日本からの輸出に関する制度

牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続き

マレーシアの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2020年10月

牛乳・乳製品の定義および規格は「1985年食品規則」(Food Regulations 1985)で定められています。

生乳
正常な清潔で新鮮な乳牛の分泌物で、健康な牛、水牛、山羊、または羊が適切に給餌および保管されていることを意味する。 牛乳は(i)乳脂肪3.25%(ii)非脂肪乳固形分8.5%——を含み、(i)水(ii)食品添加物(iii)その他の追加物質(iv)微量の抗生物質——を含まないものとする。牛乳は冷蔵でもかまわないが、照射その他の物理的処理を受けてはならない。またレダクターゼテストを行った際、メチレンブルーによる着色が4時間未満で完全に脱色してはならない。
乳製品
ミルクから調製された製品であり、スキムミルク、パスチャライズドミルク、殺菌ミルク、U.H.Tミルク、フレーバーミルク、フルクリームミルク、スキムミルクパウダー、麦芽乳、小児用粉ミルク、還元乳、無糖練乳、コンデンスミルク、ラクトース分解乳、フィルドミルク(バター脂の代わりに食物油を加えた脱脂乳)、フィルドミルク粉、無糖フィルド練乳、コンデンスフィルドミルク、クリーム、パスチャライズドクリーム、濃縮クリーム、バター、還元バター、ギー、チーズ、カッテージチーズ、クリームチーズ、プロセスチーズ、チーズスプレッド、混合チーズ、粉チーズ、発酵乳、アイスクリームを指す。
スキムミルク
乳脂肪を取り除いたもので、(a)乳脂肪を0.5%以上含まない(b)8.5%以上の非脂肪・乳固形分を含む——とし、パッケージのラベルには「脱脂乳」または「非脂肪乳」または「分離乳」の文字を記載する。 場合によっては、直後に「医療アドバイス以外の乳児には適していません」と記す。 文言はラベルの最初の行に記し、ほかの単語は同じ行に書かな
パスチャライズドミルク
効率的に加熱されたミルクでなければならない。 (a)低温保持殺菌(LTLT法)はミルク温度を63度以上65度以下に上げ、63度以上65度以下で少なくとも30分間保持した後、急速に4度以下に冷却したまま保ち、出荷までその温度を維持しなければならない。(b)高温短時間殺菌法(HTST法)はミルク温度を73度以上に上げ、その温度で少なくとも15秒間加熱し、その後すぐに急速に4度以下に冷却し、 出荷までその温度を維持しなければならない。また試験において (a)レダクターゼテストでは、メチレンブルー溶液で着色されたサンプルが5時間未満で完全に脱色してはならない。ホスファターゼテストでは、ミルク1ミルリットルあたりのp-ニトロフェノールが10μgを超えてはならない——に適合しなければならない。パッケージのラベルには、「パスチャライズドミルク」の文字を記載しなければならない。
殺菌牛乳
滅菌乳は、ろ過され、均質化された後、商業的に無菌となるのに十分な時間、100°C以上の温度に加熱および維持されたミルクであり、密閉容器に梱包される。
超高温殺菌乳(U.H.Tミルク)
135°C以上の温度で少なくとも2秒間保持することにより熱処理して無菌にし、ただちに無菌容器に無菌包装した牛乳でなければならない。ラベルには、超高温牛乳またはU.H.T. を記載しなければならない。
クリーム
乳成分を分離することによってミルクから調製される脂肪性液体でなければならず、(a)35%以上の乳脂肪を含まなければならない。(b)添加物質を含まないものとする。レダクターゼテストでは、メチレンブルー溶液で着色されたサンプルが4時間未満で完全に脱色してはならない。また許可されたフードコンディショナー(食品添加物)の含有を認める。
バター
ミルクまたはクリーム、あるいはその両方にのみ由来する固形製品を意味し酸敗がないものとし、(a)乳脂肪を80%以上含まなければならない。(b)16%を超える水分を含んではならない。(c)塩の含有も認める。また許可された植物由来の着色物質および許可された抗酸化剤の含有も認める。
チーズ
牛乳、クリーム、脱脂乳または部分脱脂乳、または牛乳の成分、あるいはそのような物質とレンネットまたはその他のタンパク質凝固酵素との混合物を凝固させて得られる、新鮮または成熟した固形または半固形製品であり、カッテージチーズやクリームチーズの定義に準じる食品を含みます。熟成発酵物、無害な酸を生成する細菌培養物、特殊なカビ培養物の含有、および無害なワックスまたはプラスチックでコーティングを認める。(a)水を含まないベースで40%以上の乳脂肪を含むものとし、(b)許可された防腐剤、許可された植物性着色物質、 許可された香料物質の含有を認める。また許可された食品コンディショナーとしてトランスグルタミナーゼの含有を認める。ハードチーズは水分含有量が39%以下でなければならない。
チーズスプレッドまたはチーズペースト
チーズを調味料およびほかのチーズ食品と混合して得られる製品でなければならない。(a)75%以上のチーズを含まなければならない。また(i)許可された乳化剤の3%以上(ii)50%以上の水——を含んではならない。許可された防腐剤、許可された植物由来の着色物質、許可された香料物質、許可された食品コンディショナーの含有は認める。パッケージのラベルには、「チーズペースト」または「チーズスプレッド」という言葉を記載するものとする。
発酵乳
発酵乳は、低温殺菌乳、滅菌乳、脱脂乳、再結合乳、低温殺菌クリーム、または還元クリームを適切な乳酸菌と培養して調製した製品で、ヨーグルト、培養クリームまたはサワークリームが含まれる。生きた培養物や粉乳固形物、許可された甘味料、塩、果物の含有も認める。乳酸に換算し0.5%以上の酸性度が必要。培養乳または発酵乳には、許可された着色物質、香料と許可された食品コンディショナー(食品添加物)の含有を認める。パッケージのラベルには、「発酵乳」と記さなければならない。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2020年10月

