税制

最終更新日:2021年01月15日

法人税

実効税率は25%。要件を満たす中小企業の場合、一定金額(10万ユーロ)以下の所得に対しては、軽減税率が適用される。
また、国内法による配当への源泉税は30%、利子源泉税は30%、ロイヤルティーへの源泉税は30%。
国内法および二国間租税条約による軽減税率の適用あり。

法人税

事業年度2020年・申告年2021年より、法人税率が25%に引き下げられた。危機加算の付加税(2%)が2018年に廃止された。
一定要件を満たす中小企業に対しては、課税所得のうち10万ユーロ以下の部分に関して20%の軽減税率が適用される。10万ユーロを超える部分に関しては、通常の法人税率が適用される。
例えば課税所得が28万ユーロであれば、10万ユーロには20%、残りの18万ユーロには25%がそれぞれ課税され、トータルでの実効税率は標準税率の25%を下回ることになる。

国内法による源泉税

  1. 配当に対する源泉税率は30%。
  2. 利子に対する源泉税率は30%。
  3. ロイヤルティーに対する源泉税率は30%。

二国間租税条約

2019年1月発効の日本とベルギーの2020年1月1日以後の所得や課税事象を対象とする新租税条約に基づき、日本への配当に対する源泉税率は、日本親会社が10%以上の議決権を有する場合は免税、それ以外の場合の最高税率は10%(同条約第10条)。日本に支払う利子への最高税率は10%で、企業間取引の場合は免税(同条約第11条)。ロイヤルティーに対する源泉税率は原則免税(同条約第12条)。

国内法に基づく配当源泉税の免除

次の要件を満たす親会社に対してベルギー法人が支払う配当は、ベルギー国内法に基づき、ベルギー源泉税が免除される。

  1. 資本参加が10%以下で、取得価額250万ユーロ超の持ち分を、少なくとも1年以上継続して保有していること。
  2. EU親子会社指令の附則に記載されるものと類似の法的形態を有していること(日本の株式会社はこれに相当する)。
  3. 欧州経済領域(EEA)内またはベルギーが税務当局間の情報交換を認める条項を含む租税条約を締結した相手国(日本を含む)に設立されていること。
  4. 親会社が設立されている国の租税法、および当該国が第三国と締結した租税条約に則り、親会社が当該国に税務上の居住地を有するものとみなされること。
  5. 親会社が設立されている国において、親会社が特別税制を享受することなく、法人税またはそれと類似する租税の対象となっていること。

その他税制

最少課税ベース、みなし利息控除、イノベーション収入に対する控除、移転価格税、個人所得税(超過累進税率の適用と地方税)、付加価値税(軽減税率あり)、その他特別税など。

最少課税ベース(ミニマム・タックス・ベース)

申告年2019年より、課税所得が100万ユーロを超える企業を対象に、最少課税ベース(ミニマム・タックス・ベース)という新たな制度が導入された。この制度は、課税所得のうち100万ユーロを超える部分に対し、特定の税控除を適用する場合、最大70%という上限を設けるものである。対象となる税控除には、繰越欠損金、過年度からの繰越控除(投資控除を除く)、当年度のみなし利息控除が含まれる。この制度により、課税所得のうち100万ユーロを超える部分の少なくとも30%に関しては、未使用の所得控除の項目・残高が残っている場合でも所得控除が利用できず、課税対象になる。

みなし利息控除

自己資本の増分の一定割合を法人所得から控除できる制度。

  1. みなし利息控除の対象:ベルギー法人税の対象となるすべてのベルギー法人ならびに外国法人。
  2. みなし利息控除額の計算:(当該年度末の自己資本-5事業年度前の年度末の自己資本)÷5×適用利率
  3. 2021課税年度(申告年2022年)の適用利率:0%未満(中小企業0.34%)
    ただし、適用利率は変更される可能性がある。

イノベーション収入に対する控除

一定要件を満たす知的財産から得られる所得に関し、その85%を課税所得から控除できる。

  • 特許権に加え、ソフトウェア・ライセンス等も控除対象。
  • 純利益に基づき計算。また、経済開発協力機構(OECD)の「BEPS(税源浸食と利益移動;Base Erosion and Profit Shifting)行動計画」が提唱する、ネクサス・アプローチ(納税者が知的財産関連所得の便益を享受できる手法)に従う。

報酬が不十分な場合の税額加算

中小法人において、取締役(個人)に対し、最低4万5,000ユーロの報酬(法人の課税所得が4万5,000ユーロ未満の場合は課税所得と同額の報酬、一部例外あり)を支払うことができない場合は、軽減税率の適用が受けられなくなる。

移転価格税制

次のいずれかの基準に該当する法人または多国籍企業の恒久的施設に対しては、「BEPS行動計画」に基づき、マスター・ファイルおよびローカル・ファイルの作成、これらのファイルの税務当局への提出が義務付けられる。

  1. 営業収益と財務収益の合計が5,000万ユーロ以上
  2. 総資産が10億ユーロ以上
  3. フルタイム換算の年間平均従業員数が100名以上

移転価格文書の提出期限は、マスター・ファイルは事業年度終了後12カ月以内、ローカル・ファイルは法人税の申告と同時期(事業年度終了後約6カ月)。
さらに、売上高が7億5,000万ユーロを超える多国籍企業には、国別報告書の提出が義務付けられる。ただし、ベルギー以外の国に所在する親会社が、所在国で国別報告書を提出する場合には、ベルギー法人による提出は不要となる。その場合、ベルギー法人は、国別報告書を提出する親会社の名称、所在国等について、事業年度終了日までに届け出る必要がある。

