卵(鶏卵)の輸入規制、輸入手続き
品目の定義
本ページで定義する卵(鶏卵)のHSコード
040721 : 殻付きの鳥卵(生鮮のものに限る。)
‐鶏(ガルルス・ドメスティクス)のものでふ化用受精卵ではないもの
0408 : 殻付きでない鳥卵および卵黄
(生鮮のものおよび乾燥、蒸気または水煮による調理、成型、冷凍その他保存に適する処理をしたものに限るものとし、砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わない。)
‐卵黄およびその他のもの
調査時点での最新情報を記載していますが、2019年12月14日から2021年4月にかけて植物衛生、動物衛生、公的管理の規則が新制度に移行中のため、記載事項は常に変更される可能性がある点に留意してください。 また、新制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2020年3月)」も参照してください。
なお、公的管理とは、次の各分野に関するEU 法令・その他のルールへの適合をEU加盟国当局が統一に管理することを指します。
- 食品安全、生産・加工・流通のあらゆる段階における食品の完全性および健全性、食品と接触する素材および製品(Food Contact Materials、食品包材やキッチン用品等)の製造と使用
- 食品または飼料の生産を目的とする遺伝子組み替え作物の環境への意図的導入
- 飼料の生産、加工および流通のあらゆる段階における安全
- 動物衛生に関する要件
- 動物副産物に由来するヒトや動物の健康へのリスクの予防・削減
- 動物福祉に関する要件
- 植物病害虫に対する保護措置(植物衛生)
- 植物保護製品(農薬)の販売および使用、農薬の持続可能な使用に関する要件
- 有機製品および有機製品のラベル表示
- 原産地呼称保護、地理的表示保護(GI)および伝統的特産品保証の使用とラベル表示
関連リンク
- 根拠法等
-
規則(EEC)No 2658/87(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
財務省貿易統計
- ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2020年3月)」
EUの輸入規制
1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)
調査時点:2021年2月
- EUへの入域条件
-
EU域内に卵や卵製品を輸出するために、国レベルでは、次の1.と2.の要件を満たす必要があります。
- 欧州委員会規則 (EU) 2017/625 に基づき、『残留物質モニタリング計画』の承認を受ける。
- 欧州委員会規則(EC)798/2008の卵や卵製品についての『第三国リスト』に掲載されている。
-
また、事業者レベルでは、次の3.と4.の条件を満たす必要があります。
- 輸出元国の所轄当局にEU規則に基づく衛生およびHACCP管理基準を満たしている旨の認定を受けた生産農場由来または衛生認定加工施設で生産・製造する。
- 輸出製品は、公的管理関連規則に定められる要件あるいは同等と認められる要件に適合していることを示す公的証明書や証憑、宣誓書が添付されていること。
- 日本は、鶏卵と卵製品その他家禽などの輸入が許可される「第三国リスト」を掲載した欧州委員会規則798/2008(ANNEX I)に2019年2月24日に掲載されています。
- 輸出要件や認定手続き等について規定する農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」が制定されていますが、調査時点では、殻付き卵の認定生産農場および卵製品の認定加工施設はありません。
- なお、2021年4月21日から、新しい動物衛生規則(EU)2016/429の適用が開始されるにあたり、前述の規則(EC)798/2008は廃止され、家禽および家禽製品に関連する家畜の伝染病予防に関する衛生要件などは実施規則(EU)2020/692に置き換えられます。調査時点では、卵や卵製品の第三国リストに関しては実施規則(EU)2019/626第4条により、規則(EC)798/2008に掲載の第三国リストが維持されるとされていますが、新たに実施規則が採択されるかどうかは確認できていません。
- 混合食品
- EUでは、加工された動物性食品(注1)と植物性原材料の両方を含む食品を「混合食品」と定義し(欧州委員会決定2007/275/EC 第2条)、特別な規制を設けています。 加工済み卵製品(動物性食品)であるか、加工済み卵を含む混合食品であるかで、適用される規則や要求される書類が変わってくるため留意が必要です。
- 卵製品と混合食品の違いについては、「4.その他:混合食品」を参照してください。
- 輸入許可施設の認定と衛生証明書の添付については「2.施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。
- ※本項以降では、EU規制に加え、主要EU加盟国がEU規制に上乗せで定めている独自規制についても言及していますが、これは、ジェトロで把握できた範囲において言及しているものであり、各国の独自規制を網羅しているものではありません。また、各項目で明示的な言及がない加盟国については、記載できる情報がないということであり、独自規制が存在しないということではありません。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会保健衛生・食の安全総局(英語)
-
農林水産省
- 根拠法等
-
規則 (EU) 2017/625(英語)
-
規則(EU) 798/2008(英語)
-
決定2007/275/EC(英語)
-
実施規則 (EU) 2019/298(英語)
-
規則(EU) 2019/759 (英語)
-
規則(EU) 2016/429 (英語)
-
委任規則 (EU)2020/692 (英語)
-
委任規則 (EU) 2019/625 (英語)
-
実施規則(EU)2019/626 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
農林水産省「卵及び卵製品に関する日本のEU第三国リスト掲載について」
-
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」
(7.9MB)
2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)
調査時点:2020年11月
EU加盟国に消費者に直接販売される殻付き卵(クラスA卵またはB卵)を輸出するためには、生産農場の登録(農林水産省所管)が必要となります。また、卵製品を輸出する場合は、卵選別包装施設および卵製品製造施設のEU向け輸出のための施設認定(厚生労働省所管)を受ける必要があります。
- 生産農場登録
- EU加盟国向けに消費者に直接販売される殻付き卵(クラスA卵など)を輸出する場合、生産農場の登録をするために、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」という。)で輸出要件や衛生条件などを確認のうえ、別紙様式2-1を管轄する都道府県の畜産主務課に提出し、生産農場の認定を受け、登録番号を入手し、サルモネラ管理計画を実施します。
-
一方、卵製品の原料の卵は、生産農場の登録は不要ですが、集卵日から起算して、過去30日間、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)、ニューカッスル病(ND)の発生のない生産農場由来であること、および周囲10 km以内で発生していないことが求められます。(ただし、10 km以内で発生していた場合、一定の加熱要件を施すことにより、条件が満たされます。取扱要綱の別添3第6個別基準を参照)
また、液卵などの卵製品を原材料として使用する場合は、EU向け輸出卵製品認定施設でEU向けに製造された卵製品を使用するか、EUの衛生要件を満たした外国政府機関により発行された証明書が添付された原料卵を使用する必要があります。 - 原料卵を生産農場から卵選別包装施設および卵製品製造施設へ輸送する場合は、生産者の名前および住所、卵の個数および重量、産卵日または産卵期間、発送日を添付文書に記載し、コピーを保存しておく必要があります。
- EU産またはEUに衛生認定された外国の原料卵から卵製品を製造する場合において、卵選別包装施設を経由しない場合、EUまたは当該外国政府の公的証明書が必要となります。
- 施設認定(卵選別包装施設および卵製品製造施設)
- 取扱要綱に記載される衛生条件や個別基準を確認のうえ、(1)施設の構造・設備に関する資料(2)製品に関する資料(3)衛生管理(マニュアルなど)に関する資料(4)従業者の健康診断実施体制に関する資料(5)作業手順書(6)HACCPに関する資料(7)食品衛生法に基づく過去の処分事例がある場合はその資料など関連書類を添付し、要綱別紙様式3の「施設認定申請書」を認定施設の管轄の都道府県知事経由で、厚生労働省に申請します。
- 衛生証明書の申請
-
EU向け殻付き卵および卵製品の輸出にはあらかじめ取扱要綱 別紙様式10-1による衛生証明書の申請書を、認定施設を管轄する保健所に提出し、食品衛生当局により、衛生証明書を発行してもらいます(別紙様式10-2または10-3)。使用される原料卵が、次の(1)~(3)によって必要書類が異なるため注意してください。
- 日本産の場合は、原料卵の衛生証明書
- EU加盟国産の場合は、証明する公的書類
- その他外国の場合は、EUの衛生要件を満たすことを証明する外国政府機関発行の証明書類
- 輸出検疫証明書の発行
- 輸出検疫の申請・証明書の発行手続きについては「3.動植物検疫の有無」を確認してください(動物衛生当局による発行)。
-