マレーシアでは残留農薬(最大許容残留値、使用禁止農薬)について、「1985年食品規則」(Regulation 41ならびにSIXTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
牛乳・乳製品に関する残留農薬の最大残留基準はそれぞれ次のとおりです。

牛乳・乳製品に関する残留農薬の最大残留基準値
農薬(英名) 農薬(和名) 種類 最大許容残留値(mg/kg)
Coumaphos
(sum of coumaphos and its oxygen analogue)
クマホス 牛乳(脂肪) 0.02
Cypermethrin (sum of isomers) シペルメトリン 牛乳(脂肪) 0.05

特に指定されていないものに関しては、CODEXが定める基準値に従うものとし、CODEXでも特に定めのない農薬についてはすべて0.01mg/kgの最大許容残留値が適用されます。
また、牛乳・乳製品については次の薬品について最大残留基準が定められています。

「1985年食品規則」における最大残留基準(牛乳・乳製品)
物質 薬品 種類 最大残留基準値(μg/kg)
Albendazole
アルベンダゾール
2-Aminosulfone metabolite
2-アミノスホルンメタボライト
牛乳 100
Amoxicillin
アモキシシリン
Amoxicillin
アモキシシリン
牛乳 4
Ampilicillin
アンピシリン
Ampilicillin
アンピシリン
牛乳 4
Avoparcin
アボパルシン
Avoparcin
アボパルシン
牛乳 15
Benzylpenicillin
ベンジルペニシリン
Benzylpenicillin
ベンジルペニシリン
牛乳 4
Cefquinome
セフキノム
Cefquinome
セフキノム
牛乳 20
Ceftiofur sodium
セフチオフルナトリウム
Desfuroylceftiofur
デスフロイルセフチオフル
牛乳 100
Cloxacillin
クロキサシリン
Cloxacillin
クロキサシリン
牛乳 30
Colistin
コリスチン
Colistin
コリスチン
牛乳 50
Dexamethazone
デキサメタゾン
Dexamethazone
デキサメタゾン
牛乳 0.3
Dicloxacillin
ジクロキサシリン
Dicloxacillin
ジクロキサシリン
牛乳 30
Dihydrostreptomycin
ジヒドロストレプトマイシン
Dihydrostreptomycin
ジヒドロストレプトマイシン
牛乳 200
Diminazene
ジミナゼン
Diminazene
ジミナゼン
牛乳 150
Erythromycin
エリスロマイシン
Erythromycin
エリスロマイシン
牛乳 40
Estradiol - 17β
17β-エストラジオール
Estradiol - 17β
17β-エストラジオール
牛由来のものすべて GAHP: Good animal husbandry practice
(適正家畜飼育規範)
Febantel
フェバンテル
Sum of febandazole, oxfendazole and oxfendazole sulfone
フェベンダゾール、オクスフェンダゾール、オクスフェンダゾールスルホンの合計
牛乳 100
Fenbendazole フェンベンダゾール Sum of febandazole, oxfendazole and oxfendazole sulfone
フェベンダゾール、オクスフェンダゾール、オクスフェンダゾールスルホンの合計
牛乳 100
Flumehtrin
フルメトリン
Flumehtrin
フルメトリン
牛乳 50
Gentamicin
ゲンタマイシン
Gentamicin
ゲンタマイシン
牛乳 100
Isometamidium
イソメタミジウム
Isometamidium
イソメタミジウム
牛乳 100
Moxidectin
モキシデクチン
Moxidectin
