日本からの輸出に関する制度

アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するアルコール飲料のHSコード

国内で販売できる輸入アルコール飲料は、HSコード2203、2204、2205、2206、2207、2208項です。 うち、本ページで定義するアルコール飲料のHSコードは、は2203、2204、2205、2206、2208項のビール、醸造酒、混合物、蒸留酒で、統計細分8桁では53品目が該当します。

  • 2203:ビール
  • 2204:ぶどう酒(強化ぶどう酒を含むものとし、生鮮のぶどうから製造したものに限る)およびぶどう搾汁(HSコード2009項のものを除く)
  • 2205:ベルモットその他のぶどう酒(生鮮のぶどうから製造したもので、植物または芳香性物質により香味を付けたものに限る)
  • 2206:その他の発酵酒(例えば、りんご酒、梨酒、ミードおよび清酒)ならびに発酵酒とアルコールを含有しない飲料との混合物および発酵酒の混合物(他の項に該当するものを除く)
  • 2208:エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%未満のものに限る。)および蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料

HSコード2207項(エチルアルコール(変性させてないものでアルコール分が80%以上のものに限る)および変性アルコール(アルコール分のいかんを問わない))、およびHSコード2208.90.80(アルコール度数が57%を超えるビターズおよび類似の飲料)は2024年9月現在、輸入規制の対象ではありません。

インドネシアの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2024年9月

東京電力福島第一原子力発電所事故発生時からインドネシアにより日本産農産物について課されていた放射性物質の検査報告書の提出義務は2022年7月26日付けで解除され、インドネシアにおける放射性物質輸入規制は撤廃されています。
詳しくは、関連リンクの「農林水産省『インドネシアによる日本産食品の輸入規制の撤廃について』」を参照してください。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2024年9月

インドネシアの国有企業以外の企業が日本を含む海外からアルコール飲料の輸入を行う場合、輸入者は商業大臣規則2024年第8号に従い、インドネシア商業省よりデューティーペイド・アルコール飲料特定輸入業者(IT MB Duty Paid)の認定を受ける必要があります。このデューティーペイド・アルコール飲料特定輸入業者の申請に必要な書類のひとつに「海外のアルコール飲料の製造業者や商標保有者、ディストリビューターの指名権限を有する商標代表者が発行するディストリビューター指名書」があります。
よって、インドネシアの国有企業以外の企業にアルコール飲料を輸出する場合は、当該の輸入者をインドネシアにおけるディストリビューターに指名する旨の文書を作成する必要があります。この指名書には英語とインドネシア語の宣誓翻訳を添付し、出身国当局による公証を受けることが求められています。
一方、インドネシアの国有企業が日本からアルコール飲料を輸入する場合は、ディストリビューター指名書は不要です。

アルコール飲料の輸入者は、輸入するアルコール飲料をインドネシア国家医薬品食品監督庁(BPOM)に登録する必要があります。BPOM規則2023年第23号によると、この商品登録のためには、輸出者側からは上記のディストリビューター指名書のほか、次の書類の提出が必要です。

  • 衛生証明(Health Certificate)または自由販売証明書(Certificate of Free Sale)
  • 公認/認定機関が発行したGMP(適正製造規範)/HACCP(危害分析および重要管理点)証明書または同様の証明書、あるいは原産国政府の監査結果
  • 金属・化学・細菌汚染、食品添加物、栄養素、品質・特徴についての分析証明(製造元の海外の工場で準備している場合が多い)

また、輸入者に製品登録のため、もしくは次の書類を輸出者側で有する場合は次の書類も求められます。

  • オーガニック食品認証
  • 遺伝子組換え食品に関する証明書(自己証明)
  • 放射線照射に関する証明書(第三者機関)

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2024年9月

なし

インドネシアの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2024年9月

アルコール飲料は、国家医薬品食品監督庁(BPOM)長官規則2016年第14号によって安全品質規格が定められており、品質要件としてメタノール濃度は0.01%未満であることが指定されています。個別の品目については、同令の付属書において品質規格が定められています。
また、アルコール飲料を含む加工食品に対して使用が認められない原料は、BPOM規則2023年第22号に定められています。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2024年9月

