外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2025年01月28日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

法務省内の商業登記所から会社設立に関する様式を受け取り、定款などの必要書類を添付して提出する。

監督官庁

法務省・国立商業登記所(National Trade Register Office, Ministry of Justice外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます / Oficiul Național al Registrului Comerțului(ONRC), Ministerul Justiției外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
所在地:Blvd. Unirii nr. 74, Bl. J3b, sector 3, Bucureşti, 030837
Tel:+40-21-316-08-04/17/18/24
Fax:+40-21-316-08-03/29
E-mail:onrc@onrc.ro

現地法人の設立に際する手続きとして、場合によっては、会社の設立/定款の変更に必要な特定の書類を公証人の面前で作成/署名/承認することが求められる。会社設立予定地(登記予定地)を管轄する地域商業登記所(全国42カ所)に提出する。管轄の商業登記所は、国立商業登記所ウェブサイトで確認が可能。

駐在員事務所の窓口機関は次のとおり。

現地法人の設立手続き

現地法人設立申請に必要な書類は次のとおり(National Trade Register Office外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよびOficiul National al Registrului Comertului外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

  1. 会社設立登記申請書
  2. 会社名登録が可能で予約済みであることの証明書
  3. 会社定款
  4. 法人によって設立された子会社の場合、ルーマニア企業の設立が承認されたその法人のGMS
  5. 代表役員が任命された役員会の会議議事録(株式会社の場合は取締役会で選任)
  6. 登記上の所在地の証明、または賃貸契約書、売買契約書、当該不動産を登記上の事務所として使用する権利を示す書類などの関連書類
  7. 衛生、環境保護、労働者保護要件の順守を示す自己申告書
  8. 税務登録に関する自己申告書
  9. 外国投資に関する自己申告書(該当する場合)
  10. ルーマニアで税務上登録されていない外国企業によって現地子会社が設立される場合、将来の株主がルーマニアの税務上の居住者ではないことを宣言する宣誓供述書(ルーマニアで納税登録されている外国企業の場合、商業登記所は税務当局から独自に納税記録を取得する)(Oficiul National al Registrului Comertului外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  11. 設立者および役員のIDカード、役職の適任を示す自己申告書、役員が外国人である場合は、当該人物がルーマニアにおいて納税登録していないことを当該書類に明記しなければならない(役員が納税登録済みの場合は、商業登記所が税務局から独自に納税記録を取得する)
  12. ルーマニア国外に設立された法人の設立者および役員向けに、管轄国の商業登記所が発行した登録証明書
  13. 設立者が個人である場合、IDカードもしくはパスポートのコピー
  14. 登記用住所が集合住宅建物内にあり、将来の新会社がそこで事実上活動を行う場合、登記用事務所としてのスペースの使用変更の承認に関して(不動産の)所有者協会が発行した文書(Oficiul National al Registrului Comertului外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  15. 商業登記所への登録条件として管轄当局によって発行された認可または承認に関する証明書(そのような認可または承認の発行が法律で義務付けられている場合のみ)、すなわち、特定分野に絡み特別法で定められた条件の履行および事業内容について証明する書類
  16. 登録税、官報への掲載手数料支払い証明書
  17. 現物出資(ルーマニア語でcontributii in natura)を行った場合、出資物の所有権証明書および出資資産の評価報告書(Oficiul National al Registrului Comertului外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  18. 会社登録手続きを代行する弁護士の委任状
  19. 会社の最終受益者に関する宣言書

原則として、すべての設立書類はウェットインク私署名でサインできる(アポスティーユや公証人の公的手続きは必要ない)(LEGE 265 22/07/2022 - Portal Legislativ, art. 84外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ただし、特定の状況では、追加の手続きが必要になる場合がある。従って、それぞれの状況をケースバイケースで評価する必要がある。
例えば、ルーマニア企業の将来の株主が日本企業である場合、日本の株主についてアポスティーユされた抜粋のハードコピーが必要になる(Oficiul National al Registrului Comertului外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。
日本語で作成された書類の場合は、公認のルーマニア語翻訳事務所に正式な翻訳を作成してもらう必要がある。合法化された翻訳に関しては、公証人によっては、協力事務所を持っている場合があり、翻訳事務所が翻訳を引き受けることもある。