なお、調査時点では前述のとおりですが、新動物衛生規則(EU)2016/429および家畜の伝染病予防に関する一般要件(同規則第4条、第6〜10条)と個別要件(パートIV タイトル5第158〜161条)リスクの低減措置(ANNEX XXVIII)を規定する委任規則(EU)2020/692が2021年4月21日から施行されるため、内容が変更される可能性があります。
新規則の概要に関しては、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2020年3月)」を確認してください。
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省
-
厚生労働省
- 根拠法等
-
規則(EU) 798/2008(英語)
-
規則(EU) 2016/429 (英語)
-
委任規則 (EU)2020/692 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
- ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2020年3月)」
-
農林水産省「卵及び卵製品に関する日本のEU第三国リスト掲載について」
-
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」
(7.9B)
3. 動植物検疫の有無
調査時点:2021年2月
「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類など(輸出者側で必要な手続き)」に記載の施設登録の要件を満たしたうえで、輸出元国の所轄当局が発行する衛生証明書を提出のうえ、動物検疫を受ける必要があります。EUの国境(BCP)で獣医検査(公的検査)の対象となる食品のリストは、実施規則(EU)2019/2007に示されています。本稿で定義するHSコード0407と0408に関してはANNEX I 第4章にリストされているため、国境における公的検査の対象となります。
ヒトの消費向け動物性・動物由来製品の輸入に関する公的証明書(衛生証明書)には、食品公衆衛生(ヒトが食べて安全か)の観点のみから発行されるものと、公衆衛生と獣医証明(家畜等の伝染病の予防や動物衛生)の両方の観点から発行されるものがあり、卵や卵製品には後者の公的証明書が求められます。
公衆衛生に関しては、食品関連の規制の項「1.食品規格」を確認してください。
- 輸出検疫証明書
- 輸出検疫証明書の雛形については、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」という)の別紙様式11-3(殻付き卵)または11-4(卵製品)および規則(EC)798/2008のANNEX Iにおいて確認することができます。 なお、前述のとおり、2021年4月21日以降、規則(EC)798/2008は規則(EU)2020/692により廃止され、公的証明書(衛生証明書や獣医検疫証明書)の様式は、実施規則 (EU) 2020/2235 Annex III Chapter 19およびChapter 20で定められたものを使用することになります。
- 取扱要綱に記載されている内容にのっとり、輸出検査申請書(Application For Export Quarantine) と前述の衛生証明書を動物検疫所に提出します。NACCS(動物検疫関連業務)を使用して申請する場合は、動物検疫所のウェブサイトを確認してください。
- 書類審査または現物検査などの結果、家畜の伝染性疾病をひろげるおそれがないと認められたとき、また、EUが求める輸入条件を満たしていると認められたときは、輸出検疫証明書(Export Quarantine Certificate)、およびEUが求める書式の獣医検疫証明書(Veterinary Certificate to EU) が動物検疫所または指定検査場所により発行されます。(前述の「取扱要綱」別紙様式11-3または11-4に該当)
- ただし、2021年4月21日から施行される委任規則(EU)2020/692第3条により、当該貨物が同規則に定める一般要件(第4条、第6〜10条)および個別要件(パートII〜VI)を満たし、リスクの低減措置(ANNEX XXVIII)が講じられていることを第三国(日本)の当局が証明し、第三国の公的獣医により発行された動物衛生証明書(獣医検疫証明書)を添付し、獣医検査を行う国境管理所(BCP)に転送することと規定されているため、今後内容が変更になる可能性もあります。
- なお、前述の卵を含む「混合食品」(※動物性原材料と植物性原材料の両方を含む食品)について、一定の条件を満たす場合には、2021年4月20日までの経過措置として、動物検疫の対象外となります(公的管理の免除)。詳細は「4.その他:混合食品」を確認してください。
関連リンク
- 関係省庁
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厚生労働省
-
動物検疫所
- 根拠法等
-
家畜伝染病予防法施行規則(昭和二十六年農林省令第三十五号)
-
規則 (EU) 2017/625(英語)
-
規則(EU) 798/2008(英語)
-
規則(EU)196/2013(英語)
-
決定2007/275/EC(英語)
-
実施規則(EU) 2019/2007(英語)
-
規則(EC)No 853/2004(英語)
-
実施規則(EU) 2019/628 (英語)
-
決定 (EU) 2016/1196(英語)
-
委任規則 (EU)2020/692 (英語)
-
実施規則 (EU) 2020/2235(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
動物検疫所「所在地一覧」
-
動物検疫所「輸出畜産物の検査手続」
-
動物検疫所「NACCS(動物検疫関連業務)について
-
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」
(7.9MB)
-
動物検疫所 偶蹄類の畜産物の輸出
4. その他 : 混合食品
調査時点:2021年2月
EU独自の定義として、「植物由来製品と加工済み動物由来製品の両方を含む食品(規則 (EC) 853/2004第1条)」を「混合食品」とし、動物由来製品とは別に定義しています。
これらの定義の詳細は、ジェトロレポート「動物性原材料を含む食品のEU向け輸出に関する規制について(2017年3月発行 / 2019年5月更新)で確認してください。
- 動物由来製品
- (EC)853/2004 ANNEX Iおよび(EU)2019/626 (第3条~第22条)の定義により動物由来製品 および卵製品は次のように分類されます。
-
「動物由来製品(Products of animal origin)」とは、はちみつ、血液、ゼラチンおよび昆虫を含む動物由来の食品をさす。
「卵製品(Egg products)」とは、卵または卵のさまざまな構成部分もしくは混合物の加工、または当該加工済み製品のさらなる加工に由来する、加工済み製品をいう。 -
なお、EUにおいて「未加工食品」とは、加工を受けていない食料品をいい、分割、分離、切断、スライス、骨抜き、刻み、皮剥ぎ、粉末化、切り込み、洗浄、トリミング、殻剥き、製粉、冷却、急速冷凍または解凍された食品も含むと定義されます(欧州議会・理事会規則 (EC) 852/2004第2条 の1項)。
一方、加工とは、当初の(加工前の)材料を実質的に変化させるプロセスのことであり、加熱、燻蒸、保蔵(curing)、熟成、乾燥、マリネ(marinating)、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせも含まれます。 - さらに、欧州委員会の決定2007/275 EC第2条において「ヒトの食用を意図した食材で、動物由来の加工品および植物由来製品の両方を含むもので一次製品の加工が最終製品の製造のうえで不可欠なプロセスになっている場合」も混合食品であると定義されています(例えば、鮮魚(動物性未加工食品)とコメを一緒に炒めて製造されるパエリャや動物性未加工食品と小麦粉生地(植物性原材料)を同時に焼いて製造されるピザなど)。
- 一方、添加される植物原材料が動物性加工食品に特徴をつける目的である場合や動物性加工食品の性質上、植物原材料が欠かせない場合は混合食品とされず、動物由来製品とされます(例えば、フルーツ入りヨーグルトやニンニク入りのソーセージやハーブ入りオムレツ)。
-
例えば、同じマヨネーズであっても(未加工の)殻付き卵とサラダ油を混ぜて製造したマヨネーズは動物由来製品となるが、加工された液卵とサラダ油を混ぜてつくられたマヨネーズは混合食品となります。
前述のとおり、香味付けオムレツ(液卵または殻付き卵、香草など)は卵製品となりますが、オムレツの粉末製品(粉末卵白、粉末卵、ミルクたんぱく質、スパイスなど)は混合食品とされます。 -
このため、同じ名称の食品であっても原材料や製造手順(方法)により混合食品か否か変わってくるため、事前にEUの国境管理所(動植物検疫所)に問い合わせすることを推奨します。
フランスにおいてはロワシー空港のSIVEPに次の情報を伝えることで、問い合わせができます。- 食品の税関コード (EU側のHSコード)
- 動物性原材料・植物性原材料の割合
- 食品の種類
- 構成(成分)
- 意図されている用途
- 原産国
- 2021年4月21日までの混合食品の経過措置(現行制度)
-
1.輸入規制「1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」のとおり、EUにおいて、原料の動物由来食品(規則853/2004 ANNEX IIIに記載の食品)は衛生認可加工施設(EU HACCP認定施設)に由来している必要がありますが、卵を含む「混合食品」について、次の条件を満たす場合には、2021年4月20日までの経過措置として、動物性原材料が認定施設由来であることを国境管理所で証明する義務(文書の添付)が免除されています。
