品目別輸出ガイド

鶏肉の輸入規制、輸入手続き等

品目の定義

本ページで定義する鶏肉のHSコード

本稿で定義する「鶏肉」の規則は基本的には、生鮮家きん肉に適用されるものに触れるものとし、第16項に分類される加工済み食肉製品や加工食品については「輸入規制」の「4. その他(肉製品(畜産加工食品)と混合食品」の項を確認してください。ただし、加工済み肉製品と植物性原料を加工した「混合食品」については、本ポータルサイト「EU」の「混合食品」で確認してください。また、家きん由来の「卵・卵製品」に関しては、本ポータルサイト「EU」の「鶏卵」で確認してください。

0207. 肉及び食用のくず肉で、鶏(ガルルス・ドメスティクス)のもの
0207.11 生鮮または冷蔵の鶏(ガルルス・ドメスティクス)の分割していない肉
0207.12 冷凍の鶏(ガルルス・ドメスティクス)の分割していない肉
0207.13 生鮮または冷蔵の鶏(ガルルス・ドメスティクス)の分割した肉またはくず肉
0207.14 冷凍の鶏(ガルルス・ドメスティクス)の分割した肉またはくず肉

1602.32 ソーセージあるいは類似品以外で、鶏(ガルルス・ドメスティクス)を調製又は保存に適する処理をした肉、くず肉

欧州議会・理事会規則 (EC)No 853/2004 ANNEX Iの定義による「生鮮の肉(fresh meat)」とは、冷却、冷凍または急速冷凍以外の保存処理をしていない肉をいい、真空パッケージングされた肉または制御気圧でパッケージングされた肉を含みます。

なお、本稿の品目対象外である、「肉調製品(meat preparations)」は、食材、香味料もしくはそこに加えられた添加物を含む、または肉の内部筋繊維組織の改変に不十分な処理を施しこれにより生鮮肉(fresh meat)の特性をなくした、生鮮肉(fresh meat)(断片化された肉を含む)を指し、「肉製品(meat products)」は、当該製品がもはや生鮮肉(fresh meat)の特性を有しないことがその切断面からわかるように施された、肉の加工または当該加工済み製品のさらなる加工に由来する加工済み製品をいいます。
日本で「肉調製品」と呼ぶ際には、「加工食品」のことを指す場合があるため、分類に注意してください。

調査時点での最新情報を記載していますが、2019年12月14日から2021年4月にかけて混合食品含め、植物衛生、動物衛生、公的管理の規則が新制度に移行されたため、関連規則は常に変更される可能性がある点に留意してください。
また、新制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年3月)」も参照してください。

なお、公的管理とは、次の各分野に関するEU 法令・その他のルールへの適合をEU加盟国当局が統一して管理することを指します。

  1. 食品安全、生産・加工・流通のあらゆる段階における食品の完全性および健全性、食品と接触する素材および製品(Food Contact Materials、食品包材やキッチン用品など) の製造と使用
  2. 食品または飼料の生産を目的とする遺伝子組み替え作物の環境への意図的導入
  3. 飼料の生産、加工および流通のあらゆる段階における安全
  4. 動物衛生に関する要件
  5. 動物副産物に由来するヒトや動物の健康へのリスクの予防・削減
  6. 動物福祉に関する要件
  7. 植物病害虫に対する保護措置(植物衛生)
  8. 植物保護製品(農薬)の販売および使用、農薬の持続可能な使用に関する要件
  9. 有機製品および有機製品のラベル表示
  10. 原産地呼称保護、地理的表示保護(GI)および伝統的特産品保証の使用とラベル表示

関連リンク

根拠法等
規則(EEC)No 2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
規則(EC) No 853/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
財務省貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年8月)」

EUの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年1月

EUへの輸入停止
ヒトまたは動物に伝染する動物疾病について、家畜、野生動物および動物由来製品における予防と管理を規定する規則 (EU) 2016/429(動物衛生法)により、第5条ならびに ANNEX IIに、動物の特定疾病(listed diseases)と第6条に「新興疾病(emerging diseases: 特定疾病以外の動物疾病であるが、伝染性を有する疾病)」について規定されます。
特定疾病である、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)(第5条)やニューカッスル病 (ANNEX II)の発生予防、蔓延防止措置などのために、これらの疾病発生あるいは疑似患畜が日本国内で確認された場合、EUへの輸出が一時停止されることがあります。
2023年1月調査時点で、日本国内において鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されたことから、鶏肉(および家きん由来製品)のEUへの輸出は一時停止中です。詳細や更新情報は動物検疫所のウェブサイトで確認してください。
EUへの入域条件
EU域内に鶏肉を輸出するためには、一次生産から加工に至るまでEUの求める衛生基準を満たすことが求められています。国レベルでは、対象の動物性食品の動物種が「薬理的活性物質、農薬、汚染物質の管理計画(以下「管理計画」)の承認リストに掲載、EU域内への輸出を許可された「第三国リスト掲載国」であること、事業者レベルでは、当該生鮮肉が「登録農場」「EU(HACCP)認定施設(と畜場、食肉処理場含む)」を経由、加工を行うことで輸出が可能となります。
EU域内に生鮮家きん肉を輸出するには、国レベルでは、
  1. 規則 (EU) 2017/625に基づき、「薬理的活性物質、農薬、汚染物質の管理計画」の承認を受け、対象品目が実施規則 (EU) 2021/405のANNEX - Iの国別のリスト(管理計画承認リスト)に掲載される。
  2. 対象品目が実施規則 (EU) 2021/404(動物衛生)または、実施規則 (EU) 2021/405(公衆衛生)の「第三国リスト」に掲載される。

日本は1、2の「生鮮家きん肉」の国レベルでの入域条件を満たしています。
また、事業者レベルでは、

  1. EU向け輸出家きん肉は、家畜伝染病予防法に基づく移動制限区域または搬出制限区域に含まれていないこと、生産農場から半径10キロメートル圏内の農場において、出荷日から起算して過去30日間、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)やニューカッスル病が発生していないことなど、「家きん肉の由来する家きんの生産農場の要件」をすべて満たしたうえで、「生産農場の登録」が必要となります。
  2. EU向け生鮮家きん肉をEU規則に基づく衛生(「衛生管理基準」)およびHACCP管理基準を満たしている旨、国の認定を受けたと畜・食鳥処理場から調達する(EU(HACCP)認定由来を証明する識別マークを添付した家きん肉を調達する)。または、認定を申請し、認定施設のリストに掲載され、認可施設の番号を入手する。
  3. EU向け家きん肉を加工する場合は、認定と畜場、食鳥処理から調達した原料(識別マーク付きの家きん肉)を認定された加工施設で加工する必要があります。ただし2023年1月調査時点で、日本に認定施設はありません)。その他、委任規則に定められた動物衛生に関する要件を満たすこと。
表 1 日本の管理計画承認状況
動物種 管理計画の承認状況
ウシおよびウシ科動物(Bovine) X
羊・山羊(Ovine/caprine)
豚(Porcine) X
ウマ科動物(Equine)
鶏・家きん類(Poultry) X
水産養殖物(Aqua-culture) X
ウナギを含む魚(鮮魚)・二枚貝など(冷凍・加工)
魚の派生品(キャビアなど)・甲殻類
乳(Milk) X
卵(Eggs) X
ウサギ(Rabbit)
野生の狩猟獣(Wild game)
飼育の狩猟獣(Farmed game)
ハチミツ(Honey) △※1
ケーシング X
表 2 日本の第三国リスト掲載品
動物性食品 第三国リスト掲載品目の一部(網羅版ではないため注意)
生鮮 加工品
生鮮の牛肉 (Bovine animals)
豚(Porcine) × 〇 *2
鶏・家きん類(Poultry) 〇 *2
水産養殖物
(※養殖のヒレ付き鮮魚)

ヒレ付き魚の加工品

冷凍された二枚貝、棘皮動物、尾索動物および腹足綱

加工された二枚貝、棘皮動物、尾索動物および腹足綱
乳(Milk)
(原料乳・初乳)

(乳・乳製品)
鶏卵(Eggs) 〇 ※クラスA卵
牛・豚・羊等、家禽、魚由来のゼラチン・コラーゲン
有蹄類と家きん由来のケーシング
× ※はちみつの第三国リストはないが表1の管理計画の承認が必要

要件や公的証明書、施設の認定などに関しては、次の項「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を必ず確認してください。

なお、品目の定義(HSコード)でも説明のとおり、EUにおける「肉調製品(Meat preparations)」とは、生鮮肉(断片化された肉を含む) であって、食品、調味料もしくは添加物が添加されているもの、または肉の内部の筋肉繊維の構造を変化させることにより生鮮肉の特性を除去するには不十分な工程を経たものをいい、加工食品については、「肉製品(Meat products)」という用語を使用しています。

また、EUでは、動物性加工済原料(Processed products of animal origin)と植物由来製品(Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品(Composite product)」と定義し、特別な規制を設けています。
肉製品と混合食品の違いについては、「輸入規制」の「4その他(肉製品(畜産加工食品)と混合食品」の項を参照してください。 「卵・卵製品」に関しては、本ポータルサイト「EU」の「鶏卵」で確認してください。

※本項以降では、EU規制に加え、主要EU加盟国がEU規制に上乗せで定めている独自規制についても言及していますが、これは、ジェトロで把握できた範囲において言及しているものであり、各国の独自規制を網羅しているものではありません。また、各項目で明示的な言及がない加盟国については、記載できる情報がないということであり、独自規制が存在しないということではありません。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年1月

「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項で説明のとおり、輸出検疫証明書を交付する日において、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)やニューカッスル病(ND)などが日本で発生していない(清浄国である)ことがEUへの鶏肉の輸出の条件となります。
2023年1月調査時点で、日本国内において鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されたことから、鶏肉(および家きん由来製品)のEUへの輸出は一時停止中です。詳細や更新情報は動物検疫所のウェブサイトで確認してください。

生産農場の登録
「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタインおよびノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)に記載される要件を満たしたうえで、本取扱要綱に指定される別紙様式を管轄する都道府県の畜産主務課に対し、届出を行います。詳細は、「取扱要綱」で確認できますが、次の要件を満たしている必要があります。
  1. EU向け家きん肉の由来する家きん(以下「家きん」)は、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)に対するワクチン接種を受けていない
  2. 「家きん」は、日本で生まれ、継続的に飼養された家きんであるまたはEU加盟国から輸入された家きんである
  3. 出荷時に、生産農場が「家畜伝染病予防法」に基づく移動制限区域または搬出制限区域に含まれていない
  4. 生産農場から半径10キロメートル圏内の農場において、出荷日から起算して過去 30 日間、HPAIまたはニューカッスル病(ND)が発生していない
  5. 「家きん」は、疾病の管理または根絶を目的として殺処分された家きんではない
  6. 「家きん」は、HPAIまたはNDに感染した家きんと接触を防止する方法により食鳥処理場に輸送されている
  7. EU向けに家きん肉を委任規則2020/689に基づくワクチン非接種ND清浄国へ輸出する場合、「家きん」は、と畜日から起算して過去30日間、NDに対する生ワクチンを接種していない