実際には、設立関連書類は、通常、2カ国語形式(ルーマニア語と英語)で作成されることを強調したい。そのため、外国人でも簡単に翻訳をすることができる。ただし、ルーマニア商業登記局に提出する書類は、[1]完全にルーマニア語で書かれている必要がある。または[2]バイリンガル形式で、ルーマニア語が2つの言語のうちの1つであることが義務付けられている(LEGE 265 22/07/2022 - Portal Legislativ, art. 75 para. (4)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

電子申請も可能であり、最も一般的に使用されているが、その場合、当局へ申請書類を提出する人物の適格な電子署名を書類に添付する必要がある。商業登記局が指定する設立関連書類を担当する書記官から追加の書類が要求されない限り、現地法人の設立登記は提出完了後3~5営業日以内に完了する。ただし、ルーマニア商業登記局のシステムは更新されたばかりで、現在の技術的問題により、登録期間が最大2~3週間遅れている。

申請書一覧(National Trade Register Office外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

会社の形態

最も一般的で好ましい会社形態は、株式会社(S.A.)または有限会社(S.R.L.)である。さらに、ルーマニアの法的枠組みによって、駐在員事務所、支店、個人事業者(PFA)など、経済活動を行うことを意図する専門家向けに別のオプションが提供されている。手続きや経営等を考慮すると、有限会社(S.R.L.)が最も一般的に使用されている。

  1. 有限会社(Societate cu Răspundere Limitată(S.R.L.) / Limited liability company
    1. 出資者は1~50人。
    2. 現金での出資は必須であるが、現金に現物を加えた形での出資も可能。債券による出資は、有限会社では認められない。
    3. 1人以上の取締役の選任が必要。定款に別の定めがない限り、取締役は独立して会社の代表権を持つ。取締役は、国籍や形態(個人、法人)を問わず就任することができる。
    4. 会社設立後3カ月以内、かつ、会社がその事業を開始する前に、出資額の30%が払い込まれていることが必要。残りの出資額の支払い期限は出資形態により異なる。[1]現金出資:設立後12カ月以内、[2]現物出資:設立後2年以内。
  2. 株式会社(Societate pe Acțiuni(S.A.) / Joint stock company
    1. 出資者は最低2人(個人または法人)。公募も可能。
    2. 最低資本金は9万レイ(約1万8,100ユーロ、レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約0.2ユーロ)。
    3. 金融機関等一部の業種は、株式会社であることが要求される。
    4. 登記時、少なくとも資本金の30%が払い込まれている必要がある。残りを現金で支払う場合、12カ月以内に支払う。現物の場合は2年以内に支払いを完了する。
    5. 現金での出資は必須であるが、現金に加えて現物および債券での出資も可能。
    6. 取締役の人数は奇数でなければならない。取締役の任期は4年を超えることはできない(登記時は2年)が、再任は可能。
    7. 取締役は、国籍や形態(個人・法人)に関係なく選任できる。
  3. 駐在員事務所(Reprezentanță / Representative office
    外国企業が広告や市場調査といった営業活動を行わず、親会社の事業促進や技術支援の目的でルーマニアに設立した事務所。経済・デジタル化・起業・観光省の商業政策局に設立を申請する。申請から約30日で登録は完了する。
    年間登録料(認可税)は1,000ユーロ。その後、税務当局に年間1万8,000レイ(約3,600ユーロ、レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約0.2ユーロ)を年次固定課税額として支払う。
  4. 外国企業の支店(Sucursală / Branch of foreign company
    外国企業とその支店は一体として取り扱われるため、債権債務は最終的には本店と一体として取り扱われる。
    そのため、ルーマニア国内での法的リスクが法人全体に及ぶ場合があることに留意が必要である。ただし、課税に関しては、支店独自に通常の法人税率(16%)が課せられる。一体として取り扱われることにより、源泉税がかかることはない。設立手続きは有限会社とほぼ同様で、税務局への登録も必要。
    また、支店の場合、親会社の本店の定款を提出するよう商業登記所から要求される。
  5. 個人事業者(Persoană Fizică Autorizată(PFA) / Authorized Physical Person(PFA))
    個人で小規模な事業を設立する際に利用されている形態。有限会社(SRL)と比べ、登記完了までの所要日数が短く、手数料も少ない。

