外資に関する規制
最終更新日:2021年02月15日
規制業種・禁止業種
禁止業種は、国防産業、賭博、遺跡、大麻栽培、酒類製造、珊瑚の採取など(2007年新投資法、大統領規程2016年44号)。
規制業種(ネガティブリスト形式でローカル企業との合弁義務等を設定)は、卸売、小売、物流、サービスなど(大統領規程2016年44号)。
ただし、2020年第11号雇用創出法で禁止・規制業種の規定が見直されており、細則の発表が待たれる。
禁止業種
- 国防産業(武器、弾薬、爆発物、戦争用機材の生産等)への外国資本による投資を禁止〔2007年4月26日付第25号新投資法第12条(2)項〕。
この他に、別の法令等により、投資が閉鎖される産業を定めることがある。 - 賭博・カジノ、歴史・古代遺跡、大麻栽培、酒類製造、珊瑚の採取、陸上旅客ターミナルの実施・運営、農薬の有効成分材料産業など、外国・国内資本ともに投資を禁止〔2016年5月12日付大統領規程2016年第44号(以下、2016年ネガティブリスト)〕。
- 中小・零細企業、協同組合のために留保される業種への外国資本の参入を禁止。
小規模農園(農産物により規定されている)、大豆を使った食品産業、ラタン等を用いた編物産業、工事金額が500億ルピア以下等の建設実施、工事金額が100億ルピア未満等の建設コンサルティングサービス、など〔2016年ネガティブリスト〕。 - 特定の業種を内資100%に限定。
石油ガス採掘・供給等の一部サービス、1MW以下の発電、デパート、スーパーマーケット、ミニマーケット以外の小売、レンタル(輸送機、建機、農機など)、美容室・理髪店、など〔2016年ネガティブリスト〕。 - 2020年11月2日付2020年第11号雇用創出法は、次の事業分野は外国投資(PMA)に限らず投資全般に対して閉鎖されるとしている。
- 特定の麻薬の栽培と製造
- すべての形態の賭博および/あるいはカジノの活動
- ワシントン条約(CITES)に記載されている魚類の漁獲
- サンゴの採取や利用、および建材/石灰/カルシウム、水族館、および土産物/装飾に使用する目的での天然サンゴ、ならびに生きたサンゴ礁、天然よりの死んだばかりのサンゴ礁の採取や利用
- 化学兵器の製造産業
- 工業化学原料産業とオゾン層破壊原料産業
規制業種
外国資本による投資を規制する業種をリスト化して規制(2016年ネガティブリスト)。
規制内容は次のように分類されており、それぞれ同リストを参照。
- 中小・零細企業、協同組合とのパートナーシップが条件付けられる分野
森林事業、稚魚生産、魚の養殖、一部の水産加工、水産物の販売、タバコ加工、石灰産業、通信販売・インターネットを用いた小売業、など。 - 外資比率が制限される分野(ローカル企業との合弁義務)
※特定業種について、ASEAN加盟国からの投資を対象に出資比率を優遇。 - 地域が限定される分野
- 管轄省庁からの特別許可を要する分野
ジェトロ:大統領規程2016年第44号(252KB)(ジェトロ仮訳:2016年5月31日付)
ジェトロ:大統領規程2016年第44号添付書類リスト(2016年ネガティブリスト)(587KB)(ジェトロ仮訳:2016年5月31日付)
出資比率
禁止業種を除き、外資による出資が可能だが、ネガティブリスト方式で業種ごとに外資出資比率の上限を定めている。
業種ごとの主な出資比率は以下のとおり。
- 製造業:原則、外国資本100%の出資が可能(医療機器など一部分野除く)。
- 卸売業:外資上限67%
- 小売業:外資はデパート、スーパーマーケット、ミニマーケット(コンビニエンスストア)のみ出資可能で、ネガティブリストにて店舗面積の下限が定められている。
- デパート:売り場面積が400平方メートル未満の場合、外資不可、400~2,000平方メートルの場合、外資上限67%、2,000平方メートル超の場合、外資100%可。
- スーパーマーケット:売り場面積が1,200平方メートル未満の場合、外資不可。1,200平方メートル以上の場合、外資100%可。
- ミニマーケット:売り場面積が400平方メートル未満の場合、外資不可。400平方メートル以上の場合、外資100%可。
- 流通業:陸上輸送は外資上限49%、海上輸送は外資上限49%、倉庫業は外資上限67%(ただし、コールドストレージは外資100%可)。
- 外食(レストラン):外資100%可。
- ホテル:3つ星以上の場合、外資100%可。2つ星以下の場合、外資上限67%。
- 病院:外資上限67%。
- 人材派遣(インドネシア人労働者に対する海外の職業斡旋):外資不可。
- 職業訓練:外資上限67%。