登録された生産農場の一覧は、動物検疫所のウェブサイトで公表されます。

また、生産農場は次の記録を3年間保管する必要があります。

  • 導入した家きんの種類、羽数および健康状態、導入元の農場などの名称ならびに導入年月日
  • 出荷または移動を行った家きんの種類、羽数および健康状態、出荷または移動先の農場などの名称ならびに出荷または移動年月日
  • 飼養する家きんの羽数、日齢および異常の有無ならびに異常がある場合にあってはその症状ならびに獣医師による診療結果および投薬その他の処置の状況
食鳥処理場および食肉処理施設の認定手続き
食鳥処理場や食肉処理場の認定を受けるための手続きや要件、施設、設備などの構造および材質基準ならびにHACCP管理の手順は、農林水産省の「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタインおよびノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)で確認することができます。
これらの認定施設はEU向け輸出食肉の種類以外の動物をと畜、解体(脱羽および内臓摘出)、分割および細切する施設とは完全に区画されている必要があります。
食鳥処理場の認定を受けようとする場合には本「取扱要綱」に指定される別紙様式2を、食肉処理施設にあっては別紙様式3を、食肉衛生検査所長および都道府県知事などを経由して厚生労働省宛に申請します。厚生労働省により既にアメリカ合衆国やカナダ、香港に家きん肉を輸出可能な施設などとして既存認定されている場合は、一部手続きが省略されます。
厚生労働省は、書類審査および現地調査において、食鳥処理場などの施設、設備などが取扱要綱に規定される要件などを満たしていると確認した場合、認定番号を付して欧州委員会保健衛生・食の安全総局に通知します。欧州委員会(DGSANTE)のウェブサイトに掲載された後、厚生労働省が都道府県知事などを通じて、申請者に認定した旨を通知し、申請者はEUへの輸出が可能となります。
加工済み家きん肉製品(畜産加工品)の施設認定に関しては、「輸入規制」の「4. その他(肉製品(畜産加工食品)と混合食品)」の項を確認してください。
輸出検疫証明書の発行手続き
欧州委員会規則 (EU) 2017/625および実施規則(EU) 2021/632のANNEXのリストに掲載のとおり、本原稿の対象品目であるHSコード02項はEUの国境での動物検疫の対象となっており、委任規則(EU) 2022/2292第21条に記載のとおり02項は公的証明書(輸出検疫証明書)が必要となります。
  1. 「食肉衛生証明書」の発行申請
    施設の認定を受け、DGSANTEのウェブサイトに認定施設として掲載された後、EUへの食肉輸出に必要な「輸出検疫証明書」を入手するために、取扱要綱で指定される別紙を添えて管轄する食肉衛生検査所長に検査申請書を提出し、EU向け輸出食肉の検査申請を行う必要があります。
  2. 輸出検疫証明書の発行申請
    前述の食肉衛生検査に合格した家きん肉に対して「食肉衛生証明書」が発行された後、取扱要綱に指定される「輸出検査申請書」の様式を、「食肉衛生証明書の写し」と一緒に動物検疫所に申請し、認められた場合「輸出検疫証明書(Export Qualantine Certificate)」が発行されます。
なお、「取扱要綱」の別添7に記載のとおり、輸出の都度、食肉衛生証明書の発行手続きが必要です。電子メールまたはNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を利用して、食肉衛生検査所に提出できます。
トレーサビリティと動物福祉基準
トレーサビリティの観点から、家きんの食肉処理施設は食鳥処理場に併設され、と畜、解体(脱羽および内臓摘出)、分割および細切まで一貫して行われている必要があります。また、EU向けに処理される家きんのと畜方法に関しては、規則(EC) No 1099/2009ならびに「取扱要綱」に記載のとおり、別添6「動物福祉に関する基準」の「家きんに係る個別事項」を遵守する必要があります。 認定の際に申告する「フードチェーン情報の管理」には、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)またはニューカッスル病(ND)に感染した家きんと接触させない方法により輸送されていること、動物の積み込み前に、農林水産大臣の承認を受けた消毒薬で洗浄・消毒された車両で輸送されていることなど、「取扱要綱」に記載される「輸送車両及び輸送方法の要件」を満たしていることも同時に申告することとなっています。
輸出時と輸入時の動物検疫(獣医学検査)に関しては、「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」の項または「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・検疫」の項を参照してください。
また、不正の防止の観点から封印シールおよび格付印などにかかる基準が定められています。詳細は、「食品関連の規制」の「6. ラベル表示」の項を参照してください。
動物衛生の新規則の概要に関しては、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年8月)」でも確認することができます。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年1月

「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項で説明のとおり、輸出検疫証明書を交付する日において、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)やニューカッスル病(ND)などが日本で発生していない(清浄国である)ことがEUへの家きん肉の輸出の条件となります。
2023年1月調査時点で、日本国内において鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されたことから、鶏肉(および家きん由来製品)のEUへの輸出は一時停止中です。詳細や更新情報は動物検疫所のウェブサイトで確認してください。

動物検疫所への輸出検疫検査の申請
欧州委員会規則 (EU) 2017/625および実施規則(EU) 2021/632のANNEX のリストに掲載のとおり、本原稿の対象品目であるHSコード0201類はEUの国境での動物検疫の対象となっています。
EU域内への生鮮家きん肉の輸出に際し、「輸入規制」の「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項に記載のとおり、施設登録の要件を満たしたうえで、日本当局(管轄する食肉衛生検査所長)に検査申請書を提出し
  1. 「食肉衛生証明書」を入手、
  2. 輸出検疫証明書の発行を申請し、EUへの輸出が可能であることを確認のうえ、日本の動物検疫所に「輸出検疫証明書」(輸出検疫証明書(Export Quarantine Certificate)およびEUが求める書式の獣医検疫(衛生)証明書(Veterinary Certificate for Export))を発行してもらいます。
この申請はNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を利用して申請できます。
動物由来食品の輸入に関する公的証明書(衛生/検疫証明書)には、食品公衆衛生 (ヒトが食べて安全か)の観点のみから発行されるものと、食品公衆衛生と獣医証明(家畜などの伝染病の予防や動物衛生)の両方の観点から発行されるものがあり、家きん肉や肉製品には後者の公的証明書が求められます。公的証明書(衛生証明書や獣医検疫証明書)の様式は、実施規則(EU) 2020/2235で規定されるものを使用することになります。
輸出国側での現物検査
前述の申請事項に基づいて、動物検疫所は現物の検査を行う場合があります。現物検査は、動物検疫所、家畜防疫官の指定検査場所および農林水産大臣の指定検査場所のいずれかで実施され、必要に応じて精密検査、生産工場などの調査が実施される場合があります。これらの書類検査・現物検査のうえ、認められた場合に、輸出検疫証明書またはEUが求める書式の獣医検疫証明書が交付されます。
輸出入検疫を受ける空港や港を管轄する動物検疫所の問い合わせ先リストは動物検疫所のウェブサイトで確認することができます。
衛生の識別マーク
また、EU域内に輸出される生鮮家きん肉には、当該生鮮肉が認定施設由来であることを証明する施設番号と、当該施設の所在国名(「JP」などISO基準の2文字略号も可能)を記した「識別マーク」(identification mark)が必要です(規則(EC)No 853/2004第5条およびANNEX II Section I)。その他「容器包装の封印シール」については「食品関連の規制」の「6. ラベル表示」の項を確認してください。
動物衛生上の観点から、規則(EU) 2016/429 および委任規則(EU) 2020/692により、次の要件を満たしていない場合、EUへの入域ができません。
  1. 実施規則(EU) 2021/404 ANNEX -Iの第三国リスト掲載国に由来している
  2. 当該貨物が委任規則(EU)2020/692に定める一般要件および該当する個別要件を満たすことを発送元の第三国の当局が証明している
  3. 前述(2)要件を満たすことを第三国の当局が保証する次の文書が添付されている
    • 第三国の公的獣医により発行された動物衛生証明書 (animal health certificate)
    • 宣言(declaration)およびその他の文書(本委任規則により求められる場合)
さらに、前述のとおり、生鮮家きん肉は委任規則(EU)2020/692に定める、リスクの低減措置や動物衛生基準に適合している必要があります。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
実施規則 (EU) 2021/632 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No853/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2020/692 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EC) No543/2008 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2022/2292(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2022/2293 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/404 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/405 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/1533(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
実施規則 (EU) 2021/632 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2020/2235(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)1978 KB
農林水産省「証明書や施設認定の申請(欧州)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
動物検疫所 輸出畜産物の検査手続外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年8月)」

4.その他(肉製品(畜産加工食品)と混合食品)

調査時点:2023年1月

加工済み家きん肉製品(畜産加工食品)と混合食品
EUにおいて「肉製品(meat products)」とは、当該製品がもはや生鮮肉(fresh meat)の特性を有しないことがその切断面からわかるように施された肉の加工、または当該加工済み製品のさらなる加工に由来する加工済み製品を指します。一方、EUでは、動物性加工済原料と植物性原料の両方を含む食品を「混合食品」と定義し、特別な規制を設けています。肉製品(畜産加工食品)であるか混合食品であるかは、次のチャートも参考にしてください。
また、同じ名称やHSコードの加工食品であっても原材料の性質やレシピにより混合食品か動物性加工済原料か変わってくるため注意が必要です。詳細は輸出先の税関(BCP国境管理所)へ問い合わせが可能です。

