日本からの輸出に関する制度

茶の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する茶のHSコード

0902.10:緑茶(発酵していないもので、正味重量が3キログラム以下の直接包装にしたものに限る)
0902.20:その他の緑茶(発酵していないものに限る)

調査時点での最新情報を記載するよう努めていますが、英国は多くのEU規制が引き継がれているものの、EU離脱に伴い、記載事項は常に変更される可能性がある点に留意してください。なお、北アイルランドは英国の関税領域であるため、(EUに移送される可能性がない場合)「日英包括的経済連携協定(日英・EPA)」や「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」を享受できますが、食品規制に関しては、EU規制が適用されます。本ポータルサイトでは特段の注意がない限り、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)にかかる規制について記載しています。

関連リンク

※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available(Revised)」で最新時点のものを確認してください。

英国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2024年9月

【EU離脱に関する規則】

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法で改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。ただし、EU、英国それぞれに規則改正が行われており、関連規則がEUと英国で相違が生じている点に留意してください。例えば、農薬の残留基準値(MRL)に差異が出てくる点など注意が必要です。
その他、「2024年『2023年EU維持法(廃止および改革)(環境、食料および農村問題)(廃止)』規則」が2024年4月16日に提出されたことにより、73件の維持法が廃止されています。実質的には、その多くが英国で適用されていない規則であるため、直接的な影響は与えないものととらえられますが、留意してください。 * 2023年EU維持法(廃止および改革)により、2024年1月1日より「EU維持法(retained EU law)」の呼称から「同化法(assimilated law)」に変更されましたが、便宜上、本ポータルサイトでは「維持規則」という表現を用います。

【放射性物質規制】

東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、英国への輸入に際して一部政府作成の放射性物質検査証明書が必要な食品はありましたが、2022年6月29日に英国で適用されていた日本産食品に対する放射性物質輸入規制が撤廃されました。なお、EU規制が適用される北アイルランドについても2023年8月3日に放射性物質規制が撤廃されました。詳細は、農林水産省のウェブサイトで確認できます。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2024年9月

英国に輸入する際に英国側で必要な手続き(EORI番号の取得など)に関しては、「輸入手続き」の「1.輸入許可、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)」の項を確認してください。

【原産地証明書】

日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)の適用を受けるには、原産地証明(日本原産の証明)が必要となります。日英・EPAでは、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者・輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。詳細は税関のウェブサイト「原産地規則ポータル」で確認することができます。
輸出側としては、日英・EPAに定める義務を履行できる者である限り「輸出者自己申告」ができ、財務省関税局・税関「日英・EPA 自己申告および確認の手引き(2020年12月)」に記載されているとおり、同 EPA 第 3 章 付属書 3-Eに規定された原産地に関する申告文を日本語または英語で、インボイス、またはその他の商業上の文書に記載することになっています。

申請の際に記載する「輸出者参照番号」とは、日本で登記された企業およびその他の組織に国税庁が割り当てた13桁の法人番号にあたります。(輸出者が登録番号を有しない場合には、記入欄は空欄で可。) その他、詳細はジェトロ「日英・EPA解説書:日英・EPAの特恵関税の活用について(2021年3月)」を参照ください。
また、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への英国の加入に関する議定書が2024年12月15日に発効しており、同協定の適用を受ける場合も同様に原産地証明が必要となります。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2024年9月

英国に日本から緑茶を輸出する場合、特別な検疫上の措置は求められません。植物検疫証明書の取得も不要です。

英国の食品関連の規制

調査時点:2024年9月

英国では、2018年EU(離脱)法に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に直接組み込まれています。ただし、EU、英国それぞれに規則改正が行われており、関連規則がEUと英国で相違が生じている可能性に留意してください。

1. 食品規格

英国では、英国市場に上市されるすべての製品に対して同水準の品質を保証するという観点から、消費者に新鮮な状態で供給される農産物や水産物を中心に取引規格(marketing standards)が定められています。農産物については、維持規則(EU)1308/2013により、青果物を中心にいくつかの製品・分類の取引規格が定められていますが、緑茶に関する規格は定められていません。

【食品公衆衛生】

英国の食品衛生関連の法体制「衛生パッケージ」は、維持規則(EC)178/2002(食品一般法規則)、維持規則(EC)852/2004(一般食品衛生規則)、維持規則(EC)853/2004(動物由来食品衛生規則)、維持規則(EU)2017/625(新公的管理規則)およびこれらの規則を補完する関連規則により構成されています。
英国外から輸入される食品については、維持規則(EC)178/2002に基づき、英国の衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則第11条)。

そのため、英国の食品輸入事業者は、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、英国の所管当局に通知する義務があります(同規則第19条)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国政府が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則第53条)。

その他、販売名称に関する規制や地理的表示(PGI)保護により規定されている場合がありますが、緑茶に関しては確認されていません。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2024 年9月

英国では、2018年EU離脱法に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に直接組み込まれています。さらに、EU、英国それぞれに規則改正が行われており、関連規則がEUと英国で相違が生じている可能性に留意してください。特に、一部農薬のMRLがEUと英国で違う基準が適用されている可能性がある点に注意が必要です。

英国では、使用可能な農薬についてポジティブリスト制を採用し、食品の種類ごとに許容される残留農薬の上限値(Maximum Residue Limit:MRL)が規定されています(維持規則(EC)396/2005)。MRLは、当該食品1キログラムあたりに許容される農薬量(mg/kg)として示され、MRLが設定されていない農薬と食品の組み合わせに対しては、一律0.01mg/kgの上限値が適用されます。
すべての食品に対するMRLは、「GB MRL register(英国農薬データベース)」で検索可能です。データベースは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。その他、詳細はジェトロ調査レポート「EUにおける残留農薬に関する規制(2015年2月)」も参照してください。

一般的に、緑茶の栽培に際して散布される農薬(殺虫剤・殺菌剤・除草剤など)については、英国ではMRLが日本より低く設定されていることが多いため留意が必要です。表1は、茶の栽培によく使用される農薬のMRLを英国とEUと日本で比較したものです(英国は2024年9月時点、EUと日本は2024年4月時点)。 その他の約200種の農薬に関しては、日本の農林水産省のウェブサイトに「諸外国における茶の残留農薬基準値」を比較した資料が掲載されており、日本と英国のMRLを比較することが可能です。