ただし、認定施設由来であること自体が免除されているわけではないとの解釈を示す担当者もいることから、ランダムチェックなどで指摘されることも考えられるため、注意が必要です。卵製品や混合食品の国境管理所における、現物検査の実施頻度は15%とされています。 - 規則(EC)2007/275第6条に掲載される次の条件を満たす混合食品
-
1. 肉や肉製品(肉エキスを含む)を原材料に使用しておらず、
- 動物性原材料の使用割合が50%未満、かつ
- 常温保存が可能、または製造過程ですべての原材料が熱処理により変性してい
- ヒトの食用であることが明記されている。
- 清潔な容器に密封されている。
- 加盟国の公用語で記載された送り状などの商用文書および食品ラベル表示により、加工食品の種類、分量、個数、原産国、製造業者、原材料が明らかになっている。
- 動物性原材料の使用割合が50%未満、かつ
-
あるいは前述の全要件を満たし、決定規則(EC)2007/275ANNEX IIに記載される(a)~(f)のいずれか
- 乳・卵製品の含有割合が合計50%未満の チョコレート・キャンディなどの菓子
(HSコード)1704, 一部の1806類 - 乳・卵製品の含有割合が合計50%未満のパスタ・麺類
(HSコード) 1902 19, 1902 30, 1902 40 - 乳・卵製品の含有割合が合計20%未満のパンやビスケットなど
(HSコード) 一部の1905類 - 魚詰めオリーブ
(HSコード)ex 2001 90 65、2005 70 00, ex 1604 - 魚介パウダー・エキスの含有割合が50%未満のスープ・ブロス
(HSコード) ex 2104 10, ex 2104 20 - 肉製品を除く動物性由来加工製品20%以下のヒト向けサプリメント
(HSコード) ex 2106 10, ex 2106 90
- 乳・卵製品の含有割合が合計50%未満の チョコレート・キャンディなどの菓子
- ただし、原材料として使用される、乳・卵・魚介類は日本国内および『第三国リスト掲載国』で加工されている必要があります。
- 2021年4月21日以降(新制度)
- 調査時点において、欧州委員会が各種規定を改定中のため、記載事項は変更される可能性がある点に留意してください。
- 2021年4月21日から施行される予定の委任規則 (EU) 2019/625では、混合食品を輸出する際に、動物性加工原料がEU 域内外の認定施設由来であること等を証明するために公的機関が発行する公的証明書(Official Certificate)または輸入者による自己宣誓書(Private Attestation)の添付が必要とされています。
-
輸出する混合食品が次の(1)および(2)の条件に当てはまる場合は公的証明書、(3)の条件に当てはまる場合は自己宣誓書が必要になります。なお、混合食品を製造する施設については、EU 認定の取得は必要ありませんが、HACCPに沿った衛生管理が必要です。
- 温度管理が必要なもの(カテゴリーA)
- 温度管理が不要かつ原材料に肉製品(エキス含む)を含むもの(カテゴリーB)
- 温度管理が不要かつ原材料として肉製品以外の動物由来加工製品(乳、卵、水産製品等)を含むもの(カテゴリーC)
- なお、公的証明書(Official Certificate)および自己宣誓書(Private Attestation)の様式は、実施規則(EU)2020/2235 Annex III Chapter 50およびAnnex Vで定められています。
新制度の対象となる混合食品
次のCNコードに該当する混合食品は、新制度の対象となります。
CNコード | 品目(仮訳) |
---|---|
1601 | ソーセージその他これに類する物品、これらの物品をもととした調製食料品 |
1602 | その他の調製をし、または保存に適する処理をした肉、くず肉および血 |
1603 | 肉、魚または甲殻類、軟体動物などのエキスおよびジュース |
1604 | 魚、魚卵を調製しまたは保存に適する処理をしたもの |
1605 | 甲殻類、軟体動物などを調製しまたは保存に適する処理をしたもの |
1901 | 麦芽エキスならびに穀粉などの調製食料品およびミルク、ホエイなどの調製食料品 |
1902 | スパゲッティ、ラザーニヤなど(加熱による調理をし、肉その他の材料を詰めまたはその他の調製をしたものであるかないかを問わない。) |
1905 | パン、ペーストリー、ケーキ、ビスケットなどのベーカリー製品 |
2004 | 調製しまたは保存に適する処理をしたその他の野菜(冷凍したものに限る。) |
2005 | 調製しまたは保存に適する処理をしたその他の野菜(冷凍してないものに限る。) |
2103 | ソース、ソース用の調製品、混合調味料、マスタードの粉およびミールならびに調製したマスタード |
2104 | スープ、ブロス、スープ用またはブロス用の調製品および均質混合調製食料品 |
2105 | アイスクリームその他の氷菓 2106 その他調製食料品 |
1704 | 砂糖菓子(ホワイトチョコレートを含むものとし、ココアを含有しないものに限る。) |
1806 20 | チョコレートその他のココアを含有する調整食料品のうち、その他の調整品(塊状、板状または棒状のもので、その重量が2キログラムを超えるものおよび液状、ペースト状、粉状、粒状その他これらに類する形状のもので、正味重量が2キログラムを超える容器入りまたは直接包装したモノに限る。)およびその他のもの(塊状、板状または棒状のものに限る。) |
1806 31 | チョコレートその他のココアを含有する調整食料品のうち、詰物をしたもの(例:クリーム、クラスとした砂糖、乾燥ココやしの実、果実、フルーツペースト、リキュール、マルチパン、ナット、ヌガー、カラメルまたはこれらの物品を組み合わせたものから成る中心部をチョコレートで覆った塊状、板状、棒状のもの。) |
1806 32 | チョコレートその他のココアを含有する調整食料品のうち、詰物をしていないもの |
1806 90 11 | チョコレート(プラリネを含む。)のうち、アルコールを含むもの |
1806 90 19 | チョコレート(プラリネを含む。)のうち、アルコールを含まないもの |
1806 90 31 | チョコレート製品のうち、詰め物をしたもの |
1806 90 39 | チョコレート製品のうち、詰め物をしていないもの |
1806 90 50 | ココアを含む砂糖代替製品から作られた砂糖菓子およびその代替品 |
2001 90 65 | 食酢または酢酸により調製しまたは保存に適する処理をしたオリーブの食用部分 |
2101 | コーヒー、茶またはマテのエキス、エッセンスおよび濃縮物ならびにこれらをもととした調製品、コーヒー、茶またはマテをもととした調製品ならびにチコリーその他のコーヒー代用物(いつたものに限る。)ならびにそのエキス、エッセンスおよび濃縮物 |
なお、輸出する製品が混合食品に該当するかどうかは、輸出先国当局の判断になります。現地の輸入者などを通じて、種別や輸入の可否も含めて、国境管理所に確認してください。
2021年4月21日以降の混合食品を輸出する際の対応に関しては、農林水産省ウェブサイトでも確認ができます。
自己宣誓書の通関時の確認免除
EU当局の規則案では、通関時の自己宣誓書の確認が免除される混合食品の要件が示されています。ただし、通関時の確認が免除される品目については、輸入後、各加盟国当局が市場流通時に規制への適否を監視することとされており、自己宣誓書の添付自体が免除されているわけではない(すなわち、当該混合食品に使用される動物性加工原料がEU 域内外の認定施設由来であることが免除されているわけではない)ことに注意が必要です。
通関時の確認免除の対象となるのは、次のリストに挙げられているCNコードに該当するカテゴリーC混合食品であって、次の要件を満たすものです。
- 原料の卵製品および乳製品について、EU規則に基づく加熱処理※がされていること。
- ヒトの食用であることが明記されていること。
- しっかりと密封されていること。
※ 委任規則 (EU) 2020/692において、乳製品についてはAnnex 27のB欄、卵製品についてはAnnex 28に定められた加熱処理。
CNコード | 品目(仮訳) |
---|---|
1704, 1806 20, 1806 31 00, 1806 32, 1806 90 11, 1806 90 19, 1806 90 31, 1806 90 39, 1806 90 50, 1806 90 90の一部 | 菓子類、チョコレートおよびココアを含む調整品の一部。 |
1902 19, 1902 30, 1902 40の一部 | パスタ、麺類、クスクスの一部。 |
1905 10, 1905 20, 1905 31, 1905 32, 1905 40, 1905 90の一部 | パン、ケーキ、ビスケット、ワッフル、ウエハース、ラスク、トーストしたパンおよびトーストした製品の一部。 |
2001 90 65, 2005 70 00, 1604の一部 | 魚を詰めたオリーブの一部。 |
2101の一部 | コーヒー、コーヒー代用品、茶またはマテ抽出物、香料・濃縮物およびこれらをもとにした調整品、コーヒー・茶・マテをもとにした調整品の一部。 |
2104の一部 | だし汁および風味料の一部。 |
2106の一部 | 動物性加工原料を含む栄養補助食品(グルコサミン、コンドロイチンおよびキトサンを含む。)の一部。 |
2208 70の一部 | 酒類の一部。 |
その他、動物検疫については「3.動植物検疫の有無」も確認してください。