モキシデクチン
牛乳 500
Neomycin
ネオマイシン
Neomycin
ネオマイシン
牛乳 500
Oxacillin
オキサシリン
Oxacillin
オキサシリン
牛乳 30
Oxfendazole
オクスフェンダゾール
Sum of fenbendazole, oxfendazole and oxfendazole sulfone
フェベンダゾール、オクスフェンダゾール、オクスフェンダゾールスルホンの合計
牛乳 100
Oxibendazole
オキシベンダゾール
Oxibendazole
オキシベンダゾール
牛乳 50
Oxytetracycline
オキシテトラサイクリン
Oxytetracycline
オキシテトラサイクリン
牛乳 100
Penicillin
ペニシリン
Penicillin
ペニシリン
牛乳 0
Progesterone
プロゲステロン
Progesterone
プロゲステロン
牛由来のものすべて GAHP: Good animal husbandry practice (適正家畜飼育規範)
Spectinomycin
スペクチノマイシン
Spectinomycin
スペクチノマイシン
牛乳 200
Spiramycin
スピラマイシン
Sum of spiramycin and neospiramycin
スピラマイシンとネオスピラマイシンの合計
牛乳 200
Streptomycin
ストレプトマイシン
Streptomycin
ストレプトマイシン
牛乳 200
Sulphadiazine
スルファジアジン
Sulphadiazine
スルファジアジン
牛乳 100
Sulphadimethoxine
スルファジメトキシン
Sulphadimethoxine
スルファジメトキシン
牛乳 10
Sulphadimidine
スルファジミジン
Sulphadimidine
スルファジミジン
牛乳 25
Sulphonamide
スルホンアミド
Sulphonamide
スルホンアミド
牛乳 100
Testosterone
テストステロン
Testosterone
テストステロン
牛由来のものすべて GAHP: Good animal husbandry practice (適正家畜飼育規範)
Tetracycline
テトラサイクリン
Sum of parent drug and its 4-epimer
原薬物ならびに4エピマーの合計
牛乳 100
Thiabendazole
チアベンダゾール
Sum of thiabendazole and 5- hydroxy- thiabendazole
チアベンダゾールならびに5-ヒドロキシチアベンダゾールの合計
牛乳 100
Tilmicosin
チルミコシン
Tilmicosin
チルミコシン
牛乳 0
Trimethoprim
トリメトプリム
Trimethoprim
トリメトプリム
牛乳 50
Tylosin
タイロシン
Tylosin
タイロシン
牛乳 50

3. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)

調査時点:2020年10月

マレーシアで消費されるすべての食品に関する重金属および汚染物質(最大許容残留値)については、「1985年食品規則」(Regulation 38ならびにFOURTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
牛乳・乳製品に関する重金属(ヒ素、鉛、水銀、カドミウム、アンチモン)の最大残留基準は、それぞれ次のとおりです。

牛乳・乳製品に関する重金属の最大残留基準(mg/kg)
食品 ヒ素 水銀 カドミウム アンチモン
牛乳ならびに乳製品 0.5 0.02 0.05 1 1

微生物の最大残留基準値は次のとおりです。
パスチャライズミルク、クリーム、パウダーに関する一般細菌数検査:摂氏37度で48時間置いた場合、総生菌数が1gもしくは1mlあたり10の5乗以下。大腸菌数が同5×10以下。