表1 茶の栽培によく使用される一部の農薬
英語名 農薬名 英国 のMRL EU のMRL 日本のMRL
(mg/kg) (mg/kg) (mg/kg)
Chlorfenapyr クロルフェナピル 50.00 50.00 40.00
Chlorantraniliprole (DPX E-2Y45) (F) クロラントラニリプロール 80.00 80.00 50.00
Clothianidin クロチアニジン 0.70 0.70 50.00
Cyantraniliprole シアントラニリプロール 0.05* 0.05* 30.00
Cyflumetofen シフルメトフェン 0.01* 0.05* 40.00
Difenoconazole ジフェノコナゾール 0.05* 0.05* 15.00
Dinotefuran ジノテフラン 0.01* 0.01* 25.00
Ethiprole エチプロール 0.01* 0.01* 10.00
Etoxazole エトキサゾール 15.00 0.05* 15.00
Fenbuconazole フェンブコナゾール 0.05* 0.05* 30.00
Fenpropathrin フェンプロパトリン 2.00 2.00 25.00
Flonicamid (sum of flonicamid, TFNA and TFNG expressed as flonicamid) (R) フロニカミド 0.1* 0.1* 40.00
Flubendiamide (F) フルベンジアミド 0.02*  50.00 50.00
Flufenoxuron (F) フルフェノクスロン 15.00 15.00 20.00
Imidacloprid イミダクロプリド 0.05* 0.05* 10.00
Lufenuron (any ratio of constituent isomers) (F) ルフェヌロン 0.05* 0.05* 10.00
Methoxyfenozide (F) メトキシフェノジド 80.00 80.00 70.00
Spiromesifen スピロメシフェン 50.00  50.00  30.00
Tebuconazole (R) テブコナゾール 0.05* 0.05* 80.00
Thiacloprid チアクロプリド 10.00 10.00 25.00
Thiamethoxam チアメトキサム 20.00 20.00 20.00
Tolfenpyrad トルフェンピラド 0.05* 0.01 30.00

なお、表1にあるフルベンジアミド(Flubendiamide)に関して、EUでは規則(EU)2021/1864により2022年5月14日以降、残留農薬のMRLが日本と同一の50 mg/kgに引き上げられていますが、英国では旧基準値の0.02 mg/kgが適用されるため、注意が必要です。
また、農薬ではないため表1にありませんが、日本茶輸出促進協議会が実施している輸出用茶残留農薬検査事業で、虫よけ剤(忌避剤)であるジエチルトルアミド(DEET)の残留が検出される事例が多く報告されています。MRLが設定されておらず一律基準値の0.01mg/kgが適用されるため、注意が必要です。

EU域内および英国では2018年から、一部のネオニコチノイド系殺虫剤 (イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム) の屋外での使用が禁止されています(EUでは、2023年からスルホキサフロルの屋外使用も禁止)。一部MRLを引き下げる法案がEUで提案されていましたが、現時点では英国での引き下げは確認されていません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2024年9月

英国では、維持規則(EC)1881/2006において食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセス、または生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(維持規則(EEC)315/93第1条)。

緑茶の場合、過塩素酸塩の上限値が規定されています。その他、乳児・幼児用の穀物を主原料とした加工食品や、乳児向けの医療用栄養食品として別途上限値が定められていることがあるため注意が必要です。 残留農薬の項で触れたジエチルトルアミド(DEET)については上限値が設定されておらず、一律基準値の0.01mg/kgが適用されますが、一般的な虫よけスプレー剤の成分であり、汚染物質として製造過程などで混入しないよう注意が必要です。

なお、EUでは2021年8月30日から、規則(EC)1881/2006を改正する規則(EU)2021/1323および規則(EU)2021/1317によりカドミウム、鉛の上限値のリストに「塩」や「香辛料」などが追加されていますが、調査時点において、英国では類似の規則は適用されていません。その他、EUでは天然の毒性をもつピロリジジンアルカロイド(Pyrrolizidine alkaloids)の上限値が適用されていますが(2022年7月1日より規則(EU)2020/2040により適用)、調査時点において、英国では適用されていません。

表2 汚染物質の上限値(緑茶)
物質名 上限値 対象品目
メラミン 2.5mg/kg 乳児用調製粉乳および乳児用栄養補給調製食品を除くすべての食品
過塩素酸塩 0.75mg/kg 茶(Camellia sinensis)
ドライフルーツや植物を煎じたもの

その他、環境残留性と生物蓄積性が高く環境と健康にリスクをもたらすダイオキシン類・ポリ塩化ビフェニル(PCB)・DDTなどの残留性有機汚染物質(POPs)に関して、英国での生産、販売および使用が禁止、または厳しく制限されています。2019年6月から、旧規則(EC)850/2004は維持規則(EU)2019/1021により改正されており、同規則ANNEX Iに記載されている物質は英国における上市、使用が禁止されます。

REACH規則含め、詳細はジェトロEU 輸入品目規制「特定危険化学品に関する規制」で確認することができます。

4. 食品添加物

調査時点:2024年9月

英国では、着色剤や保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの食品添加物、食品香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」)と総称しています。食品改良剤のうち食品添加物および食品香料については、それぞれ維持規則(EC)1333/2008および維持規則(EC)1334/2008に基づきポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品改良剤のみが使用を認められています。食品酵素については、調査時点でポジティブリストが完成されていないため、ポジティブリスト形式での使用規制は適用されていません。

英国におけるポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「濃度限度(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物が「14.1.5コーヒー、茶、果物抽出物等」の食品カテゴリーに対して使用可能かどうかについて確認する必要があります。 さらに、同規則ANNEX II に記載されていない場合でも、同規則ANNEX IIIに掲載されている添加物や担体(キャリア)は使用条件に従って食品添加物、食物酵素、食品香料、栄養物(ビタミン・ミネラル)に使用することが可能です。

