税制

最終更新日:2026年01月13日

法人税

実効税率は25%。要件を満たす小規模事業者の場合、一定金額(10万ユーロ)以下の所得に対しては、軽減税率が適用される。
また、国内法による配当への源泉税は30%、利子源泉税は30%、ロイヤルティーへの源泉税は30%。
国内法および二国間租税条約による軽減税率の適用あり。

法人税

一定要件を満たす小規模事業者に対しては、課税所得のうち10万ユーロ以下の部分に関して20%の軽減税率が適用される。10万ユーロを超える部分に関しては、通常の法人税率が適用される。
例えば課税所得が28万ユーロであれば、10万ユーロには20%、残りの18万ユーロには25%がそれぞれ課税され、トータルでの実効税率は標準税率の25%を下回ることになる。

なお、直近2年間において以下基準に2つ以上該当しない場合、小規模事業者として認定される。

  1. 従業員の年間平均数:50人以上
  2. 年間売上高:1,125万ユーロ以上
  3. 総資産:600万ユーロ以上

世界共通の最低法人税率導入

2022年12月にEUで採択された理事会指令2022/2523に基づき、国内法を整備し、2024年(2023年12月31日以降に開始する会計年度)から、売上高が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業およびベルギーの大企業に対し、世界共通の最低法人税率15%を導入。

国内法による源泉税

  1. 配当に対する源泉税率(基本税率)は30%。
  2. 利子に対する源泉税率(基本税率)は30%。
  3. ロイヤルティーに対する源泉税率は15~30%。

二国間租税条約

2019年1月発効の日本とベルギーの2020年1月1日以後の所得や課税事象を対象とする新租税条約に基づき、日本への配当に対する源泉税率は、日本親会社が10%以上の議決権を有する場合は免税、それ以外の場合の最高税率は10%(同条約第10条)。日本に支払う利子への最高税率は10%で、企業間取引の場合は免税(同条約第11条)。ロイヤルティーに対する源泉税率は原則免税(同条約第12条)。

国内法に基づく配当源泉税の免除

次の要件を満たす親会社に対してベルギー法人が支払う配当は、ベルギー国内法に基づき、ベルギー源泉税が免除される。

  1. 資本参加が10%以上で、取得価額250万ユーロ超の持ち分を、少なくとも1年以上継続して保有していること。
  2. EU親子会社指令の附則に記載されるものと類似の法的形態を有していること(日本の株式会社はこれに相当する)。
  3. 欧州経済領域(EEA)内またはベルギーが税務当局間の情報交換を認める条項を含む租税条約を締結した相手国(日本を含む)に設立されていること。
  4. 親会社が設立されている国の租税法、および当該国が第三国と締結した租税条約に則り、親会社が当該国に税務上の居住地を有するものとみなされること。
  5. 親会社が設立されている国において、親会社が特別税制を享受することなく、法人税またはそれと類似する租税の対象となっていること。

親会社がベルギー法人に対して10%の持分を有していない場合であっても、その持分の取得価額が250万ユーロを超える場合には、他の要件(前記2.~5.)を満たし、かつ当該持分が少なくとも1年間保有されてることに加え、源泉税が親会社側において控除または還付されない限り、免税が適用される可能性がある。なお、これは免除要件を満たすことが確認できる証明書の提出など、定められた手続きを行う必要がある。

その他税制

最少課税ベース、みなし利息控除、イノベーション収入に対する控除、移転価格税、個人所得税(超過累進税率の適用と地方税)、付加価値税(軽減税率あり)、その他特別税など。

最少課税ベース(ミニマム・タックス・ベース)

課税所得のうち100万ユーロを超える部分に対し、特定の税控除を適用する場合、最大70%を上限とする制度。対象となる税控除には、繰越欠損金、過年度からの繰越控除(投資控除を除く)が含まれる。この制度により、課税所得のうち100万ユーロを超える部分の少なくとも30%に関しては、未使用の所得控除の項目・残高が残っている場合でも所得控除が利用できず、課税対象になる。

イノベーション収入に対する控除

一定要件を満たす知的財産から得られる所得に関し、その85%を課税所得から控除できる。

  1. 特許権に加え、ソフトウエア・ライセンス等も控除対象。
  2. 純利益に基づき計算。また、経済開発協力機構(OECD)の「BEPS(税源浸食と利益移動;Base Erosion and Profit Shifting)行動計画」が提唱する、ネクサス・アプローチ(納税者が知的財産関連所得の便益を享受できる手法)に従う。