残留農薬規制については原則、食品の国際規格であるCODEX(コーデックス委員会)の規格が採用されています。
残留農薬の監督を行うインドネシアの保健省と農業省は、1996年に保健・農業大臣合同決定No.881/Menkes/SKB/VIII/1996, No.711/Kpts/TP.270/8/96にて218種類の農薬について独自の残留/汚染上限を設け、この基準を超える食品の輸入および国内販売を禁止しました。また、これらに規定されていない農薬の残留は認められていません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2024年9月

加工食品の重金属および化学的汚染物質の上限に関する国家医薬品食品監督庁(BPOM)長官規則2018年第5号および同第8号により、アルコール飲料は重金属/汚染物質の規制の対象とされています。

重金属の許容限度基準値(mg/kg)は、次のとおりです。

  • ヒ素(As) 0.1 mg/kg
  • 鉛(Pb) 0.2 mg/kg
  • 水銀(Hg) 0.03 mg/kg
  • カドミウム(Cd) 0.2 mg/kg

缶入りの飲料については、スズの許容限度量は100 mg/kgとされています

汚染物質の許容限度基準値は次のとおりです。

  • オクラトキシンA:ビール0.2 ppb、ワイン2 ppb
  • パツリン:りんごを原料とするアルコール飲料50 ppb

4. 食品添加物

調査時点:2024年9月

保健大臣規則2012年第33号には、アルコールを含む加工食品に使用が禁止される食品添加物として、次の19の物質が挙がっています。

  • ホウ酸
  • サリチル酸とその塩
  • ジエチルピロカーボネート
  • ズルチン
  • ホルムアルデヒド
  • 臭素酸カリウム
  • 塩素酸カリウム
  • クロラムフェニコール
  • 臭化物食用油
  • ニトロフラゾン
  • ズルカマラ
  • コカイン
  • ニトロベンゼン
  • アントラニル酸シンナミル
  • ジヒドロサフロール
  • トンカ豆
  • ショウブの根茎からとれる精油(Calamus oil)
  • ヨモギギクの精油(Tansy oil)
  • サッサフラスの精油(Sassafras oil)

また、使用が認められる食品添加物は保健大臣規則2012年第33号に、使用規制量は国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第11号に、それぞれ定められています。
さらに、BPOM規則2023年第22号には、食品添加物として使用が禁止される45の物質が挙げられています。詳細はBPOM規則2023年第22号を参照ください。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2024年9月

食品用の容器包装については国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2019年第20号に、食品包装として使用が禁止されている食品接触物質と、使用が許可されている食品接触物質のリストが掲載されています。これらのうち食品包装として使用が許可されている食品接触物質は、食品への移行量が制限されているものと、特に規制のないものとに分かれます。
食品包装として使用が認められる食品接触原料としては、プラスチック(モノ/マルチレイヤー)、ゴム/エラストマー、紙とカートン、ふた/ガスケット/封印、レジン/ポリマーレイヤー、陶器、ガラス、金属があり、食品への移行量の制限つきでリストが定められています。
なお、工業大臣規則No.24/M-IND/PER/2/2010により、食品包装には食品に適した安全な容器を使用していることを示すロゴの表示が義務付けられています。またプラスチック容器については、リサイクルのコードと使用しているプラスチックの種類を表記することが定められています。

6. ラベル表示

調査時点:2024年9月

アルコール飲料のラベルには、国家医薬品食品監督庁(BPOM)長官規則2018年第31号の加工食品のラベル表示規定に従い、インドネシア語の表示が義務付けられています。表示が義務付けられている項目は次のとおりです。

  1. 品名
    食品種類、製品名
  2. 使用原材料の一覧
    原材料、食品添加剤、加工助剤、アルコール度数(基準は摂氏20度)
  3. 正味重量または正味容量(許容誤差に係わる規定なし)
  4. 製造者または輸入者の名称と住所
  5. 製造年月日および製造番号
  6. 使用期限
    品質が保証される年月日を記載。保存期間が3カ月以上の商品については、年月だけでもよいとされています。また、アルコール度数が7%超の場合は、表記の義務はありません。
  7. 加工食品流通許可番号
    「BPOM RI ML xxxxx(取得番号)」
  8. 特定食品原料成分の説明
    動物起源の原料、ハラールに関連する原料、遺伝子組換え原料、放射線照射原料など。ただし、遺伝子組換え原料の使用量が5%以下の場合は表示が免除されています。
  9. 注意文
    人工甘味料、豚由来原料、アレルゲン、アルコール含有に関する項目をインドネシア語で表示しなければなりません。
    • アルコール含有飲料であることの表示
    • 食品カテゴリーに基づく種類、またはアルコール度数に応じたカテゴリー
      • カテゴリー A:アルコール度数5%以下
      • カテゴリー B:アルコール度数5%超~20%以下
      • カテゴリー C:アルコール度数20%超~55%以下
    • 21歳未満の者および妊婦の摂取は禁止
    • アルコール度数
  10. 栄養表示
    エネルギー総量、脂肪総量、タンパク質、炭水化物、ナトリウムの表示が必要です。