表3 英国における食品改良剤の定義
食品改良剤 根拠法 定義
食品添加物 維持規則(EC) 1333/2008 それ自体は通常は食品として消費されず、栄養価の有無を問わず、食品の典型的な原材料としては通常は使用されない物質で、食品の製造、加工、調理、処理、包装、輸送、保存の段階において技術的な効果(防腐、酸化防止、色の定着など)を意図的に追加することにより、その物質やその副産物が直接的・間接的に食品の構成要素となるか、および、なることが十分に予想される物質。E番号で表示される。
ただし、次の物質は食品添加物として使用されない場合、本規則の適用外である。
  • 加工助剤(processing aids)
  • 植物の健康に関する共同体ルール(EU加盟当時の植物衛生関連規則のこと)に従って、植物や植物製品の保護のために使用される物質
  • 栄養素(nutrients)として食品に添加される物質
  • 理事会指令98/83/ECの範囲に該当するヒトの消費を意図した水の処理などで使用される物質
  • その他、添加物とみなされないものについては同規則第3条を確認のこと。
食品香料 維持規則(EC) 1334/2008 それ自体は食品として消費されず、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される製品。香料物質、香料調整品、熱処理香料、スモーク香料、香味料前駆体、その他香料およびこれらの複合物からなる。
‘‘flavouring”というそのままの表示、あるいは具体的な香料の名称または香料の説明(description)で表示。天然(Natural)の記載については同規則第16条の条件を満たす必要がある。
食品酵素 維持規則(EC) 1332/2008 植物、動物、微生物、または植物、動物、微生物に由来する製品から得られる製品で、微生物の発酵によって得られる製品も含む。
同規則で定められている食品酵素の名称または販売時の説明(description)を考慮して表示

「添加物」とされる項目は次の表のとおりです。

表4 維持規則(EC)1333 2008のANNEX Iに掲載される「添加物」とみなされる27項目
添加物の種類 添加物の役割
甘味料(sweeteners) 食品に甘味を与える(単糖類、二糖類除く)
着色剤(colours) 食品を着色する、またはその色調を回復させる
防腐剤(preservatives) 食品を微生物による品質の劣化から守り、保存期間を長くする
抗酸化剤 (antioxidants) 酸化による品質の劣化を防ぎ食品の保存期間を長くする
キャリア・担体(carriers) 甘味料、香料、栄養素などを溶解、希釈、分散させることで、その取り扱いを容易にする
酸味料 (acids) 食品の酸味を増強・添加させる
pH 調整剤(acidity regulators) pH を調整する
凝結防止剤 (anti-caking agents) 食品の構成要素同士の接着を防ぐ
消泡剤(anti-foaming agents) 泡立つのを防ぐ、または減らす
増量剤 (bulking agents) 食品の栄養価に大きく寄与することなく、食品のかさを増やす
乳化剤 (emulsifiers) 食品中で乳化を均一にする、またはその状態を保つ
乳化塩(emulsifying salts) タンパク質の構造を変えて脂肪の分離を防ぐ
固化剤(firming agents) 組織の形状を保護または強化する
化学調味料(flavour enhancers) 食品にある風味や香りを増強する
発泡剤(foaming agents) 食品中で気泡を均一に分散させる、またはその状態を維持する
ゲル化剤(gelling agents) ゲル化し、食品に食感を与える
光沢剤(glazing agents) 食品の外皮に使用し、食品に光沢を与える、またはその表面を保護する
保湿剤 (humectants) 食品周囲の乾燥による影響で、食品自体が乾燥するのを防ぐ
加工でん粉(modified starches) 物理的または酵素で加工し、アルカリ処理、酸処理、漂白処理などをしたでん粉
充填剤 (packaging gases) 食品を酸化や損傷から守るために食品の容器に注入する気体
噴射剤 (propellants) 食品を容器の外に出すために食品の容器に注入する気体
膨張剤(raising agents) 気体を発生させパンの生地やころもを膨らませる
隔離剤 (sequestrants) キレート作用により、食品の色調、香り、食感を安定化させる
安定剤(stabilisers) 食品の構成要素の分散状態を均一に保ち物理化学的状態を維持する
増粘剤(thickeners) 食品の粘度を増加させる
小麦粉処理剤(flour treatment agents) 小麦粉や生地に加え、焼き上がった食品の品質や色調を改善する
コントラスト増強剤(contrast enhancers) 果物・野菜の表面の一部を脱色することで色を際立たせる

食品添加物と食品香料のポジティブリストについては、英国政府のウェブサイトで検索が可能です。

食品に添加できるビタミンおよびミネラル成分に関しては、維持規則(EC)1925/2006のANNEX IIに記載されており、同規則には添加の条件や添加が禁止されている食品について規定されています。 なお、ビタミンやミネラル成分に使用できる表現やお茶などの健康改善を示唆する表示の禁止などに関して日本と異なる規制が課されていますので、必ず「食品関連の規制」の 「6.ラベル表示」の項を確認してください。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2024年9月

【食品接触素材(Food Contact Material)に関する規制】

英国では、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されている、または、通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品を食品接触素材(FCM : Food Contact Material)と呼んでいます。 維持規則(EC)1935/2004により、すべての食品接触素材は、消費者への健康被害ならびに食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならないこと、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならないことが定められています。

また、維持規則(EC)2023/2006において、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)が定められています。

なお、すべての素材の食品接触材について、英国政府当局に求められた場合には、製品のトレーサビリティー情報、品質保証・品質管理関連資料を英国政府当局の求めに応じて提示する必要があります(維持規則(EU)1935/2004第17条、維持規則(EU)2023/2006第7条)。

前述の一般原則を規定する規則に加え、特定の食品接触素材について、個別の規則が定められており、定められた条件に準拠していることを示す適合宣言書の添付が求められています。

表5 食品接触素材に関する主な規制
食品接触素材 規則・指令 主な内容
プラスチック 維持規則(EU)10/2011 ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
アクティブ・インテリジェント素材
〔鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)〕
維持規則(EC)450/2009 食品と誤認されるおそれがある場合には、3mm以上のフォントサイズで‘DO NOT EAT’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
再生プラスチック 維持規則(EC)282/2008 同規則に従って認可を受けたリサイクルプロセスから得られた物質を原料として製造された再生プラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
セラミック 維持指令84/500/EEC カドミウムと鉛の検出上限値が規定されています。
再生セルロースフィルム 維持指令2007/42/EC ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
BPA(ビスフェノールA) 維持規則(EU) 2018/213 乳幼児向け食品に接触することが意図された包装材の原料への禁止
エポキシ樹脂 維持規則1895/2005/EC エポキシ誘導体の定義と使用制限
ゴム 維持指令93/11/EEC エラストマーまたはゴムに由来するN-ニトロソアミンおよびN-ニトロソアミンに転化可能な物質の放出、基準、分析方法に関する規則

