国はEUの制度から独立したEORI番号(Economic Operators Registration & Identification number)制度を導入しています。そのため、英国において、英国外の国との輸出入を行う場合、英国によって発行されたGBで始まる12桁のGB EORI番号が必要となります。
GB EORI番号は、英国で輸出入通関手続きを行う(輸入申告の延期を含む)すべての企業に必要です。GB EORI番号を申請するための詳細については、英国政府のウェブサイト(Get an EORI numbe)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)を参照してください。番号申請には5〜10分、取得には最大で5営業日ほどかかります。EU諸国との貿易をしているVAT登録事業者は、既にEORI番号を登録しているため、該当事業所のEORI番号を確認し、「GB」で始まる番号でない場合はGB EORI番号の申請をしてください。
英国において、しょうゆの輸入に際してライセンスなどの要件は定められていません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2023年6月

日本から英国に調味料を輸入する際には、次の書類が必要になります。

  1. 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document C88フォーム)) 英国外の第三国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は維持規則(EU) 2016/341 Appendix B1および英国政府のウェブサイトに記載されています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration
    CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADとあわせて価格申告書の提出を求められます。様式は維持規則(EU) 2016/341 ANNEX VIIIに記載されています。
  5. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB
  6. 有機製品の場合、英国の有機輸入検査認証(COI)の原本を、貨物の到着前までに湾岸保健地方管理局(PHA)に送付する必要があります。裏書きされたCOI(原本あるいはコピー)なしで有機委託貨物が到着した場合、その委託貨物は有機として通関できません。
  7. 動物性原材料を含有する調味料の場合、当該原料が英国への輸入が認められた第三国産のものであることおよび「(英国/EU HACCP)認定施設」で加工されたことを示す商業文書や衛生証明書

詳細は、「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項または次項「3. 輸入時の検査・検疫」を確認してください。
なお、EUではだし入りみそ、だししょうゆについて、EUの国境管理所(BCP:Border Control Post)で自己宣誓書の確認が免除されるよう規則が改正されましたが、英国規則と関連しません。

なお、動物由来成分を含む食品を輸入する場合、公的管理の維持規則(EC)2017/625により、貨物の到着1日前までに電子システムIPAFFS経由で国境管理所(BCP:Border Control Post)に通知する必要があります。

また、日英包括的経済連携協定(日英・EPA)の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。原産地証明書については、「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を参照してください。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2023年6月

日本から英国にしょうゆなど植物性原料のみの調味料を輸入する場合、特別な検疫上の措置は求められません。ただし、維持規則(EU)2017/625第44条および第47条に基づき、通常国境管理所で公的管理の対象とならない製品も、リスクに応じた適切な頻度で定期的に英国の食品衛生基準に適合しているか どうかのサンプリング検査をし、書類検査または同一検査、あるいは現物検査が実施される場合があります。

検査に要した費用は請求されます。

また、一定期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回した場合は、英国政府は発送国の当局に対し必要な調査と是正を要請することがあります。

なお、動物由来食品および動物性加工食品あるいは肉加工品など(肉エキスを含む)の動物性原料を含む混合食品(調味料など)を輸入する場合は、動物検疫の対象となることがあります。日本側での政府発行の衛生証明書、動物検疫については、「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」および「3. 動植物検疫の有無」の項に詳細を記載しています。

