外資に関する規制

最終更新日:2024年02月07日

規制業種・禁止業種

禁止業種は、国防関連活動、賭博、大麻栽培、酒類製造、珊瑚採取、化学兵器製造、オゾン層破壊原料製造など(2007年第25号投資法(雇用創出についての法律代替政令2022年第2号で改正)、大統領規程2021年第10号(大統領規程2021年第49号で改訂))。
規制業種(ネガティブリスト形式でローカル企業との合弁義務等を設定)は、武器・火器、軍事用車両・船舶・航空機、レーダー、国内海運・水上輸送、空運、宅配、メディアなど(大統領規程2021年第10号(大統領規程2021年第49号で改訂))。ただし、新首都『ヌサンタラ』における投資では適用されない(政令2023年第12号)。

禁止業種

  1. 次の事業分野は外国投資(PMA)に限らず投資全般に対して閉鎖(2022年12月30日付雇用創出についての法律代替政令2022年第2号で改正された2007年4月26日付第25号新投資法第12条(2)項、2021年2月2日付大統領規程2021年第10号(2021年5月24日付大統領規程2021年第49号で改訂))。
    1. 特定の麻薬の栽培と製造
    2. すべての形態の賭博および/あるいはカジノの活動
    3. ワシントン条約(CITES)に記載されている魚類の漁獲
    4. サンゴの採取や利用、および建材/石灰/カルシウム、水族館、および土産物/装飾に使用する目的での天然サンゴ、ならびに生きたサンゴ礁、天然よりの死んだばかりのサンゴ礁の採取や利用
    5. 化学兵器の製造
    6. 工業化学原料とオゾン層破壊原料の製造
    7. アルコール飲料、ワイン飲料、モルト含有飲料の製造
    8. 中央政府によってのみ実施されることができる活動(国防・安全にかかわる活動、公共サービス的な活動)
  2. 中小・零細事業者、協同組合のために留保される業種への外国投資の参入を禁止(大統領規程2021年第10号(大統領規程2021年第49号で改訂))。
    対象は60業種。業種リストは監査委員会(BPK)の法令データベース(Database Peraturan BPK外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で確認できる。選択基準は次のとおり。
    1. テクノロジーを使用しない、または簡易なテクノロジーしか使用しない事業活動
    2. 工程がユニーク、労働集約的、かつ伝統的な文化遺産を有する事業活動

    また、土地建物を除く資本が100億ルピアを超えない事業活動もPMAには認められない。

  3. 特定の業種を内資100%に限定(大統領規程2021年第10号(大統領規程2021年第49号で改訂))。
    地理的表示を得たコーヒー加工、バティック(チャップ)、木製建築資材、伝統化粧品、ヒト向け伝統生薬とその原材料、伝統造船、メッカ巡礼旅行代理店、芸能団など
    新聞、雑誌、メディア発行、民間・有料放送局は設立時のみ内資100%(拡張で外資の一部参加が認められる)
    詳細は監査委員会(BPK)の法令データベース(Database Peraturan BPK外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で確認できる。

規制業種

外国資本による投資を規制する業種をリスト化して規制(大統領規程2021年第10号(大統領規程2021年第49号で改訂))。
規制内容は次のように分類されており、それぞれ同リストを参照。

  1. 中小・零細事業者、協同組合とのパートナーシップが条件付けられる分野:46分野
    パートナーシップの形態には、インティプラズマ、下請け契約、フランチャイズ、一般商業、ディストリビューションと代理店業、サプライチェーン、成果分与、オペレーション協力、合弁事業、アウトソーシング、施設・設備の建設がある。政府や業界団体が作成した中小・零細事業者リストからパートナーを選択することが推奨されており、大規模事業者側は作業の種類や推定金額、実施時期などを記載したパートナーシップ・コミットメントを作成し、事業許認可を申請する際にOSSシステムを通じて提出しなければならない(2022年2月10日付投資調整大臣/投資調整庁長官規定2022年第1号)。
  2. 外資比率が制限される分野(ローカル企業との合弁義務)
    武器・火器、軍事用車両・船舶・航空機、レーダー、国内海運・水上輸送、空運、宅配、メディア(拡張時)など。
    ※管轄省庁等からの特別許可の取得が義務付けられることがある。
  3. その他の投資条件が課される分野
    アルコール飲料の卸し、屋台販売を含む小売は、アルコール飲料の管理・監督分野の法令に基づく強い規制と監督下に置かれる。

以上、詳細は監査委員会(BPK)の法令データベース(Database Peraturan BPK外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で確認できる。

ジェトロ:大統領規程2021年第49号PDFファイル(203KB)(ジェトロ仮訳)
ジェトロ:大統領規程2021年第49号添付書類リストPDFファイル(593KB)(ジェトロ仮訳)

出資比率

禁止業種を除き外資による出資が可能だが、一部の業種には外資出資比率の上限が定められている(大統領規程2021年第10号(大統領規程2021年第49号で改訂))。

    1. 外資の出資49%まで:武器・火器、軍事用車両・船舶・航空機、レーダー(以上、旧は国防相承認に基づく出資比率の主要機器産業)、国内海運・水上輸送、空運、宅配
    2. 設立時内資100%、拡張で外資49%まで:新聞、雑誌、メディア発行
    3. 設立時内資100%、拡張で外資20%まで:民間・有料放送局

以上、詳細は監査委員会(BPK)の法令データベース(Database Peraturan BPK外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で確認できる。
これら以外の業種は原則、外国資本100%の出資が可能ということになる。