注意事項

現地法人の設立手続きに関しては、法務省・国立商業登記所でワンストップ・サービスが受けられることになっているが、さまざまな書類が必要なため、結果的に関係当局を回ることになる。
日本などの遠方から手続きに来る場合、滞在期間が長くなったり、何度もルーマニアを訪れたりすることになるため、弁護士や代行業者(日本語対応可能)に委託することも考えられる。ただし、現在は商業登記局の電子システムが最も一般的に使用されているため、当該方法は大幅に減少している。会社設立書類の準備後、約2~3週間で設立が完了する。

ルーマニアで不動産売買を行う場合、もしくは銀行口座取扱いに関して委任状を作成する場合などは、公証人事務所(Notary Office)で書類を作成する。この際、外国人は必ず母国語の通訳を同行することが法律で定められている。
この通訳は、ルーマニア法務省の認定を受けた通訳でなくてはならない。日本語の認定通訳に関しては、在ルーマニア日本大使館が氏名や連絡先を把握している。
公証人によっては「通訳は必要ない」と言う場合もあるが、これは違法である。

ルーマニア語で作成された書類の中身を把握することなく、不明確なままサインして、後でトラブルに巻き込まれる例も報告されているため、こうした点にも注意が必要である。

ルーマニアの企業に対し、日本企業が出資する際の規則は次のとおり。

  • 法令1990年31号法(会社法・法令2020年6974C号により改正)
  • 法令2022年265号法(会社登記法)

外国企業の会社清算手続き・必要書類

会社撤退に関する法律は内資・外資の区別なく適用される。
会社撤退の方法には、解散と破産がある。解散には任意解散と法定解散があり、任意解散は会社の意思決定によるものや定款で定めた存続期間の終了などが該当し、法定解散は株主総会で合意に至らなかった場合などに用いられている。一方、滞納税金がある会社は解散する権利を有さず、商業登記から抹消される。

解散

商業登記所に会社解散届出を提出し、受理されれば清算処理が開始される。清算期間は1年と設定されているが、さらなる延長も可能(要申請)。任意解散においては、株主が残余財産の分配案に合意した場合には、専門的な清算人による処理は不要となる。

  1. 現地法人の解散時に専門的な清算人を任命しない場合、必要となる基本的な書類
    1. 解散登録申請書
    2. 株主総会による解散に関する決定文書、有限会社の場合は債務整理についての債権者の承認(原本)
    3. 商業登記所へ解散申請を提出するために必要となる管轄当局発行の認可/通知の証明書(このような認可/通知の事前取得が法律で求められる場合)
    4. 手続きの代行を行う弁護士の任命書・委任状
    5. 官報掲載料分の領収書
    6. 閉鎖申請書
    7. 前記b.の決定が官報に掲載されたことを示す証拠
    8. ルーマニア税法に基づき必要となる会社清算に伴う納税等の義務の履行が適切に行われていたことを証する書類
    9. 清算財務諸表(コピー可)
    10. 会社の財政・経営状況を記す報告書
    11. 会社登録証
    12. 滞納がないことを証明する証明書(税務局発行、コピー可)
    13. 役員による清算処理(資産売買、代金回収など)に関する報告書および監査報告(役員が清算人に選任された場合)(該当する場合)
    14. 株主または株主総会に関する記録(該当する場合)
    15. 解散を許可する裁判所の判決(該当する場合)
    16. 担当省庁からの認可(該当する場合)
    17. 手続きの代行を行う弁護士の任命書・委任状
    18. 官報掲載料分の領収書

    官報掲載のため、商業登記所にa.~e.の書類を提出。次いで、f.~r.を提出し、同登記所から承認を受けた後に清算開始となる。

    有限会社の任意解散(株主総会で決定)の場合、商業登記所に登録する前記手続きは、次の2段階に分かれる。
    第1段階:a.~e.
    第2段階:f.と債権者への支払い後の資産分配に関する株主総会決議、b.の決定が官報に掲載されたことを示す証拠および、g.~r.

