税制

最終更新日:2019年01月30日

法人税

実効税率は29.58%。要件を満たす中小法人の場合、一定金額(10万ユーロ)以下の所得に対しては、軽減税率が適用される。
また、国内法による配当への源泉税は30%、利子源泉税は30%、ロイヤルティーへの源泉税は30%。
国内法および二国間租税条約による軽減税率の適用あり。

法人税

法人税の標準税率は、申告年2019年(2018年1月1日以降に開始する事業年度)より、従来の33%から29%に改正された。これに付加税2%(法人税と同様に、従来の3%より改正)が課税されるため、実効税率は29.58%となる。
さらに、申告年2021年より法人税率を25%に引き下げ、付加税を廃止する改正が予定されている。

一定要件を満たす中小法人に対しては、課税所得のうち10万ユーロ以下の部分に関して20.40%の軽減税率(付加税含む)が適用される。10万ユーロを超える部分に関しては、通常の法人税率が適用される。
例えば課税所得が28万ユーロであれば、10万ユーロには20.40%、残りの18万ユーロには29.58%がそれぞれ課税され、トータルでの実効税率は標準税率の29.58%を下回ることになる。

国内法による源泉税

  1. 配当に対する源泉税率は30%。
  2. 利子に対する源泉税率は30%。
  3. ロイヤルティーに対する源泉税率は30%。

二国間租税条約

日本とベルギーの間で締結された二国間租税条約に基づき、日本への配当に対する源泉税率は15%または5%。また、日本に支払う利子・ロイヤルティーに対する源泉税率は10%。

配当の受領者が日本国居住者であり、かつ当該配当の支払日に先立つ6カ月の期間を通じ、当該配当を支払う法人の議決権のある株式のうち少なくとも25%を保有する法人の場合、源泉税率は5%に軽減される。そうでない場合の軽減税率は15%。

国内法に基づく配当源泉税の免除

ただし、次の要件を満たす親会社に対してベルギー法人が支払う配当は、ベルギー国内法に基づき、ベルギー源泉税が免除される。

  1. 配当時に、配当を支払うベルギー法人の株式資本の10%以上または取得価額250万ユーロ超の持ち分を、継続して1年以上保有しているか、保有する意思があること。
  2. EU親子会社指令の附則に記載されるものと類似の法的形態を有していること(日本の株式会社はこれに相当する)。
  3. EU域内またはベルギーが税務当局間の情報交換を認める条項を含む租税条約を締結した相手国(日本を含む)に設立されていること。
  4. 親会社が設立されている国の租税法、および当該国が第三国と締結した租税条約に則り、親会社が当該国に税務上の居住地を有するものとみなされること。
  5. 親会社が設立されている国において、親会社が特別税制を享受することなく、法人税またはそれと類似する租税の対象となっていること。

二国間租税条約の改正

2016年10月12日、日本国政府とベルギー王国連邦政府の間で、次の内容を含む新たな租税条約が署名された。
本租税条約は、2018年12月にベルギー議会において最終的に承認され、2020年1月1日より適用開始となる。

  1. 配当に対する源泉税については、配当の受領者が、配当を支払う法人の議決権の10%以上を6カ月以上保有する場合には、免除される。それ以外の場合の源泉税率は10%。
  2. 利子に対する源泉税については、一方の国の法人から他方の国の法人に支払われる場合、免税となる。
  3. ロイヤルティーに対する源泉税は、免税となる。

その他税制

最少課税ベース、みなし利息控除、イノベーション収入に対する控除、移転価格税、個人所得税(超過累進税率の適用と地方税)、付加価値税(軽減税率あり)、その他特別税など。

最小課税ベース(ミニマム・タックス・ベース)