ただし、リスクベースの許認可制度についての2021年2月2日付け政令2021年第5号に、建設事業への外資の出資は67%まで、ASEAN加盟国よりの投資の場合は70%までとの注意書きがあり、建設業には引き続き外資規制が課されている。
また、金融・銀行業についても別途、規定がある。たとえば、保険会社への外資出資比率は、2018年4月17日付政令2018年第14号(2020年1月16日付政令2020年第3号で変更)にて80%までに規制されている。同政令施行時に外資の出資比率が80%を超えていた非上場保険会社は例外とされるが、その後増資をすることになった場合でも、外資出資比率は元の比率を超えてはならず、インドネシア資本を得られない場合は株式公開による増資としなければならない、等規定されている。また、証券会社への出資比率は、2022年9月13日付政令2022年第31号にて、証券以外の金融セクターで活動する外資法人は払込資本金の最大85%まで、出身国の資本市場管理当局から許可を取得した、または同当局の管理下にある、証券セクターで活動する外資法人は同99%までに規制されている(上場企業は除く)。

外国企業の土地所有の可否

土地所有権は、インドネシア国民(個人)にのみ認められている。法人は所有権に代わる権利を得た上で、工場を建てるなどして操業することができる。

  1. 土地保有権利の取得手続き

    土地は〔1960年政令第5号「土地基本法」〕によって管理されていたが、土地権利確定手続きの簡素化が図られた〔1997年7月8日付政令第24号〕。
    土地基本法の規定により、インドネシア全国土の最高管理権は国家に属している。したがって、個人や企業は土地の権利を国の許可を取得した上で、保有する形態を取っている。

  2. 土地に関して取得できる権利には、次の11種類がある。
    a.~f.は国の許可が必要だが、g.~k.は当事者間で権利の移転・取得が可能である。
    1. 所有権(HM、インドネシア国民(個人)、または国家のみ保有)
    2. 事業権(HGU、国家に属する農地を貸借して開発する権利。期間は最長35年、更新も可能)
    3. 建設権(HGB、土地の上に建物を建設・保有する権利。期間は通常25~30年、地方政府に申請すれば更新も可能)
    4. 利用権(HP、国家ないし個人に属する土地を一定の期間、開発、利用する権利。期間は最長25年、更新も可能)
    5. 開墾権(HMT)
    6. 森林産出物採取権(HMHH)
    7. 賃借権(HS)
    8. 小作権(HUBH)
    9. 土地質権(HG)
    10. 滞在権(HM)
    11. 農地賃借権(HSTB)
  3. 地域の指定、土地の指定、土地使用権の承認、建設許可の発給、公害関係法規に基づく許可は、各州投資調整局(BKPMD)でも行われる。
  4. 自由貿易地域など保税が認められた地域に立地する企業は、当該管理庁または管理会社を通じて、土地利用の手続きを行う。
  5. 外国人の居住用住宅の保有

    外国人は、インドネシアにおいて居住用に、利用権が付された土地の上に建てられた住宅、または建設権や利用権が付された土地の上に建つコンドミニアムのユニットを保有することができる。居住許可(ItasまたはItap)がなくとも、ビザやパスポートがあれば保有可能。
    ただし、住宅は、法令により高級住宅に分類されるものでなくてはならず、原則、外国人1人/1世帯につき1区画の土地に限られ、その広さも2,000平方メートルまでに制限されている。

    また、外国人が購入できる住宅・コンドミニアムは新築でも中古でもよいが、最低価格が規制されており、各州で定められる。
    購入された住宅やコンドミニアムのユニットは、他者への譲渡したり、借入の担保とすることができ、また当該外国人が死亡した場合、条件を満たした相続人による相続も可能である。
    〔2022年11月1日付国土空間配置省/国土庁土地権利決定登録総局文書2022年第1号(No.HR.01/1963/XI/2022)〕

資本金に関する規制

外国資本の場合、製造業・非製造業の区別なく、払込資本金100億ルピア以上。
さらに、土地建物を除く投資額(資本金含む)の合計が100億ルピア超〔2021年3月29日付BKPM規則2021年第4号〕。

外国投資(外国法人・個人による投資)

製造業・非製造業の区別なく、土地建物を除く投資額の合計は原則5桁の産業分類コードKBLIごとに100億ルピア超、引受資本金と払込資本金は同額で、100億ルピア以上を満たす必要がある。また、各株主の出資金額は、1,000万ルピア以上。
ただし、政令2021年第5号には、建設施工事業や統合建設事業は少なくとも250億ルピアの資本が必要とする定めがあり、産業ごとに注意が必要である。
なお、投資額については以下の例外規定がある。

  1. 大規模商業:KBLIの頭から4桁ごとに、土地建物を除いて総投資額100億ルピア超
  2. 飲食サービス:KBLIの頭から2桁ごと、1カ所ごとに、土地建物を除いて同100億ルピア超
  3. 建設サービス:KBLIの頭から4桁ごと、建設コンサルティングサービス事業、建設施工事業、統合建設事業のいずれか1活動において、土地建物を除いて同100億ルピア超。建設コンサルティングサービス事業は、建設施工事業および/あるいは統合建設事業と一緒に行うことはできない。
  4. 工業:異なるKBLI 5桁の製品種類を1つの製造ラインにおいて生産する場合は、1ラインで土地建物を除いて同100億ルピア超
  5. 不動産開発:ビル全体または統合住宅地の形の不動産の場合は、土地建物を含めて同100億ルピア超。1つのビル全体ではない、または統合住宅地ではない不動産ユニットの場合は、土地建物を除いて同100億ルピア超

国内投資(インドネシア内国法人・個人による投資)

最低授権資本金額は会社創設者間の合意に基づき決定、最低引受資本金額および最低払込資本金額は授権資本金額の25%〔2016年7月14日付政令2016年第29号〕。

その他規制

商業施設の立地条件、農園事業の許可等、電気自動車の開発加速化。