  • 牛乳におけるアフラトキシンM1の上限:
    0.5μg/kg
  • 含有禁止の化学物質:
    マレーシアではすべての食品に関してβアゴニスト(ラクトパミンを除く)、ニトロフラン、クロラムフェニコールが禁止されています。
  • 食品の成分として使用が禁止される物質:
    マレーシアで消費されるすべての食品に含有が禁止されている物質については、「1985年食品規則」(Regulation 40ならびにFIFTEENTH A SCHEDULE)において品目ごとに定められています。

4. 食品添加物

調査時点:2020年10月

マレーシアで消費されるすべての食品の添加物については、「1985年食品規則」(PART V)において定められています。食品添加物は「食品が有している品質、質感、硬さ、外見、におい、味、アルカリ度または酸性度に影響を与えるために、もしくは食品の製造、加工、調製、処理、充てん、包装、運搬または保存においてその他の技術的な機能を付与するために、意図的に食品に少量導入される、および、その結果直接的または間接的に当該物質またはその副産物が食品の一成分となるか、なることが合理的に期待される、あらゆる安全な物質をいい、すべての保存料、着色料、香料、風味増強剤、酸化防止剤、食品調整剤などを含むが、栄養強化剤、偶発的成分あるいは塩は含まれない」と定義されており、これらに関する使用については、次のように定められています(Regulation 19)。

  • 食品添加物として許可されていない物質は食品添加物として使用してはならない。
  • 食品規則で具体的に定められた基準に準拠しない認可食品添加物もまた食品に使用してはならない。
  • 食品添加物の食品への添加は、食品規則で認可が明文化されていない限り禁止する。
  • 食品に使用される食品添加物は、その最大許容値を超えないこと。

添加物としてのポジティブリストや使用許容値は、食品添加物の種類および対象となる食品ごとに細かく数値が定められています。詳細は各食品規則(表参照)を確認してください。

食品添加物の種類別食品規則および付表
添加物の種類 食品規則 付表
保存料 Regulation 20 SIXTH SCHEDULE
抗菌剤 Regulation 20A SIXTH(A)SCHEDULE
着色料 Regulation 21 SEVENTH SCHEDULE
香料 Regulation 22 EIGHTH SCHEDULE
風味増強剤 Regulation 23 NINTH SCHEDULE
酸化防止剤 Regulation 24 TENTH SCHEDULE
食品調整剤 Regulation 25 ELEVENTH SCHEDULE
栄養強化剤 Regulation 26 TWELFTH SCHEDULE
ビフィズス菌 Regulation 26A TWELFTH A SCHEDULE

なお、食品調整剤はさらに次のサブカテゴリ―に分類され、基準が整理されています。

  • 乳化剤
  • 消泡剤
  • 安定剤
  • 増粘剤
  • 加工でん粉
  • ゲル化剤
  • pH調整剤
  • 酵素
  • 溶剤
  • 固化防止剤

栄養素が添加されていない甘味物質は、「1985年食品規則」Regulation 133および第17付則(SHEDULE 17)で規定されています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2020年10月

食品容器に関しては、「1985年食品規則」(PART VI)に次のとおり定められています。

  1. 食品包装に使用される梱包材料は、中身の食品に対して有毒、有害なものあってはならず、汚染物質を含まず、食品の劣化を早めるようなものであってはならない
  2. 容器にセラミック〔カテゴリーA: 磁器、ボーンチャイナ、ファインチャイナ、溶化磁器その他吸水率が0.4%以下のもの、カテゴリーB: 陶器、せっ器(ストーンウェア)〕を使用する場合は、マレーシア規格(MS:Malaysian Standard)の「MS ISO 6486-1食品と接触するセラミック容器、ガラスセラミック容器およびガラス食器」に従わなければならない。また、セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量には制限がある(次の表を参照)。
セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量
種類 種類 カドミウム
平らな容器 mg/dm2 0.8 0.07
深みのある容器(小) mg/l 2.0 0.5
深みのある容器(大) mg/l 1.0 0.25

