日本からの輸出に関する制度

茶の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する茶のHSコード

0902.10 :緑茶(発酵していないもので、正味重量が3キログラム以下の直接包装にしたものに限る)
0902.20 :その他の緑茶(発酵していないものに限る)

調査時点での最新情報を記載するよう努めていますが、英国は、EU離脱に伴い、記載事項は常に変更される可能性がある点に留意してください。また、英国では、多くのEU規制が引き継がれます。なお、北アイルランドは、英国の関税領域であるため、(EUに移送される可能性がない場合)日英包括的経済連携協定(日英・EPA)を享受できますが、食品規制に関しては、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)にかかる規制について記載しています。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EEC)No 2658/87(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
財務省貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」

英国の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法で改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU規則が、「EU維持法(retained EU law)」として引き継がれ、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある点に留意してください。なお、放射性物質輸入規制の適用に関し、EUと英国での対応が違いますが、本稿で定義する「茶」には関連しません。

調査時点では、お茶に関して、英国独自の輸入禁止(停止)や制限品目(放射性物質規制等)の存在は確認されていません。
なお、北アイルランドに関しては、英国の関税領域ですが、食品規制に関して、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)にかかる規制について記載しています。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年9月

英国に輸入する前に必要な手続き(EORI番号の取得など)に関しては、「輸入手続き」の「1.輸入許可、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)」の項を確認してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年9月

英国に日本から緑茶を輸出する場合、特別な検疫上の措置は求められません。植物検疫証明書の取得も不要です。

また、本項目に関して、英国において、EU維持法などに上乗せで課される独自規制は確認されていません。

関連リンク

英国の食品関連の規制

調査時点:2022年9月

英国では、2018年EU離脱法に基づきEU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

1. 食品規格

英国では、英国市場に上市されるすべての製品に対して同水準の品質を保証するという観点から、消費者に新鮮な状態で供給される農産物や水産物を中心に取引規格(marketing standard)が定められています。農産物については、維持規則(EU)No 1308/2013により、青果物を中心にいくつかの製品・分類の取引規格が定められていますが、緑茶に関する規格は定められていません。

ただし、輸入される食品については、維持規則(EC)No 178/2002に基づき英国の衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。

英国の食品輸入事業者は、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、所管当局に通知する義務があります(維持規則(EC)No 178/2002 Article 19)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国政府が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

英国の食品衛生要件に関しては、維持規則 (EC) No 852/2004 (一般食品衛生規則)と維持規則 (EC) No 853/2004 (動物由来食品衛生規則)で規定されています。

その他、販売名称に関する規制や地理的表示(PGI)保護により規定されている場合がありますが、緑茶に関しては確認されていません。

関連リンク

関係省庁
英国 農村決済局 (RPA : Rural Payments Agency )(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則 (EU) No 1308/2013(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年9月

英国では、2018年EU離脱法に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています。さらに、英国独自の国内法も別途設けられており、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。特に、一部農薬のMRLがEUと英国で違う基準が適用されている点に注意が必要です。

英国では、使用可能な農薬について、ポジティブリスト制を採用し、食品の種類ごとに許容される残留農薬の上限値(Maximum Residue Limit、MRL)が規定されています(欧州議会・理事会維持規則(EC)No 396/2005)。MRLは、当該食品1キログラムあたりに許容される農薬量(mg/kg)として示され、MRLが設定されていない農薬と食品の組み合わせに対しては、一律0.01mg/kgの下限値が適用されます。
すべての食品に対するMRLは、「GB MRL register(英国農薬データベース)」で検索可能です。データベースは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。その他、詳細はジェトロ調査レポート「EUにおける残留農薬に関する規制(2015年2月)」も参照してください。

一般的に、緑茶の栽培に際して散布される農薬(殺虫剤・殺菌剤・除草剤など)については、英国ではMRLが日本より低く設定されていることが多いため留意が必要です。次の表は茶の栽培によく使用される18種の農薬の日本と英国でのMRLを比較したものです。
その他の約200種の農薬に関しては、日本の農林水産省のウェブサイトに諸外国における茶の残留農薬基準を比較した資料が掲載されており、日本と英国のMRLを比較することが可能です。

茶の栽培によく使用される一部の農薬のMRLにおける日本・英国の比較の例(2022年9月時点)詳細は農林水産省公表の資料を確認してください。
英語名 農薬名 英国のMRL
(mg/kg)
日本のMRL
(mg/kg)
Chlorfenapyr クロルフェナピル 50.00 40.00
Chlorantraniliprole (DPX E-2Y45) (F) クロラントラニリプロール 0.02* 50.00
Clothianidin クロチアニジン 0.70 50.00
Cyantraniliprole シアントラニリプロール 0.05* 30.00
Cyflumetofen シフルメトフェン 0.01 40.00
Difenoconazole ジフェノコナゾール 0.05* 15.00
Dinotefuran ジノテフラン 0.01* 25.00
Ethiprole エチプロール 0.01 10.00
Etoxazole エトキサゾール 15.00 15.00
Fenbuconazole フェンブコナゾール 0.05* 30.00
Fenpropathrin フェンプロパトリン 2.00 25.00
Flonicamid(sum of flonicamid, TFNA and TFNG expressed as flonicamid)(R) フロニカミド 0.1* 30.00
Flubendiamide(F) フルベンジアミド 0.02* 50.00
Flufenoxuron(F) フルフェノクスロン 15.00 15.00
Imidacloprid イミダクロプリド 0.05* 10.00
Lufenuron(any ratio of constituent isomers)(F) ルフェヌロン 0.05* 10.00
Methoxyfenozide(F) メトキシフェノジド 0.05* 40.00
Spiromesifen スピロメシフェン 50.00 30.00
Tebuconazole(R) テブコナゾール 0.05* 80.00
Thiacloprid チアクロプリド 10.00 25.00
Thiamethoxam チアメトキサム 20.00 20.00
Tolfenpyrad トルフェンピラド 0.01* 30.00

