清涼飲料水の輸入規制、輸入手続き
品目の定義
本ページで定義する清涼飲料水のHSコード
2202:水(鉱水および炭酸水を含むものとし、砂糖その他の甘味料または香味料を加えたものに限る。)その他のアルコールを含有しない飲料(2009の果実または野菜のジュースを除く。)
関連リンク
- 関係省庁
-
マレーシア関税局(英語)
マレーシアの輸入規制
1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)
調査時点:2020年7月
日本からマレーシアへの清涼飲料水の輸出は可能です。
なお、東日本大震災以降、日本からの食品輸入については、産地証明が必要などの規制がありましたが、2013年3月1日をもって廃止されました。
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2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)
2020年7月
- 施設登録
- 日本製清涼飲料水の場合、日本側の施設登録は不要です。
- 日本側で用意するべき書類
-
日本製清涼飲料水に関しては現在、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う政府作成の産地証明は不要となっています。
経済連携協定(EPA)の適用を受ける場合は、日本商工会議所作成の特定原産地証明書が必要です。詳細は関連リンクの日本商工会議所「EPAに基づく特定原産地証明書発給事業」を参照してください。
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3. 動植物検疫の有無
調査時点:2020年7月
日本からの輸入清涼飲料水については、日本側の検疫証明は不要となっています。 なお、飲むヨーグルトなどの牛乳・乳製品に該当する清涼飲料水は、輸出国政府から輸出許可を認められた施設で加工・包装を行う必要があります。また、輸出にあたっては、輸出国政府が発行する衛生証明書が必要となります。詳細は次のリンクを参照してください。
ジェトロ 農林水産物・食品の輸出支援ポータル:マレーシア 牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続き
マレーシアの食品関連の規制
1. 食品規格
調査時点:2020年7月
清涼飲料水の定義および規格は「1985年食品規則(Food Regulations 1985)」で定められています。 主な清涼飲料水のカテゴリー別の定義と規格は次のとおりです。
清涼飲料水一般の定義・規格は、希釈の有無にかかわらず、人間が消費する飲料としての使用を目的とした飲料であり、牛乳やミルクシェイク、野菜ジュース、フルーツジュース、茶、コーヒー、ココア、およびそれらの関連製品、アルコール添加飲料は含まれません。
- フルーツジュース飲料
- 水と未発酵のフルーツジュース、または未発酵のジュースと果物混合物で構成されたソフトドリンクで、砂糖、ブドウ糖、高果糖ブドウ糖シロップを含む場合もあり、35%以上のフルーツジュースを含まなければならず、炭酸の含有も認める。許可された保存料、着色料、香料、食品調整剤の含有も認める。パッケージのラベルへの記載については、1種類の果物のみで構成されている場合はその果物の名称、複数の種類の果物で構成される場合、「ミックスフルーツジュースドリンク」という名称を用いること。
- フルーツ飲料
- 5%以上のフルーツジュースを含むソフトドリンクで、許可された保存料、着色料、香料、食品調整剤の含有を認める。パッケージのラベル記載については、1種類の果物のみから構成されている場合はその果物の名称、複数の種類の果物で構成される場合、「ミックスフルーツドリンク」という一般的な食品名称を用いること。
- フレーバー飲料
- 水と許可された香料および、砂糖、グルコース、高フルクトースグルコースシロップ、フルーツジュース、ほかの植物性抽出物を含むソフトドリンクで、炭酸の含有を認める。150mg以下のエステルガムと500mg以下のb-シクロデキストリンなどの許可された保存料、着色料、安定剤の含有を認める。また許可された香料としてカフェインを含む植物抽出物を200mg/L以下の割合で含有することができる。
- ソフトドリンクベースまたはソフトドリンクプレミックス
- ラベルに記載されている指示に従って希釈すると、フルーツジュース飲料、フルーツ飲料、またはフレーバー飲料になる液体または固体の食品で、許可された着色料、香料、調整剤を含有することができる。パッケージのラベル については、「フルーツジュースドリンクベース」、「フルーツドリンクベース」、「フレーバードリンクベース」、「フルーツジュースドリンクプレミックス」、「フルーツドリンクプレミックス」、「フレーバードリンクプレミックス」などの単語を用い、場合によってはその材料についての説明を記載する。