図 1 動物由来食品と混合食品の区別

なお、EUにおいて「未加工食品」とは、加工を受けていない食料品をいい、分割、分離、切断、スライス、骨抜き、刻み、皮剥ぎ、粉末化、切り込み、洗浄、トリミング、殻剥き、製粉、冷却、急速冷凍または解凍された食品も含むと定義され(欧州議会・理事会規則(EC)No 852/2004 第2条 の1項)ます。一方、加工とは、当初の(加工前の)材料を実質的に変化させるプロセスのことであり、加熱、燻蒸、保蔵(curing)、熟成、乾燥、マリネ(marinating)、抽出、押出成型、またはそれらの組み合わせも含まれます。
肉製品であってもEU向けの場合、生鮮家きん肉同様、「管理計画」で「第三国リスト」に掲載された国由来かつ認定施設で加工された肉製品のみが輸出可能です。家きん肉製品に関しても日本は「第三国リスト」掲載国となっていますが、2023年1月調査時点で、肉製品の認定施設が存在していません。
「肉製品」の加工施設の認定の場合
EU輸出向け肉製品を製造する施設には認定が必要となります。農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)に記載されている衛生管理基準(標準手作業基準、微生物検査、自主管理)や要件にのっとり、同「取扱要綱」別紙様式3を当該施設管轄の都道府県知事など(地方厚生局)に申請します。
原料の食肉も、EU認定の食鳥処理場(解体や分解を含む)から調達する必要があります。外国の認定施設から原料肉を輸入調達して食肉製品を製造する場合は、EUの衛生要件を満たしていることを証明する外国政府機関発行の証明書が必要となります。
認定後の輸出検疫証明書の申請
基本的な流れは「生鮮家きん肉」の輸出検疫証明書入手と同じ流れですが、
  1. 登録農場ならびに認定施設由来の家きん肉(原料)を調達し、認定施設で加工した肉製品を輸出する場合、あらかじめ原料食肉製造者に依頼し、原料家きん肉の検査申請のうえ、原料肉にかかる「原料食肉証明書」の原本を入手します(外国認定施設所由来の場合を除く)。「原料食肉証明書」の発行については、原料食肉製造者が「取扱要綱」に指定される別紙様式により、管轄の食肉衛生検査所などに申請します。電子メールによる申請方法については、別添4により発行を依頼できます。合格した原料肉には「原料食肉証明書」が発行されます。
  2. 「取扱要綱」に指定される別紙様式の要件を満たしたうえで、指定の様式により衛生証明書発行申請書を前述の「原料食肉証明書」と一緒に、施設の管轄する保健所に提出し、衛生証明書の発行手続きを行います(NACCSを利用する場合は、同「取扱要綱」別添4のとおり)。
  3. 「取扱要綱」別紙様式11-1に規定される要求を満たしたうえで、動物検疫所に対し「輸出検査申請書」と「衛生証明書」の原本を添付し、輸出検疫を依頼します。動物検疫所による前述の情報の確認の後、輸出検疫証明書が交付された場合、当該製品に添付することで輸出が可能となります。
混合食品
EUでは、動物性加工済原料(Processed products of animal origin)(注1)と植物性原料(Products of plant origin)の両方を含む食品を「混合食品」と定義し(委任規則(EU) 2022/2292 第2条)、特別な規制を設けています。事前に、混合食品に該当するかどうかをEUの国境管理所(BCP: Border Control Post)に確認するようにしてください。
例えば、生鮮肉と野菜のくし刺(冷凍)などは未加工動物性食品とされ、たまねぎと牛ひき肉が一緒に入った缶詰やトマトに生鮮肉を詰めたファルシーなどは肉製品(加工済み動物性食品)と分類されます。一方で、肉エキスや野菜製品のスープの素(固形)や焼きベーコン、野菜、ピザ生地を同時に焼いたものなど(調理済み食品)は混合食品とされることがあります。
詳細は、本ポータルサイトのEU向け「混合食品」「菓子」「調味料」、および農林水産省ウェブサイトを確認してください。
基本的には、肉製品(鶏肉エキスを含む)を含む混合食品においては、肉製品の輸出同様、日本で発行された輸出検疫証明書(EUで求められる公的証明書)が必要とされ、EU側での検疫対象となります(公的証明書が必要)。混合食品を製造する施設に認定は不要ですが、原料の肉は認定施設から調達する必要があります。ただし、未加工の肉から混合食品を製造する加工施設には認定が必要となります。詳細は、農林水産省「英国及び欧州連合向け輸出食肉製品、乳製品、殻付き卵及び卵製品の取扱要綱」で確認することができます。
委任規則 (EU) 2022/2292第20 条に記載されるHSコードに該当する混合食品で、カテゴリー1または2に分類される場合は、次のとおり「公的証明書(輸出検疫証明書または衛生証明書)」が必要となります。なお、温度管理が不要で肉製品または初乳由来原料を含まないすべての混合食品については、委任規則 (EU) 2022/2292第20 条に記載されているHSコードか否か関係なく、自己宣誓書(Private Attestation)の添付が必要です。
表 3 委任規則 (EU) 2022/2292 第20 条の対象混合食品の分類
分類 混合食品の生産国要件 施設のEU認可の要否 添付書類
混合食品
カテゴリー1
:温度管理が必要
混合食品に含まれるすべての動物由来加工原料について、第三国リスト規定されていること ※2 冷蔵の出汁入りみそ、冷凍和菓子 動物性加工済原料はEU認可施設から調達する必要あり
※3
公的証明書※4
肉製品、乳製品、卵製品を含む混合食品: 動物検疫所 (輸出検疫証明書)
水産製品のみを含む混合食品: 農林水産省輸出・国際局(衛生証明書)
混合食品
カテゴリー2
:温度管理が不要で肉製品※1又は初乳由来原料を含む。
混合食品に含まれる肉製品について、第三国リスト規定されていること ※2 肉エキスを含むラーメンスープ 動物性加工済原料はEU認可施設から調達する必要あり
※3
公的証明書※4
肉製品、乳製品、卵製品を含む混合食品: 動物検疫所 (輸出検疫証明書)
混合食品
カテゴリー3
:温度管理が不要で肉製品※1又は初乳由来原料を含まない。
混合食品に含まれるか否かを問わず、肉製品、水産食品、乳製品(および初乳由来品)、卵製品のそれぞれが第三国リスト規定されていること※2 出汁の素
肉エキスなどを含まないめんつゆ
和菓子など
動物性加工済原料はEU認可施設から調達する必要あり
※3
自己宣誓書※5を添付
(輸入者)
動物性加工食品 - 牛肉入りカレー EU認可施設で製造 公的証明書

なお、農林水産省のウェブサイトで最新情報は確認できますが、2023年1月調査時点で日本には「肉製品」の認定加工施設は存在しないため、留意が必要です。

関連リンク

EUの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2023年1月

農産物市場体系を確立する欧州議会理事会規則 (EU) No 1308/2013第75条と第78条により、いくつかの製品・セクター(対象品目)に関しては、EU域内で流通するための食品の規格または名称の定義が設けられています。

家きん肉は、EUの共通農業政策(CAP)における農産品の共通市場制度(CMO)の対象となっており(第78条)、規則 (EU) No 1308/2013ならびに規則(EC) No 543/2008により、家きんの定義、生鮮家きん肉の販売形態、格付けの基準、鶏肉の切り身の水分含有量ならびにその分析基準、各加盟国言語での販売時の名称、ラベル表示義務や、義務付けられている登録内容などの販売基準が定められています。詳細は、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)を確認してください。

表 4 主な加盟国における販売名称の一部
加盟国言語 鶏肉(ブロイラー) 雄鶏、雌鳥(茹で)
英語 Chicken, broiler Cock, hen, casserole, or boiling fowl
イタリア語 Pollo, ‘Broiler’ Gallo, gallina
Pollame da brodo
オランダ語 Kuiken, braadkuiken Haan, hen soep- of stoofkip
スペイン語 Pollo (de carne) Gallo, gallina
ドイツ語 Hähnchen
Masthuhn
Suppenhuhn
フランス語 Poulet (de chair) Coq, poule (à bouillir)

その他、事前包装済みならびに冷凍の家きん肉の正味量は、規則 (EC) No 543/2008 第9条に規定される「nominal weight(公称重量)」を遵守する必要があります。詳細は、「食品関連の規制」の「6. ラベル表示」の項で確認してください。 また、鶏肉の切り身の定義ならびに各加盟国言語での表示については、「輸入手続き」の「4. 販売許可手続き」の項で確認することができます。

食品公衆衛生
EU域外から輸入される食品については、欧州議会・理事会規則 (EC) No 178/2002に基づきEUが求める衛生基準などとの同等性(輸出国と特定の合意がある場合はその合意事項)を満たす必要があります(同規則第11条)。
そのため、EUの食品輸入事業者は、輸入した食品がEUの食品衛生要件を満たしていないと判断した場合、即時に製品を市場から回収する手続きをとり、加盟国の所管当局に通知する義務があります(欧州議会・理事会規則 (EC) No 178/2002 第19条)。また、同規則では、食品がヒトの健康や環境に甚大なリスクをもたらす可能性があると判断された場合、EUが当該食品の上市停止などの緊急措置をとることが認められています(同規則第53条)。
EUの衛生法(衛生パッケージ)は規則 (EC) No 178/2002 (食品一般法)、規則(EC)No 852/2004 (一般食品の衛生規則)、規則 (EC) No 853/2004 (動物性食品の衛生規則)、規則(EC) No 183/2005 (動物の飼料に要求される衛生規則)、そして新公的管理規則(EU)2017/625およびこれらの規則を補完する関連規則(例えば、委任規則 (EU)(EU) 2022/2292など)により構成されています。
また、2021年4月21日から、家畜の伝染病予防に関する動物の衛生要件に関して一般要件および個別要件を規定する委任規則(EU)2020/692が施行されています。家きんの管理計画は同規則、ならびに国際獣疫事務局(OIE)の定める規定に沿って実施されます。詳細は、農林水産省「取扱要綱」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則 (EU) No1308/2013 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EC) No543/2008 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC)No178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No852/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No853/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
規則(EC) No183/2005 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2020/692 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2022/2292(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年1月

「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)【EUへの入域条件】」の項で説明のとおり、欧州委員会規則 (EU) 2017/625に基づき、EU域内に生鮮家きん肉を輸出することが可能な認定を受けた施設などの事業者は、別途定められた「薬理的活性物質、農薬、汚染物質のモニタリング管理計画(以下「管理計画」)および実施要領(危害分析およびHACCP 計画)に従い、定期的な天然毒素、微生物学的汚染物質、化学的汚染物質農薬や残留農薬ならびに薬理的活性物質などのモニタリング検査の実施が要求されます。詳細は実施規則 (EU)2021/808ならびに関連規則に規定されます。
残留物質などのモニタリング検査の実施方法などについては、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」(以下「取扱要綱」)で確認することができます。

また、施設の認定の際に申告する「フードチェーン情報の管理」において、① 動物の病歴、② 動物用医薬品、その他これに類するものの使用状況(投薬日および休薬期間を含む)、③ 診断目的で生体から採取および分析された結果のうち、ヒトの健康に対し重要な意味を持つものなどを登録農家と情報共有することが求められています。

その他、施設の「施設、設備などの構造および材質基準」を遵守し、家きんの「輸送車両および輸送」に関しても、農林水産大臣の承認を受けた消毒薬を用い、洗浄および消毒される必要があります。詳細は、「取扱要綱」を確認してください。

なお、本項に掲載の分野に関しても、「食品関連の規制」の「1. 食品規格」の項で説明のとおり、規則 (EC) No 183/2005 (動物の飼料に要求される衛生規則)、規則 (EC) No 178/2002 (食品一般法)を含むEUの衛生法(衛生パッケージ)にカバーされています。