* 検出限界値

なお、こちらの表に記載されているフルベンジアミド(Flufenoxuron)に関して、EUでは規則(EU) No 2021/1864により2022年5月14日以降、残留農薬のMRLが日本と同一の50 mg/kgに引き上げられていますが、英国では旧基準値の0.02 mg/kgが適用されるため、注意が必要です。

その他、「茶」には直接関連しませんが、英国でスルホキサフロル(Sulfoxaflor)Cyantraniliprole(シアントラニリプロール)、Cinmethylin (シンメチリン)ならびにFluxapyroxad (フルキサピロキサド) 、Oxathiapiprolin (オキサチアピプロリン)、Prothioconazole (プロチオコナゾール) に関し、一部の青果、穀物、動物由来食品の英国独自のMRLが2022年に修正(再設定)されており、EUが設定する基準値と一部相違があることに留意が必要です。

また、EU域内および英国では2018年から、一部のネオニコチノイド系殺虫剤 (イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム) の屋外での使用が禁止されています(EUでは、2023年からスルホキサフロルの屋外使用も禁止)。これに伴い、クロチアニジン(0.70 mg/kg → 0.05 mg/kg ) およびチアメトキサム(20 mg/kg → 0.05 mg/kg )のMRLを引き下げる法案がEUで提案されていますが、現時点では英国での引き下げは確認されておりません。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EC)No 396/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国農薬データベース(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国食品基準庁 食品の残留農薬(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省 諸外国における残留農薬基準値に関する情報 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ EUにおける残留農薬に関する規制(2015年2月)

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年9月

英国では、維持規則(EC)No 1881/2006において食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセス、または生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(維持規則 (EEC) No315/93 Article 1(1))。

緑茶の場合、過塩素酸塩の上限値が規定されています。その他、乳児・幼児用の穀物を主原料とした加工食品や、乳児向けの医療用栄養食品に関しては別途上限値が定められているため注意が必要です。

なお、EUでは2022年7月1日から、新規則(EU) 2020/2040により天然の毒性をもつピロリジジンアルカロイド(Pyrrolizidine alkaloids)の上限値が適用されていますが、調査時点において、英国では適用されていません。

汚染物質の上限値(緑茶)
物質名 上限値 対象品目
メラミン 2.5mg/kg 乳児用調製粉乳および乳児用栄養補給調製食品を除くすべての食品
過塩素酸塩 0.75mg/kg 茶(Camellia sinensis
ドライフルーツや植物を煎じたもの

その他、環境残留性と生物蓄積性が高く環境と健康にリスクをもたらすダイオキシン類・ポリ塩化ビフェニル(PCB)・DDTなどの残留性有機汚染物質(POPs)に関して、英国での生産、販売および使用が禁止、または厳しく制限されています。2019年6月から、旧規則(EC) 850/2004は維持規則(EU) No 2019/1021により改正されており、同規則ANNEX Iに記載されている物質は英国における上市、使用が禁止されます。

REACH規則含め、詳細はジェトロEU 輸入品目規制「特定危険化学品に関する規制」で確認することができます。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EC)No 1881/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EEC)No 315/93(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU) No 2019/1021 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国食品基準庁 汚染物質(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ EU 輸入品目規制「特定危険化学品に関する規制」PDFファイル(520KB)

4. 食品添加物

調査時点:2022年9月

英国では、着色剤や保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの食品添加物、食品香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」)と総称しています。食品改良剤については、ポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品改良剤のみが使用を認められています。食品添加物および食品香料のポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイト(食品添加物検索データベース)でも検索可能ですが一部英国国内法と相違がある点に注意が必要です。食品酵素については、調査時点ではポジティブリストが完成されていないため、ポジティブリスト形式での使用規制は適用されていません。

英国における食品改良剤の定義
食品改良剤 根拠法 定義
食品添加物 維持規則(EC)No1333/2008 それ自体は通常は食品として消費されず、栄養価の有無を問わず、食品の典型的な原材料としては通常は使用されない物質で、食品の製造、加工、調理、処理、包装、輸送、保存の段階において技術的な効果(防腐、酸化防止、色の定着など)を意図的に追加することにより、その物質やその副産物が直接的・間接的に食品の構成要素となるか、なることが十分に予想される物質。E番号で表示される。
ただし、次の物質は食品添加物として使用されない場合本規則の適用外である。
  • 加工助剤(processing aids
  • 植物の健康に関する共同体ルール(EU加盟当時の植物衛生関連規則のこと)に従って植物や植物製品の保護のために使用される物質
  • 栄養素(nutrients)として食品に添加される物質
  • 理事会指令98/83/ECの範囲に該当するヒトの消費を意図した水の処理などで使用される物質
  • 規則(EC)No 1334/2008の範囲に該当する香味料
その他、添加物とみなされないものについては同規則第3条を確認のこと。
食品香料 維持規則(EC)No1334/2008 それ自体は食品として消費されず、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される製品。香料物質、香料調整品、熱処理香料、スモーク香料、香味料前駆体、その他香料およびこれらの複合物からなる。
"flavouring"というそのままの表示、あるいは具体的な香料の名称または香料の説明(description)で表示。天然(Natural)の記載については同規則第16条の条件を満たす必要がある。
食品酵素 維持規則(EC)No1332/2008 植物、動物、微生物、または植物、動物、微生物に由来する製品から得られる製品で、微生物の発酵によって得られる製品も含む。
同規則で定められている食品酵素の名称または販売時の説明(description)を考慮して表示。