- 大豆豆乳
- 正常な大豆、または大豆粉、大豆濃縮物もしくは大豆分離物、またはこれらを組み合わせて製造したもので、塩分、砂糖、植物性物質の含有も認める。タンパク質を2%以上含むものとする。また許可された食品調整剤、香料、保存料の含有を認める。
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2. 残留農薬および動物用医薬品
調査時点:2020年7月
マレーシアでは残留農薬(最大許容残留値、使用禁止農薬)について、「1985年食品規則」(Regulation 41ならびにSIXTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
本規則内で、清涼飲料水については個別の基準値が指定されていませんが、そのような食品に関しては、CODEXが定める基準値に従うものとし、CODEXでも特に定めのない農薬についてはすべて0.01mg/kgの最大許容残留値が適用されます。
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3. 重金属および汚染物質
調査時点:2020年7月
マレーシアで消費されるすべての食品に関する重金属および汚染物質(最大許容残留値)については、「1985年食品規則」(Regulation 38ならびにFOURTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
清涼飲料水に関する重金属(ヒ素、鉛、水銀、カドミウム、アンチモン)の最大残留基準は、それぞれ次のとおりです。
清涼飲料水 | ヒ素 | 鉛 | 水銀 | カドミウム | アンチモン |
---|---|---|---|---|---|
希釈して飲むもの(希釈前の数値) | 0.5 | 1 | 0.05 | 1 | 0.15 |
希釈して飲むもの(希釈前の数値) | 0.1 | 0.2 | 0.05 | 1 | 0.15 |
- 含有禁止の化学物質
- マレーシアではすべての食品に関してβアゴニスト(ラクトパミンを除く)、ニトロフラン、クロラムフェニコールが禁止されています。
- 食品の成分として使用が禁止される物質
- マレーシアで消費されるすべての食品に含有が禁止されている物質については、「1985年食品規則」(Regulation 40ならびにFIFTEENTH A SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
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4. 食品添加物
調査時点:2020年7月
マレーシアで消費されるすべての食品の添加物は、「1985年食品規則」(PART V)に定められています。食品添加物は「食品が有している品質、質感、濃度、外見、匂い、味、アルカリ度または酸性度に影響を与えるために、もしくは食品の製造、加工、調製、処理、梱包、包装、運搬または保存において、その他の技術的な機能を付与するために、意図的に食品に少量導入される、および、その結果、直接的または間接的に当該物質またはその副産物が食品の一成分となるか、なることが合理的に期待される、あらゆる安全な物質をいい、すべての保存料、着色料、香料、風味増強剤、酸化防止剤、食品調整剤などを含むが、栄養強化剤、偶発的成分あるいは塩は含まれない」と定義されており、これらに関する使用については、次のように定められています(Regulation 19)。
- 食品添加物として許可されていない物質は食品添加物として使用してはならない。
- 食品規則で具体的に定められた基準に準拠しない認可食品添加物もまた食品に使用してはならない。
- 食品添加物の食品への添加は、食品規則で認可が明文化されていない限り禁止する。
- 食品に使用される食品添加物は、その最大許容値を超えないこと。
添加物としてのポジティブリストや使用許容値は、食品添加物の種類および対象となる食品ごとに細かく数値が定められています(表参照)。
添加物の種類 | 食品規則 | 付表 |
---|---|---|
保存料 | Regulation 20 | SIXTH SCHEDULE |
抗菌剤 | Regulation 20A | SIXTH(A)SCHEDULE |
着色料 | Regulation 21 | SEVENTH SCHEDULE |