租税回避防止指令の導入(申告年度2020年より)

  1. 利子損金算入制限規定
    支払利息は300万ユーロ、または償却前営業利益(EBITDA)の30%のいずれか高い金額までが控除可能となる。
  2. 子会社合算課税規定(Controlled Foreign Company
    配当等の利益還流がない場合であっても、ベルギーに所在する親会社が一定要件(*)を満たす場合、低税率国に所在する海外子会社の利益に対して課税される。
    * 海外子会社の議決権付株式の過半数を所有し、かつ海外子会社所在当該国にて法人税が課されない、もしくはベルギーにおける法人税率の半分以下である等。

連結納税制度

申告年2020年より適用。連結納税の対象となる企業との資本関係が90%以上あり、当該企業がEEA内に所在する等の条件を満たす場合、連結ベースでの利益に対してのみ課税される。なお、本制度は、企業グループ会社間で利益を振り替える「損益振替型」の制度である。

資本再建準備金

資本を新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで回復させることを目的とする。課税年度2021~2023年における利益の一部が控除対象となり、税負担を低減させ、自己資本の健全化を図る。
控除可能な金額は、2020年度における営業損失額内で、最大2,000万ユーロまで。
ただし、適正な自己資本水準および雇用維持が遵守されることが条件。例えば、減資、配当支払、または清算があった場合、当該金額は課税対象となる。
また、2020年以降の課税年度の人件費は、2019年に支払われた人件費の85%以上に保たれる必要がある。
なお、タックスヘイブンに所在する企業に直接資本参加している企業、またはタックスヘイブンへ一定の支払いを行う企業は本制度の適用除外となる。

個人所得税

課税所得に応じ、25~50%の4段階の税率による累進課税が適用される。さらに、所得税額の最大9.0%に地方税が加算される。

年間課税所得(申告年2021年)
課税所得 税率
13,440ユーロ以下 25%
13,440超~23,720ユーロ以下 40%
23,720超~41,060ユーロ以下 45%
41,060ユーロ超 50%

課税所得の所得区分ごとに、それぞれの税率が適用される。
例えば、課税所得が4万5,000ユーロであれば、4万1,060ユーロまでは各所得区分ごとの税率が適用され、計1万5,275ユーロが税額となる。4万1,060ユーロを超える部分(3,940ユーロ)に対しては50%の税率が適用され、1,970ユーロとなる。
従って、4万5,000ユーロの所得がある個人に対しては、1万5,275+1,970ユーロの計1万7,245ユーロの所得税が課せられる。さらに、所得税額の0~9%の地方税(非居住者は一律7%)が加算される。

一時的にベルギーで勤務する外国企業の社員に対しては、特別優遇税制が適用可能となるため、ベルギーを源泉とする所得のみが課税対象になる。ベルギー国外の出張で発生した給与や諸手当は、課税所得から控除される。控除可能な手当は、主に出張の日当や引越手当などであり、年間の限度額は1万1,250ユーロである。

付加価値税(VAT)

標準税率は21%。食料品・非アルコール飲料・書籍・医薬品などの基本的必需品には、6%の軽減税率が適用される。ただし、一部に軽減税率の対象外となる品目がある。
また、レストラン・サービス、マーガリン、民間低所得公営住宅を含む特定の財・サービスには、12%の軽減税率が適用される。
さらに、新聞、輸出、医療サービス、教育サービスなどは、課税が免除される。

新型コロナウイルス感染拡大による付加価値税(VAT)の一時的な救済措置として、ワクチンや検査キットの供給と輸入、新型コロナウイルス感染患者に対する医療補助装置および関連医療サービスは免税扱いとなる。当該措置は2021年1月1日から2022年12月31日まで適用される。

不動産賃貸に関するVAT制度

2019年1月1日より、2018年10月1日以降に新たに建設された倉庫を除く建物に対して、商業用不動産賃貸料に関する選択的VAT制度が適用開始となった。以前は、建物の賃貸料に係るVATは、いくつかの例外を除いて免除されている一方、賃貸目的の建物の建設または取得の際に支払われたVATは、VAT控除の対象となっておらず、企業活動における不利益が存在していた。
本制度導入により、貸主側は、建物の建設または取得費用に対して支払われたVATを控除することが可能となった。なお、テナント側は、課税対象者であれば賃貸料におけるVATを控除することが可能となるため、結果としてコスト増加の影響はない。

日EU経済連携協定(EPA)

2019年2月1日、日本およびEU間におけるEPAが施行された。本協定に基づき、所定の手続きを取ることにより、両国を原産地とする物品に関する関税の多くが撤廃される。また、適用範囲は、様々な役務提供、特定の金融サービス、通信、電子商取引や運輸業にまで展開された。

その他特別税

  • 不動産の譲渡に際しては、譲渡価格の12.5%(フランダース地域のみ10%)相当の登録税が課税される。
  • ブローカー経由の株式の売買に対しては標準税率0.35%(取引1回当たりの上限1,600ユーロ)が、公債の売買に対しては0.12%(同上限1,300ユーロ)が、証券取引税として、それぞれ課税される。新規株式公開(Initial Public Offering:IPO)の取引については非課税。
    なお、海外の金融機関を介した取引に関しても、証券取引税の課税対象となる。