「添加物」とされる項目は次の表のとおりですが、ラベルに表示する際には項目での一括表示ではなく、E番号で表示する必要があります。例えば、日本では、「pH調整剤」と一括表示が許可されていますが、英国においては、「E500」(炭酸ナトリウム)E336(酒石酸カリウム)と表示する必要があります。

維持規則(EC)No1333/2008のANNEX Iに掲載される「添加物」とみなされる27項目
添加物の種類 添加物の役割
甘味料(sweeteners 食品に甘味を与える(単糖類、二糖類除く)
着色剤(colours 食品を着色する、またはその色調を回復させる
防腐剤(preservatives 食品を微生物による品質の劣化から守り、保存期間を長くする
抗酸化剤(antioxidants 酸化による品質の劣化を防ぎ食品の保存期間を長くする
キャリア・担体(carriers 甘味料、香料、栄養素などを溶解、希釈、分散させることで、その取り扱いを容易にする
酸味料(acids 食品の酸味を増強・添加させる
pH 調整剤(acidity regulators pH を調整する
凝結防止剤(anti-caking agents 食品の構成要素同士の接着を防ぐ
消泡剤(anti-foaming agents 泡立つのを防ぐ、または減らす
増量剤(bulking agents 食品の栄養価に大きく寄与することなく、食品のかさを増やす
乳化剤(emulsifiers 食品中で乳化を均一にする、またはその状態を保つ
乳化塩(emulsifying salts タンパク質の構造を変えて脂肪の分離を防ぐ
固化剤(firming agents 組織の形状を保護または強化する
化学調味料(flavour enhancers 食品にある風味や香りを増強する
発泡剤(foaming agents 食品中で気泡を均一に分散させる、またはその状態を維持する
ゲル化剤(gelling agents ゲル化し、食品に食感を与える
光沢剤(glazing agents 食品の外皮に使用し、食品に光沢を与える、またはその表面を保護する
保湿剤(humectants 食品周囲の乾燥による影響で、食品自体が乾燥するのを防ぐ
加工でん粉(modified starches 物理的または酵素で加工し、アルカリ処理、酸処理、漂白処理などをしたでん粉
充填剤(packaging gases 食品を酸化や損傷から守るために食品の容器に注入する気体
噴射剤(propellants 食品を容器の外に出すために食品の容器に注入する気体
膨張剤(raising agents 気体を発生させパンの生地やころもを膨らませる
隔離剤(sequestrants キレート作用により、食品の色調、香り、食感を安定化させる
安定剤(stabilisers 食品の構成要素の分散状態を均一に保ち物理化学的状態を維持する
増粘剤(thickeners 食品の粘度を増加させる
小麦粉処理剤(flour treatment agents 小麦粉や生地に加え、焼き上がった食品の品質や色調を改善する
コントラスト増強剤(contrast enhancers 果物・野菜の表面の一部を脱色することで色を際立たせる

さらに、ポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物が「14.1.5コーヒー、茶、果物抽出物等」の食品カテゴリーに対して使用可能かどうかについても確認する必要があります。 なお、調査時点では、フレーバーを付加していない茶葉に対して使用が認められている食品添加物はありません。

ポジティブリストについては、英国政府のウェブサイトで検索が可能です。

食品に添加できるビタミンおよびミネラル成分に関しては、維持規則(EC)No 1925/2006のANNEX IIに記載されており、同規則には添加の条件や添加が禁止されている食品について規定されています。なお、ビタミンやマグネシウムに使用できる表現やお茶などの健康改善を示唆する表示の禁止などに関しては、「食品関連の規制」の「6.ラベル表示」の項を確認してください。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年9月

英国では、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されている、または、通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品を「食品接触素材(FCM:Food Contact Material)」と呼んでいます。維持規則(EC)No 1935/2004により、すべての食品接触素材は、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています。また、維持規則(EC)No 2023/2006において、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)が定められています。なお、すべての素材の食品接触材について、製品のトレーサビリティー情報(維持規則(EU) No 1935/2004第17条)、品質保証・品質管理関連資料(維持規則(EU) No 2023/2006第7条)を英国政府当局の求めに応じて提示する必要があります。

前述の一般原則を規定する規則に加え、特定の食品接触素材について、個別の規則が定められており、定められた条件に準拠していることを示す適合宣言書の添付が求められています。

食品接触素材に関する主な規制
食品接触素材 規則・指令 主な内容
プラスチック 維持規則(EU)
No10/2011
ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
アクティブ・インテリジェント素材
〔鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)〕
維持規則(EC)
No450/2009
食品と誤認されるおそれがある場合には、3mm以上のフォントサイズで‘DO NOT EAT’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
再生プラスチック 維持規則(EC)
No282/2008
同規則に従って認可を受けたリサイクルプロセスから得られた物質を原料として製造された再生プラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
セラミック 維持指令
No84/500/EEC
カドミウムと鉛の検出上限値が規定されています。
再生セルロースフィルム 維持指令
No2007/42/EC
ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。