英国側の国境管理所(BCP)での検疫検査の対象
次の条件を満たす混合食品の場合、あるいは維持決定 2007/275/ECのANNEX Iに規定されているCNコード(混合食品)または維持実施規則(EU)2019/2007のANNEX Iに掲載されている動物性食品および混合食品は、英国の国境管理所(BCP)での公的検査の対象となります。
  1. 肉製品を含有している混合食品
  2. または乳製品、卵製品、水産品いずれか一つの動物性加工済原料の割合が50%を超える混合食品
  3. あるいは、乳製品を使用しており、「安定していない」(注1)
一方、肉加工品を原材料に使用しておらず、それ以外の動物性加工済原料(乳製品、卵、魚介類)を使用している混合食品で次の条件を満たす場合、あるいは維持決定2007/275/ECのANNEX IIに掲載されているCNコードの混合食品は、国境における公的管理が免除されています。
  • 原材料に占めるこれらの動物性加工済原料の割合が50%未満、
  • 安定していて(注1)、
  • 原材料の乳・卵・魚介類が認定第三国で加工されている
(注1)「安定している」とは、次の維持委員会決定 2007/275/EC 第6条(1)(a)で定める条件をすべて満たすことを指します。
  1. 常温保存が可能または製造過程で原材料の全体が熱処理や調理などの完全なプロセスにより変性している、
  2. ヒトの食用であることが明記されている、
  3. 清潔な容器に密封されている、
  4. 加盟国の公用語で記載された送り状などの商用文書および食品ラベル表示により、混合食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている。
また、この維持決定2007/275/ECのANNEX II に掲載されるCNコードは国境における公的管理が免除されているという意味であり、ランダム検査や市場での公的管理が行われないという意味ではありません。
ただし、「英国/EU(HACCP)認定施設」での加工自体が免除されているわけではなく、検疫当局の求めに応じて、必要情報を提示する義務があることに注意が必要です。
なお、EUではだし入りみそ、だししょうゆについて、EUの国境管理所(BCP:Border Control Post)で自己宣誓書の確認が免除されるよう規則が改正されましたが、英国規則とは関連しません。
動物検疫の検査は、維持規則(EU) 2017/625第47条および維持実施規則2019/2007に規定されているとおり、国境管理所(BCP: Border Control Post)で実施されます(個人消費目的の手荷物、サンプル品などを除く)。
このため、英国に輸出される動物性由来の食品は、必ず、国境検疫所が設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは英国政府および英国動植物衛生庁(APHA)のウェブサイトで確認することができます。
維持実施規則2019/2007のリストに掲載されている国境検疫対象の動物由来食品および混合食品の場合、貨物が到着する24時間前までに、電子システムIPAFFS経由で、「共通衛生入域文書(CHED)」に必要な情報を国境検疫所に事前通知し、国境管理所における動物検疫に合格した際に「共通衛生入域文書」が発行されます。空白や不完全がある場合、関係当局は署名をしないとされています。英国政府のウェブサイトにおいて様式を確認することができます。
動物検疫の手続きなどについては、維持規則(EU)2017/625および関連規則に規定されていますが、(a)文書検査(衛生証明書などの必要書類の確認、輸入条件への適合状況の確認など)、(b)同一性検査(貨物が提出書類と対応しているかの確認)、(c)現物検査(官能検査、簡単な化学検査、ラボラトリー検査)の3段階により行われます。(a)の文書検査において、衛生証明書は必ず原本でなければならず、コピーやファックスは認められません。また、(c)の現物検査については、過去の違反事例や健康被害リスクなどを踏まえ、検査官が必要と判断した場合に実施されます。動物検疫の結果、輸入条件に適合することが確認されると、検査官から共通検疫入国証が発行され、貨物を国境検疫所から移動させることができます。

4. 販売許可手続き

調査時点:2023年6月

英国で販売される食品については、維持規則(EC)178/2002に基づき英国規制が求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。本基準は、動物衛生、動物福祉、植物衛生、環境を考慮し、公正な貿易も包括した、高度なレベルでの人々の生命と健康、消費者の利益の保護の追求を目的とし、リスク分析、予防原則、消費者得利益の保護、人々への意見募集と情報提供することが基準となっています。同規則により、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国政府が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

この衛生に関する要件(「衛生パッケージ」)は、維持規則(EC)852/2004 (一般食品衛生規則)、維持規則 (EC)853/2004 (動物由来食品衛生規則)、 そして、維持規則(EU)2017/625(新公的管理規則)により補完されます。

また、動物性食品を使用する混合食品などの輸入に関しては動物由来成分の製造施設の(EU/英国HACCP)衛生認可の取得などが必要となる場合があります。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC) 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国食品基準庁(FSA)「一般食品法」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

英国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2023年6月

英国の関税は英国政府のウェブサイトで参照できますので、該当する品目の関税率を特定する必要があります。なお、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)適用後の関税率は、表のとおりです。

「日英・EPA」の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日英・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関しては、税関のウェブサイトで確認することができます。 また、商品に非日本産原料が含まれており、原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により税関当局に照会することができます。

英国へ輸入する際の関税率(調味料の一部)
CNコード/品目 関税率
通常 日英・EPA適用
2103.10.00
しょうゆ
6.0% 非課税
(0%)
0904.22.0019
トウガラシ属またはピメンタ属の果実で乾燥し、破砕しまたは粉砕したものでピーマン(Capsicum annuum)を除く
4.0% 非課税
(0%)
2209.00.9100
2L以下の食酢および酢酸から得た食酢代用物(ワインビネガーを除く)
4.20 GBP / 100L 非課税
(0%)

2. その他の税

調査時点:2023年6月

英国への輸入には、輸入関税に加え、付加価値税(VAT:Value Added Tax)が課されることがありますが、しょうゆ (2103.10.0000) の販売には課されません。なお、VATについては、英国政府の関税検索ウェブサイトで確認することができ、維持指令2006/112ECで定められています。

関連リンク

根拠法等
維持指令2006/112/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国政府 「関税検索サイト」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. その他

調査時点:2023年6月

なし