なお、EUでは、食品接触を意図する「再生プラスチック」に関して、旧規則の規則(EC)282/2008が廃止され、2022年10月10日より、新規則の規則(EU)2022/1616が施行されていますが、英国は旧規則のままのため、注意が必要です。

その他、英国では安全の予防的観点から、竹やその他の植物由来の材料(もみ殻、麦わら、麻など)を含むプラスチック製の容器や調理器具の流通が禁止されているため、注意が必要です(植物由来の材料のみの容器は流通可能です)。

なお、イングランド、ウェールズ、スコットランドの地域ごとに食品接触素材の規則が制定されています。詳細は、関連リンクの「根拠法等」を参考にしてください。
その他、木箱やパレットなど木製の梱包に関する規制は本ポータルサイト「英国」の「花き」を確認してください。

【プラスチック包装税(Plastic Packaging Tax)】

英国では、2022年4月1日以降「プラスチック包装税(Plastic Packaging Tax)」が導入されており、12カ月の間に10トン以上のプラスチック包装を製造または輸入するなど、基準に該当する事業者に対し税制への登録義務が発生します。ただし、英国政府のガイダンスによると、ティーバッグはプラスチック包装税の課税対象外となっています。

税制の登録事業者は、再生プラスチックの重量比30%未満のプラスチック包装1トンあたり217.85ポンド(2024年4月1日より変更)課税されます。流通業者、輸入業者などのサプライチェーンだけでなく、消費者向け使い捨て容器も課税対象となっています。

本税制で課税対象となるプラスチック包装は、英国で製造または英国に輸入される再生プラスチックの割合が30%より少ないプラスチック包装の最終製品にあたり、複数の素材で構成される場合、ほかの素材に比べて重量比でプラスチックが多く含まれる場合はプラスチック包装とみなされます

例1
プラスチック:アルミ:厚紙 =4g : 3g : 3gの場合、10gすべてプラスチック包装税の課税対象となります。
例2
再生プラスチック:バージンプラスチック:再生アルミ:再生段ボール紙 = 1g : 4g : 2g : 3gの複合素材の包装の場合、プラスチック成分のうち、再生プラスチックの割合が20%となり、30%未満であること、プラスチック成分の包装全体に占める割合が50%であることから、包装全体10gが課税対象となります。
例3
ガラス瓶とプラスチック蓋、紙製の外箱からなる調味料などの包装の場合、分割された包装要素が組み立てられているととらえ、複合素材の包装ではなく個々の要素ごとに包装として算定、プラスチック蓋のみをひとつの包装ととらえ、再生プラスチックの含有割合が30%未満か否かで判断します。

その他、課税の対象外となる場合や登録方法、重量の計算方法に関しては、英国歳入関税庁のガイダンスを確認してください。

一方で、フランスなど一部のEU加盟国では、2022年から非生分解性プラスチックのティーバッグの使用が禁止されており、英国を含む多くの欧州の大手企業は生分解性のティーバッグを使用している傾向にあることに留意が必要です。現時点では英国では禁止されておりません。

【包装の拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility for packaging)】

また、年間25トン以上の包装を製造または輸入する、年間売上高が100万ポンドを超える事業者(個人事業主、子会社、グループ会社含む)に対し、包装の廃棄物処理費用の負担を求める「包装の拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility for packaging)」が英国内で整備されつつあり、対象事業者は自らが英国市場に投入した包装の種類と量を定期的に報告し、各種費用を負担することになります。

年間売上高200万ポンド超かつ年間包装投入量50トン超の生産者を大規模生産者、大規模生産者に該当しない事業者を小規模生産者と定義づけ、2024年以降のデータ提出については、次表のとおり報告・支払いの義務が求められます。

表6 拡大生産者責任の対象事業者
年間包装投入量 年間売上高(4月7日までの年次決算)
<100万ポンド 100万ポンド~200万ポンド >200万ポンド
< 25 トン 義務なし 義務なし 義務なし
25~50 トン 義務なし 報告のみ *1 報告のみ *1
> 50 トン 義務なし 報告のみ *1 報告・支払い *2

一義的に責任を有するのは包装を英国市場に投入する製造者または輸入者ですが、詳細なデータを報告する必要があるため、例えば日本から食品を輸出する場合でも、輸入者から輸出者に対して包装に関するデータの照会がされる可能性がある点に留意してください。

包装に関する拡大生産者責任に基づく廃棄物処理費用の支払いは当初の予定から1年延期され、2025年10月から適用される予定ですが、大規模生産者は2023年以降に英国で供給または輸入した包装に関するデータを報告する必要があります。自治政府によって施行時期が異なる場合があります。詳細や判断となる計算方法については、英国政府のガイダンスまたは「包装に関する拡大生産者責任:規制当局の合意の立場と技術的な解釈(英語)」で確認することができます。2024年以降のデータ報告については、2024年11月13日5.1版を確認してください。 その他、データの報告についての詳細は、英国政府のガイダンスに記載されています。

【使い捨てプラスチックの一部制限と禁止】

茶の輸出には直接関連しませんが、2023年10月1日から、英国市場では一部の使い捨てプラスチック製品のオンラインまたは店頭での販売・提供が禁止されており、「ポリスチレン製の食品および飲料の容器」「ドリンク用マドラー」「風船の棒」「カトラリー」が該当します。
一方、「皿、ボウル、トレイ」「ストロー」「綿棒」も販売・提供制限の対象ですが、免除要件があります。例えば、レストランなどでの使い捨てプラスチック製「ストロー」は、客が自由に取れない場所に置いて客から求めがあった場合のみ提供する場合には提供可能とされています。