香料 | Regulation 22 | EIGHTH SCHEDULE |
風味増強剤 | Regulation 23 | NINTH SCHEDULE |
酸化防止剤 | Regulation 24 | TENTH SCHEDULE |
食品調整剤 | Regulation 25 | ELEVENTH SCHEDULE |
栄養強化剤 | Regulation 26 | TWELFTH SCHEDULE |
ビフィズス菌 | Regulation 26A | TWELFTH A SCHEDULE |
なお、食品調整剤はさらに次のサブカテゴリーに分類され、基準が整理されています。
- 乳化剤
- 消泡剤
- 安定剤
- 増粘剤
- 加工でん粉
- ゲル化剤
- pH調整剤
- 酵素
- 溶剤
- 光沢剤
- 固化防止剤
栄養素が添加されていない甘味物質は、「1985年食品規則」Regulation 133および第17付則(SHEDULE 17)にて規定されています。
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5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)
調査時点:2020年7月
食品容器に関しては、「1985年食品規則」(PART VI)に次のように定められています。
- 食品包装に使用される梱包材料は、中身の食品に対して有毒、有害なものであってはならず、汚染物質を含まず、食品の劣化を早めるようなものであってはならない。
- 容器にセラミック〔カテゴリーA: 磁器、ボーンチャイナ、ファインチャイナ、溶化磁器その他吸水率が0.4%以下のもの、カテゴリーB: 陶器、せっ器(ストーンウェア)〕を使用する場合は、マレーシア規格(MS:Malaysian Standard)の「MS ISO 6486-1 食品と接触するセラミック容器、ガラスセラミック容器およびガラス食器」に従わなければならない。また、セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量には制限がある(次の表を参照)。
種類 | 単位 | 鉛 | カドミウム |
---|---|---|---|
平らな容器 | mg/dm2 | 0.8 | 0.07 |
深みのある容器(小) | mg/l | 2.0 | 0.5 |
深みのある容器(大) | mg/l | 1.0 | 0.25 |
また、セラミック容器は以下の要件を満たさなければなりません(テスト方法はマレーシア規格MS ISO 6486-1を参照)。
パラメータ | カテゴリーA | カテゴリーB(陶器) | カテゴリーB(せっ器) |
---|---|---|---|
吸水率(%) | 0.4%以下 | 3.0%以上7.0%以下 | 3.0%以下 |
熱衝撃(℃) | 160 | 160 | |
耐チッピング性(J) | |||
プレート直径>220mm | 0.25 | 該当なし | |
プレート直径≦220mm | 0.18 | 該当なし | |
カップ/マグ/ボウル (注ぎ口あり) |
0.10 | 該当なし | |
カップ/マグ/ボウル (注ぎ口なし) |
0.12 | 該当なし | |
クレージング | すべてのテスト片でクレージングがないこと |
- 1キログラムあたり1ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルを利用した容器は禁止されている。
- 1キログラムあたり0.05ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルに梱包された食品の輸入、販売をしてはならない。
- 非食品用に製造された容器を食品用に使用してはならない。
- ナチュラルミネラルウオーターの容器として使用した20リットル以下のポリカーボネート容器を同じ目的で使用することは認められているが、次のa~eのような容器リサイクルは認められていない。
- 何らかの用途として使用された袋を砂糖や小麦粉、その他の粉類の容器として使用すること。
- 何らかの用途として使用されたボトルや金属容器(食用脂や食用油用のサイロやタンカーを除く)を食用脂や食用油の容器として使用すること。
- 豚由来の製品の容器として意図されたもの、あるいは豚由来の製品の容器として使用された容器を非豚由来の製品の容器として使用すること。
- 何らかの用途として使用されたプラスチック容器を、食品の容器として使用すること。
- アルコール類やシャンディ(飲み物)の容器として使用された容器を、それらを除く食品の容器として使用すること
