輸入加工食品に国際認証が必須に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2016年11月11日

 インドネシア国家食品医薬品監督庁(BPOM)は、8月18日付で新規定を発効し、食品製造業者、輸入業者、ディストリビューターへの加工食品登録承認証の発行に当たり、原産国の加工製造業者によるGMP(適正製造規範)、HACCP(危害分析および重要管理点)、ISO-22000の認証または同種の認定証明書、あるいは原産国政府の監査結果を求めた。既存の加工食品登録承認証を取得している場合には、有効期限内は免除となるが、新しくインドネシア向けに加工食品を輸入する流通業者、および日本の食品製造業は注意が必要だ。

<輸入加工食品にはGMPHACCPISO22000認証などが必要>

 インドネシアは従来、輸入する加工食品の登録承認証発行に当たり、生産工程を示す書類のBPOMへの提出、または、GMPあるいはHACCPの認証を必要としていたが、今回のBPOM長官規程2016年第12号の施行により、発行条件を厳格化した。これにより、95日以降に輸入される加工食品は、GMPHACCPあるいは、ISO22000(食品安全)認証または同種の認定証明書、あるいは原産国政府の監査結果の提出が義務付けられた。生産工程を示す書類の提出は、発行条件から外された。

 

 同規程第10b項および11条第5項では、製造者に対し、登録する食品の種類に応じた適正製造方法要件を満たすことを義務付けた。また第13条第2項で、同要件を充足することの証明は、GMPHACCPISO22000認証、または権限を有するか認定を受けた機関が発行する同種の証明書、あるいは原産国政府の監査結果によってなされると規定した。

 

 同規程第5条によると、規制の対象となるのは、インドネシア以外で生産され、国内に輸入される加工食品だ。対象外となるのは、(1)家内工業で製造、(2)室温での保存時間が7日未満、(3)登録申請の枠組みにおけるサンプル、調査、自家消費の目的で少量輸入されるもの、(4)原材料として利用し、最終消費者に直接販売しない、(5)大容量梱包(こんぽう)で、最終消費者に直接販売しない、または(6)消費者の求めに応じて少量を購入者の面前で直接販売・包装する食品だ。

 

 既にBPOMから加工食品登録承認証を取得し、流通許可を取得している場合は、流通許可の有効期限内においては、引き続き商品の輸入が可能だ。しかし、失効後は上記規程に基づき、再登録が必要となる。

 

 なお、同規程をもって、従来の加工食品登録承認証(Surat Persetujuan Pendaftaran Pangan Olahan)の名称は、加工食品流通許可書(Izin Edar Pangan Olahan)に変更された。

 

<中小食品メーカーへの影響に懸念>

 今回の規程変更の背景について、在ジャカルタの日系輸入業者は、輸入品に対してGMPHACCPISOなどの認証を要求する先進諸国と同水準の輸入規制を導入する目的があるようだ、と述べた。日本企業への影響に関しては、大手メーカーを中心に既に認証を取得している製品への影響はないが、中小企業をはじめ、認証を取得していない企業の製品については、今後は輸入が滞る可能性があるとみている。現在、インドネシアに加工食品を輸出している、あるいは今後輸出しようとしている企業は、本規程に十分注意する必要がある。

 

 なお、ジェトロは本改定に関する「加工食品登録に関するBPOM長官規程2016年第12号」および「公告 No.HM.02.03.5.51.08.16.3050」を日本語に仮訳した。仮訳は、ジェトロのウェブサイト「加工食品の地輸入規則および留意点:インドネシア向け輸出」で参照できる。

 

(山城武伸、亀田周)

(インドネシア)

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