製品名および注意文は、2mmのArialフォントによる小文字の「o」と同じか、それより大きいサイズで記載しなければなりません。その他は原則、1mmのArialフォントによる小文字の「o」と同じか、それより大きいサイズで記載します。ラベルの表面面積が10cm²以下の場合は、最小でも0.75mmのサイズの文字で記載することが義務付けられています。

ラベルは加工食品流通許可の取得時に承認されている必要があり、承認済みのラベルと同一のものがインドネシア国内に搬入される際に表示されている必要があります。

7. その他

調査時点:2024年9月

なし

インドネシアでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2024年9月

商業大臣規則2024年第8号によると、アルコール飲料を輸入できるのは、デューティーペイド・アルコール飲料特定輸入業者(IT MB Duty Paid、民間商社の場合)またはデューティー・ノット・ペイド・アルコール飲料特定輸入業者(IT MB Duty Not Paid、国有商社の場合)として認定されている輸入業者に限られます。
デューティーペイド・アルコール飲料特定輸入業者の申請要件は次のとおりです。

  • 申請可能な事業者:

    一般輸入業者事業者番号(API-U)として有効な事業者基本番号(NIB)を有する事業者であって、アルコール飲料のインドネシア国内での販売業者として少なくとも3年間(連続)の経験と、アルコール飲料特定輸入業者に酒類販売業者として任命された経験(酒類販売業許可(SIUP-MB)や酒類販売業者証明書(SKMB Distributer)で証明)、または過去にアルコール飲料特定輸入業者ライセンスを保有した経験(アルコール飲料特定輸入業者認定書で証明)のいずれかを有していることこと。

  • 申請の要件:
    • 国内6州において少なくとも6社の販売業者に対する販売任命書を、各販売業者の酒類販売業許可(SIUP-MB)や酒類販売業者証明書(SKMB Distributer)を添付して提出すること。
    • 少なくとも5カ国、20の「海外のアルコール飲料の製造業者/商標権者/ディストリビューターの指名権限を有する商標代表者が発行するディストリビューター指名書」を取得すること。(出身国当局による公証が必要で、英語とインドネシア語の宣誓翻訳の添付も求められている。)

アルコール飲料特定輸入業者の申請は、通関ポータルサイトであるインドネシア・ナショナル・シングル・ウインドウ・システム(INSW)を通じて行います。その際、これらの書類をINSWにアップロードします。 アルコール飲料特定輸入業者の認定書は、商業省のポータルサイトINATRADEを通じて発行され、当該の商社がアルコール飲料の輸入業を行う限り有効です。

続いて、上記申請により取得したアルコール飲料特定輸入業者認定書を商業省の国内商業統合許認可情報システム(SIPT PDNにアップロードし、アルコール飲料特定輸入業者証明書(SK IT-MB)の発行を受けます。SK IT-MBの申請は、SIPT PDNに接続したインドネシアの事業許認可統合システムであるオンライン・シングル・サブミッション(OSS)システムから開始し、アルコール飲料特定輸入業者認定書(IT MB Duty Paid認定書)のほか、「アルコール飲料年間販売計画」、「倉庫登録証」(TDG)、「任命した販売業者にのみアルコール飲料を供給する旨の誓約書」を提出します。

アルコール飲料の輸入にはまた、国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2023年第23号に従い、加工食品流通許可証(Izin Edar)を取得する必要があり、これはBPOMへ商品登録を行うことにより取得します。商品登録の申請については、BPOMのサイトに接続したOSSシステムから開始し、以下のような許認可や情報を提出します。