- 次のa~cのような類似用途のための容器リサイクルも認められていない。
- 別の用途として使用されたガラス瓶を牛乳、清涼飲料水あるいはシャンディの容器として使用すること。
- 別の用途で使用された箱や木箱を野菜、魚、果物の容器として使用すること。
- 別の用途で使用された麻袋を精米の容器として使用すること。
- アルコール飲料、シャンディ、野菜、果物のための、次のa、bのような容器のリサイクルは認められる。
- アルコール飲料の容器として使用されたガラス瓶を、シャンディの容器として使用すること(あるいはその逆)。
- 野菜の容器として使用された箱や木箱を、果物の容器として使用すること(あるいはその逆)。
- ある食品の容器として使用されている容器に、それとは別の食品のラベルやマークが表示されていた場合、その容器は以前にそのラベルやマークの食品用途として使用されたものである、と推定する。
- 破損した容器の使用は認められていない。
- 食品の容器の中に玩具やコイン、その他のものを入れてはならない。ただし、食品の無菌状態など食品の望ましい質を保持するためのものや、食品のラベル、酸素を吸収するための還元鉄粉などの同梱は認められている。
- 酸素吸収を目的とした還元鉄粉は、食品に混入し、食品を汚染し、食品の内部に侵入しないよう、小袋に入れ、封をしなければならない。小袋の素材は、次のa~lのうち少なくとも1つ以上を含まなければならない。
- 塩化カルシウム
- 水酸化カルシウム
- 活性炭
- 石膏
- 酸化鉄
- 水酸化マグネシウム
- ステアリン酸マグネシウム
- パーライト
- 塩
- 滑石
- 水
- 沸石
6. ラベル表示
調査時点:2020年7月
清涼飲料水を含めマレーシアで販売する食品の一般的な表示基準(輸入品、国産品に関係なく)は、「1985年食品規則」(PART IV)に定められています。表示項目、言語、文字の大きさや色、賞味期限表示、栄養成分表示、あるいは表示禁止事項など詳細にわたり、ルールが設定されています。
表示が必要な項目は次のとおりです。
- 食品の適切な明示(appropriate designation of the food)、または主成分の一般名を含む食品の説明
- 混合食品または配合食品の場合には、食品に応じて内容物が混合または配合されたものであることを示す文言。
- 食品が牛肉もしくは豚肉、またはその派生物、またはラードを含む場合には、それらに関する記載。
- 食品が添加アルコールを含む場合には、それらに関する記述を、6ポイント以上の大文字かつ太字のサンセリフ書体によって表示。
- 食品が、水、食品添加物、および栄養補助剤を除く2種類以上の成分からなる場合には、各成分について、重量に占める割合が多い順に適切な明示を表示し、場合によっては成分の割合も表示しなければならない。また、それらに加えて食品が過敏症を引き起こすことが知られる成分を含む場合には、それらの成分についても当該成分のラベルへの記載が必須となる。(※)
- 食品が食用脂肪または食用油またはそれら両方を含む場合には、それらの表示(場合に応じてそれらの脂肪または油が由来する動物または植物の一般名とともに表示)。
- 食品が食品添加物を含む場合には、それらの含有に関する記載。
- 包装に含まれている最小限の正味重量、容量、数。液状媒体内で包装された食品の場合には、最小限の食品固形量の記載。
- 国内で製造または包装された食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所。また、輸入食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所、ならびにマレーシア国内の輸入業者の名称および事業所住所、ならびに当該食品の原産国名。
- 特定食品の場合には、1985年食品規則の規制に従ってほかの詳細を表示。
(※)対象物質として過敏症を引き起こすことが知られている特定の食品または成分として次が挙げられる。
- 小麦、ライ麦、大麦、オート麦を含むグルテンを含有する穀物
- ピーナッツ、大豆を含むナッツおよびナッツ製品
- 魚類および魚類製品
- 乳および乳製品(ラクトースを含む)
- 卵および卵製品
また、ソフトドリンクの特定の表示要件は次のとおりです。
- 「ビール」、「ラガー」、「シャンパン」、「ワイン」という言葉、またはアルコール飲料であることを示唆するほかの言葉の使用は、ジンジャービール、ジンジャーエール、ルートビールを除いて認めない。
- フレーバードリンクのパッケージのラベルには、次の表現を含めない。
- 果汁が含まれていることを示唆する表現、図解表現またはデザイン