動物由来食品の最大農薬残留基準値(MRL)
公的検査の枠組みの中で、規則2019/627 第45条によりEU規則で認可されていない物質の利用または定められた最大残留農薬基準値(MRL)や最大残留動物用医薬品基準値などを超えた動物由来食品(生鮮肉)を「ヒトの消費用の生鮮肉」として適合しないと検査官が宣言するとしています。
EUでは、使用可能な農薬について、ポジティブリスト制を採用し、食品の種類ごとに許容される残留農薬の上限値(Maximum Residue Limit:MRL)が規定されています(欧州議会・理事会規則(EC)No 396/2005)。MRLはEUの農薬データベースの「動物性食品: poultry・Muscle(家きん肉)」で確認することができます。当該食品1キログラムあたりに許容される農薬量(ミリグラム/キログラム)として示され、MRLが設定されていない農薬と食品の組み合わせに対しては、一律0.01ミリグラム/キログラムの上限値が適用されます。
動物由来食品の最大残留薬理的活性物質基準値(MRL)
EUにおける動物由来食品向け残留薬理的活性物質(pharmacologically active substances)に関しては、EU規則(EC) 470/2009および規則(EU)No 37/2010 ANNEXに規定されています。薬理的活性物質とは、「動物用医薬品の製造での使用を意図した物質または物質の混合物で、製造過程により有効成分となるもの (委任規則 (EU) 2019/2090 第2条)」とされ、動物由来食品に許容される活性物質とその最大残留基準値(MRL)が規則(EU)No 37/2010 ANNEXに規定されます。ただし、規則(EC)No 1831/2003に規定される「飼料添加物」に関しては後述を確認してください。
なお、動物用医薬品または家畜の飼料添加物として認可あるいは使用禁止される、または認可されない薬理的活性物質および残留物質のリストに関しては、規則(EU) No 37/2010のANNEXならびに委任規則 (EU) 2022/1644のANNEX Iで、第三国から輸入される動物製品のサンプリング頻度などの公的管理に関する規定は、委任規則 (EU) 2022/1646で確認することができます。
表 5 規則 (EU)No 37/2010のANNEXに記載される動物由来食品における残留薬理的活性物質のMRLの一例 (家きん肉/ Avilamycin)
薬理的活性物質 動物種 MRL 対象部位 条件や要件 処方区分
Avilamycin Dichloroisoeverninic acid
(ジクロロイソシアヌル酸)

家きん
ウサギ
Porcine, poultry, rabbit
50 μg/kg 筋肉Muscle 人間の消費用卵を生産する家畜に使用不可、豚と家きんの場合、MRLは皮と脂肪の天然比率に関連する Anti-infectious agents抗感染症薬/
抗生物質Antibiotics
100 μg/kg 脂身
300 μg/kg 肝臓
200 μg/kg 腎臓

これらの、関連規則に関しては、欧州委員会の動物医薬品などに関するサイトで確認することができます。添加剤(excipients)に関しては別に規定されていますので、欧州委員会のウェブサイトで確認してください。

動物用医薬品および医薬用飼料規則: AMR対策
旧EU指令2001/82/ECに代わり、2022年1月28日から新動物用医薬品(veterinary medicinal products)規則 (EU) 2019/6が適用、ならびに規則 (EC) No 726/2004が改正されており、EUに輸入される畜産物にも同様に適用されます。規則 (EU) 2019/6 第118条には「EUに輸入される動物または動物由来の製品」について規定されており、
  • 成長促進剤や生産量増加を目的とした抗微生物薬(Antimicrobial medicinal)の使用を禁止(同規則第107条2項)
  • ヒトの特定の感染症の治療用の抗微生物薬をEU向け輸出用の動物または動物由来製品に使用してはならない(同規則第37条5項)
とされています。
なお、「特定の感染症のヒト向け治療用の抗微生物薬の基準」ならびに「動物の健康に必要不可欠とされない基準」については、委任規則 (EU) 2021/1760のANNEXに、「特定の感染症のヒト向けの治療用とされる抗微生物薬(Antimicrobials or groups of antimicrobials)のリスト」(動物に使用できない)に関しては、2023年2月9日から適用された実施規則 (EU) 2022/1255のANNEXに規定されています。
前述のとおり、動物用医薬品として認可あるいは使用禁止される、または認可されない薬理的活性物質および残留物質のリストに関しては、規則(EU) No 37/2010のANNEXならびに委任規則 (EU) 2022/1644のANNEX Iで確認することができます。
「第三国からの輸入に関する委任規則」案については、調査時点でEUはSPS通報を行い、2023年2月6日までパブリックコメントを受け付けていました。詳細は農林水産省ウェブサイト「EUの新たな動物用医薬品規則への対応」で、内容を確認することができます。
なお、本新規則と同時期に旧指令No 90/167/EECに代わり、医薬用飼料 (medicated feed)にかかる新規則 (EU) 2019/4が施行されています。本規則のANNEX IIに抗微生物薬(Antimicrobials)24物質が列挙されており、2023年に欧州委員会と欧州食品安全機関(EFSA)はこれら24物質の交差汚染による最大許容量をまとめるとしています。
※医薬用飼料(medicated feed)とは管理された条件下で製造された飼料(動物向け食品)と動物用医薬品の混合物であり、家畜、養殖水産種、ペットの疾病を治療または制御する目的で獣医の処方箋により経口投与される。
これらの新規則も欧州委員会規則 (EU) 2017/625の公的管理の対象となっているため、動向に注意が必要です。
家畜の飼料添加物(feed additives)
動物の健康の改善や栄養添加などを目的として意図的に飼料や水に添加される「家畜の飼料の添加物(feed additives)」とは、「飼料材や事前混合飼料 (プレミックスpremixtures) 以外の物質、微生物または調剤で、本規則第5条に規定される機能をもつもの」かつ、「動物の健康、ヒトの健康、または環境に悪い影響をあたえないもの」を指します。その認可ならびに根拠に関しては、規則 (EC) No 1831/2003に規定されています。
なお、本規則第5条により、「抗コクシジウム剤(coccidiostats)または抗ヒストモナス剤(histomonostats)以外の抗菌剤 / 抗生物質(Antibiotic)は飼料の添加物として許可されない(第5条 (4))」とされています。抗コクシジウム剤または抗ヒストモナス剤の飼料添加物の場合、同規則第7条にのっとり、承認を得る必要があります。認可された飼料添加物に関しては、欧州委員会のデータベースとして登録されており、ウェブサイトで確認することができます。
前述のとおり、家畜の飼料添加物として認可あるいは使用禁止される、または認可されない薬理的活性物質および残留物質のリストに関しては、委任規則 (EU) 2022/1644のANNEX Iで確認できます。
その他、規制 (EU) No 528/2012に規定される殺生物性製品(Biocidal Product:消毒剤、防腐剤、有害生物駆除剤、ほか)やEU基準の動物福祉などに関しては、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」を確認してください。

関連リンク

関係省庁
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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委任規則 (EU) 2020/692 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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委任規則 (EU) 2022/1644(英語)
"
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その他参考情報
欧州委員会 「残留動物医薬品 (残留モニタリング)」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 「動物医薬品の最大残留基準(MRL)への消費者安全」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 「動物医薬品および医薬用飼料 」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 「家畜の飼料」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会「飼料の添加物の登録」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会「(EC)No1831/2003により承認された飼料用添加物のリスト ANNEXI」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)4.8MB
欧州委員会「第三国からのEUへの輸入される関する動物ならびに動物由来食品へ使用が禁止される抗微生物薬品に適用される(EU) 2019/6を補足する規則(案)」(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)476.8 KB
農林水産省「EUの新たな動物用医薬品規則への対応」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)1978 KB

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2023年1月

EUは、欧州委員会規則 (EC) No 1881/2006で食品カテゴリーごとに含まれる汚染物質の上限値を規定しています。ここでの「汚染物質」とは、意図的に食品に添加されたものではなく、食品の生産(作物管理、畜産、獣医療における作業を含む)、製造、加工、調理、処理、包装、梱包、輸送および保管などのプロセスまたは生育環境に由来して、食品中に存在する物質をいいます(欧州理事会規則(EEC)No315/93 第1条(1))。

骨付きでない生鮮家きん肉が該当する汚染物質の上限値は、次のとおりです。ただし、ここに記載されている以外にも、乳児・幼児用の食品、医療用栄養食品に関して別途上限値が規定されているため注意が必要です。

表 6 汚染物質の上限値(生鮮家きん肉)
項目 上限値 対象品目
0.10 mg/kg(湿重量) 牛、羊、豚および家きんの食肉(内臓は除く)
0.10 mg/kg(湿重量) 家きんの内臓
カドミウム 0.050 mg/kg(湿重量) 牛、羊、豚および家きんの食肉(内臓は除く)
0.50 mg/kg(湿重量) 牛、羊、豚、家きんおよび馬の肝臓
1.0 mg/kg(湿重量) 牛、羊、豚、家きんおよび馬の腎臓
無機スズ 200 mg/kg(湿重量) 飲料以外の缶詰
ダイオキシン類合計(WHO-PCDD/F-TEQ)(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシンとポリ塩化ジベンゾフランの毒性等量合計※1) 1.75 pg/g脂肪※2 家きん肉、食肉製品
0.3 pg/g(湿重量) 牛、豚および家きんの肝臓
ダイオキシン類、ダイオキシン様PCB類の合計(WHO-PCDD/F-PCB-TEQ)(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ビフェニルの毒性等量合計※1) 3.0 pg/g脂肪※2 家きん肉、食肉製品
0.5 pg/g(湿重量) 牛、豚および家きんの肝臓
PCB28,PCB52,PCB101,PCB138,PCB153,PCB180の合計(ICES-6) 40 ng/g脂肪※2 家きん肉、食肉製品
3.0 ng/g(湿重量) 牛、豚および家きんの肝臓
ベンゾ[a]ピレン 2.0 g/kg 燻製肉および燻製肉製品※3
ベンゾ[a]ピレン、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、クリセンの総量 12.0 g/kg

なお、2021年8月30日から、規則 (EC) No 1881/2006を改正する規則 (EU) No 2021/1323および規則 (EU) 2021/1317によりカドミウムと鉛の上限値のリストに「塩」や「香辛料」なども追加されているため、加工食品などに原材料として、使用する場合は注意が必要です。

また、食品事業者に適用されるEU規則「食品の微生物学的基準に関する委員会規則 (EC) No 2073/2005によりEUにおける食品中の微生物学的判断の基準が規定されており、同規則により生鮮肉や肉製品のサルモネラの規格基準が定められています。さらに、HACCP 方式による衛生管理実施基準(衛生指標基準)として、認定施設のサルモネラ属菌およびカンピロバクター属菌の検査を定期的に行う必要があります。
詳細は、農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」「別添3 HACCP 方式による衛生管理実施基準」で確認することができます。

