日本からの輸出に関する制度

水産物の輸入規制、輸入手続き

台湾の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2024年10月

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う輸入規制

これまで台湾は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、県単位の輸入停止措置を講じていましたが、2024年9月25日に輸入規制措置を緩和しました。

台湾当局は、5県(福島県、茨城県、栃木県、群馬県および千葉県)産のすべての食品(酒類を除く)について、放射性物質検査報告書の添付を求めています。また、すべての日本産食品(酒類を除く)について、産地証明書の添付を求めています。

【放射性物質検査報告書および産地証明書を要求する品目とその産地】
すべての食品(酒類を除く):福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県
【産地証明書を要求する品目とその産地】
すべての食品(酒類を除く):47都道府県
【輸入停止品目とその産地】
原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づき、県、市町村または一部区域からの出荷制限措置がとられている品目
【台湾側の水際検査】
福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県の5県で生産された品目(酒類を除く)については、全ロットに対して水際検査が実施されます。また前述5県以外の 42 都道府県の野菜・果実、水産物、海藻類、乳製品、飲料水、乳幼児用食品、茶葉等は水際検査の結果などに応じて検査頻度を調整すると台湾は発表しています。 詳しくは、関連リンクの農林水産省「台湾の輸入規制措置の概要(令和6年9月25日以降)」を参照してください。

部分水素添加油脂の使用規制

衛生福利部食品薬物管理署(台湾FDA)は2016年4月22日、「食用硬化油の使用規制」を公告し、2018年7月1日(製造日を基準)から施行されました。部分水素化油脂(水素化処理をされているが完全飽和に達せず、ヨウ素価が4を超えるもの)の食品への使用は禁止されています。

原材料の使用規制

「食品原料整合查詢平臺(食品原料統合照会プラットフォーム)」で「未確認安全性尚不得使用之原料(安全性が確認されておらず使用できない原材料)」と分類されている原材料は使用することができません。 「可供食品使用之原料(食品に使用可能な原料)」と分類されている原材料についても、使用制限がある場合がありますので、原材料名のリンク先から備考を確認してください。

関連リンク

関係省庁
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
衛生福利部食品薬物管理署(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品および関連製品輸入検査弁法(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品安全衛生管理法(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
消費者保護法(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
公告「食用硬化油の使用規制」(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ビジネス短信)
衛生福利部食品薬物管理署「台湾FDAによる輸入日本食品の認定に関する規定」(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
衛生福利部食品薬物管理署「輸入検査停止とする日本産食品の品目とその生産・製造地域」(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
衛生福利部食品薬物管理署「特定の日本産食品の輸入に当たって放射性物質検査証明書を添付し、検査機関に検査を申請すべきこと」(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「台湾の輸入規制措置の概要(令和6年9月25日以降)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(100KB)
衛生福利部食品薬物管理署「日本からの輸入食品に対する放射性物質対策」(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
衛生福利部食品薬物管理署「放射性物質検査報告書に関する規則(FDA食字第1041300613号)」(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
衛生福利部食品薬物管理署「日本食品の輸入管制及び放射線検査証明書の調整について」(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
衛生福利部食品薬物管理署「水産品放射線検査対象品目リスト」(中国語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(963KB)
衛生福利部食品薬物管理署「食品原料統合照会プラットフォーム」(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「台湾の輸入規制措置の概要」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(100KB)
水産庁「水産物輸出に関する情報」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
農林水産省「輸出食品等に対する放射性物質に関する検査の実施機関について」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「貿易管理制度」

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2024年9月

水産物の輸出にあたり、輸出者側で必要となる施設登録や輸出事業者登録はありません。輸入通関にあたって輸出者側で用意すべき書類として、次の書類が求められます。

1.産地証明書

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う輸入規制として、次のいずれかの機関が発行する産地証明書が必要です。これらの資料では、「都道府県」の区別を明記することが求められています。

  1. 政府(地方公共団体を含む)(動物検疫証明書、自由販売証明書、衛生証明書なども可)
  2. 政府が授権した機関(商工会議所など)
  3. 業者などが公的機関に確認を受ける

2.放射性物質検査証明書

「1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」を参照してください。
具体的な検査機関については、関連リンクの農林水産省「輸出食品等に対する放射性物質に関する検査の実施機関について」を確認してください。

3.衛生証明書(一部品目のみ)

貝類は衛生証明書の取得が必要です。詳細については、関連リンクの農林水産省「証明書や施設認定の申請」から「台湾向け輸出貝類の取扱要綱」を確認してください。

養殖・飼育用または食用の魚類、甲殻類および貝類のうち、台湾が指定する生きている水産動物については、衛生証明書が必要です。詳細については、関連リンクの「台湾向け輸出水産動物の取扱いについて」を参照してください。

※施設承認および衛生証明書の添付の義務づけについて(2024年9月27日時点)

台湾政府は台湾向けに輸出される水産食品に関し、各輸出国に対して新たな施設認定制度の開始と衛生証明書の添付の義務づけを定め、2024年1月1日から発効することについて、SPS協定(Sanitary and Phytosanitary Measures:衛生と植物防疫のための措置)に基づく通報を行いました。
ただし、本規制の施行は延期されており、施行日は未確定です。

詳細は、関連リンクの「台湾向け輸出水産食品の施設認定及び衛生証明書の添付の義務づけについて」を参照してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2024年9月