- 植物が含まれることを示唆または暗示する、植物または植物の一部の絵画表現またはデザインまたは花のデザイン
- カフェインが含まれているパッケージのラベルには、カフェインの存在に関する記載
- 許可された香料が含まれるフレーバー飲料には、10ポイント以上の均一なレタリングで、フルーツの名称の後に「フレーバー」または、単に「フレーバー」の語を付ける
- フルーツジュース飲料、フルーツ飲料、またはフレーバー飲料が炭酸飲料である場合は、パッケージのラベルに「炭酸フルーツジュース飲料」、「炭酸フルーツ飲料」、「炭酸フレーバー飲料」と記載。または「炭酸(フルーツの名称)ジュース飲料」または「炭酸(フルーツの名称)飲料」または「炭酸(フレーバーの名前)フレーバー飲料」と表記する
- フレーバー飲料にキニーネが40mg/Lを超える割合で含まれている場合は、そのキニーネの割合(mg /リットル)、もしくは「トニックウオーター」と表示する
輸入食品の場合はマレー語または英語で必要な情報の記載がなされる必要があり、必要に応じてほかの言語を併記するものとしています。その他包装、表示についてのルールの詳細については条文を参照してください。
関連リンク
7. その他
調査時点:2020年7月
マレーシアの主要な食品安全・衛生管理行政機関はマレーシア農業・農業関連産業省と保健省であり、主に農業・農業関連産業省が生産・一次加工の安全・衛生管理、保健省が輸入・加工食品の安全・衛生管理を担当しています。
輸入食品も含めた食品の取り扱いに関する主要規則は、「1983年食品法(Food Act 1983)」「1985年食品規則」「2009年食品衛生規則(Food Hygiene Regulations 2009)」です。
マレーシアでの輸入手続き
1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)
調査時点:2020年7月
食品輸入管理は、マレーシア保健省(MOH: Ministry of Health)の食品安全品質管理部(Food Safety and Quality Division)がマレーシア関税局と協力しながら実施しています。具体的には、オンラインの食品安全情報システムFoSIM(Food Safety Information System of Malaysia)を通じて、国内で消費される輸入食品が安全であるかどうかも含めた輸入食品の管理が行われています。
マレーシアに清涼飲料水を輸入する際には、輸入業者はFoSIMにアクセスし、輸入者・輸入エージェント登録をはじめ、必要な登録を行うことによって輸入手続きを行います。
2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)
調査時点:2020年7月
マレーシアでは「Dagang.Net」とよばれる官庁間の統合通関登録システムが導入され、輸入申請から認可取得、通知、関税諸税、手数料などの支払い手続きが自動的に一括処理されています。
マレーシアへの輸出が決まった段階で「Dagang.Net」を通じて輸入登録を行います。登録料も同システム上で支払います。
また清涼飲料水のような加工品については、商品ごとにマレーシア食品安全情報システム(FoSIM=Food Safety Information System of Malaysia)を通じて保健省食品安全品質管理部(Food Safety And Quality Division)にオンライン登録を行う必要があります。
申請状況については、オンタイムで確認することができます。また登録内容は自動的に税関と共有されます。
保税区から商品を受け出す際には、「Dagang.Net」を通じて取得したオリジナルの輸入許可証をプリントアウトしたものに加え、次の書類が必要になります。
- 税関申告書(K1フォーム)
- 特定原産地証明書(EPAの適用を受ける場合)
- インボイス
- 船荷証券
- 梱包リスト(数量)
3. 輸入時の検査
調査時点:2020年7月
マレーシア側の空港や港湾で書類検査、現物検査が行われ、不合格の場合は輸入が許可されません。
4. 販売許可手続き
調査時点:2020年7月
清涼飲料水を含めマレーシアの食品販売に関しては、販売店舗の形態に応じて外資企業に対する参入規制が存在します。国内取引・協同組合・消費者省(MDTCA :Ministry of Domestic Trade and Consumer Affair)は2020年2月、さらなる規制緩和策を盛り込んだ最新版「流通取引・サービスへの外国資本参入に関するガイドライン(Guidelines on Foreign Participation in the Distributive Trade Services Malaysia、MDTCAガイドライン)」を公表しましたが、百貨店、スーパーマーケット、スーパーストアなど小売店の種類に応じて外資企業の参入規制が定められています。