    会社の債権者が自らの権利が損害を被ると考える場合、官報に会社を解散する旨の決議書が掲載された日から30日以内を対抗期間として、株主による解散および清算の決定に対して異議申し立てが可能である。

    手続き代行に関する任命書・委任状(d.、q.)については、原本の提出が求められるため、あらかじめ最低3部は用意しておく必要がある。
    官報掲載料は、各段階での各文書の掲載に対し、それぞれ支払いが求められる。手数料の廃止と変更および規範についての修正と補則に関する法2017年1号に基づき、商業登記所への手数料は廃止された。
    解散手続き完了の所要期間は、数カ月~数年。

  2. 申請先:法務省・国立商業登記所(National Trade Register Office, National Trade Register Office, Ministry of Justice外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます/Oficiul Național al Registrului Comerțului(ONRC), Ministerul Justiției外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

清算

清算処理期限は、原則として解散手続きの完了から1年以内。1年以内に終了しなかった場合、会社所在地を管轄する商業登記所に期間延長を申請しなければならない(最高36カ月の延期が可能)。

残余財産の分配が完了した後、15日以内に会社の閉鎖を商業登記所に申請する。申請が遅れた場合、罰金として1日当たり20レイが科せられる。

関連法:
法令1990年31号(会社法・法令2020年6974C号により改正)
法令2022年265号(会社登記法)

破産

支払不能や債務超過に陥った債務者は、会社更生または自己破産の申立てが可能。地方裁判所(ルーマニア語でtribunal)がこれら申立てを審理する。会社更生を申立てたものの、裁判所で当該更生案が認められなければ、破産手続きに入ることとなる。近年、会社更生が認められる傾向が強まりつつある。

  1. 会社更生・自己破産の条件など
    債権者が会社の更生や破産に関して申立てを行うためには、債務者が支払期日から少なくとも60日以上経過した未払い債権(確実で強制力のあるもの)を登録し、かつ申立て債権者に対する債務額が5万レイまたは従業員からの請求の場合には平均グロス賃金6カ月分(1従業員当たり)となることが必要である。
    債務者による自己破産の申立ては、債権の支払いが期日に不可能であることが証明された日、もしくは債務者が債権者へ最低5万レイを60日以内に支払うことができなかった時、から30日以内に行われなければならない。
  2. 会社更生・自己破産が可能な会社・団体など
    会社更生や自己破産が可能な会社・団体は、商品の生産、管理、処分もしくはサービス提供のため、体系的かつ組織的な活動に事業を利用する者でなければならない。これには企業、協同組合、経済的利益集団、保険または再保険会社、破産手続きに関して特別な規制の対象となるその他の事業体などが含まれる。
  3. 会社更生が不可能な会社・更生が認められない事由など
    組織再編が認められていないため、企業が組織再編できないケースとしては、以下のようなケースが考えられる。[1]財産としての資産を持たない企業、[2]会計書類を紛失した企業、[3]運営機関を持たない企業、または運営できなくなる企業、[4]登記条件を満たさない企業、[5]司法清算人が任命されなかった場合、または任命されたにもかかわらず、その任命に関する記載が取引登記簿に登録されていなかった場合でも、紹介請求の作成前に自発的、司法的または法律により解散した法人、[6]予備申請により破産の意思を宣言した債務者、[7]専門家に特有の活動を行う者で、事業運営に法律で要求される許可を取得しておらず、特別な広告登録簿に登録されていない者。
    前記7つのケースは、会社更正手続きの対象とはならない(LEGE 85 25/06/2014 - Portal Legislativ, art. 38, para. (2)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。従って、当該会社は会社更生を申請したとしても、破産が宣告される。加えて、破産手続き開始の決定から5年以内に会社更正手続きの対象となった会社は、再び会社更正手続きの適用を受けることはできない。
  4. 会社更生・破産申請に必要な基本的な書類
    1. 経営者または監査役が認証した前年度の年次財務諸表、破産手続き開始申請請求登録の前月の賃借対照表(以下「破産開始請求」とする)
    2. 債務者が資金を運用するすべての銀行口座情報を含む債務者の完全な資産リスト、(抵当等の)負担の対象となっている財産については、公的記録情報にも言及しなければならない。
    3. 債権者リスト。同リストは債権者氏名および住所を含み、債務が特定のものであるか条件付きのものであるか、流動的なものであるか否か、正当なものであるか否か、争う余地があるか否か、などの請求の性質如何に関わらず、金額、原因、優先権を明示するものでなければならない。
    4. 破産開始請求前の6カ月間に行われた、債務者の支払いおよび資産の移管履歴
    5. 破産開始請求前の損益計算書
    6. 経済的利益団体の構成員名簿、もしくは合名会社や合資会社で該当する場合には、無限責任を有する株主名簿
    7. 債務をカバーするために、事業再編もしくは資産の全体か一部の清算によって、簡易もしくは会社更正手続きを計画的に開始する意図を証明する、債務者による自己申告書
    8. 会社更生活動のために想定される方法についての概要
    9. 破産申請請求前の5年間、会社が破産申立てを行っていないことを記した公証人もしくは弁護士によって認証を受けた宣誓書、もしくは商業登記所や他の当局による証明書
    10. 破産開始請求前の3年間に、債務者が、財産権の侵害や贈収賄、偽造といった犯罪や、会社法・その他の法が定める犯罪を、意図的に犯して有罪判決を受けていないことを証明する、公証人もしくは弁護士による認証を受けた宣誓書
    11. 定められた市場で有価証券もしくは他の金融商品を取引するための許可証明書
    12. 債務者がグループ企業に属するかどうかを示す自己申告書(グループ企業である場合は、グループ全体の構成について詳述する)
    13. 単一登録コードの証明
    14. 管轄税務局に通知を提出したことの証明