表 7 家きんの規格基準(サルモネラ検出)のサンプリング計画
微生物基準 サンプリング抽出計画 濃度限界
検体数(n) 検出数(c)
家きん S .Typhimurium
S .Enteritidis
5検体 0検体 25gの検体において不検出

同一ロットの家きん肉から採取した25g以上の皮(頚部の皮を優先して採取し、頚部の皮のみでは検体重量が不足する場合は、その他の部位の皮、表層の筋肉を含めても良い。)を1検体とし、5検体(25g×5)について検査を実施する。

表 8  家きんの認定施設の衛生指標基準
衛生指標菌 サンプリング抽出計画 ※1 濃度限界
(許容値)
検体数(n) 検出数(c)
家きん サルモネラ属菌 50検体 5検体 不検出
カンピロバクター属菌 50検体 15検体 ※2 1,000 cfu/g

その他、「食品関連の規制」の「2. 残留化学物質および動物用医薬品規制」の項も確認してください。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
規則(EC) No1881/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EEC)No 315/93(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)2020/685 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2019/1021 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 2073/2005 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
欧州委員会 「汚染物質」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)1978 KB

4. 食品添加物

調査時点:2023年1月

EUでは、着色剤や保存料、酸化防止剤、その他乳化剤・安定剤などの食品添加物と、食品香料および食品酵素を区別し、これらを合わせて「食品改良剤(Food Improvement Agents)」)と総称しています。

食品添加物は、規則 (EC) No 1333/2008に基づき、ポジティブリスト形式での規制が課されており、認可を得た食品添加物のみが使用を認められています。食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「濃度限度」が定められており、さらに同規則ANNEX II Part Aに「食品添加物を含むことが禁止されている食品」が規定されています。基本的に未加工品である「08.1肉調製品を除く生鮮肉」に関しては、食品添加物の添加が禁止されていますが、一部、マークなどの印字用に「適量」の添加が許可されている食品添加物(着色料)に関しては規則 (EC) No1333/2008または、欧州委員会のウェブサイト「食品&飼料検索データベース」の検索で確認できます。

食品添加物および食品香料のポジティブリストについては、欧州委員会のウェブサイトで検索が可能です。食品酵素については、調査時点ではポジティブリストが完成していないため、ポジティブリスト形式での使用規制は適用されていません。

表 9 食品改良剤に関するEU根拠法
食品改良剤 根拠法 定義
食品添加物 規則(EC)No 1333/2008 それ自体は通常は食品として消費されず、栄養価の有無を問わず、食品の典型的な原材料としては通常は使用されない物質で、食品の製造、加工、調理、処理、包装、輸送、保存の段階において技術的な効果(防腐、酸化防止、色の定着など)を意図的に追加することにより、その物質やその副産物が直接的・間接的に食品の構成要素となるか、なることが十分に予想される物質。E番号で表示される。
ただし、次の物質は食品添加物として使用されない場合本規則の適用外である。
  • 加工助剤(processing aids)
  • 植物の健康に関する共同体ルールに従って植物や植物製品の保護のために使用される物質
  • 栄養素(nutrients)として食品に添加される物質
  • 理事会指令No 98/83/ECの範囲に該当するヒトの消費を意図した水の処理などで使用される物質
  • 規則(EC) No 1334/2008の範囲に該当する香味料
その他、添加物とみなされないものについては同規則第3条を確認のこと。
食品香料 規則(EC)No 1334/2008 それ自体は食品として消費されず、香りや風味を添えるか、もしくは変えるために食品に添加される製品。香料物質、香料調整品、熱処理香料、スモーク香料、香味料前駆体、その他香料およびこれらの複合物からなる。
‘‘flavouring”、具体的な名称または香料の概要で表示。天然(Natural)の記載については同規則第16条の条件を満たす必要がある。
食品酵素 規則(EC)No 1332/2008 植物、動物、微生物、または植物、動物、微生物に由来する製品から得られる製品で、微生物の発酵によって得られる製品も含む。
同規則で定められている食品酵素の名称または販売概要で表示。

EU では「漂白剤」「炭化剤」「保色剤」が食品添加物として分類に含まれていない一方で、「酸味料」「加工でん粉」「コントラスト増強剤」が食品添加物とされています。

なお、生鮮家きん肉には直接関連しませんが、食品添加物ごとに「使用可能な食品カテゴリー」および「許容含有量(定められていない食品添加物もある)」がANNEX II Part Eに定められており、ANNEX II に記載されていない場合でも、ANNEX IIIに掲載されている添加物やキャリアは使用条件に従って食品添加物、食物酵素、食品香料、栄養物(ビタミン・ミネラル)に使用することが可能です。その他、ANNEX II PART B(食品への使用が認められるすべての食品添加物で着色料、甘味料以外のリスト)やPART Cのグループ分類(「quantum satis(適量)」の使用を認める)も確認が必要です。

食品に添加できるビタミンおよびミネラル成分
食品に添加できるビタミン剤およびミネラル成分に関しては、規則(EC)No 1925/2006に規定されますが、本規則第6条により、未加工品の水産品にビタミンとミネラルは添加が禁止されます。
また、未加工製品に香料の規則は適用されませんが、酵素や香料に関する詳細はジェトロレポート「EUにおける食品香料・食品酵素に対する規制動向(2017年3月)」でも確認することができます。
なお、加工助剤に関しては、食品添加物とされておらず、各加盟国法で定められている場合があります。例えば、フランスにおいては加工助剤に関して、「特定の食品の製造における加工助剤の使用に関する2006年10月19日付アレテ(省令)」で規定されており、食品加工助剤として使用できる酵素のポジティブリストや抽出溶媒などについて定められています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2023年1月

EUでは、食品用の容器・包装をはじめ、調理器具や食品製造機械、食品輸送用のコンテナなど、食品と接触することが意図されている、または通常の使用条件において食品と接触することが合理的に予見されるあらゆる素材・製品(Food Contact Material:食品接触素材)について、健康被害を引き起こしてはならない、食品成分に許容できない変化を引き起こしてはならない、食品の味・香り・食感などを劣化させてはならない旨が定められています(欧州議会・理事会規則 (EC) No 1935/2004)。また、規則 (EC) No 2023/2006においては、食品接触素材の製造工程における適正製造規範(Good Manufacturing Practice: GMP)が定められています。

図 2 食品接触材であることを示す規則 (EC) No 1935/2004のANNEX IIに規定されるロゴ

前述の一般原則を規定する規則に加え、特定の食品接触素材について、個別の規則が定められており、定められた条件に準拠していることを示す適合宣言書の添付が求められています。プラスチックの適合宣言書には、規則 (EU) No 10/2011のANNEX IVの情報を記載する必要があります。

なお、食品接触を意図する「再生プラスチック」に関して、旧規則の規則 (EC) No 282/2008が廃止され、2022年10月10日より、新規則 (EU) 2022/1616が施行されています。リサイクル業者、または、再生プラスチックが含まれるプラスチック加工製造業者向けは本規則ANNEX IIIに規定される「適合宣言書」の提出が求められます。

このため、EU向けの「適合宣言書」の提示ができる素材メーカーまたは、安全性の試験を実施できる分析会社を介して証明する必要があります。

表 10 主な食品接触素材に関する根拠法
食品接触素材 規則・指令 主な内容
プラスチック 規則(EU)No 10/2011 ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX Iのリストに掲載されている物質を原料として製造されたプラスチックのみが、食品接触素材として使用可能となっています。このリストは科学的評価に基づき更新されるため、随時確認する必要があります。
アクティブ・インテリジェント素材
〔鮮度保持などの目的で食品から物質を吸収する素材(吸湿材など)、容器内に物質を放出する素材(防腐剤を放出する鮮度保持材など)、食品の状態を監視する素材(温度変化に反応する素材など)〕
規則(EC)No 450/2009 食品と誤認されるおそれがある場合には、3mm以上のフォントサイズで“DO NOT EAT’’と表記する必要があります。なお、調査時点では、ポジティブリストは制定されていません。
再生プラスチック 規則(EU) 2022/1616 同規則に従って「認可を受けたリサイクル工程」から得られた物質を原料として製造された再生プラスチックのみが、食品接触素材として使用可能で、「認定されたリサイクル工程」を使用する域外の事業者はEU加盟国に通知、登録が必要であった。新規則ではこれに加え、「新規技術を用いたリサイクル」、リサイクルスキーム(システム)、および除染設備に関してもEUへの通知・登録が必要となっている。
セラミック 指令No 84/500/EEC カドミウムと鉛の検出上限値が規定されています。
再生セルロースフィルム 指令2007/42/EC ポジティブリスト形式での使用規制がなされており、同規則ANNEX IIのリストに掲載されている物質を原料として製造された再生セルロースのみが、食品接触素材として使用可能となっています。
BPA(ビスフェノールA) 規則(EU) 2018/213 乳幼児向け食品に接触することが意図された包装材の原料への禁止
エポキシ樹脂 規則No 1895/2005/EC エポキシ誘導体の定義と使用制限
ゴム 指令No 93/11/EEC ゴムからのN-ニトロソアミンおよびN-ニトロソ

また、EUレベルでの法規制に加えて、EU加盟国は独自規制を導入することが可能となっているため、注意が必要です。

例えば、EUでは、乳幼児向け食品に接触することが意図された包装材の原料にビスフェノールA(BPA)の使用が禁止されていますが、フランスでは、法令No 2012-1442に基づき、食品に接触するすべての包装容器などについてビスフェノールAの使用が禁止されています。日本では缶の裏側にビスフェノールAが使用されていることが多いため留意が必要です。

その他、フランスでは、国内法(政令(デクレ)・省令(アレテ))により、ゴム、シリコンゴム(ポリマー)、イオン放射線処理、金属・合金 (ステンレススチール、アルミニウム) に関する独自規制が定められており、適用される基準値や添加できる物質のポジティブリストなどが規定されています。

また、食品の包装と保管、着色に関する1912年6月28日付アレテにより、一部の製造・醸造を除き、飲食品に直接、銅、亜鉛、亜鉛メッキが触れることは禁止されており、食品に接触する重金属(ヒ素、鉛、スズ)、紙・ボール紙、ニス・コーティング剤、人口着色料などについても独自規定が設けられています。
その他、ガラス・グラスセラミックなどに含有される重金属量(カドミニウム、鉛、クローム)の上限値や禁止の有無、製造に使用できる素材(木材など)洗浄剤など、それぞれの該当規定を確認する必要があります。

なお、木箱やパレットなどの木製の梱包に関する規制は本ポータルサイト「EU」の「花き」を確認してください。また、中国ならびに香港を原産国とするポリマアミド(ポリマー)およびメラミンプラスティックのキッチン用品には別途規定があります。