他方で、テイクアウトなど、すぐに消費する食品や飲料の場合、使い捨てのポリスチレン(発泡スチロール)製容器で提供することは禁止されています。本制限の対象となる「発泡スチロール」の技術的な定義に関しては、英国政府のガイダンスで確認してください。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国歳入関税庁(HM Revenue & Customs)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EC)1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)2023/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)1895/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)10/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)450/2009(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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2012年 食品接触素材規則(イングランド)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年 食品接触素材規則(ウェールズ)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年 食品接触素材規則(スコットランド)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国食品基準庁 食品接触素材の規則(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベルと包装(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省 輸出先国における容器・包装に関する規制外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国歳入関税庁「プラスチック包装税に関するガイダンス集」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国歳入関税庁「プラスチック包装税の対象となる包装材と対象外の包装材にかかるガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「包装に関する拡大生産者責任:規制当局の合意の立場と技術的な解釈(第5.1 版2024年11月)」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(974KB)
英国政府「包装に関する拡大生産者責任にかかるガイダンス: 誰に関連し何をするべきか」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府「包装データ: 拡大生産者責任のために収集すべきものガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 環境・食料・農村地域省(DEFRA)「使い捨てプラスティックの禁止と制限にかかるガイダンス」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁(FSA)「竹を含むプラスティック容器または調理器具に関する小売業者向け通知」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

6. ラベル表示

調査時点:2024年9月

英国独自のラベル表示規則

英国政府のガイダンスでは、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)内で販売する商品は、2024年10月1日までにラベル表示を英国の規則に基づき変更する必要があるとされています。ラベルの変更実施の責任機関は英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)の自治体にあり、別市場のラベル付け要件に準拠する必要がある場合は、ラベルにほかの情報を含めることが可能です。北アイルランドについては、アイルランド/北アイルランド議定書に基づき、北アイルランドで販売する商品のラベル表示はEU規則の順守を継続するとあるものの、英国政府は事業者に新たな規則に対応するための時間が必要だと認識しているとされています。英国政府は北アイルランドの農業・環境・地域省と地域議会と連携して、北アイルランド市場でのラベル表示要件の実施手法について検討を行っています。識別マーク、食品事業者(FBO)住所、英国(北アイルランド)原産表示に関する実施手法はラベル表示の変更点に沿いながら、適切でリスクに基づいたものになるとしています。

【ラベル表示規則】

消費者向けの事前包装された食品のラベル表示は、維持規則(EU)1169/2011で規定されています。同規則は、英国で流通する食品全般(最終消費者向けおよびケータリング向け食品を含む)に適用され、輸入食品にも適用されます。英国で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。

緑茶を輸出する場合、同規則第9条およびEU維持指令2011/91/EUに基づき、次の項目を表示する義務があります。
なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。

表7 ラベル表示項目
項目 補足説明
食品の名称 食品の名称は、次の優先順位で記載する必要があります。
  1. 法的名称:英国の法律、規則などで定められた名称。
  2. 慣習的名称:英国で消費者に食品名称として受け入れられている名称。その名称以外に説明が不要なもの。
  3. 説明的名称:製品の本質が消費者に分かり、混同しやすい他の製品と区別できる食品を形容した説明、および必要に応じてその用途を示す名称。

なお、商標やブランド名を食品の名称として使用することはできません。

原材料リスト

単一原材料で食品の名称と同一(茶など)である場合は不要です。
添加物などを添加した場合や加工食品の場合、すべての原材料(食品添加物や酵素を含む。)を重量順に表示する必要があります。ただし、食品に占める割合が2%未満の原材料については、重量順と異なるかたちで列挙することも可能です。なお、複合原材料についても、名称・総重量を記載したうえで、その後に原材料リストを記載する必要があります。食品添加物および食品香料は、そのカテゴリー(酸化防止剤、防腐剤、着色料など)ごとに物質名またはE番号を表示する必要があります。ただし、加工助剤や最終製品技術的な機能を持たない担体(キャリア)などについては維持規則(EU)No 1169/2011規則第20条を参照してください。 原材料の量の表示は同規則ANNEX V3を参考してください。

アレルギー物質 食品の名称が、当該物質で明確に記載されている場合は不要ですが、表示が義務付けられているアレルギー物質は、次のとおりです。
  • グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
  • 甲殻類および同製品
  • 卵および同製品
  • 魚および同製品(一部例外あり)
  • ピーナッツおよび同製品
  • 大豆および同製品(一部例外あり)
  • 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
  • ナッツ類および同製品
  • セロリおよび同製品
  • 辛子および同製品
  • ゴマおよび同製品
  • 濃度が 1キロ/1リットルあたり10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
  • ルピナス(マメ科植物)および同製品
  • 軟体動物および同製品
    原材料リストの標記を太字などで強調することにより表記することが可能です。
特定原材料の分量 次の場合には、原材料の分量を表示する必要があります。
  • 当該原材料が食品の名称に使用されているまたは消費者にとって通常、当該食品名と関連があると解される場合
  • 当該原材料がラベル上で言葉・写真・図で強調されている場合
  • 当該原材料がある食品を特徴づけ、名称や見た目が類似するほかの製品と区別するのに必須な場合
正味量 重量単位で「kg(キログラム)」または「g(グラム)」で表示します。 文字の大きさは重量に応じ、次のとおり表示する必要があります。
公称重量 文字の高さ
50g以下 2mm以上
50g超200gまで 3mm以上
200g超1,000gまで0g超200gまで 4mm以上
1,000g超 6mm以上
また、容量誤差の許容範囲(容器に記載された公称重量と実質重量の誤差)については、維持指令76/211/EEC のとおり規定されています。
公称重量(g) 許容範囲
(公称容量より少ない場合)
公称重量 に対する% g
5 ~ 50 9
50 ~ 100 4.5
100 ~ 200 4.5
200 ~ 300 9
300 ~ 500 3
500 ~ 1,000 15
1,000 ~ 10,000 1.5
義務ではありませんが、表示されている正味量が関連するEU維持規則に準拠していることを示すため、eマークを正味量の横に表示することが可能です。
〇g
eマーク
図:eマーク
賞味期限または消費期限 事前包装されている食品に関して、微生物学の視点からみて傷みやすく、短期間で危険となりうる食品の場合、日本と同様に、品質保持期限/賞味期限(the date of minimum durability)に代えて「消費」期限(the‘use by’date)を表示する必要があります。
特殊な保存条件や使用条件 当該食品が特別な保存条件や使用条件を必要とする場合には、表示する必要があります。また、開封後の食品の適切な保存または使用を可能にするために、必要に応じて保存条件や消費期限を表示することができます。例:「冷暗所で保管」
(食品情報について責任を負う)食品事業者の名称または商号、および所在地 包装済み食品を当該名称または商号で販売している食品事業者(FBO)(英国内事業者でない場合は、英国の輸入者)の名称または商号および所在地を表示する必要があります。
使用方法の指示 記載がなければ適切な使用が困難な場合に記載する必要があります。
栄養表示