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省「EUにおける新たな混合食品規制への対応について」
- 根拠法等
-
規則(EC) No 852/2004 (英語)
-
規則(EC)No 853/2004(英語)
-
決定 2011/163/EU (英語)
-
決定2007/275/EC(英語)
-
実施規則(EU)2019/626 (英語)
-
委任規則 (EU) 2019/625 (英語)
-
実施規則(EU) 2019/2007(英語)
-
決定 (EU) 2016/1196(英語)
-
実施規則 (EU) 2020/2235
-
委任規則 (EU)2020/692 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
- ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2020年3月)」
EUの食品関連の規制
1. 食品規格
調査時点:2020年11月
農産物市場体系を確立する欧州議会理事会規則(EU)1308/2013第75条と第78条により、いくつかの製品・セクター(対象品目)に関しては、EU域内で流通するための食品の規格または名称の定義が設けられています。卵は、EUの共通農業政策(CAP)における農産品の共通市場制度(CMO)の対象となっており(第78条)、生産者の競争力の向上、需給バランスの維持、伝統と生産者の正当な利益の保護、消費者の保護を目的に、同規則ANNEX VIIの第VI章に卵の格付けやラベル表示義務などの基準が定められています。
卵に関するラベリングおよび識別マークついては「6.ラベル表示」の項を参照してください。
卵や卵製品の定義については、動物性食品の衛生基準を定める(EC) 853/2004に次のように規定されています。
「卵(Eggs)」とは、養殖された鳥から産出され、ヒトの直接的な食用または卵製品の調理に適した、殻入りの卵(殻の壊れた、孵化したまたは調理された卵を除く)をいう。
「液卵(Liquid egg)」とは殻を除去した後の卵の未加工の内容物。
「卵製品(Egg products)」とは、卵または卵のさまざまな成分(卵白、卵黄の液卵など)もしくはこれら混合物の加工による加工済製品、または当該加工製品のさらなる加工に由来する加工済製品をいう。
(EC) 852/2004第2条により「加工(processing)」とは、当初の製品を実質的に変更する行動(加熱、燻り、硬化、熟成、乾燥、マリネ、抽出、押出しまたはそれら処理の組み合わせなど)のことであり「未加工製品(unprocessed products)」とは、加工を受けていない食料品(分割、分離、切断、スライス、骨抜き、刻み、皮剥ぎ、粉末化、切り込み、洗浄、トリミング、殻剥き、製粉、冷却、急速冷凍または解凍された製品など)と定義される。
クラスA卵の規格は、気室の深さが6mm (Extraの場合は4mm以下)、重量がXL(特大) 73g以上、L(大)63g以上73g未満、M(中)53g以上63g未満、S(小)53g未満など規定されています。
その他、クラスA卵、B卵の個別基準は農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)の別表4でも確認できます。
- 食品衛生
- さらに、EU域外から輸入される食品についても、欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002に基づきEUが求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則第11条)。
- このため、EU の食品輸入事業者は、輸入した食品が EU の食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、加盟国の所管当局に通知する義務があります(欧州議会・理事会規則(EC)No 178/2002 第19条)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、EU が当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則第53条)。
- EUの衛生法(衛生パッケージ)は規則(EC)No 178/2002 (食品一般法)、規則(EC)852/2004 (一般食品の衛生規則)、規則(EC)853/2004 (動物性食品の衛生規則)、(EC) 183/2005 (動物の飼料に要求される衛生規則) そして新公的管理規則(EU)2017/625およびこれらの規則を補完する関連規則(例えば、委任規則 (EU) 2019/625など)により構成されています。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語)
-
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)
- 根拠法等
-
規則(EC)No 178/2002(英語)
-
規則(EC)No 853/2004(英語)
-
規則(EC) No 852/2004 (英語)
-
規則 (EU) 2017/625(英語)
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-
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」
(7.9MB)
2. 残留農薬および動物用医薬品
調査時点:2020年11月
前述のとおり、欧州委員会規則(EU)2017/625に基づき、EU域内に鶏卵を輸出することが可能な認定を受けた加工施設などの事業者は、別途定められたモニタリング計画および実施要領に従い、残留動物用医薬品などのモニタリング検査の実施が必要です。
また、2021年4月21日以降、家畜の伝染病予防に関する動物の衛生要件に関して一般要件および個別要件を規定する委任規則(EU)2020/692が施行されます。卵・卵製品のモニタリング計画は同規則のANNEX IIに適合して、あるいは国際獣疫事務局(OIE)の定める規定に沿って実施されます。また、卵・卵製品の疾病リスクを軽減するために講じる措置はANNEXE XXVIIIに規定されています。
関連リンク
- 関係省庁
-
厚生労働省
- 根拠法等
-
規則 (EU) 2017/625(英語)
-
委任規則 (EU)2020/692 (英語)
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-
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」
(7.9MB)
3. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)
調査時点:2020年11月
EUでは、欧州委員会規則(EC)1881/2006で食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(欧州理事会規則(EEC)No315/93 第1条(1))。 鶏卵が該当する汚染物質の上限値は、次のとおりです。ただし、ここに記載されている以外に、乳児・幼児用の食品、医療用栄養食品に関しては別途上限値が規定されているため注意が必要です。
項目 | 上限値 ※2 | 対象品目 |
---|---|---|
ダイオキシン類合計 (WHO-PCDD/F-TEQ(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシンとポリ塩化ジベンゾフランの毒性等量合計※1) |
2.5pg/脂肪1g当たり | 鶏卵および卵製品 |
0.1pg/脂肪1g当たり | 乳幼児向け食品 | |
ダイオキシン類、ダイオキシン様PCB類の合計 (WHO-PCDD/F-PCB-TEQ(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ビフェニルの毒性等量合計※1) |
5.0pg/脂肪1g当たり | 鶏卵および卵製品 |
0.2 pg/脂肪1g 当たり | 乳幼児向け食品 | |
PCB28,PCB52,PCB101,PCB138,PCB153,PCB180の合計 (ICES-6) |
40ng/脂肪1g当たり | 鶏卵および卵製品 |
1.0ng/脂肪1g 当たり | 乳幼児向け食品 | |
過塩素酸イオン | 0.01 mg/kg | 乳幼児用向け食品など |
なお、食品事業者に適用されるEU規則「食品の微生物学的基準に関する委員会規則(EC) 2073/2005によりEUにおける食品中の微生物学的判断の基準が規定されており、同規則により卵製品や生卵を使用した事前調理済み食品のサルモネラの上限値が定められています。(ただし、サルモネラ菌のリスクを排除することを可能にする製造方法または組成を採用している製品は除きます)
例えば、卵製品の濃度基準の測定に際しては、1ロットあたり任意に採取した5サンプルについて検査し、次の基準により判定します。
すべてのサンプルの25g中サルモネラが検出されないこと
なお、ドイツでは、アフラトキシンおよびオクラトキシンAについて、EU規制に加えて独自規制が課されているため、注意が必要です。スペインにおいても、アフラトキシンについて、EU規制に加えて独自規制が課されているため、注意が必要です。
関連リンク
- 根拠法等
-
規則(EC)No 1881/2006(英語)
-
規則(EEC)No 315/93(英語)
-
規則(EU)2020/685 (英語)
-
規則(EU) 2019/1021 (英語)
-
規則(EC) 2073/2005 (英語)
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食品中の汚染物質に関する規則(ドイツ語)