会社更生または破産までの流れ

会社更生または自己破産は、地方裁判所(tribunal)に申請する。地方裁判所は、会社更生または自己破産申請を受理してから通常10日以内に審理し、更生・破産手続きの担当官(judecator sindic)を任命する。担当官は、清算人の任命、法的行為の考察、紛争解決の仲裁など、更生・破産手続きにおける決定権を有する裁判官である。
同担当官は、裁判所の破産手続き開始判決を通して、一時法定管財人または一時法定清算人を任命し、法定管財人または法定清算人に、債権者、商業登記所や関係当局に対して破産公示などの通知する任務を委ねる。
通告を受けた債権者は、10日以内に破産手続き開始判決に対する異議申立てを出すことが可能。

会社更生が許可された債務者は、株主総会で事業活動の管理者(特別管財人)を任命し、特別管財人の監督の下、会社更生を進める。
会社更生には、地方裁判所からの許可を得てから3年程度かかるケースもある。会社更生期間は通常4年である。

なお、次のようなケースでは、債務者には地方裁判所によって破産が宣告される。

  1. 会社更正の意図なく破産申請が作成された場合、事業再編計画が提出されず、債務者が更生の意思を示さなかった場合
  2. 法令により事業再編計画を提出すべき他の人物がそれを提出しなかった場合
  3. 裁判所が会社再編計画を却下した場合、再編計画の実行が成功しなかった場合
  4. 裁判所が法定管財人の破産計画を承認した場合
  5. 債務者に対して5万レイを超え少なくとも60日以上滞納された債権を持つ債権者が裁判所に対して所定の手続きを完了し会社更正期間中に破産宣告を要求した場合

2014年に破産法が改正された(法令2014年85号)ことにより、会社更生の適用が優先されるとともに、破産宣告が行われる場合でも、債権者の権利行使と債務者の保護の双方に配慮しながら、債権回収処理を円滑に実施することになったため、債権回収率が向上した。

関連法:法令2014年85号(破産防止手続きおよび破産手続きに関する法)

その他

会計簿の電子保存、登記簿間相互接続システム・EUID番号等の導入。

  1. 会計簿の電子保存
    2016年1月から会計簿を電子保存することが可能になった。ただし、必要な時に、随時印刷が可能なアーカイブにすることが条件となる(政令2015年2634号)。
  2. 登記簿間相互接続システム・EUID番号

    登記簿間相互接続システムは、欧州連合加盟国のすべての登記簿および欧州連合中央プラットホームをまとめるシステム。このシステムにアクセスできるポータルサイトは、e-Justice(欧州連合ポータルサイト)と呼ばれる法務省・国立商業登記所(ONRC)が管理する中央登記簿のポータルサイトやウェブサイトである。

    今後、登記簿間相互接続システムを通して、法務省・国立商業登記所(ONRC)は法人・会社に関する情報(企業名、会社形態、本部住所、国籍、登録番号等)を無料で公開する予定である(商業登記簿、中央登記簿および会社登記簿に係る欧州連合指令2012年17号に基づき、法令2015年152号が発効)。

    2017年7月7日からは、欧州連合固有識別子(EUID)システムが稼働。EUIDは商業登記されている個人および法人用の固有識別番号であり、EU加盟国間での取引・貿易プロセスを簡易化し、円滑なコミュニケーションを促進するために導入された(法令2015年152号)。