関連リンク

関係省庁
欧州食品安全機関(EFSA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EC) No1935/2004(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No2023/2006(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令(EC) 2007/42(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No1895/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令(EEC) 84/500(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) No10/2011(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2022/1616 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2020/1245(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No450/2009(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 2018/1670(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) 2016/2031(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU) 2019/787 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2019/2125 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
EU指令 2011/91/EU (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)2018/213 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 1895/2005(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令93/11/EEC (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
2007年5月10日付 デクレNo 2007-766 (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※ 関連リンクに示した仏国内法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、Version à la date du で最新の日付を入力してください。
2008年12月30日付 デクレNo 2008-1469 (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1994年11月9日付飲食品に接触するゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1992年11月25日付飲食品に接触するシリコンゴム製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1986年8月12日付飲食品に接触する製品・素材へのイオン放射線処理に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1976年1月13日付食品に接触するステンレス製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(375KB)
1987年8月27日付飲食品に接触するアルミニウムまたはアルミニウム合金製品・素材に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1985年11月7日付アレテ飲食品に接触するセラミック製品から抽出可能なカドミニウムや鉛の上限値に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1999年9月8日付アレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
1912年6月28日付食品の包装と保管、着色に関するアレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フランス法令No 2012-1442(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
欧州委員会 食品接触材 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 食品接触材に関する一般情報とコンタクト先(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 各加盟国言語の食品接触材に関するEUガイドライン(各国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 EU加盟国の食品接触素材に対する独自規制に関するレポート(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フランス国立計測試験研究所(LNE)(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「食品輸出にかかる食品接触材規則と留意点:欧州」(貿易・投資相談Q&A)
ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)(2020年3月)」

6. ラベル表示

調査時点:2023年1月

家きん肉の原産国・原産地表示(登録と識別)
食肉の登録および識別システムの確立を目的として、EU域外から輸入される生鮮家きん肉(生鮮、冷蔵、冷凍)に関しても、実施規則 (EU) No 1337/2013 第3条 および第5条に基づき次の項目を記載することが規定されています。
  1. Reared in「飼育が行われた第三国名またはEU加盟国名」(家禽の場合: 少なくとも最後1カ月の期間に飼育が行われた加盟国または第三国、または家畜が1カ月未満でと畜された場合は、家畜の飼育全体が行われた第三国名または加盟国名)
  2. Slaughtered in「と畜が行われた第三国名またはEU加盟国名」
  3. 識別コード(ロット番号)
ただし、(1)と(2)が同一国、例えば、日本国内で生まれ、飼育され、と畜された家きんの肉の場合「Origin(原産国): Japan (日本)」と表示します。 同規則第6条にのっとり、EUに輸入される家きん肉に関して、前記の対応が難しい場合は、「飼育: non-EU(非EU加盟国)」および「と畜: 動物がと畜された第三国名」とすることが可能です。その他、ひき肉や調整肉の前記以外の表示については、同規則第7条で確認できます。
なお、生鮮家きん肉に直接印字する着色料については、ポジティブ形式で規定されています。詳細は「食品関連の規制」の「4. 食品添加物」の項で確認してください。
認定施設由来であることを証明する衛生識別マーク
EUに輸出される「生鮮家きん肉」および「肉製品」には、規則 (EC) No 853/2004 ANNEX IIの第I編に記載のとおり、製造者は認定施設から出荷する前に、認定施設の施設番号と、当該施設の所在国名(「JP」などISO基準の2文字略号も可能)を記した「識別マーク」(Identification Marking)を読みやすく、消えないように表示する必要があります。識別マークは、製品や包装などに直接つけるか、製品などに貼付するラベルに印刷し、包装を開けた時に破損されるようにします。
不正防止の観点からの封印シールおよび検査済証
前記に加え、不正防止の観点から、施設の認定管轄の都道府県などは検査に合格した枝肉などに押印するおよび封印シールおよび容器包装に印刷する検査済証を作成します。様式や詳細は農林水産省の「英国、欧州連合、スイス、リヒテンシュタイン及びノルウェー向け輸出食肉の取扱要綱」別添5で確認することができます。なお、前述の施設番号は、EU加盟国と誤認するような略語(「EC」や「CE」など)を用いないよう正しく表示する必要があります。
検査済証([別記様式3])には、次のとおり和英併記する必要があります。
  1. 動物の種類および部位名
  2. 製造者名および所在地
  3. 原産国名
  4. 認定番号
  5. 保存方法
  6. 処理年月日

図 3 封印シール[別記様式2 ]と検査済証[別記様式3 ]の一例(「取扱要綱」別紙より抜粋)

消費者向け事前包装された食品のラベル表示
消費者向け事前包装された食品のラベル表示は、欧州議会・理事会規則 (EU) No 1169/2011で規定されています。同規制はEU域内で流通する食品全般(ケータリング向け食品含む)に適用され、輸入食品にも適用されます。EU市場で流通し消費者に販売される時点から、輸入者もしくは販売者に表示の義務が課されます。アレルギー物質や栄養素の表示など、日本よりも義務表示の対象が広い項目もあるため、注意が必要です。
包装済み「生鮮家きん肉」または「肉製品」を輸出する場合、同規則第9条(次表の中では「同規則」)および関連EU規則に基づき次の項目を表示する義務があります。
なお、消費者を惑わせる表示や医学的効能を宣伝する表示が禁止されているほか、オンライン販売などの手法により遠隔地から販売する事業者にも同様の規定が適用されます。
表 11 ラベル表示義務項目
項目 補足説明
食品の名称 「生鮮家きん肉」の名称は、「食品規格」の項で説明のとおり、次のとおり記載する必要があります。
法的名称:EUまたは加盟国の法律、規則などで定められた名称。規則(EC) No 543/2008第1条、第3条ならびにANNEXに規定される各加盟国言語の販売時の名称で表示する必要があります。
なお、商標やブランド名を食品の名称として使用することはできません。
食品名称に付随する個別項目 同規則ANNEX VIに規定されるとおり、
  1. 購入者の誤解を招く恐れがある場合は、「粉末化、再冷凍、フリーズドライ、急速冷凍、濃縮、燻製」などの施された特定の処理、
  2. 販売前に冷凍され、解凍状態で販売される食品の場合は、「解凍済み(defrosted)」(例外あり)
  3. 肉の切り身、骨付き肉、スライス、塊、または枝肉の外観を有する肉製品および肉調製品で、添加水が最終製品の重量の5%を超える場合は、食品の名称に添加水の存在の表示を含める必要があります。
その他、一片の肉から成るような印象を与えるが、実は複数片からなる食肉製品や調製品に記載する各国言語の表示、異なる動物に由来するタンパク質を添加した食肉製品や調製品には別途記載の規定が定められているため、原文を確認してください
原材料リスト

単一原材料で食品の名称同一である場合は不要。(食品の名称が成分の性質を明確に識別できること)
ただし添加物などを添加した場合や加工食品の場合、すべての原材料(食品添加物や酵素を含む。)を重量順に表示する必要があります。食品に占める割合が2%未満の原材料については、重量順と異なるかたちで列挙することも可能です。なお、複合原材料についても、名称・総重量を記載したうえで、その後に原材料リストを記載する必要があります。食品添加物および食品香料は、そのカテゴリー(酸化防止剤、防腐剤、着色料など)ごとに物質名またはE番号を表示する必要があります。加工助剤や最終製品技術的な機能を持たない担体(キャリア)などについては同規則第20条を、原材料の量の表示は同規則ANNEX VIIIを参考にしてください。

アレルギー物質

原料リストがない場合で、原材料、加工助剤が、下記のアレルギー物質からなり、最終製品に残存する場合、食品の名称が、当該物質で明確に記載されている(‘contains …’「~を含有する」)を表示する必要があります。
表示が義務付けられているアレルギー物質は、次のとおりです。

  • グルテンを含む穀物(小麦、大麦、オーツ麦など)および同製品(一部例外あり)
  • 甲殻類および同製品
  • 卵および同製品
  • 魚および同製品(一部例外あり)
  • ピーナッツおよび同製品
  • 大豆および同製品(一部例外あり)
  • 乳(ラクトースを含む)および同製品(一部例外あり)
  • ナッツ類および同製品
  • セロリおよび同製品
  • 辛子および同製品
  • ゴマおよび同製品
  • 濃度が 1キロ/1リットルあたり10mg 超の二酸化硫黄または亜硫酸塩
  • ルピナス(マメ科植物)および同製品
  • 軟体動物および同製品

原材料リストに表示する場合、標記と太字、フォント、色などを変えて強調した表記する必要があります。

正味量

事前包装済みならびに冷凍の家きん肉の正味量は、規則 (EC) No 543/2008 第9条に規定される「nominal weight(公称重量)」を遵守する必要があります。

家きんの枝肉の公称重量
1,100 g未満 : 50 g単位級 (1,050 — 1,000 — 950 gなど)
1,100 g以上2,400 g未満: 100 g単位級 (1,100 — 1,200 — 1,300g など)
2,400 g以上 : 200 g単位級 ( 2,400 — 2,600 — 2,800 gなど)
家きんの切り身(部分肉)の公称重量
1,100 g未満 : 50 g単位級(1,050 — 1,000 — 950 gなど)
1,100 g以上 : 100 g単位級(1,100 — 1,200 — 1,300 など)
実際の内容物は、平均して公称重量を下回ってはいけません。
重量単位で「kg(キログラム)」または「g(グラム)」で表示します。
文字の大きさは重量に応じ、次のとおり表示する必要があります。
公称重量 文字の高さ
50g以下 2mm以上
50g超200gまで 3mm以上
200g超1,000gまで 4mm以上
1,000g超 6mm以上

また、容量誤差の許容範囲(容器に記載された公称重量と実質重量の誤差)については、指令 No 76/211/EECにより、次のとおり規定されています。

公称重量
(g)
許容範囲
(公称容量より少ない場合)
公称重量
に対する%
g
5 ~ 50 9
50 ~ 100 4.5
100 ~ 200 4.5
200 ~ 300 9
300 ~ 500 3
500 ~ 1,000 15
1,000 ~ 10,000 1.5

表示されている正味量が関連するEU規制に準拠していることを示すため、eマークを正味量の横に表示することが可能です。

eマーク

○g
図:eマーク

賞味期限または消費期限 家きん肉の場合、日本と同様に、品質保持期限/賞味期限(the date of minimum durability)に代えて「消費」期限(the ‘use by’ date)を表示する必要があります。これは微生物学の視点からみて傷みやすく、短期間で危険となりうる食品で、この日付を過ぎると人間の健康に差し迫った危険を及ぼす可能性があるとされます。 冷凍肉の場合は、冷凍日を「Frozen on 日/月/年」(複数回冷凍されている場合には最初の冷凍日)の表示義務が追加されます(同規則ANEX III.6)。
特殊な保存条件や使用条件 当該食品が特別な保存条件や使用条件を必要とする場合には、表示する必要があります。規則 (EC) No 543/2008ならびに規則 (EU) No 1308/2013 (ANNEX VII第V章)に規定されるとおり、家禽肉には推奨される保管温度(販売時の陳列を含む)を記載する必要があります。
食品事業者の名称または商号、および所在地 食品を当該名称または商号で販売している食品事業者(EU域内事業者でない場合は、EUへの輸入者)は、食品情報について責任を負うとされ、当該食品事業者の名称または商号および所在地を表示する必要があります。
家きん肉の原産地表示