-
食品中のアフラトキシン最大許容量を定める勅令475/1988(スペイン語)
4. 食品添加物
調査時点:2020年11月
EUでは、食品添加物については欧州議会・理事会規則(EC)1333/2008に基づきポジティブリスト形式で規制が課されており、認可を得た食品添加物のみが使用を認められています。
EU規制におけるポジティブリストでは、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」が定められているため、食品添加物が「10.1 鶏卵」または「10.2加工済卵または卵製品」の食品カテゴリーにおいて使用可能かどうかを確認する必要があります。
ポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイトで検索が可能です。
また、規則(EU) 2019/649により、ビタミン・ミネラルなどの食品への添加に関する規則(EC)1925/2006が改正され、2021年4月1日から、最終消費者向け食品(小売り、レストランなど)のトランス脂肪酸は天然由来の動物性の脂肪酸を除き、脂質100gあたり2gを超えてはならないとされています。また、業務向けでこの数値を超える場合は、トランス脂肪酸の量に関する情報を提供する必要があります。
卵などの未加工品に添加することはできませんが、食品に添加できるビタミン剤およびミネラル成分に関しては、規則(EC)1925/2006のANNEX IIに記載されています。
その他、酵素に関しては、規則(EC)1332/2008、香料に関しては規則(EC)1334/2008を確認する必要があります。ただし、生の食品に香料の規則は適用されません。詳細はジェトロレポート「EU における 食品香料・食品酵素に対する規制動向(2017年3月)」でも確認できます。
なお、本項目に関して、主要加盟国(ドイツ、フランス、イタリア、オランダ)において、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていませんが、国によってEU規制の運用が異なる場合があることに留意が必要です。
また、加工助剤に関しては、食品添加物とされておらず、各加盟国法で定められている場合があります。例えば、フランスにおいては加工助剤に関して、「特定の食品の製造における加工助剤の使用に関する2006年10月19日付アレテ」で規定されており、食品加工助剤として使用できる酵素のポジティブリストや抽出溶媒などについて定められています。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)
- 根拠法等
-
規則(EC)No 1333/2008(英語)
-
規則(EC)No 853/2004(英語)
-
規則(EC)1925/2006 (英語)
-
規則(EU) 2019/649 (英語)
-
規則(EC)1332/2008(英語)
-
規則(EC)1334/2008(英語)
-
指令2009/32/EC(英語)
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特定の食品の製造における加工助剤の使用に関する2006年10月19日付アレテ(フランス語)
- その他参考情報
-
食品添加物検索データベース(英語) (化学物質名や食品カテゴリーでの検索が可能)
- ジェトロ「EUにおける食品添加物に関する規制」(2014年3月)
- ジェトロ「食品添加物規制調査 EU」(2016年2月)
- ジェトロ「EUにおける食品香料食品酵素に対する規制動向」(2017年3月)
5. 食品包装規制
調査時点:2020年11月
EUでは、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されているまたは通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品(Food Contact Materials:食品接触素材)について、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています(欧州議会・理事会規則(EC)No 1935/2004)。また、欧州委員会規則(EC)No 2023/2006においては、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice:GMP)がそれぞれ定められています。
欧州議会・理事会規則(EC)No 1935/2004 ANNEX Iには、食品接触素材の製造に使われる17の素材および製品(アクティブ・インテリジェント素材、接着剤、セラミック、コルク、ゴム、ガラス、イオン交換樹脂、金属・合金、紙・ダンボール紙、プラスチック、印刷用インク、再生セルロース、シリコン、繊維、ニス・コーティング材、ワックス、木材)が列挙されていますが、そのうちアクティブ・インテリジェント素材、セラミック、プラスチック、再生セルロースにのみEUレベルで特定の規則が定められています。
アクティブ・インテリジェント素材(鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など))については、食品と誤認される恐れがある場合には、欧州委員会規則(EC)No 450/2009の規定により、3mm以上のフォントサイズで‘DO NOT EAT’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
セラミック素材については、カドミウムと鉛の検出上限値が欧州理事会指令(EEC)No 84/500に規定されています。
プラスチック素材についてはポジティブリスト形式での使用規制がなされており、欧州委員会規則(EU)No 10/2011 ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています(ただし、複数のプラスチック層からなる食品接触素材で、食品と接触しない層に使われるプラスチック原料については、当該層が機能的なバリア層によって食品接触層から隔離されており、かつ、当該原料が食品に移行しないことが検査によって確認できていれば、ANNEX Iのリストに記載されていない物質も利用することができます)。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
なお、(EU)10/2011は、2020年9月に(EU)2020/1245により変更が加えられています。ANNEXIのポジティブリストが更新されたほか、プラスチック素材から食品への物質移行に関する制限を定めるANNEXIIも更新されました。また、適合宣言に記載しなければならない内容(ANNEX IV)や適合試験の一般要件(ANNEX V)についても変更されているため注意が必要です。
(EU)2020/1245は2020年9月23日に発効しましたが、同規則の発効前に規則(EU)No 10/2011に準拠するかたちで、2021年3月23日以前に初めて市場に出されたプラスチック材料および製品は、2022年9月23日まで市場に出荷することができ、またそれらは在庫がなくなるまで市場に残ることが可能です。
また、再生セルロースについてもポジティブリスト形式での使用規制がなされており、欧州委員会指令(EC)No 2007/42 ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
さらに、欧州委員会規則(EC)No 1895/2005により、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(BFDGE)、ノボラックグルシジルエーテル(NOGE)は、食品接触素材(吸湿剤などを含む)への使用が禁止されるとともに、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)およびその派生物は、食品接触素材(吸湿剤などを含む)に使用する場合の上限値が定められています。
EUレベルでの法規制に加えて、EU加盟国は独自規制を導入することが可能となっています。 フランスでは、デクレNo 2007-766(2007年5月10日付)とデクレNo 2008-1469(2008年12月30日付)により、ゴム、シリコンゴム(ポリマー)、イオン放射線処理、金属・合金 (ステンレススチール、アルミニウム) に関するアレテが定められており、適用される基準値や添加できる物質のポジティブリストなどが規定されています。
また、食品の包装と保管、着色に関する1912年6月28日付アレテにより、一部の製造・醸造を除き、飲食品に直接、銅、亜鉛、亜鉛メッキが触れることは禁止されており、食品に接触する重金属(ヒ素、鉛、スズ)、紙・ボール紙、ニス・コーティング剤、人口着色料などについても独自規定が設けられています。 その他、ガラス・グラスセラミックなどに含有する重金属量(カドミニウム、鉛、クローム)の上限値や禁止の有無を定めた規定、製造に使用できる素材(木材など)の規定や洗浄剤それぞれ該当規定を確認する必要があります 。
また、法令No 2012-1442に基づき、食品に接触するすべての包装容器などについてビスフェノールAの使用が禁止されています。
オランダでは、紙、コーティング剤、ゴム、金属、木材・コルク、布、着色料・顔料、エポキシ樹脂、ガラス、エナメルなどについて独自規制が定められているため、それぞれ該当規定を確認する必要があります。また、プラスチックについても、EUのポジティブリストに加え、独自の規定が設けられています。
イタリアでは、再生セルロース、ゴム、紙、段ボール、ガラス、アルミニウムなどについて独自規制が定められているため、それぞれ該当規定を確認する必要があります。