さらに、特定の物質に関する規則が定められています。
維持規則(EU)No2018/213:BPA(ビスフェノールA)
維持規則No 1895/2005/EC:エポキシ樹脂
維持指令No 93/11/EEC: ゴムからのN-ニトロソアミンおよびN-ニトロソ

なお、イングランド向け、ウェールズ向け、スコットランド向けの食品接触材の地域ごとの規則が制定されています。詳細は、関連リンクの「根拠法等」をご参考ください。

その他、木箱やパレットなど木製の梱包に関する規制は本ポータルサイト「英国」の「花き」を確認してください。

【プラスチック容器規制】
英国では、2022年4月1日以降「Plastic Packaging Tax(プラスチック包装税)」が導入されており、12カ月の間に10トン以上のプラスチック包装を製造または輸入するなど、基準に該当する事業者に対し税制への登録義務が発生します。税制の登録事業者は、再生プラスチックの重量比30%未満のプラスチック包装1トンあたり200ポンド課税されます。流通業者、輸入業者などのサプライチェーンだけでなく、消費者向け使い捨て(容器)も課税対象となっています。ただし、英国政府のガイダンスによると、ティーバッグはプラスチック包装税の課税対象外となっています。
一方で、フランスなど、一部のEU加盟国では2022年から非生分解性プラスチックのティーバッグの使用が禁止されています。現時点では英国では禁止されておりませんが、英国を含む多くの欧州の大手企業は生分解性のティーバッグを使用している傾向にあることに、留意が必要です。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EC)No 1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 2023/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 1895/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)No 10/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 450/2009(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令(EC)No 2007/42(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EU) No 2016/2031(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持委任規則 (EU) 2019/2125 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 450/2009 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令(EEC)No 84/500 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)282/2008 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2018/213 (英語) <外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令93/11/EEEC (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年 食品接触材規則(英国向け)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年 食品接触材規則(ウェールズ向け)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2012年 食品接触材規則(スコットランド向け)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
2012年 食品接触材規則(北アイルランド向け)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
英国基準庁 食品接触材の規則(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベルと包装(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省 輸出先国における容器・包装に関する規制 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品との接触を意図したプラスチック素材と製品に関する規則(EU)No 10/2011に関するEUガイドライン(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
EU加盟国の食品接触素材に対する独自規制に関するレポート(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 食品接触材について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国歳入関税庁 「プラスティック包装税にかかるガイダンス集」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国歳入関税庁「プラスチック包装税の課税対象の包装にかかるガイダンス」(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ 海外向け食品の包装制度調査

6. ラベル表示

調査時点:2022年9月

英国では、2018年EU離脱法(2020年EU(離脱協定)法で改正)に基づき、EU離脱移行期間終了時点のEU法は、原則的に国内法体系に、直接組み込まれています(移行期間終了時点のEU規則は国内法となり、移行期間終了時点のEU指令に基づく国内法の効力も維持)。さらに、ラベル表示についても、英国独自の国内法も別途設けられることが、保険医療法案により示唆されており、今後、一部EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。

英国独自のラベル表示規則
英国政府のガイダンスでは、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)内で販売する商品は、2022年10月1日までにラベル表示を英国の規則に基づき変更する必要があることが書かれています。ラベルの変更実施の責任機関は英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)の自治体にあり、別市場のラベル付け要件に準拠する必要がある場合は、ラベルにほかの情報を含めることが可能です。北アイルランドについては、アイルランド/北アイルランド議定書に基づき、北アイルランドで販売する商品のラベル表示はEU規則の順守を継続するとあるものの、英国政府は事業者に新たな規則に対応するための時間が必要だと認識しているとされています。英国政府は北アイルランドの農業・環境・地域省と地域議会と連携して、北アイルランド市場でのラベル表示要件の実施手法について検討を行っています。識別マーク、食品事業者(FBO)住所、英国(北アイルランド)原産表示に関する実施手法はラベル表示の変更点に沿いながら、適切でリスクに基づいたものになるとしています。
EU維持規則で規定されるラベル表示規則
英国では、食品のラベル表示は、欧州議会・理事会維持規則(EU)No 1169/2011で規定されています。ただし、英国の保険医療法案により同規則を修正することが示唆されているため、今後、EUの要求事項から変更がある可能性に留意してください。
調査時点で、英国で流通する食品全般(最終消費者向けおよび調理施設(レストラン、食堂など)向けの食品を含む)には欧州議会・理事会維持規則(EU)No 1169/2011が適用されており、輸入食品にも適用されます。英国で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。
緑茶を輸出する場合、同規則Article 9およびEU維持指令No2011/91/EUに基づき次の項目を表示する義務があります。
なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。
ラベル表示項目
項目 補足説明
食品の名称 食品の名称は、次の優先順位で記載する必要があります。
  1. 法的名称:英国の法律、規則などで定められた名称。
  2. 慣習的名称:英国で消費者に食品名称として受け入れられている名称。その名称以外に説明が不要なもの。
  3. 説明的名称:製品の本質が消費者に分かり、混同しやすい他の製品と区別できる食品を形容した説明、および必要に応じてその用途を示す名称。