報酬が不十分な場合の税額加算

中小法人において、取締役(個人)に対し、最低4万5,000ユーロの報酬(法人の課税所得が4万5,000ユーロ未満の場合は課税所得と同額の報酬、一部例外あり)を支払うことができない場合は、軽減税率の適用が受けられなくなる。

投資税額控除

事業活動に利用することを目的として新規で取得した有形または無形資産は、特定の条件下において、その取得価額もしくは投資価額の一定割合または年間の減価償却費用の一定割合を課税所得から控除することができる。投資控除の利率はその資産に応じて異なり、申告年度2026年から、以下のいずれか1つの控除のみが適用される。

  1. 基本控除:10%(小規模事業者にのみ適用)
    ただし、環境に有害な物質に関連する、またはそれらを使用する事業活動によって取得された固定資産には、適用されない(二酸化炭素排出を実質的に伴わない代替手段が存在しない場合を除く)。
  2. テーマ別控除:40%
    以下の「テーマ」に該当する投資が対象。
    1. エネルギー効率化および再生可能エネルギーへの投資
    2. カーボンフリー輸送への投資
    3. 環境に配慮した投資
    4. デジタル支援への投資(a.~c.の3つの実現に資するもの)

    なお、当該投資が環境に対して損害を与える場合には、この控除は認められない。

  3. テクノロジー控除:13.5%
    以下に関する投資が対象。
    1. 特許権
    2. 新製品および先端技術に関する研究開発で環境に影響を与えないもの、または既存の製品・技術による環境への悪影響を最小化するもの

移転価格税制

次のいずれかの基準に該当する法人または多国籍企業の恒久的施設に対しては、「利益移転(BEPS)行動計画」に基づき、マスター・ファイルおよびローカル・ファイルの作成、これらのファイルの税務当局への提出が義務付けられる。

  1. 営業収益と財務収益の合計が5,000万ユーロ以上
  2. 総資産が10億ユーロ以上
  3. フルタイム換算の年間平均従業員数が100人以上

移転価格文書の提出期限は、マスター・ファイルは事業年度終了後12カ月以内、ローカル・ファイルは法人税の申告と同時期(事業年度終了後約6カ月)。

国別報告書(Public country-by-country reporting)

EU指令に基づき、2024年6月22日以降の会計年度から、売上高が7億5,000万ユーロを超える、かつ、EU域内で活動し域内に最終親会社を置く多国籍企業は、EU域内での活動に係る税務情報等の開示が義務化された。ただし、ベルギー以外の国に所在する最終親会社が、所在国で国別報告書を提出する場合、ベルギー法人による提出は不要となる。

租税回避防止指令の導入

  1. 利子損金算入制限規定
    支払利息は300万ユーロ、または償却前営業利益(EBITDA)の30%のいずれか高い金額までが控除可能となる。
  2. 子会社合算課税規定(Controlled Foreign Company
    配当等の利益還流がない場合であっても、ベルギーに所在する親会社が一定要件(*)を満たす場合、低税率国に所在する海外子会社の利益に対して課税される。
    * 海外子会社の議決権付株式の過半数を所有し、かつ海外子会社所在当該国にて法人税が課されない、もしくはベルギーにおける法人税率の半分以下である等。

連結納税制度

連結納税の対象となる企業との資本関係が90%以上あり、当該企業がEEA内に所在する等の条件を満たす場合、連結ベースでの利益に対してのみ課税される。なお、本制度は、企業グループ会社間で利益を振り替える「損益振替型」の制度である。

個人所得税

課税所得に応じ、25~50%の4段階の税率による累進課税が適用される。さらに、居住地に応じて、所得税額に対して最大9.0%の地方税が加算される。

年間課税所得(申告年2026年)
課税所得 税率
16,320ユーロ以下 25%
16,320超~28,800ユーロ以下 40%
28,800超~49,840ユーロ以下 45%
49,840ユーロ超 50%

課税所得の所得区分ごとに、それぞれの税率が適用される。
例えば、課税所得が6万ユーロであれば、4万9,840ユーロまでは各所得区分ごとの税率が適用され、計1万8,540ユーロが税額となる。4万9,840ユーロを超える部分(1万160ユーロ)に対しては50%の税率が適用され、5,080ユーロとなる。
従って、6万ユーロの所得がある個人に対しては、1万8,540+5,080ユーロの計2万3,620ユーロの所得税が課せられる。さらに、所得税額の0~9.0%の地方税(非居住者は一律7%)が加算される。