ドイツでは、接着剤、紙、ゴム、シリコン、ワックスなどについて、法的拘束力を有さない自主規制(勧告)が定められています。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 食品接触材に関する各国当局窓口
(882KB)
- 根拠法等
-
規則(EC)No 1935/2004(英語)
-
規則(EC)No 2023/2006(英語)
-
規則(EC)No 1895/2005(英語)
-
規則(EU)No 10/2011(英語)
-
指令(EC)No 2007/42(英語)
-
規則(EC)No 450/2009(英語)
-
指令(EC) 2007/45/EC(英語)
-
規則(EC) 2018/1670(英語)
-
規則 (EU) No 2016/2031(英語)
-
委任規則 (EU) 2019/2125 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
2007年5月10日付 デクレNo 2007-766 (フランス語)
-
2008年12月30日付デクレNo 2008-1469 (フランス語)
-
1994年11月9日付飲食品に接触するゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)
-
1992年11月25日付飲食品に接触するシリコンゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)
-
1986年8月12日付飲食品に接触する製品・素材へのイオン放射線処理に関するアレテ (フランス語)
-
1976年1月13日付食品に接触するステンレス製品・素材に関するアレテ (フランス語)
(375KB)
-
1987年8月27日付飲食品に接触するアルミニウムまたはアルミニウム合金製品・素材に関するアレテ (フランス語)
-
1985年11月7日付アレテ飲食品に接触するセラミック製品から抽出可能なカドミニウムや鉛の上限値に関するアレテ (フランス語)
-
1999年9月8日付アレテ (フランス語)
-
1912年6月28日付食品の包装と保管、着色に関するアレテ (フランス語)
-
フランス法令No 2012-1442(フランス語)
-
包装および食品用器具に関する規則(オランダ語)
- その他参考情報
-
食品との接触を意図したプラスチック素材と製品に関する規則(EU)No 10/2011に関するEUガイドライン(英語)
(579KB)
-
EU加盟国の食品接触素材に対する独自規制に関するレポート(英語)
-
フランス国立計測試験研究所(LNE)(フランス語)
-
イタリア保健省 食品接触材に関する規定(イタリア語)
- 食品輸出にかかる食品接触材規則と留意点:欧州(ジェトロ 貿易・投資相談Q&A)
-
欧州委員会 食品接触材について
6. ラベル表示
調査時点:2020年11月
- 殻付き卵に関する表示基準
-
欧州委員会規則(EU)798/2008 第15条に規定されているとおり、EU認定施設由来の鶏卵について指定病原体を持たない原産国であることを証明するために、a) 第三国のISOコードと原産施設の認可番号を記載した楕円形の印(識別マーク)が付いており、b) 鶏卵の各パッケージには、同一の原産国、施設、荷送人の卵のみを含み、少なくとも次の事項を記載しなければならない。
- 卵に表示されているa)の情報。
- 当該貨物が指定病原体を持たない卵を含んでいることを明確に視認でき、判読可能な表示。
- 荷送人の氏名または会社名および住所。
- 規則(EC)853/2004ANNEX IIまたはIIIおよび規則 (EC) No 589/2008 に殻付き卵の識別マークについて詳細が記載されており、殻付き卵の賞味期限は産卵後28日以内に設定されること、21日以内に消費者に販売されることとされている。
- その他、規則 (EC) No 589/2008に規定される殻付き卵(クラスA卵・B卵)についての梱包の詳細は、別表4に記載されています。
- 卵製品に関するラベリングおよび識別マーク
-
規則(EC)853/2004ANNEX III 第X編に記載されているとおり、卵製品の場合、
- 小売ではなく別の製品を製造するための材料としての卵製品の託送貨物(consignments)には、規則(EC)853/2004ANNEX II第I編所定の識別マークに関する一般的要件が適用されるほか、当該卵製品について維持すべき温度とその保存が確保されるべき期間を明記したレベルを貼付しなければならない。
- 液卵(liquid egg)の場合、前述の第1項所定のラベルには、「非殺菌液卵―仕向地において処理されなければならない(non-pasteurised liquid egg- to be treatd at place of destination)」との文言も記載し、卵を割った日時を表示しなければならない。
- その他、消費者向け事前包装された卵製品などの食品のラベル表示は、欧州議会・理事会規則(EU)No 1169/2011で規定されています。同規制は EU 域内で流通する食品全般(ケータリング向け食品含む)に適用され、輸入食品にも適用されます。EU 市場で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。
-
事前包装された卵製品を輸出する場合は、同規則第9条に基づき次の項目を表示する義務があります
なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。
- 食品名
- 原材料リスト(食品添加物を添加した場合)
- アレルゲン物質(該当物質については、同規則のANNEXIIを参照。)
- 正味量
- 賞味期限/消費期限
- 特別な貯蔵条件/使用条件(ある場合)
- (当該商品について責任を負う)EU域内の事業者あるいは輸入業者の名称と住所
- 使用方法(指示がないと使用が困難と思われる場合)
卵および卵製品はアレルゲン物質のため、記載が義務です。
賞味・消費期限については本規則第24条およびANNEX Xにのっとり記載する必要があります。
食品のラベルに使用される言語は、EUの公用語であれば複数の記載が可能ですが、当該製品を販売する国の公用語を必ず使用する必要があります(欧州議会・理事会規則(EU)No 1169/2011 第15条)。
また、ラベル表示に使用する文字の大きさについても、同規則において次のとおり指定されています。

- 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
- 包装面の最大面積が80cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上
なお、オランダでは、内容量の表示に関して、おおよその重量を表す「e」マークを使用する際の条件が、独自に定められています。
フランス、ドイツ、イタリア、スペインに関しては、鶏卵に適用され得るラベル表示の独自規制はみられません。
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 貿易総局(英語)
-
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語)
-
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)
-
英国食品基準庁(FSA)(英語)
- 根拠法等
-
規則(EU)No 1169/2011(英語)
-
規則 (EC) No 589/2008(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
商品法包装数量表示法令(オランダ語)
- その他参考情報
-
農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」
(7.9MB)
- ジェトロ「EUにおける食品ラベル表示に関する規制」(2014年3月)
7. その他
調査時点:2020年11月
なし
EUでの輸入手続き
1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)
調査時点:2020年11月
食品関連の規制「1.食品規格」の項に記載のとおり、農産物市場体系を確立する欧州議会理事会規則(EU)1308/2013により、卵は、EU の共通農業政策(CAP)における農産品の共通市場制度(CMO)の対象となっていますが(第78条)、規則2016/1239の輸入ライセンスの要求対象品目として記載されていないため、輸入ライセンスは不要です。
EU規則 (EU) 2017/625第47条および実施規則2019/2007に記載のとおり、鶏卵は国境検疫検査(公的統制)の対象とされています。個人消費目的の手荷物、サンプル品などを除き、動物検疫の検査が国境管理所(BCP:Border Control Post)で実施されます。
このため、EUに輸出される鶏卵は、必ず、国境検疫所が設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは欧州委員会のウェブサイトで確認することができます。
委任規則2019/1602に記載されているとおり、第三国由来の動物性食品をEUに輸出するには、国境検疫所に貨物が到着する24時間前までに事前通知を行う必要があります。この事前通知は、EUのウェブシステム「TRACES」またはTRACESと互換性のある電子システムを通して行うことができます。(実施規則(EU)No 2019/1715)
この事前通知には、輸出者、荷受人、貨物の責任者名、輸入者、原産地、貨物の出国地、衛生証明書の番号および発効日など、共通衛生入域文書(CHED)で要求される情報を添える必要があります。(2019年12月13日までは「共通動物検疫入国証」(CVED)と非動物性製品の「共通入域文書」(CED)と分けられていましたが、CHEDに統一されています。)