レジストレーション・システムのアカウント開設に必要な書類

  • 食品輸入分野の事業認可(NIBとOSSが発行する事業許可(Izin))
  • 納税者番号(NPWP)
  • 原産国の企業からの契約書の形での指名書(加工食品流通許可登録を行う権利の付与や指名期間などの明記があり、輸入者が特権的に指名されている場合は特権的指名についての条項も記載されていること。現地の公証人・商工会議所・在外公館などの認証が必要)。
  • 公認/認定機関が発行したGMP(適正製造規範)/HACCP(危害分析および重要管理点)証明書または同様の証明書、あるいは原産国政府による監査結果
  • 加工食品安全マネジメントシステム規格適合証明書(SMKPO)

商品登録の申請に必要な書類や情報

  • 使用されている原材料の組成情報またはリスト(特定の食品原材料の原産地に関する記述を含む)
  • 生産工程
  • 消費期限に関する情報
  • 生産コードに関する情報
  • ラベルデザイン
  • 製品写真(ラベルに記載されているすべての情報が読みやすく写っているもの)
  • ラベルの翻訳文(原文が英語以外のもの)
  • 衛生証明(Health Certificate)または自由販売証明書(Certificate of Free Sale)
  • 分析証明(金属・化学・細菌汚染、食品添加物、栄養素、品質・特徴)
  • 特定の原材料・添加物のスペック
  • 原産国の企業からの契約書の形での指名書(加工食品流通許可登録を行う権利の付与や指名期間などの明記があり、輸入者が特権的に指名されている場合は特権的指名についての条項も記載されていること。現地の公証人・商工会議所・在外公館などの認証が必要)。

登録は、商品の種類ごとのほか、包装の種類、構成要素、ラベルのデザインごとに行うこととされており、これらが異なる場合はその都度、登録/再登録しなければなりません。 なお、加工食品流通許可証の有効期間は5年間で、有効期限の6ヵ月前から10日前までに更新しないとなりません。

続いて、商業大臣から輸入承認(PI)を取得します。PIは、政府が収集、決定する消費と生産の状況に関するデータや情報である商品バランスが決定されている場合は商品バランスに従って発行されますが、アルコール飲料は2024年9月現在で商品バランスが決定されていない品目のため以下に基づき発行されます。(有効期間は、1~12月の範囲で最長1年間です。)

  1. アルコール飲料特定輸入業者
  2. 財務省関税総局からの物品税帯提供者のコミットメントとしての輸入計画
  3. 販売計画:少なくとも、輸入業者に任命された販売業者の名称、販売業者のSKMB Distributor番号と有効期間、販売地域、取扱アルコール飲料のカテゴリー、取扱量(ℓ)を記載。

PIの申請はアルコール飲料特定輸入業者の認定と同様にINSWを通じて行い、INATRADEシステムを通じてPIの発行を受けます。

加工食品流通許可証を取得したアルコール飲料の輸入に際しては、BPOM規則2022年第27号(BPOM規則2023年第28号で変更)に従い、BPOMからの輸入証明書を取得することが義務付けられています。これはポストボーダー輸入証明書と呼ばれるもので、輸入の都度取得が必要です。ポストボーダー輸入証明書の申請は、BPOMのサイト内のSKIサービスサイトにアカウントを開設し、加工食品流通許可証やBPOMに承認されたラベルなどをアップロードして行います。必要な情報は次のとおりです。

SKIサービスサイトのアカウント開設に必要な書類や情報

  • NIB
  • NPWP
  • 輸入予定商品のHSコード一覧
  • 責任者の住民証(KTP)と誓約書
  • 会社の倉庫と事務所の写真(前面と背面)
  • 輸入委任状(公正証書の形式、輸入を委任する場合)
  • 加工食品安全マネジメントシステム規格適合証明書(SMKPO)