なお、商標やブランド名を食品の名称として使用することはできません。

原材料リスト

単一原材料で食品の名称と同一(茶など)である場合は不要です。
添加物などを添加した場合や加工食品の場合、すべての原材料(食品添加物や酵素を含む。)を重量順に表示する必要があります。ただし、食品に占める割合が2%未満の原材料については、重量順と異なるかたちで列挙することも可能です。なお、複合原材料についても、名称・総重量を記載したうえで、その後に原材料リストを記載する必要があります。食品添加物および食品香料は、そのカテゴリー(酸化防止剤、防腐剤、着色料など)ごとに物質名またはE番号を表示する必要があります。ただし、加工助剤や最終製品技術的な機能を持たない担体(キャリア)などについては維持規則(EU)No 1169/2011規則第20条を参照してください。 原材料の量の表示は同規則ANNEX VⅢを参考してください。

アレルギー物質 食品の名称が、当該物質で明確に記載されている場合は不要ですが、表示が義務付けられているアレルギー物質は、次のとおりです。
  • グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
  • 甲殻類および同製品
  • 卵および同製品
  • 魚および同製品(一部例外あり)
  • ピーナッツおよび同製品
  • 大豆および同製品(一部例外あり)
  • 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
  • ナッツ類および同製品
  • セロリおよび同製品
  • 辛子および同製品
  • ゴマおよび同製品
  • 濃度が 1キロ/1リットルあたり10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
  • ルピナス(マメ科植物)および同製品
  • 軟体動物および同製品
    原材料リストの標記を太字などで強調することにより表記することが可能です。
特定原材料の分量 次の場合には、原材料の分量を表示する必要があります。
  • 当該原材料が食品の名称に使用されているまたは消費者にとって通常、当該食品名と関連があると解される場合
  • 当該原材料がラベル上で言葉・写真・図で強調されている場合
  • 当該原材料がある食品を特徴づけ、名称や見た目が類似するほかの製品と区別するのに必須な場合
正味量 重量単位で「kg(キログラム)」または「g(グラム)」で表示します。 文字の大きさは重量に応じ、次のとおり表示する必要があります。
公称重量 文字の高さ
50g以下 2mm以上
50g超200gまで 3mm以上
200g超1,000gまで0g超200gまで 4mm以上
1,000g超 6mm以上
また、容量誤差の許容範囲(容器に記載された公称重量と実質重量の誤差)については、維持指令76/211/EEC のとおり規定されています。
公称重量(g) 許容範囲
(公称容量より少ない場合)
公称重量 に対する% g
5 ~ 50 9
50 ~ 100 4.5
100 ~ 200 4.5
200 ~ 300 9
300 ~ 500 3
500 ~ 1,000 15
1,000 ~ 10,000 1.5
義務ではありませんが、表示されている正味量が関連するEU維持規則に準拠していることを示すため、eマークを正味量の横に表示することが可能です。
〇g
eマーク
図:eマーク
賞味期限または消費期限 事前包装されている食品に関して、微生物学の視点からみて傷みやすく、短期間で危険となりうる食品の場合、日本と同様に、品質保持期限/賞味期限(the date of minimum durability)に代えて「消費」期限(the‘use by’date)を表示する必要があります。
特殊な保存条件や使用条件 当該食品が特別な保存条件や使用条件を必要とする場合には、表示する必要があります。また、開封後の食品の適切な保存または使用を可能にするために、必要に応じて保存条件や消費期限を表示することができます。例:「冷暗所で保管」
(食品情報について責任を負う)食品事業者の名称または商号、および所在地 包装済み食品を当該名称または商号で販売している食品事業者(FBO)(英国内事業者でない場合は、英国の輸入者)の名称または商号および所在地を表示する必要があります。
使用方法の指示 記載がなければ適切な使用が困難な場合に記載する必要があります。
栄養表示

何も加えていない茶、栄養価に影響を与えないフレーバーを加えただけの茶については、栄養表示義務の対象外ですが、それ以外の茶には栄養表示義務が課されます。

その場合、次の項目について、100gまたは100mlあたりの栄養素を表示する必要があります。これに加えて、一食あたりの栄養素を表示することも可能です。栄養表示はスペース上で可能であれば表形式で記載し、難しい場合は列記しなければなりません。

  • エネルギー量(kJ/kcalの両方を記載する必要があります)
  • 脂肪(g)
  • 飽和脂肪酸(g)
  • 炭水化物(g)
  • 糖類(g)(単糖類および二糖類の合計値のことを指します。)
  • タンパク質(g)
  • 塩分(g)〔(塩分)=(ナトリウム含有量)×2.5で算出することとなっています〕
栄養表示は原則として、当該食品が販売されている状態の栄養素を記載することが必要ですが、調理後の栄養素を表示することが適切な場合で、調理方法(茶の場合は抽出方法が該当します)について詳細な記載がある場合には、調理後の状態の栄養素を記載することも可能です。
製造ロット番号
(EU維持指令2011/91/EU)
英国内で流通する包装済み食品は、製造ロット番号を表示する必要があります。明確な表示(LOTなど)の場合を除き、「L」の文字に続けてロット番号を表示する必要があります。

なお、米国において表示義務のあるトランス脂肪酸、コレステロールについては、英国(EU維持規則)では表示してはならないことになっているため、米国輸出用の栄養表示をそのまま記載することはできません。

食品のラベルに使用される言語は、英語となり、文字の大きさについては、次のとおり指定されています(欧州議会・理事会維持規則(EU)No 1169/2011 Article 15)。