また、セラミック容器は次の要件を満たさなければなりません(テスト方法はマレーシア規格MS ISO 6486-1を参照)。

セラミック容器の要件
パラメータ カテゴリーA カテゴリーB(陶器) カテゴリーB(せっ器)
吸水率(%) 0.4%以下 3.0%以上7.0%以下 3.0%以下
熱衝撃(℃) 160 160 160
耐チッピング性(J)
プレート直径>220mm 0.25 該当なし 該当なし
プレート直径≦220mm 0.18 該当なし 該当なし
カップ/マグ/ボウル
(注ぎ口あり)
0.10 該当なし 該当なし
カップ/マグ/ボウル
(注ぎ口なし)
0.12 該当なし 該当なし
クレージング すべてのテスト片でクレージングがないこと
  1. 1キログラムあたり1ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルを利用した容器は禁止されている。
  2. 1キログラムあたり0.05ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルに梱包された食品の輸入、販売をしてはならない。
  3. 非食品用に製造された容器を食品用に使用してはならない。
  4. ナチュラルミネラルウオーターの容器として使用した20リットル以下のポリカーボネート容器を同じ目的で使用することは認められているが、それ以外の次のような容器のリサイクルは認められていない。
    1. 何らかの用途として使用された袋を砂糖や小麦粉、その他の粉類の容器として使用すること。
    2. 何らかの用途として使用されたボトルや金属容器(食用脂や食用油用のサイロやタンカーを除く)を食用脂や食用油の容器として使用すること。
    3. 豚由来の製品の容器として意図されたもの、あるいは豚由来の製品の容器として使用された容器を非豚由来の製品の容器として使用すること。
    4. 何らかの用途として使用されたプラスチック容器を、食品の容器として使用すること。
    5. アルコール類やシャンディ(飲み物)の容器として使用された容器を、それらを除く食品の容器として使用すること
  5. 次のような類似用途のための容器のリサイクルも認められていない。
    1. 別の用途として使用されたガラス瓶を牛乳、清涼飲料水あるいはシャンディの容器として使用すること。
    2. 別の用途で使用された箱や木箱を野菜、魚、果物の容器として使用すること。
    3. 別の用途で使用された麻袋を精米の容器として使用すること。
  6. アルコール飲料、シャンディ、野菜、果物のための、次のa、bのような容器のリサイクルは認められる。
    1. アルコール飲料の容器として使用されたガラス瓶を、シャンディの容器として使用すること(あるいはその逆)。
    2. 野菜の容器として使用された箱や木箱を、果物の容器として使用すること(あるいはその逆)。
  7. ある食品の容器として使用されている容器に、それとは別の食品のラベルやマークが表示されていた場合、その容器は以前にそのラベルやマークの食品用途として使用されたものである、と推定する。
  8. 破損した容器の使用は認められていない。
  9. 食品の容器の中に玩具やコイン、その他のものを入れてはならない。ただし、食品の無菌状態など食品の望ましい質を担保するためのものや、食品のラベル、酸素を吸収するための還元鉄粉などの同梱は認められている。
  10. 酸素吸収を目的とした還元鉄粉は、食品に混入し、食品を汚染し、食品の内部に侵入しないよう、小袋に入れ、封をしなければならない。小袋の素材は、次のa~lのうち少なくとも1つ以上を含まなければならない。
    1. 塩化カルシウム
    2. 水酸化カルシウム
    3. 活性炭
    4. 石膏
    5. 酸化鉄
    6. 水酸化マグネシウム
    7. ステアリン酸マグネシウム
    8. パーライト
    9. 滑石
    10. 沸石

6. ラベル表示

調査時点:2020年10月

牛乳・乳製品を含めマレーシアで販売する食品の一般的な表示基準(輸入品、国産品に関係なく)は、「1985年食品規則」(PART IV)に定められています。表示項目、言語、文字の大きさや色、賞味期限表示、栄養成分表示、あるいは表示禁止事項など詳細にわたり、ルールが設定されています。
表示が必要な項目は次のとおりです。