清涼飲料水をマレーシア国内で販売する場合、日本企業を含めて外資が51%以上出資する企業は卸売・小売許可(WRTライセンス)を取得する必要があります。
WRTライセンスは国内取引消費者行政省(KPDNKK)に申請します。
最低払込資本金は100万リンギ以上が条件。卸売業、小売業、フランチャイズ、直販、国内市場向けサプライヤー、国際貿易業者の現地代理人などを含む流通サービス業が対象となります。 Business Licensing Electronic Support System(BLESS)を通じてオンライン申請することができます。企業概要、ビジネスプラン、役員のリスト(会社委員会=SSM登記書コピー)、内国歳入庁(IRB)登録書コピーが必要です。
このほかマレーシア資本か外資かに関係なく、事務所や店舗を置く地方自治体(市、郡など)から、PBTとよばれる開業ライセンスを取得する必要があります。
販売ライセンスを申請する場合には、基本的に次の書類が必要です。
- 会社の登記書
- 会社委員会(CCM)における覚書および定款、会社登録証明のフォーム24、44、49のコピー。(フォーム24〜資本金&株主構成、フォーム44〜事業所の所在地や営業時間、フォーム49〜取締役リスト)
5. その他
調査時点:2020年7月
なし
マレーシア内の輸入関税等
1. 関税
調査時点:2020年7月
日本からマレーシアへの輸出に際して、関税は次の3種類に区分されます。
- マレーシアが国外からの輸入品に課している一般的な関税(PDK: Perintah Duti Kastam)による区分
- 日本・マレーシア経済連携協定(JMEPA: Japan-Malaysia Economic Partnership Agreement)による区分
- 日本・ASEAN包括的経済連携(AJCEP: Comprehensive Economic Partnership between Japan and ASEAN)による区分
清涼飲料水の関税率は、それぞれ次のとおりです。
HS2202:20%(PDK)、0%(JMEPA、AJCEP)
2. その他の税
調査時点:2020年7月
マレーシアでは、2018年6月から物品・サービス税(GST)が廃止され、同年9月から売上・サービス税(SST)が導入されています。清涼飲料水のSST税率は10%となっています。
3. その他
調査時点:2020年7月
なし
その他
調査時点:2020年7月
マレーシアはイスラーム教を国教として定めており、ハラール認証を取得する場合の制度が整備されています。食品全般のハラール認証基準については、「MS 1500: 2009 ハラール食品の生産、取り扱い、保管における基準― 総合ガイドライン(改訂第2版)」で定められています。
この基準などに基づき、ハラール認証が必要なものについては、マレーシア国内では、政府機関であるマレーシア・イスラーム開発庁(JAKIM:Jabatan Kemajuan Islam Malaysia)がハラール認証を行っており、ハラール認証を取得した商品や店舗には、ハラール認証マークの表示が許可されます。
ハラール認証は強制ではありませんが、輸入者から取得を希望されるケースもあります。
輸出の場合、JAKIMが認めたハラール認証団体は「THE RECOGNISED FOREIGN HALAL CERTIFICATION BODIES & AUTHORITIES」に掲載されていますので、製造国において本リストに掲載されている団体からハラール認証を取得する必要があります。
関連リンク
- 関係省庁
-
マレーシア・イスラーム開発庁(JAKIM)(英語)
- 根拠法等
-
「MS 1500: 2009 ハラール食品の生産、取り扱い、保管における基準― 総合ガイドライン(改訂第2版)」(英語)
(ガイドラインはリンク先で検索の上、購入する必要があります) - その他参考情報
- ジェトロ「イスラーム食品市場輸出ガイドブック(2017年11月発行、2020年1月更新)」
- ジェトロ「主要国におけるハラール関連制度・市場動向 -農林水産物・食品の輸出に向けて-(2016年3月)」
- ジェトロ「ハラール調査 ‐農林水産物・食品の輸出と海外のハラール産業政策動向‐(2018年3月)」
-
THE RECOGNISED FOREIGN HALAL CERTIFICATION BODIES & AUTHORITIES As at February 13th , 2019
(2.0MB)