何も加えていない茶、栄養価に影響を与えないフレーバーを加えただけの茶については、栄養表示義務の対象外ですが、それ以外の茶には栄養表示義務が課されます。

その場合、次の項目について、100gまたは100mlあたりの栄養素を表示する必要があります。これに加えて、一食あたりの栄養素を表示することも可能です。栄養表示はスペース上で可能であれば表形式で記載し、難しい場合は列記しなければなりません。

  • エネルギー量(kJ/kcalの両方を記載する必要があります)
  • 脂肪(g)
  • 飽和脂肪酸(g)
  • 炭水化物(g)
  • 糖類(g)(単糖類および二糖類の合計値のことを指します。)
  • タンパク質(g)
  • 塩分(g)〔(塩分)=(ナトリウム含有量)×2.5で算出することとなっています〕
栄養表示は原則として、当該食品が販売されている状態の栄養素を記載することが必要ですが、調理後の栄養素を表示することが適切な場合で、調理方法(茶の場合は抽出方法が該当します)について詳細な記載がある場合には、調理後の状態の栄養素を記載することも可能です。
製造ロット番号
(EU維持指令2011/91/EU)
英国内で流通する包装済み食品は、製造ロット番号を表示する必要があります。明確な表示(LOTなど)の場合を除き、「L」の文字に続けてロット番号を表示する必要があります。

同じ英語圏でも、栄養表示規則は米国と英国では異なるため、米国輸出用のラベルを記載したまま英国で販売することはできません。英国の規則に対応したラベルシールを貼るなどの対応が必要です。
食品のラベルに使用される言語は、英語であり、文字の大きさについては、次のとおり指定されています(維持規則(EU)1169/2011第15条)。

  • 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
  • 包装面の最大面積が80cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上

補完のラベル表示義務(特定の原材料に関する注意喚起)その他、維持規則(EU)1169/2011のANNEX IIIに基づき、追加表示義務があります。
例えば、カフェインを多量に含む飲料の場合に記載の必要な文言がありますが、コーヒー、茶あるいはコーヒーエキスおよび茶のエキスをベースとした飲料には本項は適用されません(ANNEX III第4項)。

他方、第2項により、維持規則(EC)1333/2008で認可された「甘味料(sweeteners)」を含む場合は「with sweetener(s)(甘味料入り)」という文言を、糖(類)と一緒の場合は「with sugar(s) and sweetener(s)(糖(類)と甘味料入り)」という文言を、商品名に添える必要があります。

また、維持規則(EC)1333/2008で認可されたアスパルテーム(aspartame)またはアスパルテームアセスルファム塩(aspartame-acesulfame salt)を使用する場合は、原料リストにE番号を記載し、「‘contains aspartame (a source of phenylalanine)’((フェニルアラニン源の)アスパルテームを含む)」とラベルに記載する必要があります。原料リストに具体的な名称を記載して「‘contains a source of phenylalanine’(フェニルアラニン源を含む)」と記載することも可能です。

【着色料と子供の多動性の関連性】

茶の輸入には直接関連しませんが、英国政府の調査プロジェクトで「特定の人工食品着色料を摂取すると、一部の子供の多動性が高まる可能性がある」との結論が出たことから、次の着色料のいずれかを含む食品または飲料に関して代替品の着色料を使用することが奨励されています。使用する場合には包装に「May have an adverse effect on activity and attention in children’(子供の活動や注意力に悪影響を与える可能性があります)」と注意書きを表示することが求められます。

  • sunset yellow FCF (E110 サンセットイエローFCF 『黄色5号』)
  • quinoline yellow (E104 キノリンエロー『黄色203号』日本では医薬品や化粧品への使用のみ)
  • carmoisine (E122 カルモイシン/アゾルビン 指定外着色料)
  • allura red (E129 アルラレッド 『赤色40号』)
  • tartrazine (E102 タートラジン『黄色4号』)
  • ponceau 4R (E124 ニューコクシン 『赤色102号』)

【遺伝子組換え食品】

維持規則(EC)1829/2003により、認可を受けた遺伝子組換え作物のみが英国内での流通・販売を認められており、遺伝子組換え作物を含む食品を流通させる場合には、遺伝子組換え作物を使用している旨の表示が義務付けられています。遺伝子組換え作物を含む場合、原材料リストの当該原材料の直後に「genetically modified(遺伝子組換え)」または「produced from genetically modified(name of ingredient)(遺伝子組換え(原材料名)から作られた)」という文言を括弧書きで表示しなければなりません。原材料がカテゴリー名で表示されている場合は、原材料リストに「contains genetically modified (name of organism)(遺伝子組換え(生物名)を含む)」または「contains(name of ingredient)produced from genetically modified(name of organism)(遺伝子組換え(生物名)から製造された(原材料名)を含む)」という文言を表示しなければなりません。これらの表示は、少なくとも原材料リストと同じ大きさのフォントで印刷されていることを条件に、原材料リストの脚注に記載することができます。

【新規食品】

維持規則(EU)2015/2283により、1997年5月15日以前にEU/英国内でヒトによって相当量(significant degree)を消費されていなかったとされる、食品または食品原料を「新規食品(Novel Food)」と定義し、認可を受けた新規食品のみ英国内で販売または食品として使用することができます。

新規食品には、植物からの新たな抽出物(例:菜種タンパク質)、第三国からの農産物(例:チアシード)、新たな生産工程を用いて製造された食品(例:紫外線処理されたパンや牛乳)、新たな栄養素源(例:藻類から抽出されるドコサヘキサエン酸が豊富なオイル)といった幅広い食品が含まれます。一部の日本や外国でなじみのある第三国由来の伝統食品であっても(例:しそ、一部の海藻など)、1997年5月15日以前にEU/英国で消費されていなかったとされ、規制の対象となり、流通できないこともあるため注意が必要です。

その他、原材料が新規食品とされる「人工ナノマテリアル」の形態で製品中に存在する場合、当該原材料の名称の後に括弧を付して「Nano」と記載する必要があります。 「人工ナノマテリアル」とは、意図的に製造された物質であって、「1またはそれ以上の外形寸法が100ナノメートル以下のもの」または「内面または表面が離散性の機能要素によって構成され、その多くの1またはそれ以上の外形寸法が100ナノメートル以下のもの(100ナノメートル以上の大きさであってもナノスケールの特性を有する強凝集性または弱凝集性の構造を含む)」を指します。