  1. 食品の適切な明示(appropriate designation of the food)、または主成分の一般名を含む食品の説明。
  2. 混合食品または配合食品の場合には、食品に応じて内容物が混合または配合されたものであることを示す文言。
  3. 食品が牛肉もしくは豚肉、またはその派生物、またはラードを含む場合には、それらに関する記述。
  4. 食品が添加アルコールを含む場合には、それらに関する記述を、6ポイント以上の大文字かつ太字のサンセリフ書体によって表示。
  5. 食品が、水、食品添加物、および栄養補助剤を除く2種類以上の成分からなる場合には、各成分について、重量に占める割合が多い順に適切な明示を表示し、場合によっては成分の割合も表示しなければならない。また、それらに加えて食品が過敏症を引き起こすことが知られる成分を含む場合には、それらの成分についても当該成分のラベルへの記載が必須となる。(※)
  6. 食品が食用脂肪または食用油またはそれら両方を含む場合には、それらの表示(場合に応じてそれらの脂肪または油が由来する動物または植物の一般名とともに表示)
  7. 食品が食品添加物を含む場合には、それらの含有に関する記載。
  8. 包装に含まれている最小限の正味重量、容量、数。液状媒体内で包装された食品の場合には、最小限の食品固形量の記載。
  9. 国内で製造または包装された食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所。また、輸入食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所、ならびにマレーシア国内の輸入業者の名称および事業所住所、ならびに当該食品の原産国名。
  10. 特定食品の場合には、1985年食品規則の規制に従ってほかの詳細を表示。

(※)対象物質として過敏症を引き起こすことが知られている特定の食品または成分として次があげられる。

  1. 小麦、ライ麦、大麦、オート麦を含むグルテンを含有する穀物
  2. ピーナッツ、大豆を含むナッツおよびナッツ製品
  3. 魚類および魚類製品
  4. 乳および乳製品(ラクトースを含む)
  5. 卵および卵製品

また、輸入食品の場合はマレー語または英語で必要な情報の記載がなされる必要があり、必要に応じてほかの言語を併記するものとしています。そのほか包装、表示についてのルールの詳細については条文を参照してください。

7. その他

調査時点:2020年10月

食品安全・衛生規制
マレーシアの主要な食品安全・衛生管理行政機関は農業・農業関連産業省と保健省であり、主に農業・農業関連産業省が生産・一次加工の安全・衛生管理、保健省が輸入・加工食品の安全・衛生管理を担当しています。 輸入食品も含めた食品の取り扱いに関する主要規則は、「1983年食品法(Food Act 1983)」「1985年食品規則(Food Regulations 1985)」「2009年食品衛生規則(Food Hygiene Regulations 2009)」です。

マレーシアでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等

調査時点:2020年10月

輸入割当
生乳(無乾燥、無糖、無濃縮、無添加)の輸入には数量制限があり、農業・農業関連産業省家畜サービス局(Department of Veterinary Services)で輸入割当の承認を得る必要があります。 輸入割り当ての承認は、統合通関登録システム「Dagang.Net」(http://www.dagangnet.com/)を通じて輸入登録を行うと、この登録情報がオンラインで連絡しているマレーシア検疫検査サービス局(MAQIS)に届き、政府が設定している輸入枠内で承認が下ります。
生乳以外(甘味添加乳飲料、バターミルク、凝固クリーム、発酵乳、ホエイ、バター、チーズを含む)には数量制限はありません。
ライセンス
畜産物(牛肉、牛乳・乳製品)については2013年3月に発効した2012年関税(輸入禁止)令において「特定の方式でのみ輸入可能な品目」として指定されており、輸入に際しては品目(HSコード)ごとに各機関からのライセンスが必要となっています。関連リンクから2012年関税(輸入禁止)令のTHIRD SCHEDULEを参照してください。
輸入業者登録
実際にマレーシアに牛乳・乳製品を輸入するにあたっては、輸入業者はオンラインの食品安全情報システム(FoSIM:Food Safety Information System of Malaysia)にアクセスし、輸入者・輸入エージェント登録をはじめ、必要な登録を行うことによって輸入手続きを行います。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2020年10月

マレーシアでは「Dagang.Net」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとよばれる 官庁間の統合通関登録システムが導入されており、輸入申請から認可取得、通知、関税諸税、手数料などの支払い手続きが自動的に一括処理されています。

実際に輸入日時や輸入港が決まったところで、「Dagang.Net」を通じて輸入業者が輸入登録を行います。この情報はオンラインで連絡しているマレーシア検疫サービス局(MAQIS)に自動的に届き、政府が設定している輸入枠内で承認が下ります。登録申請は輸入日より14日以上前に行う必要があります。許可料も同システム上で支払います。

また牛乳・乳製品のような加工品については、商品ごとにマレーシア食品安全情報システム(FoSIM=Food Safety Information System of Malaysia)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを通じて保健省食品安全品質管理部(Food Safety And Quality Division)にオンライン登録を行う必要があります。
申請状況については、オンタイムで確認することができます。また登録内容は自動的に税関と共有されます。