日本側での検疫証明書の取得は不要です。
ただし、貝類は衛生証明書の取得が必要です。詳細については、関連リンクの農林水産省「証明書や施設認定の申請」から「台湾向け輸出貝類の取扱要綱」を確認してください。

養殖・飼育用または食用の魚類、甲殻類および貝類のうち、台湾が指定する生きている水産動物については、衛生証明書が必要です。詳細については、関連リンクの「台湾向け輸出水産動物の取扱いについて」を参照してください。

2022年月7月、台湾FDAは「水生動物類製品の輸入規定」の草案を発表しました。同草案によると、食用の魚類、貝類、軟体類およびその他の水生動物製品の輸入手続きに際し、公的な証明書類の添付が必要になります。詳細については、「水生動物類製品の輸入規定(草案)」を確認してください。また、最新の情報は台湾FDAのウェブサイトで確認してください。

台湾での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2024年9月

水産物の輸入に際して、特別の許可、ライセンスの取得、施設登録は必要ありません。 輸入業を行うためには経済部国際貿易局において輸入業者の登録が必要です。また、食品を輸入するためには台湾衛生福利部食品薬物管理署(台湾FDA)に食品輸入業者の登録が求められます。登録には、会社登記、輸入品分類、再包装の有無などについての書類を提出する必要があります。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2024年9月

輸入者は輸入の15日前に輸入港所在地の検査執行機関において、次の書類を書面あるいは電子文書形式で提出し、輸入検査を申請します。

  1. 輸入検査申請書
  2. 輸入製品の基本情報に関する申告用紙
  3. 輸入申告申請書のコピー
  4. 台湾衛生福利部食品薬物管理署(台湾FDA)が求める衛生・安全証明書など

また水産物の輸入通関にあたっては、加えて次の書類が必要になります。

  • 検疫申請書:台湾の農業部動植物防疫検疫署(aphia)に提出
  • 産地証明書:輸入規制「1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」を参照
  • 放射性物質検査証明書:輸入規制「1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」を参照
  • 衛生証明書:輸入規制「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照

そのほか台湾FDAから求められる書類(あれば)

輸入検査申請書が承認されれば、通関手続き(customs clearance)を行います。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2024年9月

検査
台湾に輸入するすべての食品は、輸入食品検査を受けなければなりません。「食品安全衛生管理法」および「食品および関連製品の輸入検査弁法」に基づき、衛生福利部食品薬物管理署が水産物を含むすべての輸入食品について輸入検査を実施します。
検査は必要に応じて、書類審査、現場検査(包装、外観および表示などの点検)および抜き取り検査(実験室での化学・生物・物理的検査などを含む)のいずれかが実施されます。
なお、放射性物質については、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県産品(酒類を除く)に対しては、全ロットに水際検査が実施されます。
また、輸入検査で違反回数が多い品目は、通常のサンプル検査の抽出比率よりも高い抽出比率が適用される「強化サンプル検査」に指定されます。2024年現在、対象となっている水産物はありません。
検疫
農業部動植物防疫検疫署による「検疫が必要な動物品目表」により、輸入時に検疫が必要な品目が定められています。また活魚および魚卵、甲殻類および軟体生物の検疫条件については、動物および動物産品輸入検疫条件の「活魚およびその生殖細胞・受精卵の輸入検疫条件」「生きた甲殻類および軟体動物の輸入検疫条件」により対象魚種、疾病が制定されています。
甲殻類の検疫条件
分類 HSコードおよび輸入検疫条件
甲殻類 その他生鮮または冷蔵のもの(HS03063990203) / F01
その他生きているもの(HS03063990908) / B01、F01
車エビ 生鮮・冷蔵のもの(HS03063620229) / F01
生きているもの(HS03063620210) / B01、F01
そのほかのカニ
(上海ガニを除く)
生鮮・冷蔵のもの(HS03063329991) / F01
生きているもの(HS03063329198) / F01
軟体生物の検疫条件
分類 HSコードおよび輸入検疫条件
軟体生物 その他生きている、生鮮または冷蔵のもの(HS03079190902) / F01
タコ 生きている、生鮮または冷蔵のもの(HS03075100008) / F01
イカ 生鮮・冷蔵のもの(HS03074210204) / F01
生きているもの(HS03074210106) / F01
アワビ その他生きている、生鮮または冷蔵のもの(トコブシを除く)(HS03078121007) / B01、F01
トコブシ 生鮮または冷蔵のもの(HS03078122202) / F01、MW0
生きているもの(HS03078122104) / B01、F01、MW0

F01:「食品および関連製品輸入検査弁法」の規定により、衛生福利部食品薬物管理署に輸入検査申請をする。
B01:農業部動植物防疫検疫署による「検疫が必要な動植物品目表」により、検疫が必要な品目。
MW0:中国大陸から輸入が禁止されている品目

4. 販売許可手続き

調査時点:2024年9月

台湾での水産物の販売に特化した免許や登録はありませんが、水産物の卸売・小売販売は、公正な価格形成と秩序ある商取引を目的とした「農産品市場交易法」の規制を受けます。同法により、卸売市場で卸売商として商取引を行うには卸売商許可証が必要となり、小売市場は直轄市または県市政府の認可が必要です。なお、台湾の農産品の小売販売に重要な役割を果たしている露天商は、出店地の行政当局から認可を受ける必要があります。

5. その他

調査時点:2024年9月

なし

その他

調査時点:2024年9月

なし