外資に関する規制

最終更新日:2023年11月15日

規制業種・禁止業種

外資についての制限はない(緊急法令2008年85号)が、エネルギー、食品、通信、放射性物質、金融、輸送、人材派遣、教育などの分野における外国からの投資については、政府の認可が必要である。たばこ、アルコール、軍事産業関連製品などについては、原則として政府独占とされているため、特別な許可が必要である(法令1996年31号)。

さらに2022年4月18日、ルーマニア政府はルーマニアにおける外国直接投資の審査に関する法的枠組みを制定(緊急政令2022年46号)。本政令の主旨は、EU域外の投資家が特定の機密性の高い事業分野において200万ユーロを超える投資を行い企業の経営権を取得する場合、新設される外国直接投資審査委員会(ルーマニア語:Comisia pentru examinarea investiţiilor străine directe、略称CEISD)の事前承認を得る必要があるというものであり、外国直接投資のスクリーニングにあたっての枠組み(欧州議会・理事会規則2019/452)を国内法に落とし込んだものである。

審査対象となる様々なセクターについては、国防最高評議会決定2012年73号によって定められている。

  1. 市民と地域社会の安全保障
  2. 国境の安全保障
  3. エネルギー安全保障
  4. 輸送の安全保障
  5. 重要資源の供給に関する安全保障
  6. 重要インフラの安全保障
  7. IT・通信システムの安全保障
  8. 金融・税務・銀行・保険活動の安全保障
  9. 武器、軍需品、爆発物、毒性物質の制度・流通の安全保障
  10. 産業の安全保障
  11. 災害からの保護
  12. 農業と環境の保護
  13. 国営企業またはそれらの民営化時の経営の保護

緊急政令2022年46号によって確立された外国直接投資の審査に関する法的枠組みは2023年6月7日、法令2023年164号により改正された。本改正は審査手続きをより厳格化するアプローチを伴うもので、当初の審査の対象であったEU域外の投資家のみならず、ルーマニアを含むEU域内の投資家も審査の対象とした。EU域内の投資家とは、EU市民、受諾者を含めEU域内に本拠を置く企業、EU市民および/またはEU法人の支配下にあるEUに本拠を置く企業で、ルーマニアへの投資を行ったか、または投資を行う意向のあるものを指す。

なお、現行の審査手続きは、対象セクターに絡む企業の支配権を有する法人がCEISDに承認を求める申請を(該当する場合には国防最高評議会や他の関係当局の意見書を含めた)すべての必要書類とともに提出する。CEISDは、承認申請完了の日から60日以内に当該投資に関する判断を下す。
CEISDにより投資を承認する判断がなされた場合、当該判断は競争評議会へ転送され、同評議会は受領後30日以内に当該判断に基づく外国直接投資を承認するか否かの決定を下す。最終決定は競争評議会により行われる。
CEISDによる判断が条件付きの承認であった場合か拒否された場合、当該判断を決する政府決定を発行するため、政府に転送される。CEISDが下した判断結果に従う形で政府が最終決定を行う。

法令2023年164号による改正では、CEISDからの提案により、投資案件が法的要件に違反して行われたことが判明した場合、当該直接投資を無効化し罰金を伴う制裁を設けた。これまでのところ、法令2023年164号を含む外国直接投資に関する規定には、以前提案されていたような投資家に対する審査料は含まれていない。

主な規制業種の担当省庁

詳細問い合わせ先

法務省 国立商業登記所(National Trade Register Office外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます / Oficiul Național al Registrului Comerțului外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
所在地:Blvd. Unirii nr. 74, Bl. J3b, sector 3, Bucureşti, 030837
Tel:+40-21-316-08-04/17/18/24
Fax:+40-21-316-08-03
E-mail:onrc@onrc.ro

出資比率

外資についての制限はない。ただし、有限会社を除いては複数株主による出資が必要であり、金融機関については株式会社とすることが求められる。したがって、有限会社以外単独株主での出資はできない。

外国企業の土地所有の可否

在EU/EEA企業による不動産取引は、原則として自由であるが、公証人の公証が必要となる。

ルーマニア人およびEU市民(EUもしくは欧州経済領域(EEA)の国籍保有者)である自然人および法人(株主の国籍に関わらず)は、ルーマニア人と同じ条件で自由に土地の購入が可能。外国人(非EU/EEA市民)の場合、ルーマニアが締結した国際条約の互恵待遇協定に基づいてのみ、個人・法人に限らず土地(住居・オフィス用途)を購入することができる(法令2005年312号)。
なお、外国人がアパート/建物を購入する場合、居住者/非居住者にかかわらず物件の購入は可能だが、使用権のみを取得できる。

また2014年4月11日から、EU加盟国国籍保有者とEU域外の国籍保有者(個人・法人)についても、互恵待遇協定に基づく国際協定で認められる条件に従い、農地を購入できることになった(法令2014年17号)。農地の売却は優先買取権の対象となるが、3カ月以内に優先買取権者が一人も権利を行使しなかった場合、前述の条件で売却される。ルーマニアの特定地域の農地(ルーマニア語でextravilan)の売却については追加の条件と規定が適用される(法令2014年17号を法令2020年175号により修正、および、緊急政令2022年104号)。これらの新規定により、以下などが定められた。

  1. 優先買取権を持たない個人や法人に対する新たな制限
  2. 一定の条件下で8年以内に売却した場合(不動産取引税に加え)80%相当の税金(公証人役場が作成した専門家による指標値、または公証人役場が実施した市場調査による最低価格に基づき算出された対象農地の売却日の算定価格と、購入日の価格のプラスの差額に対して課される)を払うこと
  3. 通知の義務付けなど手続上の変更

いずれのケースも、売買契約は公証人事務所(Notaryと呼ばれる)で、ルーマニア法務省認定通訳の立会いの下で行われる。
土地・アパートを購入した場合、固定資産税を毎年支払う必要がある。固定資産税の税額は、所在地と広さによって決定される(法令2015年227号)。
なお、法的効力をもたせるためには、登記が必要となる(法令1996年7号)。

資本金に関する規制

有限会社の最低資本金は200レイ(約45ユーロ)とされていたが撤廃されたため、特に規制はない。一方、株式会社の最低資本金は9万レイ(約2万ユーロ)。

その他規制

特になし。