ポストボーダー輸入証明書の申請に必要な書類や情報

  • 申請書
    • 輸入者の名称と住所
    • 食品カテゴリーと商標
    • 梱包の種類、重量/数量
    • 輸入量
    • 輸出国
    • 輸出者に関する情報
    • インボイスとパッキングリストに関する情報
    • 消費期限
    • ロット/バッチ/生産コード
    • 船降港
  • 分析証明(金属・化学・細菌汚染、食品添加物、 栄養素、品質・特徴)
  • 分析結果(ホルムアルデヒド、メラミン、着色料)
  • 包装の写真
  • ホテル・レストラン・カフェのパーチェース・オーダー(PO、ホテル・レストラン・バーによって使用される場合)
  • 加工食品流通許可証(Izin Edar)
  • 製造日/消費期限およびロット/バッチ番号が記載された書類
  • インボイス
  • パッキングリスト
  • 商品登録時に承認されたラベル
  • 協業契約(登録承認を有する輸入業者と異なる輸入者によって輸入が行われる場合、公証が必要)
  • 製造業者からの証明書(輸入書類にあるアルコール飲料の名称が加工食品流通許可に記載されているものと異なる場合)
  • 製造業者からのレファレンスレター(輸出者が製造業者と異なる場合)

ポストボーダー輸入証明書は、税関からの物品搬出承認書の発行日から7日以内に取得することとされています。

なお、上記の分析証明については、インドネシアへサンプルを送り、インドネシア国内の認定試験所で分析してもらい、発行を受けることもできるが、海外の認定試験所で分析、発行してもらうことも可能で、製造元の海外の工場ですでに認定試験所にて分析を受け、分析証明を取得していることが多い。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2024年9月

商業大臣規則2024年第8号により、輸入されたアルコール飲料は、特定の港や国際空港の保税物流センター(PLB)に搬入することとされています。

通関の手続きとしては、次の流れを経て保税物流センターから搬出されます。

(1)輸入申告
税関に輸入品通知書(フォームBC1.6)と、次の添付書類を電子データで作成し、提出します。
  • インボイス
  • パッキングリスト
  • 船荷証券
  • その他の条件となる書類
(2)書類審査
税関による申告内容や添付書類の審査
(3)PLB商品搬出許可(SPPB PLB)の取得
これらの検査を経て船卸港の税関からの搬出許可が出た後、貨物は保税物流センターへの搬入が可能となります。保税物流センターから商品を搬出する際に、留保されていた関税および輸入関連税を納付します。

輸入港は、海港ではブラワン(北スマトラ州メダン)、タンジュンプリオク(ジャカルタ)、タンジュンマス(中部ジャワ州スマラン)、タンジュンペラック(東ジャワ州スラバヤ)、ビトゥン(マナド)、スカルノハッタ(南スラウェシ州マカッサル)の 6港、空港は全国の国際空港に限られます。自由貿易地域で搬入された輸入アルコールは、同地域内での消費用のみが認められます。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2024年9月

特になし

4. 販売許可手続き

調査時点:2024年9月

輸入アルコール飲料のインドネシアでの販売には、酒類販売業者証明書(SKMB Distributor)を取得する必要があります。酒類販売業者証明書は、商業省の国内商業統合許認可情報システム(SIPT PDN)に接続したインドネシアの事業許認可統合システムであるオンライン・シングル・サブミッション(OSS)システム内の事業活動補助のための事業許認可(PM UMKU)の申請メニューから開始します。要件として以下の書類の提出が求められ、申請時にアップロードします。

  • 倉庫登録証(TDG)
  • 海外のアルコール飲料の製造業者/商標権者/ディストリビューターの指名権限を有する商標代表者が発行するディストリビューター指名書
  • 販売地域の州知事よりの推薦状(カテゴリーB(アルコール度数が5%超~20%以下)およびC(同20%超~55%以下)のアルコール飲料を取り扱う場合、販売地域ごとに必要となり、会社が所在する県/市の現地検査報告書を添付します。)

また、インドネシアにおいて小売販売されるか、レストランやバーなどで最終消費者に直接販売されるために包装されたアルコール飲料は、加工食品として国家医薬品食品監督庁(BPOM)に商品登録し、加工食品流通許可(Izin Edar)を取得する必要があります。BPOM規則2023年第23号によると、申請は輸入業者が行い、申請に必要な条件は次のとおりです。

  • 食品輸入分野の事業認可を取得している。
  • 原産国の企業からの契約書のかたちでの指名書を保有している(加工食品流通許可登録を行う権利の付与や指名期間など明記、輸入者が特権的に指名されている場合は特権的指名についての条項も記載。現地の公証人・商工会議所・在外公館などの認証が必要)。
  • 流通施設における加工食品安全管理システムを適用している。