ただし、北アイルランドを含むEUではナノマテリアルである二酸化チタン(TiO2/E171)(白色着色料)の使用が2022年2月から禁止されていますが、英国で本禁止規則は適用されていません。

英国内で新規食品として認定されていない原材料を新規食品として市場に出す場合には、維持規則(EU)2017/2470または英国政府のガイダンスに規定される新規食品の特定の表示要件に従い、所定の手続きを申請して、許可を得る(認可リストに掲載される)必要があります。

認可された新規食品のリストは、維持規則(EU)2017/2470のANNEXに規定されており、英国政府の登録データベース「認可新規食品(Novel food authorisations)」でも検索することができます。

【栄養・健康に関する強調表示】

維持規則(EC)1924/2006により、栄養・健康に関する強調表示(例:「DHA は正常な血圧の維持に寄与します」、「脂肪分 0%」)に関する規制が定められています。食品ラベル上に記載可能な強調表示はポジティブリスト形式(英国リスト)で定められており、強調表示が可能な栄養素など・記載可能な表現・強調表示を行うために含まれるべき栄養素などの基準が詳細に定められているため、強調表示を行う場合には注意が必要です。

例えば、お茶に関連して、

  • お茶由来のポリフェノールについて、「Polyphenols contained in this product ensure antioxidant action(この製品に含まれるポリフェノールは抗酸化作用を保証します)」や「contains antioxidant/s(抗酸化物質を含みます)」という健康強調表示
  • お茶由来のフラボノイドについて、「Exceptionally strong organic antioxidant.(非常に強力な抗酸化物質)」や「Flavonoids, especially catechins from green tea, reduce the absorption of carbohydrates(・・・)Reduces visceral fat(フラボノイド、特に緑茶由来のカテキンは炭水化物の吸収を減らし(・・・)内臓脂肪を減らします)」という強調表示
  • 緑茶エキスについて、「The Immune Balance Drink activates body's defence」(体の免疫機能を活性化するバランスドリンク)という強調表示
    などは禁止されています。強調表示のポジティブリストに関しては英国政府のウェブサイト「栄養・健康に関する強調表示の英国登録リスト」で必ず確認してください。

また、栄養強調表示において、「Low sugars(低糖)」「Sugars-free(無糖)」などと表示する場合、本規則で定義される基準を遵守する必要があります。

その他、特定の母集団向け(例:50代以上の女性向け)強調表示について維持規則(EU)1228/2014で定められています。詳細は、ジェトロレポート「健康食品関連規制調査 (EU)」でも確認することができます。

【地理的表示保護(GI)】

2021年1月1日付で、日英経済連携協定(「日英・EPA」)が発効されました。これに伴い、日本の地理的表示(GI)として、2024年9月現在85産品(酒類8産品を含む)が相互保護されていますが、茶に関して相互保護されている産品はありません。茶に関して英国では、南アフリカ産の「ハニーブッシュティー」と「ルイボスティー」について、SACU-モザンビークおよび英国経済連携協定に基づいて地理的表示が保護されているので注意が必要です。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
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維持規則(EU)2015/2283(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/2470(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国保健省(DHSC)消費者向け食品情報に関するヘルスケア議案(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベルと包装(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベル : 消費者向け食品情報に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 包装済み食品 : 重量と測定の規則に関するガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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英国食品基準庁 (FSA) 「新規食品認定ガイダンス(Novel foods authorisation guidance)」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁 (FSA) 「認可新規食品登録(Novel food authorisations)」データベース(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「EUにおける食品ラベル表示に関する規制」(2014年3月)
英国政府 「地理的保護の食品と飲料の名称(Protected geographical food and drink names)」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「地理的表示法とは」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国で保護されている日本側GI」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「日本における海外のGI保護(英国)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「健康食品関連規制調査(EU)」

7. その他

調査時点:2024年9月

英国では、2018年EU(離脱)法(2020年EU(離脱協定)法にて改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。また、EU、英国それぞれに規則改正が行われており、関連規則がEUと英国で相違が生じている点に留意してください。

【有機食品に関する規制】

英国に有機食品を輸入する場合、英国政府に認可された有機認証団体から認可を受け、英国向けの検査証明書(COI:Certificate of Inspection)を発行してもらうことで、英国で「Organic(有機)」と商品のラベルに記載することが可能となります。また、日本と英国との間で一部の食品に関して有機認証の相互同等性が認められているため、日本で「有機JAS」認証を取得した食品は、一定の手続きをすることで、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)で有機食品として販売することができます。

なお、2021年1月1日以降、英国のみに認定された有機食品に対して、EUの有機ロゴを利用することはできません。EUの有機規則で要求される要件を満たした場合のみ、EU有機ロゴの継続使用が可能です。英国は、EU、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、スイス(以下EU等という)との間で有機認証の相互同等性を認めているため、EU等で有機認証されている食品は、一定の手続きをすることで、英国で有機食品として表示できますが、相互同等性が認められるのはEU等で生産・加工された有機食品に限られるので、日本の有機食品がEU等で有機認証されたとしても、副次的に英国で有機食品として販売できるわけではありません。

有機JAS製品の同等性を利用して、英国で有機食品として販売する場合

最終的に日本国内で生産・加工され、日本の有機JAS制度に基づき、既に有機JASとして格付された有機農産物および有機農産物加工食品に関しては、維持規則(EC)1235/2008 ANNEX IIIにより、英国との間で同等性が認められています。しかし、前述のとおり「有機JAS」認証を取得した食品が、無条件に英国域内で有機食品として販売できるわけではなく、有機JAS製品の同等性を利用して、英国で有機食品として販売する場合には一定の手続きが必要な点に注意してください。

同等性を利用して輸出、販売する場合、英国政府に認可された有機認証団体に認証を受けたうえで、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)に有機食品として輸出できますが、輸出の都度の有機食品のCOIが必要となります。以前は紙ベースのCOIのみでしたが、現在は電子媒体(PDF)のCOIが認められるようになっています。