  • 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
  • 包装面の最大面積が80cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上

補完のラベル表示義務(特定の原材料に関する注意喚起)その他、維持規則(EU)No 1169/2011のANNEX Ⅲに基づき、追加表示義務があります。 例えば、カフェインを多量に含む飲料の場合に記載の必要な文言がありますが、コーヒー、茶あるいはコーヒーエキスおよび茶のエキスをベースとした飲料には本項は適用されません(ANNEX Ⅲ 第4項)。

他方、第2項により、維持規則(EC)No 1333/2008に認可された「甘味料(sweeteners)」を含む場合は「with sweetener(s)(甘味料入り)」という文言を、糖(類)と一緒の場合は「with sugar(s)and sweetener(s)(糖(類)と甘味料入り)」という文言を、商品名に添える必要があります。

また、維持規則(EC)No 1333/2008に認可されたアスパルテーム(aspartame)またはアスパルテームアセスルファム塩(aspartame-acesulfame salt)を使用する場合は、原料リストにE番号を記載し、「‘contains aspartame (a source of phenylalanine)’((フェニルアラニン源の)アスパルテームを含む)」とラベルに記載する必要があります。原料リストに具体的な名称を記載して「‘contains a source of phenylalanine’(フェニルアラニン源を含む)」と記載することも可能です。

【遺伝子組換え食品】
維持規則(EC)No 1829/2003により、認可を受けた遺伝子組換え作物のみが英国内での流通・販売を認められており、遺伝子組換え作物を含む食品を流通させる場合には遺伝子組換え作物を使用している旨の表示が義務付けられています。遺伝子組換え食品を含む場合、原材料リストの当該原材料の直後に「genetically modified(遺伝子組換え)」または「produced from genetically modified(name of ingredient)(遺伝子組換え(原材料名)から作られた)」という文言を括弧書きで表示しなければなりません。原材料がカテゴリー名で表示されている場合は、原材料リストに「contains genetically modified (name of organism)(遺伝子組換え(生物名)を含む)」または「contains (name of ingredient) produced from genetically modified (name of organism)(遺伝子組換え(生物名)から製造された(原材料名)を含む)」という文言を表示しなければなりません。これらの表示は、少なくとも原材料リストと同じ大きさのフォントで印刷されていることを条件に、原材料リストの脚注に記載することができます。
【新規食品】
維持規則(EU)No2015/2283により、英国内で新規食品を市場に出すための規則が定められています。原材料として新規食品を使用する場合には、実施維持規則(EU)No2017/2470に規定される新規食品の特定の表示要件に従い、所定の手続きを経て認可リストに掲載される必要があります。
【栄養・健康に関する強調表示】
維持規則(EC)No 1924/2006により、栄養・健康に関する強調表示(例:「DHA は正常な血圧の維持に寄与します」、「脂肪分 0%」)に関する規制が定められています。食品ラベル上に記載可能な強調表示はポジティブリスト形式(英国リスト)で定められており、強調表示が可能な栄養素など・記載可能な表現・強調表示を行うために含まれるべき栄養素などの基準が詳細に定められているため、強調表示を行う場合には、注意が必要です。
例えば、お茶由来のポリフェノールの健康強調表示において「Polyphenols contained in this product ensure antioxidant action(この製品に含まれるポリフェノールは、抗酸化作用を保証します)」や「contains antioxidant/s(抗酸化物質を含みます)」ならびに、お茶由来のフラボノイドの強調表示において「Exceptionally strong organic antioxidant.(非常に強力な抗酸化物質)」や「Flavonoids, especially catechins from green tea, reduce the absorption of carbohydrates(・・・)Reduces visceral fat(フラボノイド、特に緑茶由来のカテキンは炭水化物の吸収を減らし(・・・)内臓脂肪を減らします)」などの表示は認められていません。ポジティブリストに関しては英国政府のウェブサイト「栄養・健康に関する強調表示の英国登録リスト」で必ず確認してください。
また、栄養強調表示において、「Low sugars(低糖)」「Sugars-free(無糖)」などと表示する場合、本規則で定義される基準を遵守する必要があります。
その他、特定の母集団向け(例:50代以上の女性向け)強調表示について維持規則(EU)No 1228/2014で定められています。詳細は、ジェトロレポート「健康食品関連規制調査(EU)」でも確認することができます。

関連リンク

関係省庁
英国食品基準庁(FSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国 農村決済局 (RPA : Rural Payments Agency )(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
維持規則(EU)No 1169/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令76/211/EEC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持指令2011/91/EU(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) No 282/2008 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)No 1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則 (EC) 1924/2006 (英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC)1829/2003(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2015/2283(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/2470(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国保健省(DHSC)消費者向け食品情報に関するヘルスケア議案(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベル : 消費者向け食品情報に関するガイダンス(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 包装済み食品 : 重量と測定の規則に関するガイダンス(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 栄養・健康に関する強調表示のガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 「栄養・健康に関する強調表示の英国登録リスト」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 2021年1月1日からの飲食物のラベル表示の変更について(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 食品ラベルと包装(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ EU向け食品ラベルの翻訳例(2020年12月)
ジェトロ EUにおける食品ラベル表示に関する規制(2014年3月)
ジェトロ 新食品ラベル表示規則(1169/2011)の適用に関する Q&A(仮訳)(2014年3月)PDFファイル(1.0MB)
ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)