前述「家きん肉の原産国・原産地表示(登録と識別)」を確認してください。規則(EC) No 1760/2000、規則(EC) No 1825/2000

包装済み家禽の生鮮肉(冷蔵・冷凍含む)の原産国または原産地の表示が義務付けられています。(実施規則 (EU) No 1337/2013 第5条)

肉製品など(加工畜産品)の場合で、最終製品の原産地と、最終製品に含まれる主原料の原産地が異なる場合(例えば、最終製品の「ミートパイ」と主原料の「ミート」の原産地が異なる場合)には、当該主原料の原産地を記載するか、「(〇○:主原料)は(××:最終製品の原産地)に由来しない」(○○ do/does not originate from ××)と記載する必要があります。主原料とは、最終製品の50%以上を占める原材料、または、製品の名称から消費者が通常想起する原材料(「ミートパイ」における「ミート」)を指します。また、最終製品の原産地が表記されていなくても、原産地を想起させる国旗などがパッケージに表示されている場合は、本規制の対象となります(実施規則(EU)2018/775)。

使用方法の指示 記載がなければ適切な使用が困難な場合に記載する必要があります。
栄養表示

同一製品の未加工生鮮肉の場合は不要ですが、肉製品などの畜産加工品の場合、次の項目について、100gまたは100mlあたりの栄養素を表示する必要があります。これに加えて、一食あたりの栄養素を表示することも可能です。栄養表示はスペース上で可能であれば表形式で記載し、難しい場合は列記しなければなりません。

  • エネルギー量(kJ/kcalの両方を記載する必要があります)
  • 脂肪(g)
  • 飽和脂肪酸(g)
  • 炭水化物(g)
  • 糖類(g)(単糖類および二糖類の合計値のことを指します。)
  • タンパク質(g)
  • 塩分(g)〔(塩分)=(ナトリウム含有量)×2.5で算出することとなっています〕
製造ロット番号
(EU指令2011/91/EU)
肉製品など、EU域内で流通する包装済み食品は、製造ロット番号を表示する必要があります。明確な表示(LOTなど)の場合を除き、「L」の文字に続けてロット番号を表示する必要があります。
ただし、生鮮家きん肉に関しては、「家きん肉の原産国・原産地表示(登録と識別)」のとおり、識別コード(ロット番号)の表示が必要です。
格付けの表示 格付け(クラスAまたはクラスB)を表示する場合は、規則 (EC) No 543/2008に規定される基準に則る必要があります。

また、密閉した包装容器内の空気を除去し、窒素などその他のガスを充填したガス充填包装がなされた食品については、「packaged in a protective atmosphere」と表示する義務が追加されます(同規則ANNEX III.1)。

食品のラベルに使用される言語は、EUの公用語であれば複数の記載が可能ですが、当該製品を販売する国の公用語を使用する必要があります(欧州議会・理事会規則 (EU) No 1169/2011 第15条)。
また、ラベル表示に使用する文字の大きさについても、同規則において次のとおり指定されています。

  • 包装面の最大面積が80cm2以上の場合、「x」の文字の高さ(図中の6)は1.2mm以上
  • 包装面の最大面積が80cm2未満の場合、「x」の文字の高さは0.9mm以上
地理的表示保護(GI)
日EU経済連携協定の発効に伴い、日本の地理的表示(GI)がEU圏内でも保護されることになりました。家きん肉の場合、GI「奥久慈しゃも(茨城県)」「東京しゃも(東京都)」がEU圏内でも保護されます。詳細は、農林水産省「海外における日本のGI保護」で確認することができます。
生鮮家きん肉に直接使用される着色料
規則(EC)No 1333/2008により、未加工品である生鮮肉(畜産加工品を除く)に関しては、食品添加物の添加が禁止されていますが、一部マーキングのための少量の着色料が許可されています。ただし、認可された着色料以外は使用できません。詳細は「食品関連の規制」の「4. 食品添加物」を確認してください。
栄養・健康に関する強調表示
規則 (EC) No 1924/2006により、栄養・健康に関する強調表示(例:「DHAは正常な血圧の維持に寄与します」「脂肪分0%」)に関する規制が定められています。食品ラベル上に記載可能な強調表示は、ポジティブリスト形式(EUリスト)での規制が課されており、強調表示が可能な栄養素など・記載可能な表現・強調表示を行うために含まれるべき栄養素などの基準が、詳細に定められています。強調表示を行う場合には注意が必要です。

7. その他

調査時点:2023年1月

有機食品に関する規制
EUにおける有機食品に関する規制は、旧有機生産規則の欧州理事会規則 (EC) No 834/2007および規則 (EC) No 1235/2008が廃止され、新有機食品規則 (EU) 2018/848が2022年1月1日から適用されています。
日本はEU域内で「有機」として販売が可能な国のリスト(第三国リスト)に掲載されており、日本の有機JAS制度は、有機農産物および有機農産物加工食品に関して、EUの有機制度との同等性を有するとみなされています。しかし、日本の畜産物は「同等性」利用の対象外となっているため、有機JASを取得した「生鮮肉」や「肉製品」であっても、EUへ「有機食品」として輸出することはできません(ただし、スイスでは有機JAS畜産物の同等性が認められています)。
たとえ、日本で有機JASを取得していても、EUの有機認証を取得していない商品の包装に「Organic」と印刷することは違反行為となり、輸入国でラベルを張り替える、「Organic」を塗りつぶすなどの措置が求められることにも注意が必要です。

EUでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:調査時点:2023年1月

2023年1月調査時点で、日本国内において鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されたことから、家きん肉(および家きん由来製品)のEUへの輸出は一時停止中です。詳細や更新情報は動物検疫所のウェブサイトで確認してください。

EU規制において、生鮮家きん肉の輸入に際してライセンスなどの要件は定められていません。

ただし、「生鮮家きん肉」のEUへの入域条件は「輸入規制」の「1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」の項を、EU輸入時の国境検疫検査(公的管理)に必要な書類や手続きは、「輸入手続き」の「2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)」および「3. 輸入時の検査・検疫」の項を必ず確認してください。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:調査時点:2023年1月

2023年1月調査時点で、日本国内において鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されたことから、家きん肉(および家きん由来製品)のEUへの輸出は一時停止中です。詳細や更新情報は動物検疫所のウェブサイトで確認してください。

日本から鶏肉をEU域内に輸入する際には、次の書類が必要になります。

通常の通関書類(インボイスおよびパッキングリスト)に加えて、「輸入規制」の「3. 動植物検疫の有無」の項に記載のとおり「輸出検疫証明書(Export Quarantine Certificate)」および識別マークの貼付が必要です。

  1. 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document))
    EU域外の第三国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は委員会実施規則(EU) 2016/341 Appendix B1に記載されています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration)
    CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADと併せて価格申告書の提出を求められます。様式は規則 (EU) 2016/341 ANNEX 8に記載されています。
  5. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)
  6. 共通衛生入域文書(Common Health Entry Documents: CHED-P) /動物衛生証明書や公衆衛生証明書および識別マーク、その他必要に応じた公的証明書や事業者による宣言書

「生鮮家きん肉」にかかる公的証明書(衛生証明書や獣医検疫証明書)の様式は、実施規則 (EU) 2020/2235で規定されています。

さらに、「輸入手続き」の「1. 輸入許可、輸入ライセンス、商品の事前登録など(登録に必要な書類)」の項のとおり、第三国由来の動物性食品をEUに輸出するには、国境検疫所における公的管理の対象となるため、委任規則 (EU) 2019/1602に記載されているとおり、貨物が到着する24時間前までにTRACESまたはTRACESと互換性のある電子システム経由で「共通衛生入域文書(CHED)」に必要な情報を事前通知する必要があります。国境管理所における動物検疫に合格した際に「共通衛生入域書」が発行されます。「CHED-P」の作成方法に関しては欧州委員会のマニュアルで確認することができます。

空白や不完全な記載がある場合、関係当局は署名をしないとされています。また、完全なCHEDが提示されるまで、通関手続き(関税の支払いなど)の通過は認められません。

輸入時の検査については、「輸入手続き」の「3. 輸入時の検査・動物検疫」の項を確認してください。

また、日EU経済連携協定(以下「日EU・EPA」)に基づく特恵税率の適用を受けるためには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日EU・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者または通関業者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。書式に関しては税関のウェブサイト「原産地規則ポータル」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則 (EU) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
委任規則 (EU) 2019/1602 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2019/1715 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU)2016/341 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2020/2235(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、すべて制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
欧州委員会 「Access2Markets(貿易ヘルプデスク)」 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
動物検疫所 「家きんの畜産物の輸出」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会「TRACES」(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会 「動物由来食品向け指定国境管理所 (BCPs)」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年8月)」
税関「原産地規則ポータル」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会「第三国の認定施設データベース」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
欧州委員会「税制・関税同盟 : EU-Japan EPA」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「日EU経済連携協定(EPA)/日英包括的経済連携協定(EPA)について」
ジェトロ「日EU・EPA解説書」PDFファイル(9.93 MB)
ジェトロ「原産地証明ナビ」
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局「『CHED-P』作成マニュアル」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:調査時点:2023年1月