また、すべての有機JAS食品に対して同等性が認められているわけではありません。詳細は、有機認証団体あるいは環境・食料・農村地域省(DEFRA)に問い合わせてください。

なお、有機農産物加工食品の原材料は、日本産および日本が同等であると認めた国で生産されたものに限られます。
また、日本の有機JAS 制度を利用して、英国向けにCOIを発行できる認証団体は、維持規則(EC)1235/2008 第7条に基づいたリストに記載される有機認証団体のみであり、すべての有機JAS登録認定機関が発行可能でない点にも留意が必要です。英国政府に認可された有機認証団体のリストは英国政府ウェブサイト(Lists of non-UK countries, territories)および農林水産省ウェブサイト「有機農産物等の輸出に係る証明書を発行できる登録認証機関一覧(英国)」で確認することができます。

日本で有機JASを取得していても、英国での有機認証を取得していない商品の包装に
「Organic」と印刷することは違反行為となり、輸入国でラベルを張り替える、
「Organic」を塗りつぶすなどの措置が求められることにも注意が必要です。

有機JAS製品の同等性を利用せずに、英国で有機食品として販売する場合

有機JAS製品の同等性を利用せずに、英国で有機食品として販売する場合、有機JAS対象外品目や「同等性」の対象外品目については、維持規則(EC)1235/2008第10条に基づき、英国政府に認可された有機認証団体(同規則ANNEX IVならびに英国政府ウェブサイトの掲載リスト)に直接認定してもらうことで、英国で有機食品として販売することが可能です。(維持規則(EC)834/2007第33条 第3項)。

ただし、リストに掲載されていても、実質的には認定が不可能な場合もあるため、有機生産規則の指導と併せて、詳細は有機認証団体に直接問い合わせをしてください。

英国政府に認可された(英国外の)外国有機認証団体のリストは維持規則(EC)1235/2008 ANNEX IVに掲載されていますが、EUの認定団体と相違する点に注意してください。英国政府ウェブサイト「Recognised non-UK control bodies and control authorities」でも確認することができます。
なお、英国における「英国政府認可の有機食品の認定団体」については、英国政府ウェブサイトまたは農林水産省ウェブサイトのリスト「EU加盟国、スイス、英国の証明書を発行する機関の名称及び住所」で確認することができます。

英国に有機食品を輸入する際、EUのTRACESシステムは利用できません。暫定的に、手動で英国の有機輸入システムで手続き(認証機関がCOIを英国の輸入者へ電子メールで送る)を行うこととなっています。COIの署名および押印は電子的なものでも良いとされています。詳細は、農林水産省「手引き:グレートブリテン(GB)へ有機食品を輸入する(仮訳)」で確認することができます。ただし、北アイルランド向けの場合はEUのTRACESシステムを経由する必要があります。詳細は本ポータルサイト「EU」の「有機食品に関する規制」の項で確認することができます。

有機食品のラベル表示

英国では、有機食品を第三国から輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、維持規則(EC)834/2007および維持規則(EC)1235/2008で規定されています。EUでは新公的管理の規則(EU)2017/625に照らし合わせ、新規則(EU)2018/848が2022年1月1日から適用されていますが、英国では適用されません。

包装済み食品の農産物原料の95%以上が有機製品である場合のみ、「Organic」の表示をすることができます。有機製品が英国産の場合のコードは「GB-ORG-XX」となります。なお、有機生産規則の基準を満たさない、かつ有機認証団体に認定を受けていない非有機製品や、商品名(ブランド)や社名に例えば「〇〇's Organic」という名前を使用することはできません。このため条件を満たさない場合、成分表示リストや説明などに無条件に「Organic」(例:有機砂糖 ‘organic sugar’)を含めることはできません。

ただし、製品としては非有機であっても、原料が有機の場合に英国の有機認証団体に認証を得ることで、当該原料に関して有機と記載することは可能となります。

例えば、有機農産物原料が95 %未満の場合であっても、認証を受けることで、商品ラベルや付属文書の成分表示リストのみに「Organic」(例:有機砂糖 ‘organic sugar’)を使用することは可能となります。他方で、商品名や説明書きに「Organic」を表示することはできません。
前述のとおり、有機JAS製品の同等性を利用せずに、英国の有機生産規則に準拠して、規則で認められた原材料や添加物、加工助剤などのみを使用して、有機認証団体に直接認定を受けた場合に限り、「Organic」の表示をすることができます。

また、英国で製造した包装済み有機食品のラベルには、農産物原料の原産地について、次のいずれかの記述を含める必要があります。

  • 「UK Agriculture」:農産物原料の98%以上が英国内で栽培されている場合
  • 「UK or non-UK Agriculture」:農産物原料が英国内外で栽培された農産物が混合されている場合
  • 「Non-UK Agriculture」:農産物原料の98%以上が英国外で栽培されている場合

詳細は、環境・食料・農村地域省(DEFRA)または、前述の英国政府に認可された有機認証団体にお問い合わせください。

英国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2024年9月

英国の関税はThe UK Global Tariff(以下「UKGT」)として英国政府のウェブサイトに掲載されているため、該当する品目の関税率を特定することができます。なお、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)適用後の関税率は、表のとおりです。

また、日英・EPAの適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。日英・EPAでは、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関しては、税関のウェブサイトで確認することができます。また、商品に非日本産原料が含まれている場合、原産性は日英・EPAの品目別原産地規則に基づいて判断してください。判断が困難な場合は、事前教示の制度により税関当局に照会することができます。

表8 緑茶が該当するCNコードと関税率
CNコード/品目 関税率
通常 日英・EPA適用
0902.10.00
緑茶(正味重量が3キログラム以下の直接包装にしたものに限る)
2.0% 非課税
(0%)
0902.20.00
その他の緑茶(正味重量が3キログラム超の直接包装にしたものに限る)
非課税
(0%)
非課税
(0%)

また、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への英国の加入に関する議定書が2024年12月15日に発効されており、同協定の適用を受ける場合も同様に原産地証明書が必要です。
緑茶の関税に関しては、日英・EPAと同じく協定発効時に即時撤廃となっており、日英・EPAとCPTPPのどちらを適用しても非課税で輸入できます。

2. その他の税

調査時点:2024年9月

英国への緑茶の輸入販売に関して、VATは課されません。

関連リンク

3. その他

調査時点:2024年9月

なし