7. その他

調査時点:2022年9月

  1. 英国外から輸入される食品については、欧州議会・理事会維持規則(EC)No 178/2002に基づく衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。
  2. 英国の食品輸入事業者は、輸入した食品が英国の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、所管当局に通知する義務があります(欧州議会・理事会維持規則(EC)No 178/2002 Article 19)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国政府が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

英国の食品の食品衛生要件に関しては、欧州議会・理事会維持規則 (EC) No 852/2004 (一般食品衛生規則)と欧州議会・理事会維持規則(EC)No 853/2004 (動物由来食品衛生規則)で規定されています。

【有機食品に関する規制】
2021年1月1日以降、英国で有機食品を取引する場合
英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)を順守する必要があります。
英国に有機食品を輸入する場合、英国に登録された有機認証団体から認可を受け、英国向けの検査証明書(COI)を発行してもらうことで、英国で「Organic(有機)」を商品のラベルに記載することが可能となります。また、2021年1月1日以降、英国のみに認定された有機食品に対して、EUの有機ロゴを利用することはできません。EUの有機規則で要求される要件を満たした場合のみ、EU有機ロゴの継続使用が可能です。ただし、英国は、EU、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、スイス(以下EU等という)の有機認証との同等性を2023年12月31日まで認めています。このため、この期間はEUで要求される要件を満たし、有機認証されている食品も、英国で有機食品として登録することが可能です。
有機JAS製品の同等性を利用して、英国で有機食品として販売する場合
最終的に日本国内で生産・加工され、日本の有機JAS制度に基づき、既に有機JASとして格付された有機農産物および有機農産物加工食品に関しては、維持規則(EC)No 1235/2008 ANNEX Ⅲにより、英国との間で同等性が認められています。しかし、「有機JAS」認証を取得した食品が、無条件で英国域内で有機食品として販売できるわけではないことに注意が必要です。
英国で登録された有機認証団体に認証を受けたうえで、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)に有機食品として輸出できますが、紙ベースの有機食品の輸入検査認証(COI : Certificate of Inspection for Import of products from organic production into great britain)が必要となります。
また、すべての有機JAS食品に対して同等性が認められているわけではありません。詳細は、有機認証団体あるいは環境・食糧・農村地域省(DEFRA)にお問い合わせください。なお、有機農産物加工食品の原材料は、日本産および日本が同等であると認めた国産のものに限られます。
また、日本の有機JAS 制度を利用して、英国向けに輸入検査認証(COI)を発行できる認証団体は、維持規則(EC) No 1235/2008 ANNEX Ⅲに記載される有機認証団体のみであり、すべての有機JAS登録認定機関が発行可能でない点にも留意が必要です。英国に登録された有機認証団体のリストは英国政府ウェブサイトおよび農林水産省ウェブサイト「有機農産物等の輸出に係る証明書を発行できる登録認証機関一覧」で確認ができます。
なお、たとえ、日本で有機JASを取得していても、英国での有機認証を取得していない商品の包装に「Organic」と印刷することは違反行為となり、輸入国でラベルを張り替える、「Organic」を塗りつぶすなどの措置が求められることにも注意が必要です。
有機JAS製品の同等性を利用せずに、英国で有機食品として販売する場合
有機JAS対象外品目や「同等性」の対象外品目については、維持規則(EC) No 1235/2008第10条にのっとり、英国に登録された有機認証団体(動規則ANNEX Ⅳにリスト)に直接認定してもらうことで、英国で有機食品としての販売が可能です。ただし、リストに掲載されていても、実質的には認定が不可能なケースもあるため、詳細は有機認証団体に直接問い合わせてください。 英国に登録された(英国外の)外国有機認証団体のリストは維持規則(EC)No 1235/2008ANNEX Ⅳおよび英国政府ウェブサイトで確認することができます。
英国に有機食品を輸入する際、EUのTRACESシステムは利用できません。調査時点では、暫定的に、手動で英国の有機輸入システムでオペレーション(認証機関がCOIを英国の輸入者へ電子メールで送る)を行うこととなっています。詳細は、農林水産省「第三国から有機製品をグレートブリテン(GB)へ輸入手引き(仮訳)」で確認できます。ただし、北アイルランド向けの場合はEUのTRACESシステムを経由する必要があります。詳細は本ポータルサイト「EU」の「有機食品に関する規制」の項で確認することができます。
英国では、有機食品を第三国から輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、欧州理事会維持規則(EC)No 834/2007および維持規則(EC)No 1235/2008で規定されています。
包装済み食品の原料(農産品)の95%が有機製品である場合のみ、「Organic」の表示をすることができます。有機製品が英国産の場合のコードは「GB-ORG-XX」となりますが、非英語圏では「bio」「öko」「eko」などが使用されることがあります。
英国はEUを離脱したため、従来のEU規則に基づいたラベル表示を、2022年9月30日までに次のような表示に変更する必要があります。
UK Agriculture」原料 (農産品)の98%が英国内で栽培されている場合
UK or non-UK Agriculture」原料 (農産品)が英国内外で栽培されている場合
Non-UK Agriculture」原料 (農産品)の98%が英国外で栽培されている場合
また、製品としては、非有機であっても、原料が有機であれば、当該原料に関して、有機と記載することは可能です。
なお、EUにおいては2022年1月1日から、規則(EC)No 834/2007が廃止ならびに委任規則(EU)2021/2306により、(EU)2018/848が廃止となっており、英国で適用される有機生産規則と異なる点が多い点に留意してください。