事前通知と輸入港
欧州委員会規則 (EU) 2017/625第47条および実施規則 (EU) 2021/632のANNEX のリストに掲載のとおり、本原稿の対象品目であるHSコード0207類はEUの国境での動物検疫の対象となっています。動物検疫の検査は国境管理所(Border Control Post:BCP)で実施されます。このため、EUに輸出される鶏肉は、必ず、国境検疫所が設置されている港または空港を仕向地としなければなりません。指定されたBCPと対象アイテムのリストは欧州委員会のウェブサイトで確認することができます。
委任規則 (EU) 2019/1602に記載されているとおり、第三国由来の動物性食品をEUに輸出するには、国境検疫所に貨物が到着する24時間前までに事前通知を行う必要があります。この事前通知は、EUのウェブシステム「TRACES」または「TRACES」と互換性のある電子システムを通して行うことができます(実施規則(EU)2019/1715)。
この事前通知には、輸出者、荷受人、貨物の責任者名、輸入者、原産地、貨物の出国地、衛生証明書の番号および発行日など、「共通衛生入域文書(CHED)」で要求される情報を添える必要があります(2019年12月13日までは「共通動物検疫入国証(CVED)」と非動物性製品の「共通入域文書(CED)」に分けられていましたが、「共通衛生入域文書(CHED)」に統一されました)。
EU域内への鶏肉の輸出については、「輸入規制」の「2. 施設登録、事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」の項に記載のとおり、輸出側は、施設登録の要件を満たしたうえで、日本当局(管轄する食肉衛生検査所長)に検査申請書を提出し「食肉衛生証明書」を入手の上、「輸出検疫証明書」の発行を申請します。EUへの輸出が可能であることを確認のうえ、日本の動物検疫所に「輸出検疫証明書(輸出検疫証明書(Export Quarantine Certificate)」およびEUが求める書式の「獣医検疫(衛生)証明書(Veterinary Certificate for Export))」を発行してもらいます。
動物由来食品の輸入に関する公的証明書(衛生/検疫証明書)には、食品公衆衛生(ヒトが食べて安全か)の観点のみから発行されるものと、公衆衛生と獣医証明(家畜などの伝染病の予防や動物衛生)の両方の観点から発行されるものがあり、家きん肉や肉製品には後者の公的証明書が求められます。公的証明書(衛生証明書や獣医検疫証明書)の様式は、実施規則 (EU) No 2020/2235で規定されるもの使用することになります。
公的管理・国境管理所におけるチェック
「欧州委員会委任規則 (EU) 2022/2292により、第三国からEUに輸入されるヒトの消費 を目的とする動物および製品に課される要件が規定され、動物由来食品に関する現行の衛生要件(規則 (EC) No 853/2004)との整合が図られています。動物検疫の手続きなどについては、規則(EU)2017/625および関連規則に規定されています。
なお、実施規則2019/627 第45条(a)~(u)に規定される「生鮮肉として適さない要件」の場合、「ヒトの消費用の生鮮肉として適合しない」と検査官(公式獣医師)が宣言するとしています。
動物検疫は、
  1. 文書検査(衛生証明書などの必要書類の確認、輸入条件への適合状況の確認など)、
  2. 同一性検査(貨物が提出書類と対応しているかの確認)、
  3. 現物検査(官能検査、簡単な化学検査、ラボラトリー検査)の3段階により行われます。(1)の文書検査において、衛生証明書は必ず原本でなければならず、コピーやファックスは認められません。また、(3)の現物検査については、過去の違反事例や健康被害リスクなどを踏まえ、検査官が必要と判断した場合に実施されます(家きん肉など生鮮肉の現物検査の確率は3割となっています)。動物検疫の結果、輸入条件に適合することが確認されると、検査官から「共通衛生入域文書(CHED)」が発行され、貨物を国境検疫所から移動させることができます。
これら動物検疫上の検査に加えて、ほかのEU規制についても、適合状況を併せて検査される場合があります。なお、公的管理とは、次の各分野に関するEU 法令・その他のルールへの適合をEU加盟国当局が統一に管理することを指します。
  1. 食品安全、生産・加工・流通のあらゆる段階における食品の完全性および健全性、食品と接触する素材および製品(Food Contact Materials、食品包材やキッチン用品など) の製造と使用
  2. 食品または飼料の生産を目的とする遺伝子組み替え作物の環境への意図的導入
  3. 飼料の生産、加工および流通のあらゆる段階における安全
  4. 動物衛生に関する要件
  5. 動物副産物に由来するヒトや動物の健康へのリスクの予防・削減
  6. 動物福祉に関する要件
  7. 植物病害虫に対する保護措置(植物衛生)
  8. 植物保護製品(農薬)の販売および使用、農薬の持続可能な使用に関する要件
  9. 有機製品および有機製品のラベル表示
  10. 原産地呼称保護、地理的表示保護(GI)および伝統的特産品保証の使用とラベル表示
いずれの検査についても、要した費用は請求されます。
また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回繰り返した場合は、欧州委員会は第三国の発送国の当局に対して、必要な調査と是正が要請されます。
公的管理の新制度については、ジェトロ「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年8月)」も参照してください。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会 保健衛生・食の安全総局(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
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委任規則 (EU) 2022/2292(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No853/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2022/2293 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU) 2021/404 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2021年8月)」

4. 販売許可手続き

調査時点:調査時点:2023年1月

食品事業者は、EUの衛生法または加盟国法に従い動物性由来の原材料を含む食品を取り扱う場合、第一次産業、家庭用消費を除き、管轄当局により各施設の登録、通知、または承認を受けることが義務付けられている場合があります(「一般食品に関する衛生規則」規則 (EC) No 852/2004第6条ならびに「動物性食品に関する衛生規則」規則 (EC) No 853/2004第4条)。

例えば、フランスの場合、個人消費者向けの小売りについては申請(Déclaration)を様式CERFA 13984 の「Section 2 ACTIVITÉS DE COMMERCE OU DE PRODUCTION FERMIÈRE(商行為または農産物の生産)」の欄に必要事項を記入して、管轄地域の住民保護局 (DDPP : 競争・消費・不正抑止局DGCCRFに管轄される衛生面の監督局)に申請をする必要があります。
と畜場、肉加工業者の施設に加えて、業務用食品卸売店に関しても、施設の衛生認定義務(Agrément sanitaire)があり、CERFA 13983を送付し、住民保護局により認可を取得する必要があります。ただし、取り扱う販売量や販売形態により、申請(Déclaration)で済む場合もあるので最寄りの住民保護局に確認をしてください。

なお、レストランの場合であっても、動物性食品を取り扱う場合は、事業を開始する前に、住民保護局に申告をする必要があります。所定の様式 「CERFA 13984」の「Section 1 – ACTIVITÉS DE RESTAURATION(外食事業)」に必要事項を記入して郵送するか、オンラインで申請をします。
この申請は、宅配サービス、遠隔販売(オンライン販売)、フードトラック、慈善活動、自宅で調理した料理の提供、公共給食の場合においても同様に必要となります。

例えば、規則 (EC) No 543/2008ならびに規則 (EU) No 1308/2013 (ANNEX VII第V章)に規定されるとおり、家きん肉には推奨される保管温度(販売時の陳列を含む)を記載する必要があります。

また、家きん肉の切り身の販売基準(販売名)に関しては、規則 (EC) No 543/2008 第1条に規定されており、本規則のANNEX Iに加盟国言語での販売名が記載されています。

表 12 鶏肉の切り身の販売基準(販売名)の一部
half 胸骨と背骨に沿って平面で縦方向に切断された枝肉の半分
quarter ハーフをさらに横方向にカットした四分の一の脚または胸
Breast(骨付き胸肉) 胸骨とリブ(肋骨)またはその一部が、周囲の筋肉組織の周りや両側についており、胸全体または半分にカットして販売されている
breast fillet (骨なし胸肉) 胸全体または半分にカットされた骨抜きのもの
leg (骨付きもも肉) 大腿骨、脛骨、および腓骨のまわりの筋肉で、関節(の接合部)でカットされている
chicken leg with a portion of the back(鶏もも肉と背の一部) 背の部分の重量は、全体の重量の 25% を超えないこと
Thigh(上もも肉) 大腿骨のまわりの筋肉で、関節(の接合部)でカットされている

その他、販売時の家きん肉(鶏肉)の名称などに関しては、「食品関連の規制」の「1. 食品規格」および「6. ラベル表示」の項も確認してください。

関連リンク

根拠法等
実施規則 (EU)No1337/2013(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EC) No543/2008(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則 (EU) No1308/2013(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No178/2002(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No852/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) No853/2004 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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動物性食品市場の施設の衛生認定にかかる2006年6月8日のアレテ(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

5. その他

調査時点:調査時点:2023年1月

なし

EUの輸入関税等

1. 関税

調査時点:2023年1月

EUは域外共通関税制度の下、域外からの輸入品の関税率は域内各国で一律となっています。 関税および統計的分類表、ならびに共通関税率に関する欧州理事会規則 (EEC) No 2658/87では、共通関税を設定するために合同関税品目分類表(CN)とよばれる物品の分類表を設定しており、これはHSコードに相当します。そのため、合同関税品目分類表のCNコードから該当する品目の関税率を特定する必要があります。

また、2019年2月から、日本からEUへの輸出品は、日EU経済連携協定(以下「日EU・EPA」)の適用対象となります。「日EU・EPA」適用後の関税率は次の表のとおりです。

「日EU・EPA」の適用を受けるには、当該輸出品の原産地が日本である旨を証明する原産地証明が必要となります。「日EU・EPA」では、自己申告による原産地証明制度が採用されており、輸出者、輸入者のいずれかが、自ら原産地を証明することになります。原産地証明に関する詳細は、税関のポータルサイトで確認することができます。また、商品に非日本産原料が含まれており、原産地の判断が困難な場合は、事前教示の制度により、税関当局に照会することができます。

表 13 生鮮家きん肉の一部が該当するCNコードと関税率
CNコード/品目 関税率
通常 EPA適用
02 07 11 10
生鮮または冷蔵の鶏(ガルルス・ドメスティクス)の分割していない肉で、頭と足がカットされた「83 % 鶏肉」
26.20ユーロ/100kg 非課税
(0%)
0207.12.90
冷凍の鶏(ガルルス・ドメスティクス)の分割していない肉で、頭と足、首がカットされ、心臓、肝臓、砂肝を取り除いた「65 % 鶏肉」
32.50ユーロ/100kg 非課税
(0%)
0207.13.10
生鮮および冷蔵または冷凍の鶏(ガルルス・ドメスティクス)の骨なしのカット肉
100.24ユーロ/100kg 非課税
(0%)

その他、関税率は、欧州委員会通商総局が提供する「Access2Markets(貿易ヘルプデスク)」や税制・関税同盟総局が提供する「関税検索サイト(TARIC Consultation)」などで検索できます。さらに、「日EU・EPA」の原産地ルールや税率に関しても、「Access2Markets(貿易ヘルプデスク)」で確認することができます。

関連リンク

関係省庁
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規則(EEC) No2658/87(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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税関 EPA原産地規則マニュアルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.6MB)
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ジェトロ「日EU経済連携協定(EPA)/日英包括的経済連携協定(EPA)について」
ジェトロ「日EU・EPA解説書」PDFファイル(9.93 MB)
ジェトロ「原産地証明ナビ」

2. その他の税

調査時点:2023年1月

EUへの輸入には、輸入関税に加え、各国が独自に定める付加価値税(VAT)や物品税が課されます。これらの税率は国によって異なるため、最終消費国ごとに確認する必要があります。なお、VATに関する共通システムに関しては欧州理事会指令2006/112において規定されています。
ドイツの場合は、7%のVATが課されます。フランスの場合は、5.5%のVATが課されます。イタリアの場合は、10%のVATが課されます。オランダの場合は、9%のVATが課されます。

関連リンク

根拠法等
指令2006/112(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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3. その他

調査時点:2023年1月

なし

その他

調査時点:2023年1月

なし