日本からの輸出に関する制度

牛肉の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する牛肉のHSコード

本稿で定義する「牛肉」の規則は、原則的には、「生鮮牛肉」に適用されるものに触れることとし、「肉調製品」※1や第16類に分類される食肉製品(加工食品)については触れないものとします。
加工食品については、本ポータルサイト「英国」の「混合食品」または「菓子」「調味料」を確認してください。ただし、「肉製品」と「混合食品」の違いに関しては、「輸入規制」の「4. その他 :肉製品(加工食品)と混合食品」の項を確認してください。

0201.30:牛の肉(生鮮のものおよび冷蔵したものに限る)のうち、骨付きでない肉
0202.30:牛の肉(冷凍したものに限る)のうち、骨付きでない肉

維持規則(EC)No 853/2004 ANNEX Iの定義による「生鮮の肉(Fresh meat)」とは、冷却、冷凍または急速冷凍以外の保存処理をしていない肉をいい、真空パッケージングされた肉または制御気圧でパッケージングされた肉を含みます。

※1 本稿の品目対象外である、「肉調製品(meat preparations)」とは、食材、香味料もしくはそこに加えられた添加物を含む、または肉の内部筋繊維組織の改変に不十分な処理を施しこれにより生鮮肉(fresh meat)の特性をなくした、生鮮肉(fresh meat)(断片化された肉を含む)を指し、「肉製品(meat products)」は、当該製品がもはや生鮮肉(fresh meat)の特性を有しないことがその切断面からわかるように施された、肉の加工または当該加工済み製品のさらなる加工に由来する加工済み製品をいいます。
日本の「肉調製品」には加工された製品も含まれことがあるため、分類に注意してください。

調査時点での最新情報を記載していますが、英国は、多くのEU規制が引き継がれているもののEU離脱に伴い、記載事項は常に変更される可能性がある点にも留意してください。
なお、北アイルランドは、英国の関税領域であるため、(EUに移送される可能性がない場合)日英包括的経済連携協定(以下、日英・EPA)を享受できますが、食品規制に関しては、EU規制が適用されます。本稿では特段の注意がない限り、英国(北アイルランドを除くグレートブリテン)にかかる規制について記載しています。

EUの植物衛生、動物衛生、公的管理の規則が新制度への移行に伴い、関連規則が変更となる点にも留意してください。なお、同制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

なお、公的管理とは、国外から入国する食品などに関して、次の各分野に関する英国国内法化されたEU 法令・その他のルールへの適合を政府当局が統一的な手続きなどにより確認・検査することを指します。

  1. 食品安全、生産・加工・流通のあらゆる段階における食品の完全性および健全性、食品と接触する素材および製品(Food Contact Materials、食品包材やキッチン用品など) の製造と使用
  2. 食品または飼料の生産を目的とする遺伝子組み換え作物の環境への意図的導入
  3. 飼料の生産、加工および流通のあらゆる段階における安全
  4. 動物衛生に関する要件
  5. 動物副産物に由来するヒトや動物の健康へのリスクの予防・削減
  6. 動物福祉に関する要件
  7. 植物病害虫に対する保護措置(植物衛生)
  8. 植物保護製品(農薬)の販売および使用、農薬の持続可能な使用に関する要件
  9. 有機製品および有機製品のラベル表示
  10. 原産地呼称保護、地理的表示保護(GI)および伝統的特産品保証の使用とラベル表示

英国内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2024年7月

英国の関税はThe UK Global Tariff(以下「UKGT」)として英国政府のウェブサイトに掲載されていますので、該当する品目の関税率を特定する必要があります。なお、日英包括的経済連携協定(以下「日英・EPA」)適用後の関税率は、次の表のとおりです。ただし、「日英・EPA」が適用されない場合(同EPAのルール上の原産性を満たさない場合など)、前述の「UKGT」による税率が適用されます。

「日英・EPA」の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日英・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明については、「輸入規制」の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項を参照してください。原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により税関当局に照会することができます。

表10 生鮮牛肉が該当するCNコードと関税率
CNコード/品目 関税率(通常) 関税率(日英・EPA適用)
0201.30.0039
生鮮または冷蔵された高品質の骨なし牛肉
(スイギュウの肉を除く)
12.00%
+253ポンド/100kg
非課税
(0%)
0201.30.0090
生鮮または冷蔵された高品質以外の骨なし牛肉
(スイギュウの肉を除く)
12.00%
+253 ポンド/100kg
非課税
(0%)
0202.30.1015
冷凍された高品質の骨なし牛肉(フォアクォーターまたは補整クォーター)
(スイギュウの肉を除く)
12.00%
+185ポンド/100kg
非課税
(0%)
0202.30.1082
0202.30.1084
0202.30.1086
0202.30.1088
冷凍された高品質以外の骨なし牛肉(フォアクォーターまたは補整クォーター)
(スイギュウの肉を除く)
12.00%
+185ポンド/100kg
非課税
(0%)
0202.30.5015
冷凍された高品質の骨なし牛肉(クロップ、チャック・ブレード、ブリスケット)
(スイギュウの肉を除く)
12.00%
+185ポンド/100kg
非課税
(0%)
0202.30.5082
0202.30.5084
0202.30.5086
0202.30.5088
冷凍された高品質以外の骨なし牛肉(クロップ、チャック・ブレード、ブリスケット)
(スイギュウの肉を除く)
12.00%
+185ポンド/100kg
非課税
(0%)
0202.30.9015
冷凍された高品質の骨なし牛肉(その他)
(スイギュウの肉を除く)
12.00%
+254ポンド/100kg
非課税
(0%)
0202.30.9070
0202.30.9075
0202.30.9080
0202.30.9090
冷凍された高品質以外の骨なし牛肉(その他)
(スイギュウの肉を除く)
12.00%
+254ポンド/100kg
非課税
(0%)

※CNコードは参考として記載しておりますが、変更される可能性があるため、必ず英国の関税検索サイトで確認するか、仕向け地の税関に確認してください。

【CPTPPへの英国の加入】

日本を含む11カ国が加入する「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への英国の加入に向けた各国の批准手続きが進められています。2024年7月現在、英国に加えて現締約国の日本、シンガポール、チリが批准手続きを完了しています。英国加入議定書は、英国およびすべてのCPTPP締約国による締結後、60日で発効します。また、署名15カ月以内に英国およびすべてのCPTPP締約国が締結していない場合、英国および6カ国以上のCPTPP締約国が締結後(署名15カ月の時点でこの要件が満たされていれば、その時点から)、60日で発効します(署名日は2023年7月16日)。
牛肉の関税に関しては、日英・EPAと同じく協定発効時に即時撤廃となっており、日英・EPAとCPTPPのいずれの適用においても非課税での輸入が可能です。

2. その他の税

調査時点:2024年7月

英国への輸入には、輸入関税に加え、付加価値税(VAT)や物品税が品目によって課されますが、生鮮・冷蔵・冷凍牛肉に該当するHSコード(020130、020230)の販売にVATは課されません。

3. その他

調査時点:2024年7月

なし