英国での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年9月

英国の輸入業者として必要な情報
英国への物品の輸入の際に使用するEORI番号の取得などにあたりVAT番号、納税者固有番号(UTR:Unique Taxpayer Reference)、事業開始日および産業分類(SIC:Standard Industrial Classification)コード、「Government Gateway(英国政府ウェブサイト)」のアカウントなどの情報が必要となります。
その他、詳細はジェトロレポート「移行期間終了後の英国ビジネス関連制度」の「1.英国の輸入にかかる通関手続き」の項を確認してください。
【EORI番号について】
英国のEU離脱移行期間終了に伴い、英国はEUの制度から独立したEORI番号(Economic Operators Registration & Identification number)制度を導入しました。そのため、英国において、英国外の国との輸出入を行う場合、英国によって発行されたGBで始まる12桁のGB EORI番号が必要となります。 GB EORI番号は、英国で輸出入通関を行う(輸入申告の延期を含む)すべての企業に必要です。GB EORI番号を申請するための詳細については、英国政府のウェブサイトを参照してください。番号申請には5〜10分、取得には最大で 5営業日ほどかかります。EU諸国との貿易をしているVAT登録事業者は、既にEORI番号を登録しているため、該当事業所のEORI番号を確認し、「GB」で始まる番号でない場合はGB EORI番号の申請をしてください。
EU規制(英国を含む)において、緑茶の輸入に際してライセンスなどの要件は定められていません。

関連リンク

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年9月

日本から英国に緑茶を輸入する際に、次の書類が必要になります。

  1. 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document C88フォーム))
    英国外の国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は委員会実施維持規則(EU)No2016/341 Appendix B1および英国政府のウェブサイトに記載されています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration
    CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADとあわせて価格申告書の提出を求められます。様式は維持規則 (EU)No2016/341 ANNEX 8に記載されています。
  5. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB
    有機製品の場合、英国の有機輸入検査認証(COI)の原本を、貨物の到着前までに湾岸保健地方管理局(PHA)に送付する必要があります。裏書きされたCOI(原本あるいはコピー)なしで有機委託貨物が到着した場合、その委託貨物は有機として通関できません。

なお、動物由来成分を含む食品を輸入する場合、公的管理の維持規則(EC)No 2017/625により、貨物の到着1日前までに電子システムIPAFFS経由で国境管理所(BCP:Border Control Post)に通知する必要があります。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EU)No 2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持実施規則(EU)2016/341(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。
その他参考情報
英国政府 SAD(C88)様式(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
英国政府 IPAFFS(飼料、食品、動物および製品の輸入システム)のガイダンス(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ 英国のEU離脱対応マニュアル(食品関係)

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年9月

英国に日本から緑茶を輸入する場合、特別な検疫上の措置は求められません。ただし、維持規則(EU)No2017/625第44条および第47条の規定に基づき、通常国境管理所で公的管理の対象とならない製品も、リスクに応じた適切な頻度で定期的に、英国の食品衛生基準に適合しているかサンプリング検査が実施される場合があります。特に残留農薬や重金属・汚染物質に関連した摘発が多いため、注意が必要です。
検査に要した費用は請求されます。

関連リンク

根拠法等
維持規則(EU)No 2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年9月

英国で販売される食品については、欧州議会・理事会維持規則(EC)No 178/2002に基づきEU規制(英国を含む)が求める衛生基準(動物衛生、動物福祉、植物衛生、環境を考慮し、公正な貿易も包括した、高度なレベルでの人々の生命と健康、消費者の利益の保護の追求のためのもの。リスク分析、予防原則、消費者得利益の保護、人々への意見募集と情報提供を基準とする。)などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則Article 11)。同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、英国政府が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則Article 53)。

この衛生に関する要件(「衛生パッケージ」)は、欧州議会・理事会維持規則(EC)No 852/2004 (一般食品衛生規則)、欧州議会・理事会維持規則(EC)No 853/2004(動物由来食品衛生規則)、そして、欧州議会・理事会維持規則 (EU)No 2017/625(新公的管理規則)により補完されます。

関連リンク

維持規則(EC) 178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 852/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EC) 853/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
維持規則(EU)2017/625 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU維持法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Latest available (Revised)」で最新時点のものを確認してください。

5. その他

調査時点:2022年9月

なし

英国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2022年9月

英国の関税はThe UK Global Tariff(以下「UKGT」)として英国政府のウェブサイトに掲載されているため、該当する品目の関税率を特定することができます。なお、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)適用後の関税率は、表のとおりです。

また、「日英・EPA」の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日英・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関しては、税関のウェブサイトで確認することができます。また、商品に非日本産原料が含まれている場合、原産性は「日英・EPA」の品目別原産地規則に基づいて判断してください。判断が困難な場合は、事前教示の制度により税関当局に照会することができます。

The UK Global Tariff(UKGT)による税率
UKGTコード/品目 関税率
通常 日英・EPA適用
0902.10.00
緑茶(正味重量が3キログラム以下の直接包装にしたものに限る)
2.0% 非課税
(0%)
0902.20.00
その他の緑茶(正味重量が3キログラム超の直接包装にしたものに限る)
非課税
(0%)
非課税
(0%)

2. その他の税

調査時点:2022年9月

英国への緑茶の輸入販売に関して、VATは課されません。

3. その他

調査時点:2022年9月

なし

その他

調査時点:2022年9月

なし