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会指定国境検査所 (英語)
- 根拠法等
-
規則(EC) 2016/1239 (英語)
-
実施規則(EU) 2019/2007(英語)
-
規則 (EU) 2017/625(英語)
-
委任規則 (EU) 2019/1602 (英語)
-
欧州議会理事会規則 (EU) 1308/2013(英語)
-
実施規則 (EU) 2019/1715 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
EU域外から英国への動物性製品の輸入にかかる動物検疫に関するインフォメーション・ノート(英国動植物衛生庁)(英語)
(144KB)
-
TRACES(欧州委員会)(英語)
2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)
調査時点:2020年11月
日本からEU域内に卵・卵製品を輸入する際には、次の書類が必要になります。
- 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document))
EU域外の第三国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は委員会実施規則(EU) 2016/341 Appendix B1に記載されています。 - インボイス(商業送り状)
- パッキングリスト(包装明細書: P/L)
- 価格申告書(Customs Value Declaration)
CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADとあわせて価格申告書の提出を求められます。様式は規則 (EU) 2016/341 ANNEX 8に記載されています。 - 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)
- 共通衛生入域文書(Common Health Entry Documents: CHED-P) /動物衛生証明書や公衆衛生証明書および識別マーク・その他必要に応じた公的証明書や事業者による宣言書
- 放射性物質検査証明書または産地証明書(該当する場合)
2019年12月14日より、公的管理の新規則 (EC)2017/625 が適用開始となり、貨物の到着1日前までに共通衛生入域文書(CHED : Common Healthy Entry Document)をTRACES などの電子システム経由で国境管理所(BCP:Border Control Post)に通知する必要があります。
第三国由来の動物性食品をEUに輸出するには、国境検疫所における公的管理の対象となるため、委任規則2019/1602に記載されているとおり、貨物が到着する24時間前までに「共通衛生入域文書(CHED)」に必要な情報を事前通知する必要があります。国境管理所における動物検疫に合格した際に「共通衛生入域書」に発行がされます。
空白や不完全な箇所がある場合、関係当局は署名をしないとされています。また、CHEDが最終化され、提示されるまで、通関手続き(関税の支払いなど)、通過は認められません。様式は、委員会規則(EC)No実施規則(EU) 2019/628で確認できます。
輸入時の検査については、「3.輸入時の検査・動物検疫」を確認してください。
関連リンク
- 根拠法等
-
委任規則 2019/1602(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
3. 輸入時の検査・検疫
調査時点:2020年11月
- 公的管理・国境管理所におけるチェック
- 「ヒトの消費を目的とする特定の動物および製品の貨物の EU への入域に関する要件に関 し、欧州議会・理事会規則(EU) 2017/625 を補完する欧州委員会委任規則(EU) 2019/625」により、第三国から EU に輸入されるヒトの消費 を目的とする動物および製品に課される要件を規定し 、動物由来食品に関する現行の衛生要件(規則(EC)853/2004)との整合が図られています。
-
鶏卵・卵製品の輸入時は公的管理の対象となります。EU規則(EU)2017/625第47条および実施規則2019/2007に規定されているとおり、実施規則2019/2007 ANNEX Iにリストされる動物性・動物由来食品は国境管理所における公的管理の対象となり、動物検疫の検査が国境管理所(BCP:Border Control Post)で実施されます(個人消費目的の手荷物、サンプル品などを除く)。これらの CN コードに該当する動物や動物由来製品などは、国境管理所において書類検査が実施され、リスクに応じて同一性検査と現物検査が実施されます。
このため、EUに輸出される鶏卵や卵製品は、必ず、BCPが設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは欧州委員会のウェブサイトで確認することができます。 - まずは、貨物が到着する24時間前までに「共通衛生入域文書(CHED)」に必要な情報を国境検疫所に事前通知し、国境管理所における動物検疫に合格した際に「共通衛生入域書」に発行がされます。空白や不完全がある場合、関係当局は署名をしないとされています。様式は、委員会規則(EC)No実施規則(EU)2019/628で確認できます。
-
動物検疫の手続きなどについては、EU規則(EU) 2017/625および関連規則に規定されています。
動物検疫は、(a)文書検査(衛生証明書などの必要書類の確認、輸入条件への適合状況の確認など)、(b)同一性検査(貨物が提出書類と対応しているかの確認)、(c)現物検査(官能検査、簡単な化学検査、ラボラトリー検査)の3段階により行われます。(a)の文書検査において、衛生証明書は必ず原本でなければならず、コピーやファックスは認められません。また、(c)の現物検査については、過去の違反事例や健康被害リスクなどを踏まえ、検査官が必要と判断した場合に実施されます 。動物検疫の結果、輸入条件に適合することが確認されると、検査官から共通衛生入域文書(CHED) が発行され、貨物を国境検疫所から移動させることができます。 - これら動物検疫上の検査に加えて、食品添加物規制や残留農薬基準など、食品衛生に関するほかのEU規制についても、適合状況をあわせて検査される場合があります(規則(EC) No 882/2004 第14条(1))。 いずれの検査についても、要した費用は請求されます。
- また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回繰り返した場合は、欧州委員会は第三国の発送国の当局に対して、必要な調査と是正が要請されます。
関連リンク
- 関係省庁
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欧州委員会指定国境検査所 (英語)
- 根拠法等
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実施規則(EU) 2019/2007(英語)
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規則 (EU) 2017/625(英語)
-
実施規則(EU) 2019/625 (英語)
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実施規則 (EU) 2019/628 (英語)
-
実施規則 (EU) 2019/1715 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
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EU域外から英国への動物性製品の輸入にかかる動物検疫に関するインフォメーション・ノート(英国動植物衛生庁)(英語)
(144KB)
-
欧州委員会 TRACES(英語)
4. 販売許可手続き
調査時点:2020年11月
食品事業者はEUの衛生法または加盟国法に従い動物性由来の原材料を含む食品を取り扱う場合、第一次産業、家庭用消費を除き、管轄当局により各施設の登録、通知、または承認を受けることが義務付けられている場合があります。(「一般食品に関する衛生規則」規則(EC) No 852/2004第6条ならびに「動物性食品に関する衛生規則」規則(EC) No 853/2004第4条)
例えば、フランスの場合、個人消費者向けの小売りについては、様式CERFA 13984 の「Section 2 ACTIVITÉS DE COMMERCE OU DE PRODUCTION FERMIÈRE(商行為または農産物の生産)」の欄に必要事項を記入して、 管轄地域の住民保護局 (DDPP : 競争・消費・不正抑止局DGCCRFに管轄される衛生面の監督局)に申請(Déclaration)をする必要があります。
一方、と畜所、動物性食品加工業者の施設だけでなく、業務用食品卸売店に関しては、施設の衛生認定義務 (Agrément sanitaire)があり、CERFA 13983を送付し、住民保護局により認可を取得する必要があります。 (取り扱う販売量や販売形態により、申請(Déclaration)で済む場合もあるので最寄りの住民保護局に確認してください。)
なお、レストランの場合であっても、動物性食品を取り扱う場合は、事業を開始する前に、住民保護局に申告をする必要があり、前述の所定の様式 「CERFA 13984」の「Section 1 – ACTIVITÉS DE RESTAURATION(外食事業)」に必要事項を記入して郵送するか、オンラインで申請をする必要があります。 この申請は、宅配サービス、遠隔販売(オンライン販売)、フードトラック、慈善活動、自宅で調理した料理の提供、公共給食の場合においても同様に必要となります。