2025年12月の法改正により、一時的にベルギーで勤務する外国企業の社員に対する税制上の優遇措置の拡大と要件の緩和が行われた。税制優遇適用の最低給与要件はこれまでの年7万5,000ユーロから年7万ユーロに引き下げられた(研究者には最低給与要件は課されていない)。報酬総額の免税は30%から35%に引き上げられ、上限額の9万ユーロは撤廃された。会計年度2025年から遡及される。また、引越し・学費等、ベルギーで必要な特定経費の控除が可能。

キャピタルゲイン課税

ベルギー連邦政府は金融資産から生じるキャピタルゲインに対して、新たに課税する制度案を国会に提出し、会計年度2026年から適用される見込み。対象は個人(および特定の条件を満たした非営利団体)で、法人は対象外。株式、債券、投資信託などの金融商品、投資要素を含む保険契約、暗号資産、金や通貨、資産の譲渡益(売却益)を課税対象とし、ベルギーから国外移住するケースなども法律上の有償譲渡とみなされ課税対象となる場合もある。課税対象は主に以下の3区分に分かれる。

  1. 内部譲渡
    自身もしくは家族が経営する会社に対して株式を譲渡する場合:税率33%
  2. 重要な持分に関する譲渡

    自身が20%以上の議決権を有する会社の株式を譲渡する場合:
    5年間累計100万ユーロ未満:非課税
    0~250万ユーロ未満:税率1.25%
    250万以上~500万ユーロ未満:税率2.5%
    500万以上~1,000万ユーロ未満:税率5%
    1,000万ユーロ超:税率10%

    EEA(欧州経済領域)域外の事業体への譲渡については16.5%の税率が適用され、5年間で100万ユーロ未満のキャピタルゲインは非課税となる。

  3. その他譲渡

    前述の1.および2.に該当しない場合:税率10%

    年間1万ユーロの非課税枠が設けられ、未使用の非課税枠は最長5年間の繰り越しが可能。金融商品および投資要素を含む保険契約から生じるキャピタルゲインについては、金融機関が源泉徴収義務を負う。
    その他のキャピタルゲインについては個人で所得税申告する必要がある。

付加価値税(VAT)

標準税率は21%。食品、水、医薬品、交通機関には6%、レストラン・サービス、マーガリン、民間低所得公営住宅を含む特定の財・サービスには12%の軽減税率が適用される。
さらに、新聞など一定の条件を満たす定期刊行物は、課税が免除される。2026年、スポーツ・レジャー施設のサービスやテイクアウトの食事、農業用殺虫剤などの税率が引き上げられる予定。

不動産賃貸に関するVAT制度

2019年1月1日から、2018年10月1日以降に新たに建設された倉庫を除く建物に対して、商業用不動産賃貸料に関する選択的VAT制度が適用開始となった。以前は、建物の賃貸料に係るVATは、いくつかの例外を除いて免除されている一方、賃貸目的の建物の建設または取得の際に支払われたVATは、VAT控除の対象となっておらず、企業活動における不利益が存在していた。
本制度導入により、貸主側は、建物の建設または取得費用に対して支払われたVATを控除することが可能となった。なお、テナント側は、課税対象者であれば賃貸料におけるVATを控除することが可能となるため、結果としてコスト増加の影響はない。
一定要件を満たす建物(居住目的で居住空間の床面積が200平方メートル以下等)の解体と再建に係る費用のVATには6%の軽減税率が適用される。

電子インボイス(e-invoicing)の義務化

2026年1月1日から、ベルギー国内のB2B取引を対象に電子インボイス(e-invoicing)の発行が義務化された。国際規格であるPeppol-BIS(Pan European Public Procurement Online - Business Interoperability Specifications)に基づいた電子インボイスが求められるほか、取引先との相互合意があった場合は、EN 16931規格での電子インボイスも認められる。また、VATの還付制度を活用する事業者においても電子インボイスの利用が定められているため、2026年1月1日以降、EU域外の事業者がVAT還付を申請する場合は、ベルギーの事業者より発行される電子インボイスが還付手続きに必要な書類となる。

日EU経済連携協定(EPA)

2019年2月1日、日本およびEU間におけるEPAが施行された。本協定に基づき、所定の手続きを取ることにより、両国を原産地とする物品に関する関税の多くが撤廃される。また、適用範囲は、様々な役務提供、特定の金融サービス、通信、電子商取引や運輸業にまで展開された。

その他特別税

ブローカー経由の株式の売買に対しては標準税率0.35%(取引1回当たりの上限1,600ユーロ)が、公債の売買に対しては0.12%(同上限1,300ユーロ)が、証券取引税として、それぞれ課税される。新規株式公開(Initial Public Offering:IPO)の取引については非課税。
なお、海外の金融機関を介した取引に関しても、証券取引税の課税対象となる。