申告年2019年より、課税所得が100万ユーロを超える企業を対象に、最少課税ベース(ミニマム・タックス・ベース)という新たな制度が導入された。この制度は、課税所得のうち100万ユーロを超える部分に対し、特定の税控除適用に対して、最大70%という上限を設けるものである。対象となる税控除には、繰越欠損金、過年度からの繰越控除(投資控除を除く)、当年度のみなし利息控除が含まれる。この制度により、課税所得のうち100万ユーロを超える部分の少なくとも30%に関しては、未使用の所得控除の項目・残高が残っている場合でも所得控除が利用できず、課税対象になる。

みなし利息控除

自己資本の増分(増資+留保利益の増分)の一定割合(10年償還国債の利率と同水準)を、株主に対する支払い利息とみなし、法人所得から控除できる制度。年度による変動を避けるため、控除金額の計算には、過去5年間における10年償還国債の利率の平均値を用いる。従来、本制度の控除金額は自己資本の残高を対象に計算していたが、申告年2019年より、資本の増分のみを対象とするよう改正された。

  1. みなし利息控除の対象:ベルギー法人税の対象となるすべてのベルギー法人ならびに外国法人。
  2. みなし利息控除額の計算:(当該年度末の自己資本-5事業年度前の年度末の自己資本)÷5×適用利率
  3. 2018課税年度(申告年2019年)の適用利率:0.746%(中小法人1.246%)
    ただし、適用利率は変更される可能性がある。

イノベーション収入に対する控除

一定要件を満たす知的財産から得られる所得に関し、その85%を課税所得から控除できる制度。従来の特許権収入に関する優遇制度に代わり、2016年7月1日付で現行制度が導入された。旧制度からの主な変更点は、次のとおり。

  • 特許権に加え、ソフトウェア・ライセンス等も控除対象に追加する。
  • 控除の対象を、収入(グロス)から所得(ネット)に変更する。
  • 経済開発協力機構(OECD)の「BEPS(税源浸食と利益移動;Base Erosion and Profit Shifting)行動計画」が提唱する、ネクサス・アプローチ(納税者が知的財産関連所得の便益を享受できる手法)を導入する。
  • 控除の率を、80%から85%に変更する。

報酬が不十分な場合の税額加算

法人の規模に関わらず、少なくとも1名の取締役(個人)に対し、最低4万5,000ユーロの報酬(法人の課税所得が4万5,000ユーロ未満の場合は課税所得と同額の報酬、一部例外あり)を支払うことが義務付けられている。これに違反した場合、最低報酬金額と実際の報酬金額との差額の5%が、通常の法人税とは別に徴収される。申告年2021年より、この5%は10%に改正される予定である。
中小法人がこの要件を満たせない場合は、軽減税率の適用が受けられなくなる。

移転価格税制

次のいずれかの基準に該当する法人または多国籍企業の恒久的施設に対しては、「BEPS行動計画」に基づき、マスター・ファイルおよびローカル・ファイルの作成、これらのファイルの税務当局への提出が義務付けられる。

  1. 営業収益と財務収益の合計が5,000万ユーロ以上
  2. 総資産が10億ユーロ以上
  3. フルタイム換算の年間平均従業員数が100名以上

移転価格文書の提出期限は、マスター・ファイルは事業年度終了後12カ月以内、ローカル・ファイルは法人税の申告と同時期(事業年度終了後約6カ月)。
さらに、売上高が7億5,000万ユーロを超える多国籍企業には、国別報告書の提出が義務付けられる。ただし、ベルギー以外の国に所在する親会社が、所在国で国別報告書を提出する場合には、ベルギー法人による提出は不要となる。その場合、ベルギー法人は、国別報告書を提出する親会社の名称、所在国等について、事業年度終了日までに届け出る必要がある。

租税回避防止指令の導入(申告年度2020年より)

  1. 利子損金算入制限規定
    支払利息は300万ユーロ、または償却前営業利益(EBITDA)の30%のいずれか高い金額までが控除可能となる。
  2. 子会社合算課税規定(Controlled Foreign Company
    配当等の利益還流がない場合であっても、ベルギーに所在する親会社が一定要件(*)を満たす場合、低税率国に所在する海外子会社の利益に対して課税される。
    * 海外子会社の議決権付株式の過半数を所有し、かつ海外子会社所在当該国にて法人税が課されない、もしくはベルギーにおける法人税率の半分以下である等