この他、業種ごとの出資比率は、2016年ネガティブリストを参照。
また、保険会社への外資出資比率は、2018年4月17日付政令2018年第14号(2020年1月16日付政令2020年第3号で変更)にて80%までに規制されている。同政令施行時に外資の出資比率が80%を超えていた非上場保険会社は例外とされるが、その後増資をすることになった場合でも、外資出資比率は元の比率を超えてはならず、インドネシア資本を得られない場合は株式公開による増資としなければならない、等規定されている。
外国企業の土地所有の可否
土地所有権は、インドネシア国民(個人)にのみ認められている。法人は所有権に代わる権利を得た上で、工場を建てるなどして操業することができる。
- 土地保有権利の取得手続き
土地は〔1960年政令第5号「土地基本法」〕によって管理されていたが、土地権利確定手続きの簡素化が図られた〔1997年7月8日付政令第24号〕。
土地基本法の規定により、インドネシア全国土の最高管理権は国家に属している。したがって、個人や企業は土地の権利を国の許可を取得した上で、保有する形態を取っている。 - 土地に関して取得できる権利には、次の11種類がある。
a.~f.は国の許可が必要だが、g.~k.は当事者間で権利の移転・取得が可能である。- 所有権(HM、インドネシア国民(個人)、または国家のみ保有)
- 事業権(HGU、国家に属する農地を貸借して開発する権利。期間は最長35年、更新も可能)
- 建設権(HGB、土地の上に建物を建設・保有する権利。期間は通常25~30年、地方政府に申請すれば更新も可能)
- 利用権(HP、国家ないし個人に属する土地を一定の期間、開発、利用する権利。期間は最長25年、更新も可能)
- 開墾権(HMT)
- 森林産出物採取権(HMHH)
- 賃借権(HS)
- 小作権(HUBH)
- 土地質権(HG)
- 滞在権(HM)
- 農地賃借権(HSTB)
- 地域の指定、土地の指定、土地使用権の承認、建設許可の発給、公害関係法規に基づく許可は、各州投資調整局(BKPMD)でも行われる。
- 自由貿易地域など保税が認められた地域に立地する企業は、当該管理庁または管理会社を通じて、土地利用の手続きを行う。
- 外国人の居住用住宅
インドネシアの居住許可を有する外国人に、居住用住宅の保有が認められることとなった〔1996年6月17日付政令第41号〕。
ただし、利用権が付された土地の上に建てられた住宅やアパートに限られ、その権利の保有期間は最長25年で、インドネシアの居住許可を有する限り、さらに25年の延長が可能。また、外国人1人/1世帯につき1区画の土地で、その広さは原則2,000平方メートルまでに制限され、外国人が購入できる住宅・アパートの最低価格も規制された〔2016年9月8日付農地・都市計画大臣/国土庁長官規定2016年第29号〕。
例えば、ジャカルタでは住宅なら100億ルピア以上、アパートは30億ルピア以上。バンテン州と西ジャワ州の場合は、住宅はいずれも50億ルピア以上、アパートはバンテン州で20億ルピア、西ジャワ州で10億ルピア以上など。なお、インドネシアでの居住を中止する場合、1年以内に権利譲渡しなければならない。
- 外国人のコンドミニアム所有権
2020年11月2日付2020年第11号雇用創出法は、法令の規定に従った許可を有する外国人もコンドミニアムの所有権を取得することができるとしている。細則の規定が待たれる。
各州投資調整局(BKPMD)の連絡先:
投資調整庁(Badan Kordinasi Penanaman Modal:BKPM):地方政府検索ページ(Local government)
資本金に関する規制
外国資本の場合、製造業・非製造業の区別なく、払込資本金25億ルピア以上。
さらに、土地建物を除く投資額(資本金含む)の合計が100億ルピア超。
外国投資(外国法人・個人による投資)
製造業・非製造業の区別なく、土地建物を除く投資額の合計が100億ルピア超(事業分類コードKBLIごと)、引受資本金と払込資本金は同額で25億ルピア以上を満たす必要がある。また、各株主の出資金額は、1,000万ルピア以上〔投資許認可の指針と手順に関する投資調整庁長官規定(2018年第6号)の第6条2項、3項、4項、投資調整庁規定2020年第1号〕。
国内投資(インドネシア内国法人・個人による投資)
最低授権資本金額は会社創設者間の合意に基づき決定、最低引受資本金額および最低払込資本金額は授権資本金額の25%〔2016年7月14日付政令2016年第29号〕。
その他規制
商業施設の立地条件、農園事業の許可等、電気自動車の開発加速化。