保税区から商品を受け出す際には、「Dagang.Net」を通じて取得したオリジナルの輸入許可証をプリントアウトしたものに加え、次の書類が必要になります。

  • 税関申告書(K1フォーム)
  • インボイス
  • 船荷証券
  • 梱包リスト(製品の数量)

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2020年10月

マレーシアの空港や港湾で書類検査、現物検疫が行われ、不合格の場合は輸入が許可されません。

4. 販売許可手続き

調査時点:2020年10月

牛乳・乳製品をマレーシア国内で販売する場合、日本企業を含めて外資が51%以上出資する企業は卸売・小売許可(WRTライセンス)を取得する必要があります。
WRTライセンスは国内取引消費者行政省(KPDNKK)に申請します。
最低払込資本金は100万リンギ以上が条件。卸売業、小売業、フランチャイズ、直販、国内市場向けサプライヤー、国際貿易業者の現地代理人などを含む流通サービス業が対象となります。
Business Licensing Electronic Support System(BLESS)を通じてオンライン申請することができます。企業概要、ビジネスプラン、役員のリスト(会社委員会=SSM登記書コピー)、内国歳入庁(IRB)登録書コピーが必要です。
このほかマレーシア資本か外資かに関係なく、事務所や店舗を置く地方自治体(市、郡など)から、PBTとよばれる開業ライセンスを取得する必要があります。
販売ライセンスを申請する場合には、基本的に次の書類が必要です。

  • 会社の登記書
  • 会社委員会(CCM)における覚書および定款、会社登録証明のフォーム24、44、49のコピー。(フォーム24〜資本金&株主構成、フォーム44〜事業所の所在地や営業時間、フォーム49〜取締役リスト)

牛乳・乳製品を含めマレーシアの食品販売に関しては、販売店舗の形態に応じて外資企業に対する参入規制が存在します。国内取引・協同組合・消費者省(MDTCA :Ministry of Domestic Trade and Consumer Affairs )は2020年2月、さらなる規制緩和策を盛り込んだ最新版「流通取引・サービスへの外国資本参入に関するガイドライン(Guidelines on Foreign Participation in the Distributive Trade Services Malaysia、MDTCCガイドライン)」を公表しました。百貨店、スーパーマーケット、スーパーストアなど小売店の種類に応じて外資企業の参入規制が定められています。

5. その他

調査時点:2020年10月

なし

マレーシア内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2020年10月

日本からマレーシアへの輸出に際して、関税は次の3種類に区分されます。

  • マレーシアが国外からの輸入品に課している一般的な関税(PDK: Perintah Duti Kastam)による区分
  • 日本・マレーシア経済連携協定(JMEPA: Japan-Malaysia Economic Partnership Agreement)による区分
  • 日本・ASEAN包括的経済連携(AJCEP: Comprehensive Economic Partnership between Japan and ASEAN)による区分

牛乳・乳製品の関税率は、それぞれ次のとおりです。

HS 0401:0~20%(PDK)
HS 0402:0~5%(PDK)、0%(JMEPA、AJCEP)
HS 0403:0% (PDK, AJCEP)、0~2.3%(MJEPA)
HS 0404~0406:0%(PDK、JMEPA、AJCEP)

2. その他の税

調査時点:2020年10月

マレーシアでは、2018年6月から物品・サービス税(GST)が廃止され、同年9月から売上・サービス税(SST)が導入されています。牛乳・乳製品のSST税率は次のとおりです。

HS 0401, 0402:0%
HS 0403:0~5%
HS 0406〜0406:5%

3. その他

調査時点:2020年10月

なし

その他

調査時点:2020年10月

マレーシアはイスラーム教を国教として定めており、ハラール認証を取得する場合の制度が整備されています。食品全般のハラール認証基準については、「MS 1500: 2009ハラール食品の生産、取り扱い、保管における基準― 総合ガイドライン(改訂第2版)」で定められています。
この基準などに基づき、ハラール認証が必要なものについては、マレーシア国内では、政府機関であるマレーシア・イスラーム開発庁(JAKIM:Jabatan Kemajuan Islam Malaysia)がハラール認証を行っており、ハラール認証を取得した商品や店舗には、ハラール認証マークの添付が許可されます。
ハラール認証は強制ではありませんが、輸入者から取得を希望されるケースもあります。