連結納税制度

申告年度2020年より、連結納税の対象となる企業との資本関係が90%以上ある、当該企業はEEA内に所在する等の条件を満たす場合、連結ベースでの利益に対してのみ課税されるようになる。なお、本制度は、企業グループ会社間で利益を振り替える「損益振替型」の制度となる見込みである。

個人所得税

課税所得に応じ、25~50%の4段階の税率による累進課税が適用される。さらに、所得税額の0~9%の地方税が加算され、非居住者については、一律7%の地方税が課せられる。

年間課税所得(申告年2019年)
課税所得 税率
12,990ユーロ以下 25%
12,990超~22,290ユーロ以下 40%
22,290超~39,660ユーロ以下 45%
39,660ユーロ超 50%

課税所得の所得区分ごとに、それぞれの税率が適用される。
例えば、課税所得が4万5,000ユーロであれば、3万9,660ユーロまでは各所得区分ごとの税率が適用され、計1万4,784ユーロが税額となる。3万9,660ユーロを超える部分(5,340ユーロ)に対しては50%の税率が適用され、2,670ユーロとなる。
従って、4万5,000ユーロの所得がある個人に対しては、1万4,784+2,670ユーロの計1万7,454ユーロの所得税が課せられる。さらに、所得税額の0~9%の地方税(非居住者は一律7%)が加算される。

一時的にベルギーで勤務する外国企業の社員に対しては、特別優遇税制が適用可能となるため、ベルギーを源泉とする所得のみが課税対象になる。ベルギー国外の出張で発生した給与や諸手当は、課税所得から控除される。控除可能な手当は、主に出張の日当や引越手当などであり、年間の限度額は1万1,250ユーロである。

付加価値税(VAT)

標準税率は21%。食料品・非アルコール飲料・書籍・医薬品などの基本的必需品には、6%の軽減税率が適用される。ただし、一部に軽減税率の対象外となる品目がある。
また、レストラン・サービス、マーガリン、タイヤ、石炭を含む特定の財・サービスには、12%の軽減税率が適用される。
さらに、新聞、輸出、医療サービス、教育サービス、証券仲介業などは、課税が免除される。

不動産賃貸に関するVAT制度

2019年1月1日より、2018年10月1日以降に新たに建設された倉庫を除く建物に対して、商業用不動産賃貸料に関する選択的VAT制度が適用開始となった。建物の賃貸料に係る付加価値税(VAT)は、いくつかの例外を除いて免除されている。一方で、賃貸目的の建物の建設または取得の際に支払われたVATは、VAT控除の対象となっておらず、企業活動における不利益が存在していた。
本制度導入により、貸主側は、建物の建設または取得費用に対して支払われたVATを控除することが可能となる。なお、テナント側は、課税対象者であれば賃貸料におけるVATを控除することが可能となるため、結果としてコスト増加の影響はなくなる。

日EU経済連携協定(EPA)

2019年2月1日より、日本およびEU間におけるEPAが施行される。本協定に基づき、所定の手続きを取ることにより、両国を原産地とする物品に関する関税の多くが撤廃される。また、適用範囲は、様々な役務提供、特定の金融サービス、通信、電子商取引や運輸業にまで展開される。

その他特別税

  • 不動産の譲渡に際しては、譲渡価格の12.5%(フランダース地域のみ10%)相当の登録税が課税される。
  • ブローカー経由の株式の売買に対しては、標準税率0.35%(取引1回当たりの上限1,600ユーロ)が、公債の売買に対しては、軽減税率0.12%(同上限1,300ユーロ)の証券取引税が、それぞれ課税される。新規株式公開(Initial Public Offering:IPO)の取引については非課税。
    なお、海外の金融機関を介した取引に関しても、証券取引税の課税対象となる。

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