輸入アルコール飲料には、「BPOM RI ML xxxxx(取得番号)」という加工食品流通許可番号が交付されますので、これをラベルに表示します。ラベルは商品登録時に提出し、承認を受けます。
また、商品登録は、商品の種類ごとのほか、包装の種類、構成要素、ラベルのデザインごとに行うこととされており、これらが異なる場合はその都度登録しなければならず、包装やラベルに変更があった場合にもその都度、加工食品流通許可を更新しないとなりません。 詳細は、『1.輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)』を参照ください。

デューティーペイド・アルコール飲料特定輸入業者に認定された民間商社によって輸入されたアルコール飲料は、指定ディストリビューターへの供給に限られます。さらに指定ディストリビューターから指定サブ・ディストリビューター、小売店や現地で飲用に提供する店舗に販売されます。いずれの事業者もアルコール飲料取り扱いの事業許可が必要です。
なお、アルコール飲料を飲用として提供する店舗は、ホテルやレストラン、バーに限定されています。また、小売店については、スーパーマーケットまたはハイパーマーケットに限定されます。また地方自治体により、提供場所や販売店、地域などが規制されている場合もあります。

一方、デューティー・ノット・ペイド・アルコール飲料特定輸入業者に認定された国有商社によって輸入されたアルコール飲料は、国内のデューティーフリーショップへ供給されます。

なお、BPOM規則2023年第23号では、原料として利用され、最終消費者に直接販売されない加工食品は、加工食品流通許可の取得義務の例外としています。

5. その他

調査時点:2024年9月

国家医薬品食品監督庁(BPOM)規則2022年第27号(BPOM規則2023年第28号で変更)により、輸入されるアルコール飲料は、ポストボーダー輸入証明書の申請時に保存期間全体の最低2/3が残っている必要があります。

インドネシア内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2024年9月

財務大臣規則No.26/PMK.010/2022により、海外から輸入されるアルコール飲料には、ビールは1リットル当たり14,000ルピア、ビール以外の醸造酒と混成酒は90%、蒸留酒には150%の関税が課されます。保税物流センターへの搬入が義務付けられているため、輸入時の関税は留保され、保税物流センターからの搬出時に課税されます。

2. その他の税

調査時点:2024年9月

(1)物品税

財務大臣規則2023年第23号により、輸入アルコール飲料に対しては、アルコール度数に応じて1リットル当たり次の物品税が、保税物流センターからの搬出時に課されています。

  • カテゴリー A(アルコール度数5%以下):インドネシアルピー(Rp)16,500
  • カテゴリー B(アルコール度数5%超~20%以下):Rp.53,000
  • カテゴリー C(アルコール度数20%超~55%以下):Rp.152,000

輸出前に、輸入業者はラベルまたは包装の見本と、指定機関によるアルコール度数の試験結果を提出し、関税総局に適用税率の認定を受ける必要があります。事前に、税関に物品税課税業者として登録し、物品税課税業者番号(NPPBKC)を取得していなければなりません。

(2)前払い所得税

財務大臣規則No.41/PMK.010/2022により、輸入アルコール飲料は、輸入前払い所得税(PPh-22)として、保税物流センターからの搬出時に徴収されます。税率は、ビールがCIFの2.5%、ビール以外のアルコール飲料が同7.5%です。この前払い所得税は、法人税の年次申告時に法人税と相殺されます。

(3)付加価値税

輸入アルコール飲料に対しては、付加価値税(VAT)も保税物流センターからの搬出時に徴収されます。税率は2021年第7号税務規則調和法により、2024年9月末現在11%、そして遅くとも2025年1月1日から12%に引き上げられる予定です。これは、会社の売上VATと相殺されます。会社は事業開始前に、税務署にVAT課税業者(PKP)として登録しておく必要があります。

3. その他

調査時点:2024年9月

特になし。

その他

調査時点:2024年9月

ハラール認証
ハラール製品保証法に基づき、ハラールでない食品は、ハラールでない旨を製品に表示しなければなりません。アルコール飲料はハラールではないため、宗教大臣規則2019年第26号により2024年10月17日以降、ハラールではない旨を表示することが義務付けられています。ただし、政令2024年第42号により、海外から輸入されるものについては、この義務は2026年10月17日まで猶予されました。