関連リンク
- 関係省庁
-
英国食品基準庁(FSA)(英語)
- 根拠法等
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規則(EC) No 852/2004 (英語)
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規則(EC) No 853/2004 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 -
動物性食品市場の施設の衛生認定にかかる2006年6月8日のアレテ(仏語)
- その他参考情報
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フランス農水省「EU規則 (EC)N° 853/2004に規定される施設の衛生認可」(仏語)
-
フランス行政ポータルサイト「衛生認可の申請」(仏語)
5. その他
調査時点:2020年11月
なし
EU内の輸入関税等
1. 関税
調査時点:2020年11月
EUは域外共通関税制度の下、域外からの輸入品の関税率は域内各国で一律となっています。
関税および統計的分類表、ならびに共通関税率に関する欧州理事会規則(EEC)2658/87では、共通関税を設定するために合同関税品目分類表(CN)とよばれる物品の分類表を設定しており、これはHSコードに相当します。そのため、当該合同関税品目分類表のCNコードの中から該当する品目の関税率を特定する必要があります。
また、2019年2月から、日本からEUへの輸出品は、日EU経済連携協定(以下「日EU・EPA」)の適用対象となります。日EU・EPA適用後の関税率は表のとおりです。
日EU・EPAの適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。日EU・EPAでは、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者または通関業者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関する詳細は、税関のポータルサイトで確認することができます。また、商品に非日本産原料が含まれており、原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により、税関当局に照会することができます。
CNコード/品目 | 関税率:通常 | 関税率:EPA適用 |
---|---|---|
040721000 ふ化用受精卵ではない殻付き家禽(ガルルス・ドメスティクス)鶏卵 |
30.40 ユーロ/100kg |
非課税 (0%) |
0408118000 砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わず、ヒトの消費向けの乾燥した卵黄 |
142.30ユーロ/100kg |
非課税 (0%) |
0408198100 砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わず、ヒトの消費向けの液体状の卵黄 |
62.00 ユーロ/100kg |
非課税 (0%) |
0408198900 砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わず、ヒトの消費向けの冷凍した卵黄 |
66.20 ユーロ/100kg |
非課税 (0%) |
0408918000 砂糖その他の甘味料を加えてあるかないかを問わず、上記以外のヒトの消費向けの乾燥した卵(卵白パウダーなど) |
137.40ユーロ/100kg |
非課税 (0%) |
関連リンク
- 関係省庁
-
欧州委員会 税制関税同盟総局(英語)
- 根拠法等
-
規則(EEC)No 2658/87(英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
欧州委員会 関税検索サイト(英語)
-
英国政府 関税検索サイト(英語)
-
農林水産省 日EU・EPAにおけるEU側の農林水産物に関する合意内容
(1.3MB)
-
税関 原産地規則ポータル
-
税関 EPA原産地規則マニュアル
(1.6MB)
-
欧州委員会 日EU・EPAガイダンス「特恵の要求、確認および否認」(英語)
(454KB)
-
欧州委員会日EU・EPAガイダンス「原産地に関する申告」(英語)
(481KB)
-
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス要求、確認および特恵の否認(2019年12月更新版)(ジェトロ仮訳)」
(722KB)
-
ジェトロ「経済上の連携に関する日本国と欧州連合との間の協定(日EU・EPA)ガイダンス原産地に関する申告(ジェトロ仮訳)」
(711KB)
2. その他の税
調査時点:2020年11月
EUへの輸入には、輸入関税に加え、各国が独自に定める付加価値税(VAT)や物品税が課されます。これらの税率は国によって異なるため、最終消費国ごとに確認する必要があります。なお、VATに関する共通システムに関しては欧州理事会指令2006/112において規定されています。
ドイツの場合、5%のVATが課されます。フランスの場合、5.5%のVATが課されます。イタリアの場合、4%または10%のVATが課されます。オランダの場合、9 %のVATが課されます。
関連リンク
- 根拠法等
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指令2006/112(英語)
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英国政府 関税検索サイト(英語)
3. その他
2020年11月
なし
その他
調査時点:2021年1月
- 有機食品に関する規制
- EU域内で有機食品を第三国より輸入、販売するための要件およびそのラベル表示に関する規制は、欧州理事会規則(EC)No 834/2007および 規則(EC)1235/2008で規定されていますが、新公的管理の規則(EU)No 2017/625に照らし合わせ、新規則 (EU) 2018/848が2022年1月1日から適用されます。
- 日本の有機JAS制度は、EUの有機制度との同等性を有するとみなされており、EU域内で「有機」として販売可能な国のリスト(第三国リスト)に掲載されているため、同リストに掲載された有機JAS登録認定機関が発行する証明書を添付することにより、有機食品としてEU加盟国に輸出することが可能です。輸出時には当該証明書を、有機JAS食品に添付しなければなりません。なお、当該証明書は、2017年10月19日からTRACESシステムを用いて電子的に提出することが義務付けられており、証明書を発行する登録認定機関がTRACESに登録されている必要があります。
- また、食品に「organic」などの語句を表示してEU域内で販売する際には、有機JAS登録認定機関の認証機関コード番号もラベル表示(事前包装されていない場合は当該商品に言及したボードなど)に記載しなければなりません。また、任意でEUの有機ロゴ(ユーロリーフ)の使用もできますが、日本から輸入した有機JAS認定食品の場合は「non-EU Agriculture」の表示もあわせて記載する必要があります。生産国が日本のみの場合は、「non-EU」を国名で代替・補足することも可能です。
- 欧州理事会規則(EC)No 834/2007および欧州委員会規則(EC)No 889/2008に基づき、EU域内に有機食品を輸入・流通させるに当たっては、EU側の輸入者・販売者にも当局への登録、査察の受け入れ、証明書の保持などが義務付けられています。このため、輸出に際してはEU域内の相手方事業者がこれらの要件を満たす事業者であるかどうか確認を行うことも必要です。
- なお、本項目に関して、主要加盟国(ドイツ、フランス、イタリア、オランダ)、EU規制に上乗せで課される独自規制は確認されていませんが、国によってEU規制の運用が異なる場合があることに留意が必要です。
関連リンク
- 関係省庁
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欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語)
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欧州委員会農業農村開発総局(英語)
- 根拠法等
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規則(EC)No 834/2007(英語)
-
規則(EC)No 889/2008(英語)
-
規則 (EC) 1235/2008 (英語)
-
規則(EU)No 2017/625 (英語)
-
規則 (EU) 2018/848 (英語)
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。 - その他参考情報
-
農林水産省 有機JASに基づく有機食品の輸出入方法などの変更について
-
農林水産省 有機食品の検査認証制度
-
農林水産省 有機登録認定機関一覧
(148KB)
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欧州委員会農業農村開発総局 Import/Export: Trade in organic products(英語)
-
欧州委員会 TRACES(英語)
- ジェトロ「欧州における有機食品規制調査(2018年3月)」